JPH026619A - 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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JPH026619A
JPH026619A JP15385788A JP15385788A JPH026619A JP H026619 A JPH026619 A JP H026619A JP 15385788 A JP15385788 A JP 15385788A JP 15385788 A JP15385788 A JP 15385788A JP H026619 A JPH026619 A JP H026619A
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fibers
fiber
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doubling
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JP15385788A
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Kikuji Komine
小峰 喜久治
Tsutomu Naito
勉 内藤
Hiroyuki Kuroda
博之 黒田
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、炭素質ピッチから炭素繊維及び黒鉛繊維を製
造する方法に関する。更に詳しくは、本発明はピッチ繊
維を合糸した後、連続的に線状で不融化処理し、次いで
焼成処理することによる炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方
法に関する。
〔従来の技術〕
従来、自動車、航空機その他の各種産業分野にわたって
、軽量、高強度、高弾性率等を有する高性能素材の開発
が要望されており、かかる観点から炭素繊維が注目され
ている。現在市販の炭素繊維は依然としてポリアクリロ
ニ1〜リルを原料とするPAN系炭素繊維が主流である
が、石炭又は石油系ピッチ類を原料とする炭素繊維も原
料が安価で、炭化工程での歩留りが高く、弾性率の高い
繊維が得られるなどの利点から重要視され、活発な開発
研究が行なわれている。
ピッチ系炭素繊維ないし黒鉛繊維は、通常原料ピッチを
溶融紡糸し、得られたピッチ繊維を不融化処理し、次い
で不融化繊維を焼成処理することによって製造される。
ただピッチ系炭素繊維ないし黒鉛繊維は、PAN系炭素
繊維の場合と異なり、ピッチ繊維が引張り強度約0.0
IGPaと極めて小さい」二に脆いため、不融化処理工
程や焼成処理工程での取扱いが難しく、繊維の毛羽立ち
、糸切れ笠を起し易い。
詳しく言うと、通常、ピッチ繊維の不融化処理は、空気
、酸素ガス、富酸素ガス等のガス雰囲気下で、あるいは
これらのガスにオゾン、ハロゲン、NO7、SO3等の
強酸化剤を加えた酸化性ガス雰囲気下で、150〜40
0℃の温度で行なわれている。従って、この工程におい
ては、ピッチ繊維相互間に反応熱が蓄積し易く、そのた
めピッチ繊維間に接着や融着が生じ易く、不融化中、繊
維束がぼろぼろになり、繊維束の切断や製品の毛羽立ち
が生じ易いという問題がある。これらは繊維束を線状に
して、繊維束内部に反応熱を蓄積しにくいような状態で
、不融化する場合も例外ではなく、特に10.000本
以上のフィラメントからなる繊維束については回避し難
い問題である。
ピッチ繊維の不融化方法としては、ピッチ繊維を過酸化
水素水、塩酸又は硫酸に浸漬して、液相酸化により不融
化する方法(特公昭44−2510号公報)が提案され
ている。しかし、この方法は繊維間の蓄熱を防ぐ方法と
しては有効ではあるが、繊維に対する酸化剤液の濡れが
悪く、接触が不充分なため、酸化が進みにくく、むらに
なり易い欠点があり、また酸化後、酸化性雰囲気中で2
00℃以上に加熱処理する工程を必要とするので、コス
I−面で有利とは言えない。
また、ピンチ繊維を金属の酸塩を含有する過酸化水素水
中で液相酸化処理する不融化方法(特公昭47−219
04号公報)も提案されている。この方法は少量の界面
活性剤を使用するので、繊維の濡れ性は改善されるもの
の、繊維の強度が0.0IGPaと極めて脆弱なため、
線状で長繊維を連続的に通して液相酸化(不融化)する
ことは困難であり、また不融化工程に続いて予備炭化工
程及び炭化工程へ導き、連続的に線状で予備炭化及び炭
化することは、不融化繊維もピンチ繊維と同様に弱いた
め、極めて困難である。
なお、特開昭60−23185号公報には、ピッチを紡
糸して複数の連続繊維にし、このピッチヤーンに10〜
50重量%、好ましくは15〜35重量%の硝酸を付与
して、ボビン巻などのかさばった形態に集め、約24時
間程度放置して不融化し、その後かさばった形態のまま
、不活性ガス雰囲気中で熱処理詮施して、炭素繊維ヤー
ンを得る方法が開示されている。
ただ、この方法はボビン巻のまま、放置中に不融化でき
るという所長を有するものの、不融化度の制御が難かし
くで、一定品質のものが得られにくく、しかも長時間放
置している不融化中に、ピッチ繊維の収縮により、繊維
束が切断し易いという欠点がある。
更に、ポリエチレン繊維からの炭素繊維の製造において
、原料繊維をクロルスルホン酸を用いて0〜160°C
の温度で不融化する方法(特公昭51−7212号公報
)や硫酸又は発煙硫酸を用いて0〜350℃の温度で不
融化する方法(特開昭50−4324号公報)が提案さ
れているが、原料ポリエチレン繊維はピッチ繊維と異な
って強靭なものであり、このような方法をそのままピッ
チ系炭素繊維の製造に適用することは難かしく、特に合
糸したピッチ繊維を連続的に線状で不融化処理及び焼成
処理する炭素繊維の製造においては、このような不融化
処理を単に適用したのみでは、焼成工程における繊細の
融着、溶融、切断等を回避できない。
〔目   的〕
本発明の目的は、不融化処理の間に繊維間に蓄熱がなく
且つむらなく均一に不融化することができて、不融化処
理及び焼成処理工程において、繊維の融着、溶融、切断
等が発生しにくく、しかも安価に効率良くピッチ系炭素
繊維及び黒鉛繊維を製造する方法を提供することにある
〔構  成〕 本発明によれば、原料ピッチを溶融紡糸して得られたピ
ッチ繊維を合糸した後、連続的に線状で不融化処理し、
次いで、焼成処理して炭素繊維及び黒鉛繊維を製造する
方法において、酸化液とピッチ繊維との濡れ性を良くす
る合糸油剤を用いてピッチ繊維束を合糸した後、該ピッ
チ繊維を酸化液として硝酸水溶液、クロルスルホン酸又
は硫酸を用いて不融化処理し、次いで得られた不融化繊
維に耐熱性油剤を付着させた後、不活性雰囲気中におい
て加熱して焼成処理することにより炭化ないし黒鉛化す
ることを特徴とする炭素繊維及び黒船繊維の製造方法が
提供される。
即ち、本発明はピッチ系炭素繊維及び黒釦繊糾の製造に
おいて、ピッチ繊維の不融化処理を酸化液として硝酸水
溶液、クロルスルホン酸又は硫酸を用いて液相で実施す
ることにより、不融化処理の間に繊維間の蓄熱がなく、
むらがなく、均一に不融化することによって、不融化中
のピッチ繊維の融着、切断等の1〜ラブルを回避するこ
とができ、更に得られた不融化繊維に耐熱性油剤を付着
させることによって、焼成処理工程における不融化繊維
の融着、溶融、切断等のドラフルを回避することができ
る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
(1)炭素質ピッチ 本発明に用いる炭素質ピッチは、特に限定されるもので
はなく、石炭を乾溜して得られるコールタールピッチ、
石炭液化物等の石炭系ピッチ、ナフサ分解タールピッチ
、接触分解タールピッチ、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣
等の石油系ピッチ、合成樹脂を分解して得られる合成ピ
ッチ等各種のピンチ、あるいはこれらのピッチを、水素
、水素供与物で水素化したもの、熱処理、溶剤抽出等で
改質したものも用いることができる。これらの炭素質ピ
ンチは、光学的等方性ピッチであっても光学的異方性ピ
ッチであっても良く、ネオメソフェース、プリメソフェ
ースと言われるピッチについても適用できるが、特に下
記に述べる光学的異方性のピッチが好ましい。
光学的異方性炭素質ピッチは、偏光顕鏡鏡で測定して約
9錦以上の光学的異方性相を含有し、且つ軟化点が23
0〜320℃であるものが好ましい。
本発明で好適に使用される光学的異方性ピッチは如何な
る製法を用いて製造してもよいが、ピッチ製造用の一般
的原料である重質炭化水素油、タール、市販ピッチ等を
反応槽で380℃〜500℃の温度で撹拌し、不活性ガ
スで脱気しながら充分に熱分解重縮合させて、残渣ピッ
チの光学的異方性相(以下APと略す)を高める従来の
方法を使用することができる。しかしながら、この方法
によってAPが80〃以上のものを製造した場合には、
熱分解重縮合反応が進み過ぎ、キノリンネ溶分が70重
量2以上と大きくなり軟化点も330℃以上となる場合
もあり、また、光学的等方性相(以下IPと略す)も微
小球状の分散状態とはなりにくいので、必ずしも好まし
い方法とは言えない。
従って、本発明で使用する光学的異方性ピッチの好まし
い製造方法は、熱分解重縮合反応を半ばで打ち切ってそ
の重縮合物を350°C〜400℃の範囲の温度で保持
して実質的に静置し、下層に密度の大きいAPを成長熟
成させつつ沈積し、これを上層の密度の小さいIPが多
い部分より分離して取り出す方法である。この方法の詳
細は特開昭57−119984号明細書に記載されてい
る。
本発明で使用する光学的異方性ピッチの更に好ましい製
造方法は、特開昭58−180585号明細書に記載さ
れている如く、APを適度に含み未だ過度に重質化され
ていない炭素質ピッチを溶融状態のまま遠心分離操作に
かけ、迅速にAP部分を沈降せしめる方法である。この
方法によれば、AP相は合体成長しつつ下層(遠心力方
向のWJ)に集積し、APが約80%以上で連続層を成
し、その中に僅かにIPを品状又は微小な球状体で分散
している形態のピッチが下層となり、一方上層はIPが
大部分で、その中にAPIJ′N′41./11な球状
前で分散している形態のピッチとなる。この場合、両層
の境界が明瞭であり、下JGのみを上層から分離して取
り出すことができ、容易にAP含有率が大きく紡糸し易
い光学的異方性ピッチを製造することができる。この方
法によれば、AP含有率が95%以上で軟化点が230
℃〜320℃の炭素質ピッチを短時間に、経済的に得る
ことができる。このような光学的異方性炭素質ピッチは
、溶融紡糸加工特性において優れ、その均質性と高い配
向性のために、それを紡糸して得られた炭素繊維及び黒
鉛繊維の引張強度並びに弾性率は極めて優れたものとな
る。
(2)繊維の製造 i)紡糸 前記のような、AP含有率が高くその軟化点の低いピッ
チは、公知の方法によって紡糸することができる。この
ような方法は、例えば、直径0.]、mm〜0.5mm
分紡糸口を1〜1 、000個有する紡糸口金を下方に
有する金属製紡糸容器にピッチを張り込み、不活性ガス
雰囲気で280〜370℃の間の一定の温度にピッチを
保持し、溶融状態に保って不活性ガスの圧力を数百mm
Hgに上昇せしめて口金から溶融ピッチを押し出し、温
度及び雰囲気を制御しつつ流下したピッチ繊維を、高速
で回転するボビンに巻き取るものである。
また、紡糸口金から紡糸したピッチ繊維を集束させて気
流で引取りつつ下方の集積ケースの中にケンス状に集積
する方法を採用することもできる。
この場合、紡糸容器へのピッチの供給を、予め溶融した
ピッチをギアポンプ等により加圧供給することによって
連続的に紡糸することが可能である。
更に、上記方法において、口金の近傍で、一定の温度に
制御され高速で下降するガスを用いてピッチ繊維を延伸
しつつ引取り、下方のベルトコンベア上に長繊維を作る
方法も用いることができる。
更に、周壁に紡糸口金を有する円筒状の紡糸容器を高速
で回転させ、これに溶融ピッチを連続的に供給し、円筒
紡糸器の周壁より遠心力によってピッチを、押し出し、
回転の作用によって延伸されるピッチ繊維を集積するよ
うな紡糸方法を採用することもできる。
本発明においては、溶融紡糸したピッチ繊維は、エアサ
ッカーを通して集束しつつオイリングローラ−に導き、
集束剤(油剤)をつけて更に集束する。
この場合の集束剤としては、例えば水、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール
、ブチルアルコール等のアルコール類又は粘度3〜30
0cst(25°C)のジメチルポリシロキサン、アル
キルフェニルポリシロキサン等を、低沸点のシリコーン
油(ポリシロキサン)又はパラフィン油等の溶剤で希釈
したもの、又は乳化剤を入れて水に分散させたもの:同
様にグラファイト又はポリエチレングリコールやヒンダ
ードエステル類を分散させたもの:界面活性剤を水で希
釈したちの:その他通常の繊維、例えばポリエステル繊
維1■ に使用される各種油剤のうちピッチ繊維をおかさないも
のを使用することができる。
なお、紡糸時につける油剤として、後述の不融化後に付
与する耐熱性の油剤と同じものを付与しても良い。集束
剤の繊維への付着量は、通常0.01〜10重量%であ
るが、特に、0.05〜5重量2であることが好ましい
本発明において、ボビンに巻き取る場合は、ボビンに巻
いた状態から均一な解舒(巻戻)を行なうために、紡糸
時のトラバースは2〜100mn/(ボビン1回転当り
)のような大きなトラバースをかけて巻き取り、巻厚は
1〜100nyn、好ましくは5〜50nwnとするこ
とが有効である。トラバースは、ピッチ繊維のボビンか
らの解舒性を考慮すれば、5〜20mm/(ボビン1回
転当り)程度が好ましい。
ii)ピッチ繊維の金糸 本発明においては、繊維束の強度を強くし、不融化時に
不融化装置へ連続して安定に通糸するために、不融化に
先立ちピッチ繊維の金糸を行なう。
溶融紡糸機1台(1紡糸口金)から紡糸されるピッチ繊
維のフィラメント数は溶融紡糸のため限界があり、通常
は1〜2,000であり、好ましくは50〜1 、00
0フイラメン1−である。本発明では、溶融紡糸で得ら
れるピッチ繊維束を2〜50本用いて、100〜100
,000、好ましくは500〜50,000フイラメン
トに合糸する。
金糸は、紡糸されたピッチ繊維を一旦複数のボビンに巻
き取った後、同時に解舒し、繊維束を1つに合束し、1
つのボビンに巻き取ることによって行なわれる。金糸時
のトラバースはボビン1回転当たり5〜100mである
ことが好ましい。ボビンからの解舒性を良くするために
は、トラバースを大きくする方が良いが、大き過ぎると
糸が損傷し易いので好ましくない。ケンス状に落とした
ピッチ繊維を複数のカゴ又はケースから引き上げて合糸
しても良い。
合糸は、ボビンからの解舒のみでなく、複数の紡糸機又
は紡糸口金から同時に紡糸されたピッチ繊維を集束し合
糸することも可能である。金糸は一度に2〜50本合糸
しても良いが、2〜10本を1回目に合糸し、これらを
更に2〜10本再合糸する方法も用いられる。合糸性を
上げ、不融化中の集束性を」二げるため、合糸する段階
で必要に応じて、0.1〜30回/m、好ましくは1〜
5回/mの撚りが加えられる。
本発明においては、ピッチ繊維と不融化工程で使用する
酸化液(硝酸水溶液、クロルスルホン酸又は硝酸)との
濡れ性が悪いため、ピッチ繊維と酸化液との濡れ性を改
善して、不融化工程における接触効率を高める目的で、
金糸時に濡れ性の良好な特定の合糸油剤を使用する。合
糸時に付与する油剤としては、例えば水、アルコール及
び沸点600℃以下の界面活性剤あるいはこれらの混合
物等が用いられる。この場合、アルコールとしては、例
えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチ
ルアルコール等が挙げられ、また界面活性剤としては、
例えばΔ15点600℃以下のポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げ
られる。なお、これらの油剤は不融化処理後、繊維中に
残っても予備炭化工程での繊維の融膠着の原因とならな
いので、好都合である。
1ii)ピッチ繊維の不融化 本発明では合糸したピッチ繊維を、連続的に線状で硝酸
水溶液、クロルスルホン酸又は硫酸で処理することによ
って、不融化を行なう。合糸されたピッチ繊維は、硝酸
水溶液、クロルスルホン酸又は硫酸によって液相酸化さ
れ、不融化される。
このピッチ繊維の上記酸化液による処理は、例えば該処
理液にピッチ繊維を通過させるという方法や該処理液を
保有する回転ホイールにピッチ繊維を接触させる方法な
どによって実施される。
本発明の不融化処理工程で使用する硝酸水溶液としては
、濃度10〜50重量%、好ましくは30〜40重量%
のものが用いられ、この場合の不融化処理の温度として
は、30〜1]、0℃、好ましくは50〜100℃が適
当である。また本工程で使用するクロルスルホン酸とし
ては、市販品をそのまま用いることが好ましいが、必要
に応じ、その溶媒例えば四塩化炭素、クロロホルム、二
硫化炭素などで稀釈して使用することもできる。この場
合の不融化処理の温度としては、0〜150°C1好ま
しくは20〜100℃が適当である。また本工程で使用
する硫酸としては、濃度80〜98重量%の硫酸又は発
煙硫酸が用いられ、この場合の不融化処理の温度として
は、0〜300℃、好ましくは100〜250℃が適当
である。
繊維と酸化液との濡れ性を改善して接触効率を高めるた
めに、ピッチ繊維の金糸に関連して述べたエタノール、
イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコ
ール類や沸点600℃以下の非イオン系界面活性剤を、
酸化液中に0.1〜5重量%添加して行なってもよい。
また、好ましくは、繊維束を開繊し、繊維束内への酸化
液の浸透を円滑にし、更に接触効率を高めるため、超音
波振動を付与しながら行なう。この場合の超音波として
は、18〜90kHzのものが好ましい。
不融化処理の時間は1分〜2時間、好ましくは、5分〜
1時間である。この不融化処理は、張力をかけずに行な
うこともできるが、通常は1フィラメント当り0.00
1〜0.2gの張力をかけながら行なうのが好ましい。
本発明における不融化処理は、通常の高温気相酸化法と
は異なり、液相酸化法であるので、ピッチ繊維束内の蓄
熱はなく、むらなく均一に不融化できるので、不融化処
理中のピッチ繊維の接着、融着、切断等は殆んど発生せ
ず、連続的に線状で容易に実施される。なお、液相酸化
後、酸化液を除去して反応の度合を制御するため、水洗
を行なう。水洗は浸没式で行なっても良いし、またロー
ラー上で水をシャワ一方式でかけて、走行する繊維束を
水洗するという方式でもよい。
iv)不融化繊維束への油剤の付与 本発明においては、前記不融化処理を受けた不融化繊維
束に耐熱性油剤を付着させる。この耐熱性油剤の付与は
重要であり、この処理によって後記焼成処理が順調に実
施される。
この場合の耐熱性油剤としては、アルキルフェニルポリ
シロキサン及びジメチルポリシロキサンが挙げられる。
アルキルフェニルポリシロキサンとしては、その成分と
してフェニル基を5〜80モル%含むものが好ましく、
特に10〜50モル%含むものが好ましい。また、アル
キル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好
ましい。同一の分子に2種類以上のアルキル基を有して
いても良い。
なお、ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーン油
)としては通常市販されているものも用いることができ
るが、本発明においては、特に該化合物中にアミン類、
有機セレン化合物、フェノール類等の酸化防止剤を添加
したものを用いることが好ましい。この場合、酸化防止
剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、ジラウリ
ルセレナイド、フェノチアジン、鉄オクトレート等が使
用できる。また、このような酸化防止剤はアルキルフェ
ニルポリシロキサンに対しても有効性を発揮する。
また本発明で使用する耐熱性油剤の形態とじては、不融
化繊維束が液相処理を受けたものであるので、該繊維束
への付着性の点から水エマルジョン系としたものが特に
好ましい。本発明においては、沸点600℃以下の非イ
オン系界面活性剤を乳化剤として、25℃で10〜1 
、0OOcstの粘度を有するアルキルフェニルポリシ
ロキサンを、乳化したものを使用するのが好ましい。こ
の場合非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエス
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等
が用いられる。
油剤の付与は、ローラー接触、浸没式スプレー塗布、泡
沫塗布等信れの方式で行なっても良い。
これら油剤の繊維への付着量は0.01〜10重量I、
好ましくは0.05〜5重量2である。
■)焼成処理 耐熱性油剤を付与された不融化繊維束は、次に不活性雰
囲気中において、加熱して焼成処理される。窒素、アル
ゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で次第に温度を
高めながら、500〜1,000℃まで加熱されて予備
炭化繊維が得られ、1,000〜2.000℃の温度に
加熱することによって炭素繊維が得られ、また2、00
0〜3,000℃の温度に加熱することによって黒鉛化
繊維が得られる。
本発明におけるこの焼成処理の方法は従来公知の方法を
採用することができる。耐熱性油剤を付与された不融化
繊維は、均一に不融化されているため、予備炭化工程に
おける繊維の融着かなく、前述したように焼成初期の低
強度繊維時における繊維束の集束性が良好なため、焼成
処理中の糸条の切断や毛羽立ちが防止され、長繊維状の
炭素繊維ないし黒鉛繊維を効率良く得ることができる。
〔効  果〕
本発明のピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法は、
ピッチ繊維の不融化処理を硝酸水溶液、クロルスルホン
酸又は硫酸を用いて、ピッチの軟化点より著るしく低い
温度の液相で連続的に線状で実施するので、繊維束内へ
の蓄熱による不融化むらがなく、均一に不融化でき且つ
得られた不融化繊維に耐熱性油剤を付与した後、焼成処
理するので、不融化処理工程及び焼成処理工程における
繊維の融着、切断等が回避され、容易に安価に長繊維状
の炭素繊維及び黒鉛繊維を得ることができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明は
これによって限定されるものではない。
実施例1 光学的異方性を約55%含有し、軟化点が232℃であ
る炭素質ピッチを前膳区体ピッチとして使用した。
この前駆体ピッチは、キノリンネ溶分を16.1重量%
、灰分を0.26重量2含有しており、370℃におけ
る粘度は2.8ポイズを示した。このピッチを内容積2
0Qの溶融タンク中で溶融し、370℃に制御して、ロ
ーター内有効容積200m Qの円筒型連続遠心分離装
置へ20m 11 /分の流量で送り、ローター温度を
370℃に制御しつつ、遠心力30,0OOGでAP排
出口より光学的異方性相の多いピッチ(Aピッチ)、I
P排出口より光学的等方性相の多いピッチ(エピッチ)
を連続して抜き出した。
得られた光学的異方性ピッチは、光学的異方性相を98
%含み、軟化点は265℃、キノリンネ溶分は29.5
%であった。
得られた光学的異方性ピッチを500穴の紡糸口金を有
する溶融紡糸機(ノズル孔径:直径0.3mm)に通し
、355℃で200mmHgの窒素ガス圧で押し出して
紡糸した。
紡糸したピッチ繊維は、ノズル下部に設けた高速で回転
する直径210mm、幅200mmのステンレス鋼製の
金網ボビンに巻き取り、約500m/分の巻き取り速度
で10分間紡糸した。ボビン1回当りのトラバースのピ
ッチは10mm/1回転であった。紡糸の間の糸切れは
なかった。この際紡糸した糸はエアーサッカーで略集束
してオイリングローラ−に導き、糸に対して約0.1重
量%の割合で集束用油剤を供給した。油剤としては、後
述の金糸時に使用したものと同じものを使用した。
ピッチ繊維を巻いたボビン30個を、解舒合糸し、15
.000フイラメントとしてステンレス製ボビンに巻取
トラバースピッチを20mm/1回転で巻取った。
合糸時に合糸用油剤として、非イオン界面活性剤である
数平均分子量1..000のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルを減圧蒸留して得た、常圧換算で沸点600
℃以下の留出物を水で稀釈し、1.0重11度の液とし
て付与した。糸に対する付与量は0.5重量外であった
このようにして得たボビン巻のピッチ繊維をボビンから
解舒しつつ、温度80℃、濃度40重量Iの硝酸中で、
40分かけて走行させて、40kHzの超音波をIQI
す1ワツトのパワーで付与しながら、不融化処理を行な
った。この間、繊維束にかけた張力は1フィラメン1〜
当り0.004gであった。
不融化中、ボビンからのピッチ繊維の解舒は円滑に行わ
れた。不融化装置内での繊維束内の蓄熱はなく、繊維束
の断糸もなく且つ不融化のむらもなく、円滑に不融化処
理が実施できた。
不融化終了後、走行ローラー上に水を注ぎ、軽度の水洗
を行なった後、水エマルジョン系の耐熱性油剤を付与し
た。油剤としては、25℃で40cstのメチルフェニ
ルポリシロキサン(フェニル含有量25モル%)を、合
糸時に使用した非イオン系界面活性剤で乳化したものを
用いた。水エマルジミン系油剤の濃度は1.0重量ぶて
あり、糸に対する付与量は0.4ffii%であった。
この不融化繊維を、不活性ガス雰囲気中で、1 、50
0℃まで昇温し炭素繊維を得た。この炭素繊維の糸径は
9.9μmであり、引張強度は2.50Pa、 rj張
弾性率は260GPaであった。
また、この炭素繊維を不活性ガス雰囲気で2.500℃
まで昇温しで得た黒鉛繊維の糸径は9.8μm、引張強
度は2.5GPa、引張弾性率は690GPaであった
実施例2 超音波振動の付与なしに不融化処理を行なった以外は、
実施例1と同様に処理した。不融化の度合にむらはみら
れたが、実施例1とほぼ同様の結果を得ることができた
実施例3 酸化液として、濃度98重量2の硫酸を使用し、反応温
度200℃で20分間不融化処理した以外は、実施例1
と同様に処理した。
この場合、実施例1と同様に、液相不融化装置内での繊
維束内への蓄熱はなく、繊維束の断糸もなく且つ不融化
のむらもなく、円滑に不融化処理ができた。
実施例1と同様に炭化処理して得た炭素繊維の糸径は9
.9μmであり、その引張強度は2.6GPaで、その
引張弾性率は260GPaであった。また、実施例1と
同様に黒鉛化処理して得た黒鉛繊維の糸径は9.8μm
であり、その引張強度は2.5GPaで、その弓張弾性
率は700GPaであった。
実施例4 超音波振動の付与なしに不融化処理を行なった以外は、
実補例3と同様に処理した。不融化の度合にむらはみら
れたが、実施例3とほぼ同様の結果を得ることができた
実施例5 酸化液として、クロルスルホン酸を使用し、反応温度2
5℃で10分間不融化処理した以外は、実施例]と同様
に処理した。
この場合、実施例1と同様に、液相不融化装置内での繊
維束内への蓄熱はなく、繊維束の断糸もなく且つ不融化
のむらちなく、円滑に不融化処理ができた。
実施例1と同様に炭化処理して得た炭素繊維の糸径は9
.9μmであり、その引張強度は2.5GPaで、その
引張弾性率は250GPaであった。
比較例1〜2 実施例1及び同:3において、合糸時に合糸用油剤を使
用しなかった以外は、実施例1及び同3と同様に処理し
た。何れの場合+r、硝酸又は硫酸とピッチ繊維との濡
れ性が悪く、長時間かけても充分な不融化度が得られな
かった。
比較例3〜4 実施例1及び同3において、不融化繊維に耐熱性油剤を
付与しなかった以外は、実施例1及び同3と同様にして
炭素繊維の製造を行なった。何れの場合も、予備炭化の
際に、炉内で繊維束が切断し、長繊維を得ることができ
なかった。
特許出願人 東亜燃料工業株式会社

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)原料ピッチを溶融紡糸して得られたピッチ繊維を
    合糸した後、連続的に線状で不融化処理し、次いで、焼
    成処理して炭素繊維及び黒鉛繊維を製造する方法におい
    て、酸化液とピッチ繊維との濡れ性を良くする合糸油剤
    を用いてピッチ繊維束を合糸した後、該ピッチ繊維を酸
    化液として硝酸水溶液、クロルスルホン酸又は硫酸を用
    いて不融化処理し、次いで得られた不融化繊維に耐熱性
    油剤を付着させた後、不活性雰囲気中において加熱して
    焼成処理することにより炭化ないし黒鉛化することを特
    徴とする炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。
JP15385788A 1988-06-22 1988-06-22 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 Pending JPH026619A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030047072A (ko) * 2001-12-07 2003-06-18 홍성현 레이온계 탄소섬유 및 그의 제조방법
CN108866899A (zh) * 2018-05-21 2018-11-23 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种低软化点沥青基电纺纤维布的不熔化处理方法
CN115595792A (zh) * 2022-10-27 2023-01-13 陕西天策新材料科技有限公司(Cn) 一种超高模量沥青基石墨纤维的处理方法

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