JPS62133120A - 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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JPS62133120A
JPS62133120A JP26881985A JP26881985A JPS62133120A JP S62133120 A JPS62133120 A JP S62133120A JP 26881985 A JP26881985 A JP 26881985A JP 26881985 A JP26881985 A JP 26881985A JP S62133120 A JPS62133120 A JP S62133120A
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博之 黒田
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小峰 喜久治
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孝之 福田
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、炭素質ピッチ繊維から炭素繊維及び黒鉛繊維
を製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は光学
的異方性炭素質ピッチを紡糸し、不融化、炭化、黒鉛化
を行い、ロングフィラメント炭素繊維及び黒鉛繊維を得
るための、ピッチ繊維の焼成方法に関する。
(従来の技術) 従来、自動車、航空機その他の各種分野に係る広範な技
術分野において、軽量、高強度、高弾性等の性質を有す
る高性能素材の開発が要望されており、係る観点から炭
素繊維或いは成型炭素材料が注目されている。特に、炭
素質ピッチから炭素繊維を製造する方法は、安価で高性
能の炭素繊維を製造し得る方法として重要視されている
しかしながら、従来の技術によっては、ピッチ繊維の引
っ張り強度が約0.0IGPaと小さい上、脆いために
その取扱が難しく、高性能製品を得るのに必要なロング
フィラメント状の炭素繊維を得ることは極めて困難であ
った。
ピッチ繊維からロングフィラメント状の炭素繊維を製造
する方法として、従来、紡糸した糸を金網のカゴの中に
落として堆積せしめ、これを金網ごと不融化し、更に7
00℃以上で第1次の熱処理を行い、糸条の引っ張り強
度が0.20Pa以上の強度となるようにした上で、該
カゴから引き上げて巻き取った後、若しくは巻き取りつ
つ1500℃程度の温度で炭化して、炭素繊維を得る方
法が提案されている。(特公昭51−12740号)。
しかしながらこの方法では、糸を堆積せしめた場合に、
捩れ又は撚りがかかる傾向があり、父系の屈曲ができや
すいため、炭素繊維にした時に凹凸が著しく、外観の悪
い糸となる上、屈曲部の強度が著しく低下するために糸
切れが頻発し高品質の糸ができ難いという欠点があった
。かかる欠点は、糸を堆積せしめる場合の湾曲率を大き
くとっても本質的に改善することのできるものではなか
った。
(発明が解決しようとする問題点) 特開昭55−128020号明細書には、熔融紡糸後に
ゴデツトローラーで延伸した糸を、不融化用の熱風炉に
0.15m/分の糸速度で連続的に通し、続いて炭化炉
へも連続的に通して炭素繊維を得る方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法は均一に不融化ができて物
性のバラツキは小さく、且つ炭素繊維にした時に外観の
良いものが得られる一方、溶融紡糸したピッチ繊維をボ
ビンに巻き取った後、解舒(巻戻)しながら行う場合は
、ピッチ繊維が脆弱な上に、溶融紡糸のため1つの繊維
束中のフィラメント数が少なく、繊維束強度が低いこと
、紡糸中及び紡糸後の繊維間の食い込み、膠着等により
、解舒が困難で繊維束の切断がおこるという欠点があっ
た。
又、通炉中、繊維間の融着や膠着が起こる上、油剤の分
解により繊維束の集束が乱れ、繊維束の切断がおこり操
業が困難になるという欠点があった。又、繊維束のフィ
ラメント数が少なく処理速度が遅いので、時間当たりの
製品生産量が著しく小さいという欠点があった。
特開昭60−173121号、特開昭60−81320
号及び特開昭60−21911号明細書には、ボビン巻
のまま不融化して一定温度以下の非酸化性雰囲気で第1
次の熱処理(予備炭化)を行う方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法においてはボビン上のピッ
チ繊維の巻厚が厚くなると、不融化中又は予備炭化中の
通気性が不十分であるためフィラメント間の融着や膠着
が一層起こり易く、予備炭化後、ボビン上の糸巻の解舒
(巻戻)が困難になり巻戻しに際し、糸の毛羽が発生し
易く、炭素繊維又は黒鉛繊維にした時の商品価値を著し
く低下させるという欠点がある。
ボビン巻のまま不融化後、解舒(巻戻)する方法は、ボ
ビン巻のまま不融化、予備炭化する方法に比べて繊維間
及び繊維束間の膠着や融着の度合が著しく低い段階で解
舒できる点では、有利であるが、繊維の強度がまだピッ
チ繊維と同様に弱い上、不融化中、不融化繊維を集束し
ている油剤の分解劣化が著しいため、繊維束の集束が乱
れ、繊維束が極めて弱くボロボロになるので、不融化後
の解舒が極めて困難になるという欠点があった。
又、解舒の際、毛羽が発生し易くローラーにも巻きつき
易いという欠点もあった。
そこで、ピッチ繊維、不融化繊維のような脆弱な繊維の
段階で、ボビン巻しである繊維を、解舒の途中で繊維束
の切断、毛羽だちが少なく確実に全量解舒する方法、そ
して更に必要に応じて合糸し繊維束強度を高め操業安定
度を高めると共に、時間当たりの製品生産量を多くなる
ようにした上で、その後の焼成を行い、糸の外観が良く
、高強度、高弾性で糸の強度むらのない高品質のピッチ
系炭素繊維のロングフィラメントを安価に、しかも効率
良く製造する方法が切望されてきた。
又、予備炭化繊維においては、予備炭化しであるので繊
維束の強度はあるが、繊維間の膠着が著しく、又、不融
化、予備炭化中の繊維間の伸縮により相互の糸の食い込
みがおこっているこの予備炭化繊維を、繊維束の切断や
毛羽立ちなしに全量解舒し、その後の焼成処理を行って
、ロングフィラメントの炭素繊維を得る方法の開発が期
待されてきた。
従って本発明は、従来の技術の上記欠点を解決し、糸扱
いし易く高品質のピッチ系炭素繊維を製造する方法を提
供することを目的としている。
又本発明の別の目的は、外観が良く、高強度、高弾性率
の高品質ピッチ系ロングフィラメント炭素繊維を効率良
く製造する方法を提供することにある。
(問題を解決するための手段) 本発明のかかる諸口的は、炭素質ピッチを紡糸して得た
ピッチ繊維を不融化した後予備炭化し、次いで炭化又は
黒鉛化する炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法において、
ボビン上に巻いた炭素質ピッチ繊維、不融化繊維、又は
予備炭化繊維を、ボビンごと全部又はその一部を、浸漬
液に浸漬しながら、ボビン上の繊維束を解舒し、その後
焼成して、不融化、予備炭化、炭化、又は黒鉛化する工
程のうちの少なくとも1つの工程を有することを特徴と
する炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法によって達成され
た。
a)炭素質ピッチ 本発明に用いる炭素質ピッチは、特に限定されるもので
はなく、石炭を乾溜して得られるコールタールピッチ、
石炭液化物等の石炭系ピッチ、ナフサ分解タールピッチ
、接触分解タールピッチ、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣
等の石油系ピッチ、合成樹脂を分解して得られる合成ピ
ッチ等の各種のピッチ及びこれらのピッチを水素、水素
供与物で水素化したもの、熱処理、溶剤抽出等で改質し
たものも用いることができる。
本発明の炭素質ピッチは、等方性ピッチであっても光学
的異方性ピッチであっても良く、ネオメソフェース、ブ
リメソフェースと言われるピッチについても適用できる
が、特に、下記に述べる光学的異方性ピッチが好ましい
光学的異方性炭素質ピッチは、約95%以上の光学的異
方性相を含有し、且つ、軟化点が230〜320℃であ
るものが好ましい。
b)光学的異方性ピッチの製造方法 本発明で使用する光学的異方性ピッチはいかなる製法を
用いて製造してもよいが、ピッチ製造用の一般的原料で
ある重質炭化水素油、タール、市販ピッチ等を反応槽で
380℃〜500℃の温度にて攪拌し、不活性ガスで脱
気しながら十分に熱分解重縮合して、残渣ピッチの光学
的異方性相(以下APと略す)を高める従来の方法を使
用することができる。しかしながら、この方法によって
APが80%(偏光顕微鏡で測定)以上のものを製造し
た場合には、熱分解重縮合反応が進み過ぎ、キノリンネ
溶分が70i量%以上と大きくなり軟化点も330℃以
上となる場合もあるのみならず、光学的等方性相(以下
IPと略す)も微小球状の分散状態とはなりにくく必ず
しも好ましい方法とは言えない。
従って、本発明で使用する光学的異方性ピッチの好まし
い製造方法は、熱分解重縮合反応を半ばで打ち切ってそ
の重縮合物を350℃〜400℃の範囲の温度で保持し
て実質的に静置し、下層に密度の大きいAPを成長熟成
させつつ沈積し、これを上層の密度が小さくIPが多い
部分より分離して取り出す方法であり、この方法の詳細
は特開昭57−119984号明細書に記載されている
本発明で使用する光学的異方性ピッチの更に好ましい製
造方法は、特開昭58−180585号明細書に記載さ
れている如く、APを適度に含み、未だ過度に重質化さ
れていない炭素質ピッチを熔融状態のまま遠心分離操作
にかけ、迅速にAP部分を沈降せしめる方法である。こ
の方法によれば、AP相は合体成長しつつ下N(遠心力
方向の層)に集積しAPが約80%以上の連続層を成し
、その中に僅かにIPを晶状又は微小な球状体で分散し
ている形態のピッチが下層となり、一方上層はIPが大
部分で、その中にAPが微小な球状態で分散している形
態のピッチとなる。この場合、両層の境界が明瞭であり
、下層のみを上層から分離して取り出すことができ、容
易にAP含有率が大きく紡糸しやすい光学的異方性ピッ
チを製造することができる。この方法によれば、AP含
有率が95%以上で軟化点が230℃〜320℃の炭素
質ピッチを短時間に、経済的に得ることができる。
このような光学的異方性炭素質ピッチは、熔融紡糸加工
特性において優れ、その均質性と高い配向性のために、
それを紡糸して得られた炭素繊維及び黒鉛繊維の引張強
度並びに弾性率は極めて優れたものとなる。
C)繊維の製造 i)紡糸 前記のような、AP含有率が高くその軟化点の低いピッ
チは、公知の方法によって紡糸することができる。この
ような方法は、例えば、直径0゜1mm〜0.5mmの
紡糸口を1〜1,000ケ有する紡糸口金を下方に有す
る金属製紡糸容器にピッチを張り込み、不活性ガス雰囲
気下で280〜370℃の間の一定の温度にピッチを保
持し溶融状態に保って、不活性ガスの圧力を数百mmH
gに上昇せしめて口金から熔融ピッチを押し出し、温度
及び雰囲気を制御しつつ流下したピッチ繊維を、高速で
回転するボビンに巻き取るものである。
又、紡糸口金から紡糸したピッチ繊維を集束させて気流
で引取りつつ下方の集積ケースの中にケンス状に集積す
る方法を採用することもできる。
この場合、紡糸容器へのピッチの供給を、予め溶融した
ピッチやギアポンプ等により加圧供給することによって
連続的に紡糸することが可能である。
更に、上記方法において、口金の近傍で、一定の温度に
制御され高速で下降するガスを用いてピッチ繊維を延伸
しつつ引取り、下方のベルトコンベア上に長繊維を作る
方法も用いることができる。
更に、周壁に紡糸口金を有する円筒状の紡糸容器を高速
で回転させ、これに熔融ピッチを連続的に供給し、円筒
紡糸器の周壁より遠心力によってピッチを押し出し、回
転の作用によって延伸されるピッチ繊維を集積するよう
な紡糸方法を採用することもできる。
本発明は、いずれの紡糸方法をとったものであっても、
一度ボビンに巻き取ったものについては適用できる。
本発明においては、熔融紡糸したピッチ繊維はエアサッ
カーを通して集束しつつオイリングローラ−に導き集束
剤(油剤)を付けて更に集束する。
この場合の集束剤としては、例えば水、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール
、ブチルアルコール等のアルコール類又は粘度3〜30
0cst  (25℃)のジメチルシリコーン油、メチ
ルフェニルシリコーン油等を、低沸点のシリコーン油又
はパラフィン油等の溶剤で希釈したもの、又は乳化剤を
入れて水に分散させたもの:同様にグラファイト又はポ
リエチレングリコールやヒンダードエステル類を分散さ
せたもの;界面活性剤を水で希釈したもの;その他通雷
の繊維、例えばポリエステル繊維に使用される各種油剤
の内ピッチ繊維をおかさないものを使用することができ
る。集束剤の繊維への付着量は、通常0.01〜10重
量%であるが、特に、0.05〜5重量%であることが
好ましい。
ii )ピッチ繊維の不融化 本発明で使用する不融化繊維は、ピッチ繊維をボビン巻
のまま不融化したもの、或いは連続不融化炉に炭素質ピ
ッチ繊維の繊維束を連続的に線状で通して不融化したも
の、金網のカゴの中にケンス状に堆積せしめ不融化した
もの、或いはベルトコンベア上にピッチ繊維を落とし不
融化したもの等を一度ボビンに巻き取ったものであって
も差支えない。
紡糸したピッチ繊維を酸化して不融性炭素質繊維とする
工程は、温度、2酸化剤、反応時間について種々の組合
せを考える必要がある。本発明においては、基本的には
この不融化の条件として公知の方法を使用することがで
きるが、ピッチ糸を不融化するので、通常より低い温度
からスタートして酸化反応を行いピッチ繊維の融着を防
止する必要がある。不融化工程の温度は150℃〜40
0℃、好ましくは200℃〜300℃の範囲でステップ
状又は徐々に昇温しで、通常は1〜5時間処理する。処
理時間は不融化の反応が十分に均一に進むように1日〜
3日という長時間行うことも差支えない。
不融化は、空気、@素、空気と酸素又は窒素の混合ガス
等を使用して行うことができるが、酸素濃度を余り高(
することは糸巻内反応が急速に済み燃焼する恐れが生ず
るので好ましくない。
本発明においては、200℃以下の温度でハロゲン、N
O2、オゾン等の酸化剤を含んだ雰囲気中で単時間処理
するか、又は、酸素ガス雰囲気中でピッチの軟化点より
30〜50℃低い温度、即ち150〜240℃の温度で
十分な不融化が得られるまで昇温しで不融化を終了せし
める方法が好ましく、特に後者の方法は容易且つ確実で
より好ましい。
iii )熱処理工程 次にこの不融性となった炭素質ビ、、チ繊維を、化学的
に不活性なアルゴン又は窒素ガス等の雰囲気中で400
〜1000℃迄昇温してゆるやかに炭化することによっ
て予備炭化繊維が得られ、更に1000℃〜2000℃
の範囲の温度迄昇温して炭化することによって炭素繊維
が得られ、2000℃〜3000℃の範囲の温度迄昇温
しで黒鉛化処理まで進めて、所謂黒鉛繊維が得られる。
本発明においては、この炭化及び黒鉛化の方法の詳細に
ついて特に限定するものではなく、一般公知の方法を用
いることができる。
本発明で使用する予備炭化繊維を作る方法は、ボビン巻
のまま不融化後予備炭化したものであっても良く、或い
は、連続的に線状で連続不融化を通した後巻き取り、そ
の後ボビン巻で予備炭化したものであっても良い。又、
予備炭化の段階まで線状で連続的に焼成し、ボビンに巻
き取ったものであっても差支えない。
iv)ボビン巻繊維の解舒方法 (添付図参照)本発明
ではボビンへの巻取及びボビンからの解舒を円滑に行う
ため直径100〜500mmの円筒型ボビンを使用する
。ボビンにまいた状態から均一な解舒(巻戻)を行うた
めには、ボビン巻取時のトラバースは2〜100 mm
/ (ボビン1回転当たり)のような大きなトラバース
をかけて巻き取り、巻厚は1〜100mm好ましくは5
〜50mmとすることが有効である。トラバースは、繊
維束のボビンからの解舒(巻戻)性を考慮すれば5〜2
0mm/(ボビン1回転)程度が好ましい。
本発明においては、ボビン上に巻いである炭素質のピッ
チ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維の解舒を、ボビン
ごと水又は油剤中に浸漬しながら行う。この場合、ボビ
ンとボビン上の繊維を全部浸漬しながら行っても良く、
その一部を浸漬しながら行っても良い。
好ましい浸漬法の1つは、ボビン直径の1〜5倍の開口
部を持ち、深さ10〜200mmの正方形成いは長方形
の浸漬皿、浸漬浴中に、水又は油剤を張り込み、ボビン
とボビン上の繊維を、5〜200mm幅で液に連続的に
つける方法であるが、浸漬は間歇的であっても良い。
浸漬液である水又は油剤は、常時ゴミ等のない状態で行
うために精製後υ号イクリしたり、フレッシュな液を補
充することも行われる。
本発明では、ボビンとボビン上の繊維を水又は油剤に浸
漬しながら行うためにボビンは浸漬に耐えられるものを
使用する必要がある。このようなボビンとして、例えば
、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム及びその他の合金等
の金泥性ボビンの他、樹脂製又は炭素繊維強化複合樹脂
、アラミド繊維強化複合樹脂、ガラス繊維強化複合樹脂
等の複合材料を用いたボビンも使用される。使用する樹
脂は、耐熱性の観点から、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリサ
ルフォン、ポリエーテルケトンォン、ポリエーテルケト
ン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィ
ド等の芳香族ポリエーテル樹脂、全芳香族ボリアリレー
トのような芳香族ポリエステル系樹脂、弗素樹脂等が好
ましい。
上記の他、炭素/炭素複合材料、シリカアルミナ等のセ
ラミックボビンを使うことができる。又、ボビンの外側
の表面を炭素繊維と相溶性があり、熱処理に従って生ず
る繊維の収縮を吸収し、繊維が切断するのを防止するこ
とができるような材料(例えば炭素材料)で被覆するこ
とも好ましい。
ボビンの外表面全体を炭素フェルトのような弾性と通気
性を兼ね備えた材料で覆うこともできる。
本発明において巻取時に使用するボビンは、直径100
〜500mmの円筒形であることが好ましく、通液性を
良くするために金網とし、又は穴をあけたり焼結金属炉
材、シンタードグラス等の多孔性濾材で作製したりする
ことが好ましい。
通液性を良くするため、ボビンに穴をあけることも採用
される。孔は、均等に空間率が80%以下になるように
開けられる。空間率を80%以上とした場合には、ボビ
ンの強面が低下するので好ましくない。
本発明においては、5US304又は5US316の全
網製のボビンを使用することが好ましく、金網は2〜3
00メツシユ、好ましくは3〜60メソシユのものを使
用する。
本発明で使用する浸漬液としては、紡糸の集束剤として
用いたと同様なものを用いるができる。
例えば、水、エチルアルコール、イソブロビルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール等のア
ルコール類又は粘度3〜300cst (25℃)のジ
メチルシリコーン油、メチルフェニルシリコーン油等を
、シリコーン油又はパラフィン油等の溶剤で希釈したも
の、又は乳化剤を入れて水に分散させたちの;同様にグ
ラファイト又はポリエチレングリコールやヒンダードエ
ステル類を分散させたもの、界面活性剤を水で希釈した
ちの;その他通常の繊維、例えばポリエステル繊維に使
用される各種油剤の内、ピッチ繊維をおかさないものを
使用することができる。
本発明で使用する浸漬液として好ましいものは、繊維間
又は繊維束間の膠着の度合、繊維の伸縮等による繊維間
の食い込み方により異なる。
ボビン上にあるピッチ繊維を解舒する場合は、繊維間の
膠着の度合は少なく繊維間の食い込みの度合も少ないの
で、通常は水によって解舒する。
一方、繊維間、繊維京間の分繊が不十分な場合は、25
〜99℃までの温水で解舒する。
ボビン上の不融化繊維を解舒する場合は、ピッチ繊維の
不融化中、油剤の分解によって繊維間、繊維束間の膠着
の度合が高くなっており、不融化中の繊維の伸縮等によ
る食い込みも大きくなっているので、より分繊性が強く
浸透性の強い浸漬液を使用する。好ましくは0.01〜
10重量%濃度のアルコール類水溶液、界面活性剤水溶
液、水エマルジョン系油剤等が用いられる。
ボビン上の予備炭化繊維を解舒する場合は、ピッチ繊維
の不融化、予備炭化中、更に一層繊維間の膠着の度合、
繊維の伸縮等による繊維間の食い込みが強くなっている
ので、より分繊性の高い浸漬液を使用する。
好ましくは、ボビン上の予備炭化繊維を0.01〜10
重量%濃度の水エマルジョン系油剤とアルコール類を1
0/90〜90/10の割合で混合した液に浸漬しなが
ら解舒する。又は、ボビン上の予備炭化繊維を、粘度1
0〜1000cst(25℃)のシリコーン油を沸点1
60℃以下のシリコーン油、アルコール類で希釈して、
0.01〜50重量%濃度とした液に浸漬しながら解舒
しても、予備炭化繊維を強アルカリ水溶液に浸漬しなが
ら解舒して良い。
尚、ピッチ繊維の膠着が酷く解舒困難な場合は、上で述
べた不融化繊維用の解舒液を用いて行い、不融化繊維が
解舒困難な時は、上で述べた予備炭化繊維用の解舒液を
用いることが好ましい。
本発明においては、複数のボビンから同時に繊維束を解
舒しながら、1つの繊維束に合糸することも採用される
解舒は、1フィラメント当たりo、ooi〜0゜5gの
張力をかけ、ボビンを回転させながら解舒することが好
ましく、又、解舒速度は1〜100m/分、好ましくは
5〜50m/分である。解舒速度をあまり大きくすると
毛羽立ちが多くなるので好ましくない。
(発明の効果) 本発明によれば、ボビン上に巻いである炭素質ピッチ繊
維、不融化繊維、予備炭化繊維をボビンごと、その全部
又は一部を水又は油剤等の浸漬液に浸漬しながらボビン
上の繊維束を解舒するので、繊維間、繊維束間の膠着を
なくすることができるのみならず、繊維間の食い込み等
も浸漬することによって開繊しながら行うことができる
ので、解舒の途中で繊維束の切断がなく、毛羽立ちの少
ないロングフィラメントを効率良く得ることができる。
又、解舒時に合糸してフィラメント数を増やすことがで
きるので、焼成工程での繊維束の切断がなく操業の安定
性を高めることができるのみならず、合糸によって時間
当たりの生産性を大きくすることができる。特に、光学
的異方性の炭素質ピッチを用いた場合には高強度、高弾
性率の炭素繊維、黒鉛繊維を得ることができる。
更に、ピッチ繊維、不融化繊維及び予備炭化繊維の何れ
に対しても効率の良い解舒ができるので、諸条件を勘案
した上で、最も効率的な製造プロセスを選択することも
、又、最も物性を重視したプロセスを選択することもで
きる。
以上のように、本発明によれば、生産上の効率を高めて
、効率良く高強度、高弾性率の炭素繊維、黒鉛繊維を得
ることができる。
(実施例) 以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明
はこれによって限定されるものではない。
実施例1゜ 光学的異方性を約55%含有し、軟化点が232°Cで
ある炭素質ピッチを前駆体ピッチとして使用した。この
前駆体ピッチを、370℃で円筒型遠心分離装置で分離
して光学的異方性相の多いピッチを得た。得られた光学
的異方性ピッチは、光学的異方性相を98%含み、軟化
点は265℃であった。
得られた光学的異方性ピッチを500穴の紡糸口金を有
する紡糸機に通し、355℃で200mmHgの窒素ガ
ス圧で押し出して紡糸した。
紡糸したピッチ繊維は、ノズル下部に設けた高速で回転
する直径210mm、幅200mmのステンレス網製の
金網ボビンに巻き取り、約500m/分の巻き取り速度
で5分間紡糸した。ボビン1回転当たりのトラバースの
ピッチは10mm/1回転であった。紡糸の間の糸切れ
はなかった。
この際紡糸した糸はエアーサッカーで略集束してオイリ
ングローラ−に導き、糸に対して約0.5重量%の割合
で集束用油剤を供給した。油剤としては、25℃におけ
る粘度が14cstのジメチルシリコーン油を使用した
このボビン巻したピッチ繊維を、25℃の水を入れた深
さ50mmの浸漬型に浸漬し、ボビンの下部が水中につ
かるようにした。張力をフィラメント当たり0.05g
かけ、ボビンを回転させながら30m/分の速度で解舒
した。
解舒の途中、繊維束の断糸も毛羽立ちもなく、2500
m全量が解舒された。
このピッチ繊維を公知の方法で不融化し1500℃で炭
化を行った。得られた炭素繊維の糸径は9.9μmであ
り、引っ張り強度は2.6GPa、引っ張弾性率は25
0GPaであった。又、この炭素繊維を、不活性ガス中
、公知の方法で2500℃まで昇温しで得た黒鉛繊維は
、糸径9.8μm、引っ張り強度は2.6GPa、引っ
張り弾性率は700GPaあった。
比較例1゜ 解舒時に浸漬液を使わなかった以外は、実施例1と同様
に処理した。この場合約110m解舒した時点で、繊維
束が次第に細くなり切断した。糸の頭出しは出来ず、そ
の後の解舒はできなかった。
実施例2゜ 実施例1と同様にして、ボビン巻したピッチ繊維を得た
このピッチ繊維を公知の方法により空気雰囲気でボビン
巻のまま不融化した。
このボビン巻した不融化繊維を、25℃で14cstの
ジメチルシリコーン油を非イオン界面活性剤で乳化した
水エマルジョン系油剤に浸漬しながら解舒した。水エマ
ルジョン系油剤の濃度は0゜5重量%であった。
解舒の途中で繊維束の切断も毛羽立ちもなく、2500
mの全量を解舒することができた。
この不融化繊維を公知の方法で炭化した。炭化温度は、
1500℃あった。得られた炭素繊維の糸径は9.9μ
mであり、引っ張り強度は2.4GPa、引っ張り弾性
率は255GPaであった。
公知の方法で2500℃まで昇温しで得た黒鉛化繊維の
糸径は9.8μm、引っ張り強度は2.4GPa、引っ
張り弾性率は710GPaであった。
比較例2゜ 解舒時に浸漬液を使わなかった以外は、実施例2と同様
に行った。この場合、約5m解舒した時点で繊維束が切
れて、その後の解舒ができなかった。
実施例3゜ 実施例2と同様に処理し、ボビン巻した不融化繊維を得
た。
この不融化繊維を公知の方法でボビン巻したまま予備炭
化を行った。予備炭化温度は、600°Cであった。こ
のボビン巻した予備炭化繊維を、実施例2で使用した水
エマルジョン系油剤を、イソプロピルアルコールで50
150(体積比)に希釈して、それを浸漬液として解舒
した。
解舒の途中、繊維束の切断はなく、毛羽立ちも比較的少
なく、2500m全量が解舒できた。
この予備炭化繊維を公知の方法で1500℃まで昇温し
炭素繊維を得た。その時の糸径は9.9μm、引っ張り
強度は2.3GPa、その引っ張り弾性率は250GP
aであった。
比較例3゜ 解舒時に浸漬を使わなかった以外は、実施例3と同じに
行った。この場合約100m解舒できたが、そこで繊維
束が切断した。解舒した繊維は毛羽立ちの酷いものであ
った。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)炭素質ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を不融化し
    た後予備炭化し、次いで炭化又は黒鉛化する炭素繊維及
    び黒鉛繊維の製造方法において、ボビン上に巻いた炭素
    質ピッチ繊維、不融化繊維、又は予備炭化繊維を、ボビ
    ンごと全部又はその一部を、浸漬液に浸漬しながらボビ
    ン上の繊維束を解舒し、その後焼成して、不融化、予備
    炭化、炭化、又は黒鉛化する工程のうちの少なくとも1
    つの工程を有することを特徴とする炭素繊維及び黒鉛繊
    維の製造方法。 2)浸漬を、ボビン上の繊維を浸漬皿又は浸漬浴中の浸
    漬液に接触又はボビンごと全部若しくはその一部を埋没
    せしめて行う特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維及び
    黒鉛繊維の製造方法。 3)浸漬が間歇的になされる特許請求の範囲第1項記載
    の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 4)炭素質ピッチ繊維に対する浸漬液として、水又は温
    水を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 5)不融化繊維に対する浸漬液として、0.01〜10
    重量%濃度の、アルコール類水溶液、界面活性剤水溶液
    、水エマルジョン系油剤の何れか又は2種以上の混合溶
    液を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 6)予備炭化繊維に対する浸漬液として、0.01〜1
    0重量%濃度の、水エマルジョン系油剤とアルコール類
    を混合した浸漬液を使用することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 7)予備炭化繊維に対する浸漬液として、10〜100
    0cst(25℃)の粘度のシリコーン油を沸点160
    ℃以下のシリコーン油及び/又はアルコール類で希釈し
    た、0.01〜50重量%濃度の液を使用することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維及び黒鉛
    繊維の製造方法。 8)予備炭化繊維に対する浸漬液として、強アルカリ水
    溶液を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 9)ボビン上の繊維束の解舒が複数のボビンから同時に
    なされると同時に、解舒された繊維束が1つの繊維束に
    合糸された後、引き続く焼成が行われることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の
    製造方法。 10)解舒が、1フィラメント当たり、0.001〜0
    .5gの張力の下になされることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 11)ピッチ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維を巻い
    たボビンが、直径100〜500mmの円筒型ボビンで
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の炭素
    繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 12)ピッチ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維を巻い
    たボビンの空間率が、80%以下になるように小孔を全
    面にあけた金属製穴あきボビン、又は金網ボビンである
    ことを特徴とする特許請求の範囲第11項記載の炭素繊
    維及び黒鉛繊維の製造方法。 13)ピッチ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維を巻き
    取るボビンの材料が焼結金属材料であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第11項記載の炭素繊維及び黒鉛繊維
    の製造方法。 14)ピッチ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維を巻い
    たボビンが、樹脂、炭素繊維強化複合樹脂、アラミド繊
    維強化複合樹脂、又はガラス繊維強化複合樹脂からなる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第11項記載の炭素繊
    維及び黒鉛繊維の製造方法。 15)ピッチ繊維、不融化繊維又は予備炭化繊維をボビ
    ンに巻く場合のトラバースを、5〜100mm/(ボビ
    ン回転)とすることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 16)炭素質ピッチ繊維の原料ピッチが、約95%以上
    の光学的異方性相を含有する光学的異方性ピッチであり
    、且つ軟化点が約230〜320℃であることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の炭素繊維及び黒鉛繊維
    の製造方法。
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