JPS6216754Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は直流モータのケーシング構造に関す
る。

（従来の技術） 従来の直流モータ、特に扁平小型の要求に対応
するフラツト型の直流モータは第１図に示す構造
となつている。この直流モータにおけるケーシン
グ１は、一対のパネルブラケツトＡ，Ｂから成
り、偏平な中空円盤形状をしている。このケーシ
ング１の中心には回転軸３が回転自在に支承して
ある。ケーシング１内における回転軸３の一端に
は合成樹脂製のボス部４が固着してある。このボ
ス部４には、その樹脂成形時に、コンミユテータ
６及びアマチユア７が一体化される。コンミユテ
ータ６は、複数個の整流子片５を中心に対して等
角放射状に整列して環状にしかも相互に絶縁する
ように配列したものである。アマチユア７は、ブ
ラケツトＢの内側面に対し等角放射状に整列して
配置されたマグネツト２と、ブラケツトＡとの間
に、所定のエアギヤツプを以て配設してある。し
たがつて、アマチユア７を構成する周方向に配置
された複数の単コイル８におけるトルク発生部
は、マグネツト２が発する磁力線に直交して伸延
するようになつている。このアマチユア７におけ
る単コイル８と前記コンミユテータ６における整
流子片５とは、それぞれ対応して電気的に接続し
てある。コンミユテータ６における整流子片５の
表面には、スプリング９の付勢下でブラシ１０が
摺接し、そこから電流を供給するようになつてい
る。ブラシ１０はケーシング１を構成するブラケ
ツトＢに、その軸方向移動自在に保持してある。

（考案が解決しようとする問題点） しかして、このような従来例に係る直流モータ
では、そのケーシング１がパネル状の２枚のブラ
ケツトＡ，Ｂを向かい合わせてその周縁を嵌合固
定することにより構成され、その中に円盤状の偏
平なアマチユア７が配置されるため、当該アマチ
ユア７の平面性の狂いや回転時の振れなどにより
アマチユア７とケーシング１とのなす間隔、すな
わちエアギヤツプの寸法精度が確保されないとい
う不都合があつた。また、軽量化等の観点から、
ケーシング１を構成するブラケツトＡの肉厚を大
きくできないため、マグネツト２のＮ極からブラ
ケツトＡ方向に発せられた磁力線を再度マグネツ
ト２のＳ極へ戻す機能（いわゆるフラツクスリタ
ーン機能）の低下をきたす等の種々の問題があつ
た。

本考案は、上記従来技術の問題点に鑑み、アマ
チユアとケーシングとのなすいわゆるエアギヤツ
プの寸法精度を容易に確保すると共に、フラツク
スリターン機能の向上を図り、これにより出力ト
ルクの損失を有効に防止することを目的とする。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） かかる目的を達成するために、本考案は、マグ
ネツトが発する磁力線に直交して伸延するトルク
発生部が形成された複数の単コイルを周方向に配
置してなる偏平なアマチユアを回転軸と共に回転
自在にケーシング内に収容してなる直流モータに
おいて、前記アマチユアにおけるトルク発生部を
前記回転軸に平行とするように円筒状に軸方向に
伸延させて筒状トルク発生部を形成し、この筒状
トルク発生部を、ケーシングを構成する外殻用ブ
ラケツトにおける外側軸筒部と内殻用ブラケツト
における内側軸筒部との間に、所定のエアギヤツ
プを有するように配置し、前記外側軸筒部の内周
面に、前記筒状トルク発生部に直交するように磁
力線を発するマグネツトを周方向に装着し、前記
内側軸筒部の内周側に磁性材料で形成されその外
周を軸方向に折曲して円筒状に形成した折曲縁を
備えた円板形状の補強部材を、その前記折曲縁に
て接合固着したことを特徴とする。

（作用） このような手段を採用した本考案に係る直流モ
ータにあつては、トルク発生部を有する筒状トル
クが回転軸と平行に円筒状に形成してあり、その
軸方向及び径方向に容易に撓み難く、この筒状ト
ルク発生部の半径方向及び軸方向の振れをほとん
ど防止することができる。したがつて、このよう
なアマチユアにおける筒状トルク発生部と内側軸
筒部との隙間、すなわちエアギヤツプの平行性を
良好に保つことが可能になる。

また、内側軸筒部には、補強材の折曲縁が接合
してあるため、この軸筒部の実質的肉厚が増大
し、その結果、フラツクスリターン機能の向上を
図ることができる。

（実施例） つぎに本考案の実施例を第２図ないし第４図に
つき第１図と共通する部材には同じ符号を付して
説明する。

本実施例に係る直流モータのケーシング１１
は、回転軸３に対し直交する面壁部１２の外周部
に該回転軸３と平行する方向に延びる外側軸筒部
１３を有する外殻用ブラケツト（以下ブラケツト
Ａという）と、このブラケツトＡの外側軸筒部１
３の開口端を閉止する面壁体１４およびこれにリ
ベツト１５等により固定され、前記ブラケツトＡ
の外側軸筒部１３の内側に間隔をおいて同心状に
内嵌される内側軸筒部１６を有する内殻用ブラケ
ツト（以下ブラケツトＢという）とからなつてお
り、これらブラケツトＡおよびブラケツトＢは軸
受体１７，１８により回転軸３を回転可能に支持
している。

前記ケーシング１１内における回転軸３には、
コンミユテータ６及びアマチユア７が一体成形さ
れたボス部４が固着してある。コンミユテータ６
には複数個の整流子片５が中心に対し等角放射状
に配列され、ボス部４の樹脂モールド時にそれぞ
れが絶縁されている。このコンミユテータ６の外
周には、アマチユア７における単コイル８が等角
放射状に整列して環状に配設され、それぞれが前
記対応する整流子片５に電気的に接続されてい
る。各単コイル８は、回転軸３と平行する方向に
円筒状に折り曲げられ、各単コイル８におけるト
ルク発生部８ａが回転軸３に対して軸方向に伸延
し、ここに筒状トルク発生部１９が形成してあ
る。この筒状トルク発生部１９は、前記ブラケツ
トＡにおける外側軸筒部１３と、ブラケツトＢに
おける内側軸筒部１６との間の所定間隔内に配置
してある。そして、ブラケツトＡの外側軸筒部１
３の内周面には、筒状トルク発生部１９を直交す
るように磁力線を発するマグネツト２が周方向略
等間隔位置に、しかもＮ、Ｓ極交互に固着してあ
る。

前記内側軸筒部１６の内周面には、第３図に示
すような磁性材料より成る円板形状の補強部材２
０が、後述するその折曲縁２１において口−付等
で接合固定してある。折曲縁２１は、補強部材２
０の外周を、軸方向に折曲して円筒状に形成した
ものである。

この補強部材２０における前記整流子片５に対
抗する位置には、第４図に示すようなブラシケー
ス２２が所定数取付けてある。このブラシケース
２２には、第２図に示すように、スプリング９に
より整流子片５方向に弾撥されたブラシ１０が当
該整流子片５に摺接するように保持してある。

なお、図中２３は筒状トルク発生部８ａの外端
周縁の真円度を確保するため外端縁に嵌着された
補強環である。

このように、本実施例に係る直流モータのケー
シング構造は、上記のようにアマチユア７のコイ
ル部分のトルク発生部８ａを回転軸３と平行する
ように折曲して筒状トルク発生部１９を形成し、
この筒状トルク発生部１９をブラケツトＡ，Ｂの
各軸筒部１３，１６間に位置させ、ブラケツトＡ
の軸筒部１３の内面にマグネツト２を固着した構
成であるから、アマチユア７の回転により筒状ト
ルク発生部１９の半径方向の振れがなく、そのた
めアマチユア７とブラケツトＢの軸筒部１６との
隙間、すなわちエアギヤツプの平行性に狂いが生
じず、したがつて出力トルクの損失を有効に防止
することができる。

またブラケツトＢの内側軸筒部１６は、補強部
材２０の折曲縁２１が内接されているので、端部
の実質上の肉厚が増し、その結果、フラツクスリ
ターン機能の向上が期待されると同時にブラケツ
トＢの剛性ならびに強度が高められ、一層前記機
能を増進することができる。さらに図に示した実
施例のように、補強材２０にブラシ１０を取付け
ることができるので、ブラシの組付け作業が容易
となり、しかもアマチユアの筒状トルク発生部１
９が軸方向に折り曲げられた構成であるため、従
来の偏平なアマチユアによるものに比しケーシン
グの外径が著しく縮少され、使用目的によつては
大きな利益を与えることができる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によれば、アマチ
ユアとケーシングとのなすいわゆるエアギヤツプ
の寸法精度を容易に確保することができると共
に、フラツクスリターン機能の向上を図ることが
可能になり、これにより出力トルクの損失を有効
に防止するという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の直流モータを示す縦断面図、第
２図は本考案によるケーシング装置を備えた直流
モータの一例を示す半部縦断面図、第３図は補強
材の正面図、第４図は補強部材に取付けるブラシ
ケースの平面図である。 ２……マグネツト、３……回転軸、４……ボス
部、５……整流子片、６……コンミユテータ、７
……アマチユア、８……単コイル、１０……ブラ
シ、１１……ケーシング、１３，１６……軸筒
部、１９……筒状トルク発生部、２０……補強部
材、２１……折曲縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マグネツト２が発する磁力線に直交して伸延す
   るトルク発生部が形成された複数の単コイル８を
   周方向に配置してなる偏平なアマチユア７を回転
   軸３と共に回転自在にケーシング１１内に収容し
   てなる直流モータにおいて、前記アマチユア７に
   おけるトルク発生部を前記回転軸に平行とするよ
   うに円筒状に軸方向に伸延させて筒状トルク発生
   部１９を形成し、この筒状トルク発生部を、ケー
   シングを構成する外殻用ブラケツトにおける外側
   軸筒部１３と、内殻用ブラケツトにおける内側軸
   筒部１６との間に、所定のエアギヤツプを有する
   ように配置し、前記外側軸筒部１３の内周面に、
   前記筒状トルク発生部１９に直交するように磁力
   線を発するマグネツト２を周方向に装着し、前記
   内側軸筒部１６の内周側に磁性材料で形成されそ
   の外周を軸方向に折曲して円筒状に形成した折曲
   縁２１を備えた円板形状の補強部材２０を、その
   前記折曲縁にて接合固着したことを特徴とする直
   流モータのケーシング構造。