JPH01156513A - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造方法

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JPH01156513A
JPH01156513A JP31323987A JP31323987A JPH01156513A JP H01156513 A JPH01156513 A JP H01156513A JP 31323987 A JP31323987 A JP 31323987A JP 31323987 A JP31323987 A JP 31323987A JP H01156513 A JPH01156513 A JP H01156513A
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fiber
fibers
pitch
infusible
oxygen concentration
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JP31323987A
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Eiji Kamata
鎌田 栄司
Takashi Hino
日野 隆
Kaoru Hirokawa
広川 薫
Hiroyuki Kuroda
博之 黒田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Toa Nenryo Kogyyo KK
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、炭素質ピッチから炭素繊維及び黒鉛繊維を製
造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は炭素質ピ
ッチを紡糸し、不融化、炭化、黒鉛化を行い、ロングフ
ィラメント炭素繊維(本明細書にて炭素繊維とは、特に
明記しない限り炭素繊維のみならず黒鉛繊維をも包含す
る。)を得るためのピッチ系炭素繊維の製造方法に関す
る。
(従来の技術) 従来、自動車、航空機その他の各種産業分野にかかる広
範な技術分野において、軽量、高強度、高弾性率等の性
質を有する高性能素材の開発が要望されており、かかる
観点から炭素繊維或いは成型炭素“材料が注目されてい
る。特に、炭素質ピッチから炭素繊維を製造する方法は
、安価で高性能の炭素繊維を製造し得る方法と、して重
要視されている。
このピッチ系炭素繊維の製造工程は一般にピッチの調整
工程、溶融紡糸工程に続いて、得られたピッチ繊維を酸
化性雰囲気中で200〜350℃まで加熱して不融化す
る工程、及び、不融化した繊維をさらに高温で加熱して
600−1000℃で予備炭化し、1000〜2000
℃で炭化ないし2000〜3000℃で黒鉛化し炭素繊
維とする焼成処理工程から成っている。このうち不融化
処理工程はピッチ系炭素繊維の工業的生産性および繊維
物性を左右するきわめて重要な工程であるため、これま
で幾つかの提案がなされている。
例えば、特開昭49−19127号公報には、ピッチ繊
維を約1時間にわたり343℃に加熱し、この温度に約
6分間保持する例が示されており、また、特開昭58−
18421号公報には、ピッチ繊維を1℃/分の昇温速
度で260℃または300’Cに加熱しこの温度に15
〜30分間保持する例が示されている。このような長時
間の不融化処理は生産性の低下、生産コストの上昇を招
き、また不融化処理の最高温度が低く不融化繊維が脆弱
なため取扱い性が悪い。
処理時間を短縮すべく、処理時の昇温速度を大きくする
ことが考えられるが、単に昇温速度を大きくすると短繊
維間の融着が生じる結果となる。
また、不融化処理の条件は、焼成後の炭素il!維の物
性にも大きな影響を与える。例えば不融化が不十分であ
ると焼成段階で繊維が溶融するか、もしくは焼成に長時
間を要し、かつ得られる炭素繊維の物性も悪くなる。一
方、不融化処理をやり過ぎると繊維表面が酸化劣化して
焼成後の炭素繊維に表面欠陥の生ずる原因となり、該繊
維の物性が低下するという問題を生じる。
また、良好な炭素繊維をるために不融化の進行の程度を
表わす指標として酸素含有量あるいは酸素含有量、II
/C並びキノリンネ溶分を要件とする提案もなされてい
るが、一般性に乏しく、またこれから得られる炭素繊維
製品の強度や弾性率には若干の改善がみられるものの必
ずしも満足すべきものではなかった。
〔目  的〕
本発明は、不融化処理時間を短縮することができるとと
もに、糸扱い性の良好な不融化繊維を得ることができ、
しかも焼成処理後の繊維の品質、強度、弾性率及び伸度
に優れたピッチ系炭素繊維の製造方法を提供することを
目的とする。
〔楕  成〕
本発明によれば、溶融紡糸した炭素質ピッチ繊維を不融
化し、ついで焼成処理してピッチ系炭素繊維を製造する
方法において、ピッチ繊維を酸化性雰囲気中において不
融化し、繊維の表層部の酸素濃度が繊維中心部の酸素濃
度に対比して1.2〜10倍の範囲内にあり、かつX線
電子分光法(ESCA)によって検出される繊維表面の
原子比(O/C)がO,OS〜0.25の範囲内にある
不融化繊維を得、ついで該繊維を炭化ないしは黒鉛化す
ることを特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法が提供
される。
本発明者らは、不融化処理時間を短縮するとともに不融
化繊維間の融着や膠着を防止し、しかも機械的強度や弾
性に優れたピッチ系炭素繊維の製造方法を鋭意検討した
結果、不融化工程において溶融紡糸した炭素質ピッチを
酸性雰囲気下で不融化し、繊維の表層部のrf1素濃度
が繊維中心部の酸素濃度に対して1.2〜10倍の範囲
内にあり、かつX線電子分光法(ESCA)によって検
出される繊維表面の原子比(O/C)が0.05〜0.
25の範囲内に不融化繊維を製造し、ついでこの不融化
繊維を焼成処理する方法が上記目的に合致することを見
出し本発明を完成するに到った。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(1)炭素質ピッチ 本発明に用いる炭素質ピッチは、特に限定されるもので
はなく、石炭を乾溜して得られるコールタールピッチ、
石炭液化物等の石炭系ピッチ、ナフサ分解タールピッチ
、接触分解)−ルピッチ、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣
等の石油系ピッチ、合成樹脂を分解して得られる合成ピ
ッチ等各種のピッチ、これらのピッチを、水素、水素供
与物で水素化したもの、熱処理、溶剤抽出等で改質した
ものあるいはこれらの混合ピッチも用いることができる
。これらの炭素質ピッチは、等方性ピッチであっても光
学的異方性ピッチであっても良く。
ネオメソフェース、ブリメソフェースとWJIれるピッ
チについても適用できる。
本発明で用いる1例としては光学的異方性炭素質ピッチ
が拳げられるが、以下に偏光顕′x1鏡で測定して約9
部以上の光学的異方性相を含有し、且つ軟化点が230
〜320℃である光学的異方性炭素質ピッチのケースに
っして説明する。
i)光学的異方性ピッチの製造方法 本発明で好適に使用される光学的異方性ピッチはいかな
る製法を用いて製造してもよいが、ピッチ製造用の一般
的原料である重質炭化水素油、タール、市販ピッチ等を
反応槽で380℃〜500℃の温度で撹拌し、不活性ガ
スで脱気しながら十分に熱分解重縮合させて、残渣ピッ
チの光学的異方性相(以下APと略す)を高める従来の
方法を使用することができる。しかしながら、この方法
によってAPが80%以上のものを製造した場合には、
熱分解重縮合反応が進み過ぎ、キノリンネ溶分が70重
足%以上と大きくなり軟化点も330℃以上となる場合
もあり、また、光学的等方性相(以下IPと略す)も微
小球状の分散状態とはなりにくいので、必ずしも好まし
い方法とは言えない。
従って、光学的異方性ピッチの好ましい製造方法は、熱
分解重縮合反応を半ばで打ち切ってその重縮合物を35
0℃〜400℃の範囲の温度で保持して実質的に静置し
、下層に密度の大きいAPを成長熟成させつつ沈積し、
これを上層の密度の小さいIPが多い部分より分離して
取り出す方法である。この方法の詳細は特開昭57−1
19984号明細書に記載されている。
光学的異方性ピッチの更に好ましい製造方法は、特開昭
58−180585号明細書に記載されている如く、A
Pを適度に含み未だ過度に重質化さ゛れていない炭素質
ピッチを溶融状態のまま遠心分離操作にかけ、迅速にA
P部分を沈降せしめる方法である。この方法によれば、
AP相は合体成長しつつ下層(遠心力方向の層)に集積
し、APが約80%以上で連続層を成し、その中に僅か
にIPを晶状又は微小な球状体で分散している形態のピ
ッチが下層となり、一方上層はIPが大部分で、その中
にAPが微小な線状態で分散している形態のピッチとな
る。この場合、両層の境界が明瞭であり、下層のみを上
層から分離して取り出すことができ、容易にAP含有率
が大きく紡糸しやすい光学的異方性ピッチを製造するこ
とができる。この方法によれば、AP含有率が95%以
上で軟化点が230℃−320℃の炭素質ピッチを短時
間に、経済的に得ることができる。このような光学的異
方性炭素質ピッチは、′溶融紡糸加工特性において優れ
、その均質性と高い配向性のために。
それを紡糸して得られた炭素繊維及び黒鉛繊維の引っ張
り強度並びに弾性率は極めて優れたものとなる。
(2)繊維の製造 i)紡糸 前記のような、AP含有率が高くその軟化点の低いピッ
チは、公知の方法によって紡糸することができる。この
ような方法は1例えば、直径0.1m+o〜0.511
+1の紡糸口を1〜2,000ケ有する紡糸口金を下方
に有する金属製紡糸容器にピッチを張り込み、不活性ガ
ス雰囲気で280〜370℃の間の一定の温度にピッチ
を保持し、溶融状態に保って不活性ガスの圧力を数百m
mHHに上昇せしめて口金から溶融ピッチを押し出し、
温度及び雰囲気を制御しつつ流下したピッチ繊維を、高
速で回転するボビンに巻き取るものである。
又、紡糸口金から紡糸したピッチ繊維を集束させて気流
で引取りつつ下方の集積ケースの中にケンス状に集積す
る方法を採用することもできる。
この場合、紡糸容器へのピッチの供給を、予め溶融した
ピッチやギアポンプ等により加圧供給することによって
連続的に紡糸することが可能である。
更に、上記方法において1口金の近傍で、一定の温度に
制御され高速で下降するガスを用いてピッチ繊維を延伸
しつつ引取り、下方のベルトコンベア上に長繊維を作る
方法も用いることができる。
更に、周壁に紡糸口金を有する円筒状の紡糸容器を高速
で回転させ、これに溶融ピッチを連続的に供給し、円筒
紡糸器の周壁より遠心力によってピッチを押し出し、回
転の作用によって延伸されるピッチ繊維を集積するよう
な紡糸方法を採用することもできる。
■)ピッチ繊維の不融化 県東されたピッチ繊維は、繊維の表層部の酸素濃度が繊
維中心部の酸素濃度に対して1.2〜10倍の範囲内に
あり、かつX線電子分光法(ESCA)によって検出さ
れる繊維表面の原子比(O/C)が0.05〜0.25
の範囲にある不融化繊維となるように不融化させる。
この不融化繊維の第1の特徴は繊維の表層部の酸素濃度
が繊維の中心部の酸素濃度に対して1.2〜10倍、好
ましくは1.5〜3,0倍範囲内にあることである。
本発明で規定する酸素濃度は、EPMAによって観測さ
れる不融化繊維の表面から中心方向における不融化繊維
の酸化度を示す尺度を意味する。
このEPMAによる具体的な酸素濃度の測定は以下のよ
うにして行う、装置しては、島津製作所製EPM810
を使用して行った。
即ち、不融化繊維をポリプロピレン樹脂に包埋し、これ
を輪切りにすることによって不融化繊維の断面が露出し
たサンプルピースを作成する。つぎにこのサンプルピー
スをEPMAに供して、1μI1幅のステップで電子線
をスキャンして酸素原子に帰因する波長(23,707
人)のX線強度を積算(5秒間)し、その強度分布を酸
素濃度分布とした。
本発明者らは、不融化繊維の表面層の酸素濃度は次工程
である予備炭化工程において単繊維間に融着が生じない
程度の範囲の濃度に規定し、一方その中心部の酸素濃度
は予備炭化工程において内部の繊維が溶融しないかある
いは溶融してもその変形度が最少となるような範囲の濃
度に規定すれば、強度や弾性率等の諸特性に優れた高性
能の炭素繊維が得られることを知見した。゛ そして、更にこの点に関する研究を進めたところ、繊維
中心部のrtalAs度に対して1.2〜10倍、好ま
しくは1.5〜3.0倍の酸素濃度をその表面層に有す
る不融化繊維は不融化工程において、繊維間の融着や膠
着を生じることがなく、しかもこのものから得られる炭
素繊維は強度に優れるとともに良好な弾性率を示すこと
が知見された。
不融化繊維の表層部の酸素濃度が繊維の中心部の酸素濃
度の1.2倍未満であると、高強度・高弾性率を有する
炭素繊維が得られない。また、表層部の酸素濃度が中心
部の10倍を越えるものは、その製造に苛酷な条件を要
するとともに優れた性能を有する炭素繊維が得られない
更に、本発明に係る不融化繊維の第2の特徴はX線電子
分光法(ESCA)によって検出される原子比(O/C
)が0.05−0.25の範囲にある繊維最表面を有す
る点にある0本発明でいう繊維最表面は、繊維表面から
繊維中心に向って約0.01μm以下の超薄層を意味す
る。
このX線光電子分光法による原子比(O/C)の具体的
な測定は以下のようにして行う。
〔X線光電子分光法(ESCA)) 具体的な装置として、クラトス製のXSAM−800を
使用した。
不融化繊維をカットし、金製の試料支持台上に拡げて並
べた後、X線源としてMgKα1.2を用い、試料チャ
ンバー中を1*101E(−8)Torr以下に保つ。
そして運動エネルギーが722gVのO工Sピーク面積
および970eVのC1sピ一ク面積の比から表面酸素
原子/表面炭素原子比(O/C)の比を求める。
不融化繊維の最表面層のO/Cが0.05未満であると
表層の不融化が不十分であるので、予備炭化工程でピッ
チ繊維が融着して繊維がボロボロになり繊維束が切断す
るので炭素繊維の製造が困難となり、また0、25を越
えると不融化が進みすぎ、炭素繊維にした時に、引張強
度、引張弾性率などの炭素繊維の物性が著しく低下する
ことになるので、本発明の目的を達成することができな
い。
この不融化繊維は、従来公知の方法で得られる溶融紡糸
したピッチ繊維を不融イ1炉内で繊維の表層部の酸素濃
度が繊維中心部の酸素濃度に対して1.2〜10倍の範
頭内にあり、かつX線電子分光法(ESCA)によって
検出される表面酸素原子/表面炭素原子比(O/C)の
濃度比が0.05〜0.25の範色内の繊維最表面を有
するような条件下で不融化させることに製造される。
したがって、上記目的に沿うように本発明における不融
化工程においては、できる限り高温で短時間の条件を採
る必要がある。処理温度は通常は300〜400℃、好
ましくは250−:150℃の範囲であり、処理時間は
ピッチによっても異なるが通常10分〜2時間、好まし
くは15分〜1時間である。
不融化は、空気、酸素、空気と酸素又は空気と窒素の混
合ガス等を使用して行うことができる。
実用上、好ましい方法としては、300〜330℃富酸
素ガス雰囲気に線状で通して不融化を行う。不融化後の
繊維半径方向の酸素濃度分布は、不融化雰囲気の酸素濃
度により変化するので、不融化雰囲気を富酸素ガスとす
ることで繊維表面の不融化の進展を特に早めることがで
きる。従って空気雰囲気の場合に比べて、高温短時間で
、繊維の融着を防ぎつつ不融化することができる。
本発明における富酸素ガスとは、酸素ガス又は酸素濃度
30%以上の酸素と不活性ガス(希ガス、窒素、炭酸ガ
ス等)との混合ガスを意味する。
繊維表面の不融化の進展を更に早めることができて、不
融化条件の選択の幅も広がるので上記のガスにハロゲン
、オゾン、 NO,、N’O,(NOx)、so□、5
O3(SOx)等の酸化剤を加えて行う方法も好ましい
方法として使用することができる。
不融化を行う場合、雰囲気と同じ種類のフレッシュなガ
スを毎分0.1〜3回の割合で流通置換して、古いガス
を排出することが好ましい。
不融化処理時の雰囲気はファンによって強制的に撹拌す
ることが好ましく、その風速は0.1〜10m/秒、好
ましくは0.5−5m/秒である。このような強制撹拌
は繊維束内へのガスの浸透を推進し、不融化炉内の温度
分布をなくして焼成を均一にする効果がある。
本発明の不融化繊維を得るに際しては、張力をかけずに
行うこともできるが、不融化炉内で繊維束(糸条)がた
るんで炉底や炉壁をこするために発生する引きずり傷の
防止、或いは外観が良く且つ引張強度、引張弾性率等の
炭素繊維物性の向上のために1フィラメント当り0.0
01〜0.2gの張力をかけながら、行うことが好まし
い。
■)熱処理工程 ついで、得られた不融性炭素質ピッチ繊維を、化学的に
不活性なアルゴンガス又は窒素ガス等の雰囲気中で60
0〜1000℃の温度に昇温しで予備炭化し、更に、t
ooo〜2000℃の範囲の温度迄昇温しで炭化するこ
とによって炭素繊維が得られる。また2000〜300
0℃の範囲内の温度迄昇温しで、黒鉛化処理迄進めて、
黒鉛繊維が得られる。
本発明においては、この炭化及び黒鉛化の方法の詳細に
ついて、特に限定するものではなく、−般公知の方法を
用いることができる。
(発明の効果) 本発明のピッチ系炭素繊維の製造方法は、前記のように
特定の不融化工程を採用したことから、ピッチ系炭素繊
維の製造工程において、不融化処理を短縮することがで
きるとともに不融化繊維を安定に取扱うことができ、か
つ不融化繊維間の融着や膠着を防止して炉内断糸を抑制
し、しかも焼成処理後の繊維の品質、強度、弾性率及び
伸度に優れたピッチ系炭素繊維を得ることができる。特
に、炭素質ピッチとして光学的異方性炭素質ピッチを用
いた場合には、極めて高強度、高弾性率で性状が良好な
外観の良い、連続フィラメント状の炭素繊維、黒鉛繊維
を製造することができる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 光学的異方性を約55%含有し、軟化点が232℃であ
る炭素質ピッチを前駆体として使用した。この前駆体ピ
ッチは、キノリンネ溶分を16.1重fit%、灰分0
.26重景気を含有しており、370℃における粘度は
2.8ボイスを示した。このピッチを内容積20Qの溶
融タンク中で溶融し、370℃゛に制御して。
ローター内有効容積200ta Q /分の円筒型連続
遠心分離装置へ20m Q /分の流量で送り、ロータ
ー温度を370℃に制御しつつ、遠心力30,0OOG
でAP排出口より光学的異方性相の多いピッチ(Aピッ
チ)、IP排出口より光学的等方性の多いピッチ(Iピ
ッチ)を連続して抜き出した。
得られた光学的異方性ピッチは、光学的異方性相を9部
含み、軟化点は265℃、キノリンネ溶分は29.5%
であった。
得られた光学的異方性ピッチを溶融紡糸機(ノズル孔径
:直径0.3mmm)に通し、355℃で200mm1
gの窒素ガス圧で押し出して紡糸した。
紡糸したピッチ繊維は、ノズル下部に設けた高速で回転
する直径210mm、幅2001のボビンに巻き取り、
約500m/分の巻き取った。
このようにして得たピッチ繊維を富酸素ガス雰囲気(酸
素/窒素=40/60)を用いて、180℃から280
℃まで4℃/分で昇温し、280℃で5分間保持して不
融化した。こうして得た不融化したピッチ繊維中の酸素
含有量は、7.5tit%であった。
この不融化繊維の表面のO/Cの原子比をX線分光法(
[ESCA)によって求めたところ0.10であった。
また、EPMAによって求めた不融化繊維の表層部の酸
素濃度/中心部の酸素濃度の比は2.0であった。
得られた不融化繊維を、不活性ガス中で1500℃で焼
成し、炭素繊維を得、更にこの炭素繊維を2500℃ま
で焼成して黒鉛繊維を得た。その時の性状を表1に示す
炭素繊維及び黒鉛繊維の引張強度、引張弾性率は、本実
施例1と実施例3のケースが最も高い値を示すことがわ
かる。
実施例2 180℃から280℃まで、8℃/分で昇温し、280
℃で7分保持して、不融化した以外は実施例1と同様に
処理した。その時の不融化繊維の酸素含有量は。
7.5%+1%であった。
この不融化繊維のESCAによるO/Cの原子比は、0
.11であり、EPMAによる表層部l中心部のm素濃
度比は5.0であった。
この繊維を、実施例1と同じ方法で、焼成し、炭素繊維
及び黒鉛繊維を得た。その性状を表1に示す・ この炭素繊維はやや融着ぎみであったが、引張強度及び
引張弾性率も相対的に高いものであった。
実施例3 180℃から230℃まで47分で昇温し、230℃で
150分間保持して、不融化した以外は実施例1と同様
に処理した。この時の不融化繊維の酸素含有量は、7.
6wt%であった。
この不融化繊維の表面のESCAによるO/Cの原子比
は0.11でありEPMAによる表/(5部/中心部の
酸素濃度比は1.3であった。
この不融化繊維を実施例1と同じ方法で焼成して得た、
炭素繊維、黒鉛繊維の性状を表1に示す。
実施例4 酸素100%雰囲気を使用し、180℃から280℃ま
で4℃/分で昇温し、280℃で保持することなしに不
融化した以外は実施例1と同様に処理した。この蒔の不
融化繊維の酸素含有量は7.5wt%であった。
この不融化繊維の表面のESCAによるO/Cの原子比
は0.11であり、EPMAによる表層部/中心部の酸
素濃度比は2.1であった。
この不融化繊維を実施例1と同様に焼成して得た炭素繊
維、黒鉛繊維の性状を表1に示す、引張強度、引張弾性
率は実施例1とほぼ同じであることがわかる。
実施例5 酸素雰囲気を使用し、180℃から280℃まで4℃/
分で昇温し、不融化した(保持時間なし)以外は実施例
1と同様に処理した。
この不融化繊維の表面のESCAによる0/Cの原子比
では0.20であり、EPMAによる表層部/中心部の
酸素濃度比は2.0であった。この不融化繊維を炭化焼
成して得た炭素繊維の性状を表1に示す、不融化が若干
進みすぎているぶん、繊維の引張弾性率及び引張強度は
やや低下するものの満足すべきものであった。
比較例1 空気雰囲気を用いて180℃から230℃まで4℃/分
で昇温し、230℃で200分間保持しそ不融化した以
外は、実施例1と同様に処理した。この時の不融化繊維
の酸素含有量は7,6wt%であった。
この不融化繊維の表面のESCAによるO/Cの〃X子
子片0.12であり、EPMAによる表層部/中心部の
酸素濃度比は1.1であった。
この不融化繊維を実施例1と同じ方法で焼成して得た炭
素繊維及び黒鉛繊維の性状を表1に示す。
炭素繊維、黒鉛繊維の引張強度、引張弾性率は実施例3
より更に低いものであることがわかる。
比較例2 酸素100x雰囲気を用いて180℃から300℃まで
、15℃/分で昇温しで(保持時間なし)不融化した以
外は、実施例1と同様に処理した。
この不融化繊維表面のESCAによる0/Cの原子比は
0.20であり、 EPMAによる表層部/中心部の酸
素濃度比は12.0であった。
比較例3 酸素100%雰囲気を用いて、180℃から320℃ま
でlO℃/分で昇温しで、不融化した(保持時間なし)
以外は、実施例1と同様に処理した。 ESCAによる
0/Cの原子比は、0.35であり、EPMAによる表
層部/中心部の酸素濃度比は、8.0であった。繊維の
表層部と中心部の酸素濃度差は大きかったが、全体とし
て不融化が進みすぎて炭化焼成後の繊維の物性値は低い
値となった。
比較例4゜ 酸素100%雰囲気を用いて、180℃から230℃ま
で、15℃/分で不融化した(保持時間なし)した以外
は。
実施例1と同様に処理した。 ESCAによる表面のO
/Cの原子比は0.03であり、EPMAによる表層部
/中心部の酸素濃度比は1.5であった。この不融化繊
維は、不融化が不十分のため予備炭化中、不融化繊維は
溶融し断糸した。
表1 特許出願人 東亜燃料工業株式会社

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)溶融紡糸した炭素質ピッチ繊維を不融化し、つい
    で焼成処理してピッチ系炭素繊維を製造する方法におい
    て、ピッチ繊維を酸化性雰囲気中において不融化し、繊
    維の表層部の酸素濃度が繊維中心部の酸素濃度に対比し
    て1.2〜10倍の範囲内にあり、かつX線電子分光法
    (ESCA)によって検出される繊維表面の原子比(O
    /C)が0.05〜0.25の範囲内にある不融化繊維
    を得、ついで該繊維を炭化ないしは黒鉛化することを特
    徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03146720A (ja) * 1989-10-30 1991-06-21 Tonen Corp 高伸度、高強度ピッチ系炭素繊維の製造方法
JPH03146718A (ja) * 1989-10-30 1991-06-21 Tonen Corp 高伸度、高強度ピッチ系炭素繊維

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JPH03146720A (ja) * 1989-10-30 1991-06-21 Tonen Corp 高伸度、高強度ピッチ系炭素繊維の製造方法
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