JPS62191520A - 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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JPS62191520A
JPS62191520A JP3229986A JP3229986A JPS62191520A JP S62191520 A JPS62191520 A JP S62191520A JP 3229986 A JP3229986 A JP 3229986A JP 3229986 A JP3229986 A JP 3229986A JP S62191520 A JPS62191520 A JP S62191520A
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JP
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fibers
graphite
heat treatment
fiber
producing carbon
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JP3229986A
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English (en)
Inventor
Kikuji Komine
小峰 喜久治
Takayuki Fukuda
孝之 福田
Hiroyuki Kuroda
博之 黒田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Toa Nenryo Kogyyo KK
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、炭素質ピッチ繊維から炭素繊維及び黒鉛繊維
を製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は光学
的異方性炭素質ピッチを紡糸し、不融化、炭化、黒鉛化
を行い、ロングフィラメント炭素繊維を得るための、ピ
ッチ繊維の焼成方法に関する。
(従来の技術) 従来、自動車、航空機その他の各種産業分野に係る広範
な技術分野において、軽量、高強度、高弾性率等の性質
を有する高性能素材の開発が要望されており、係る観点
から炭素繊維或いは成型炭素材料が注目されている。特
に、炭素質ピッチから炭素繊維を製造する方法は、安価
で高性能の炭素繊維を製造し得る方法として重要視され
ている。
しかしながら、従来の技術によっては、ピッチ繊維の引
張強度が約0.0IGPaと小さい上、脆いためにその
取扱が難しく、高性能製品を得るのに必要なロングフィ
ラメント状の繊維を得ることは極めて困難であった。
特開昭59−27679号、特開昭60−81320号
及び特開昭6(1−21911号明細書には、ボビン巻
のまま不融化して一定温度以下の非酸化性雰囲気で第1
次の熱処理(予備炭化)を行い繊維の引張強度を約0.
2GPaと強(した上で、解舒(巻戻)し、炭化すると
いう方法が開示されている。しかしながら、これらの方
法においてはボビン上のピッチ繊維の巻厚が厚(なると
、不融化中又は予備炭化中の通気性が不十分でためフィ
ラメント間の融着や膠着が起こり易く、予備炭化後のボ
ビン上の糸巻の解舒(巻戻)が困難になり巻戻しに際し
、糸の毛羽が発生し易く、炭素繊維又は黒鉛繊維にした
時の商品価値を著しく低下させるという欠点がある。
又、通気性が不十分なため、不融化度のバラツキが大き
くなり、炭素繊維又は黒鉛繊維にした時の強度のバラツ
キが極めて大きくなるという欠点があった。
一方、特公昭53−4128号明細書には、メンフェー
スピッチを溶融紡糸し、ボビンに一度巻き取り、このう
ちの一部の糸条を全網皿に置いて250℃〜500℃の
酸化性雰囲気で酸化して糸の強度を増加せしめ、糸扱い
を容易にできるようにしてから加工する方法が開示され
ている。しかしながらこの方法は400℃〜500℃の
温度域と酸化雰囲気で行うものであり、酸化を高温度で
行い過ぎるために最終製品である炭素繊維の糸の強度が
低下する上、一度巻き取った糸の一部ずつを取り出しな
がら酸化していくので生産効率が悪いという欠点があっ
た。
又、特開昭55−128020号明II書には、溶融紡
糸後にゴデツトローラーで延伸した糸を不融化用の熱風
炉に0.15m/分の糸速度で連続的に通し、続いて炭
化炉へも連続的に通して炭素繊維を得る方法が開示され
ている。しかしながらこの方法は、炭素繊維とした時に
糸の外観の良いものが得られる一方、不融化の速度が遅
いので時間当りの製品生産量が著しく小さいという欠点
があった。
(発明が解決しようとする問題点) ピッチ繊維からロングフィラメント状の炭素繊維を製造
する方法として、従来、紡糸した糸を金網のカゴの中に
落として堆積せしめ、これを金網ごと不融化し、更に7
00℃以上で第1次の熱処理を行い、糸条の引張強度が
0.2GPa以上の強度となるようにした上で、該カゴ
から引き上げて巻き取った後若しくは巻き取りつつ15
00℃程度の温度で炭化して、炭素繊維を得る方法が提
案されている(特公昭51−12740号)。しかしな
がらこの方法では、糸を堆積せしめた場合に、捩れ又は
撚りがかかる傾向があり、父系の屈曲ができやすく、こ
のため炭素繊維にした時に凹凸が著しく外観の悪い糸と
なる上、屈曲部の強度が著しく低下するために糸切れが
頻発し高品質の糸ができ難いという欠点があった。かか
る欠点は、糸を堆積せしめる場合の湾曲率を大きくとっ
ても本質的に改善することのできるものではなかった。
このため、繊維間の膠着や融着の度合が低い、不融化が
終わった段階で、カゴ或いは容器から解舒(引出し)し
て予備炭化、炭化、黒鉛化処理する方法が考えられるが
、この方法は繊維自体の強度がまだピッチ繊維並みに弱
い上、不融化中、不融化繊維を集束している油剤の分解
劣化が著しいため、繊維束の集束が乱れ、繊維束が極め
て弱く脆くなり、不融化後の解舒(引出し)が著しく困
難になるという欠点があった。又、解舒に際し、糸の毛
羽が発生しやすいという欠点があった。
又、通気性が不十分のため不融化度のバラツキが大きく
なり、炭素繊維、黒鉛繊維にした時の強度のバラツキが
極めて大きくなるという欠点があった。
これらの不融化繊維を予備炭化及び炭化工程にかける際
、繊維束の温度が700℃〜800℃の温度に達するま
でに繊維束の強度が室温における強度の約1/4に低下
するので、熱処理中、繊維束が切断し易いという欠点が
あった。
そこで、不融化後の不融化繊維の解舒が可能で、その後
の予備炭化、炭化処理が円滑にできて炭素繊維にした時
に糸の屈曲がなく凹凸が少なくて糸の外観が良く取扱時
に毛羽立ちが少なく、且つ高強度、高弾性で糸の強度ム
ラのない高品質のピッチ系炭素繊維のロングフィラメン
トを、安価にしかも効率良く製造する方法が切望されて
きた。
従って本発明は、従来の技術の上記欠点を解決し、糸扱
いし易く高品質のピッチ系炭素繊維を製造する方法を提
供することを目的としている。
又本発明の別の目的は、外観が良く、高強度、高弾性率
の高品質ピッチ系ロングフィラメント炭素繊維を効率良
(製造する方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の上記の諸口的は、炭素質ピッチを溶融紡糸した
ピッチ繊維を、カゴ状の通気性容器にケンス状に集積せ
しめ、これを通気性容器ごと酸化雰囲気で不融化し、次
いで集束剤を付与して、通気性容器内の不融化繊維を引
き出して合糸し、その後、1800℃以下の非酸化性ガ
ス雰囲気に線状で連続的に通して、第1次の熱処理を行
い、次いで3000℃以下の不活性ガス雰囲気に線状で
連続的に通して第2次の熱処理を行うことにより、炭化
、黒鉛化処理することによって達成された。
a)炭素質ピッチ 本発明に用いる炭素質ピッチとしては、特に限定するも
のではなく、石炭を乾留して得られるコールタールピッ
チ、石炭液化物等の石炭系ピッチ、ナフサ分解タールピ
ッチ、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣等の石油系ピッチ、
合成樹脂を分解して得られる合成ピッチ等の各種のピッ
チ、これらのピッチを水素又は水素供与物で水素化した
もの、熱処理、溶剤抽出等で改質したもの等も用いるこ
とができる。
本発明の炭素質ピッチは、等方性ピッチであっても光学
的異方性ピッチであっても良く、ネオメソフェース、プ
リメソフェースと言われるピッチについても適用できる
が、特に下記に述べる光学的異方性ピッチが好ましい。
b−1)光学的異方性炭素質ピッチ 本発明で使用する光学的異方性炭素質ピッチとは、常温
で固化したピッチ塊の断面を研磨し、反射型偏光顕微鏡
で直交ニコルを回転して光輝が認められるピッチ、即ち
実質的に光学的異方性であるピッチが大部分であるピッ
チを意味し、光輝が認められず光学的等方性であるピッ
チについては、本明細書では光学的等方性炭素質ピッチ
と呼称する。従って、本明細書における光学的異方性炭
素質ピッチには、純粋な光学的異方性炭素質ピッチのみ
ならず、光学的異方性相の中に光学的等方性相が球状又
は不定形の島状に包含されている場合も含まれる。
又、実質的に光学的異方性である場合とは、光学的異方
性炭素質ピッチと光学的等方性炭素質ピッチが混在する
が、光学的等方性ピッチの量が少ないために上記偏光顕
微鏡によっては光学的等方性相(以下IPとする)を観
測することができず、光学的異方性相(以下APとする
)のみが観測される場合である。因に、一般には、AP
とIPの間に明瞭な境界が観察される。
本明細書におけるAPは、所謂「メソ相」と同様と考え
られるが、「メソ相」にはキノリン又はピリジンに実質
上不溶のものと、キノリン又はピリジンに溶解する成分
を多く含むものとの2種類があり、本明細書でいうAP
は主として後者の「メソ相」である。
上記AP相及びIP相は光学的性質のみならず粘度にお
いても大きく異なるために、一般に、両者が混在するピ
ッチを紡糸することは糸切れの原因や糸の太さムラとな
るので好ましくない。このことは、光学的等方性ピッチ
が紡糸に好ましくない異物を含まない場合であっても、
IP相がAP相の中に均一に分散していない場合には特
に悪い結果をもたらすことを意味する。従って、本発明
で使用する光学的異方性ピッチには実質的な均質性が要
求される。このような均質な光学的異方性ピッチは、I
P含有率が20%以下であって、反射型顕微鏡観察でピ
ッチの断面に粒径1μm以上の固形粒子を検出できない
上、溶融紡糸温度で揮発物による発泡が実質上ないもの
である。
本発明においては、APとIPの定量は、偏光顕微鏡直
交ニコル下で観察し、写真撮影してAP又はIP部分の
占める面積率を測定して行うが、この面積率は統計上実
質的に体積%を表す。しかしながら、APとIPの比重
差は0.05程度であり小さいので、近似的には体積%
と重量%とは等しいとして取り扱うことができる。
本発明で使用する光学的異方性ピッチはその軟化点は低
いことが好ましい。ここにピッチの軟化点とは、ピッチ
の固相と液相間の転移温度であり、差動走査型熱量針に
よってピッチの溶解又は凝固する際の潜熱の吸収又は放
出ピーク温度から求めることができる。この方法によっ
て測定した軟化点は、リングアンドボール法、微量融点
法等の他の測定方法によって得られる温度と、±10℃
の範囲で一致する。
本発明における紡糸には、通常の紡糸技術を使用するこ
とができる。一般に溶融紡糸に適する紡糸温度は、紡糸
する物質の軟化点より60℃〜100℃高い温度である
。一方、炭素質ピッチは380℃以上では熱分解重縮合
がおこり分解ガスが発生したり、不融解物が生成する場
合がある。従って、本発明で使用する光学的異方性ピン
チの軟化点は320℃以下であることが好ましく、後述
の不融化処理工程の観点からは230℃以上であること
が好ましい。
b−2)光学的異方性ピッチの製造方法本発明で使用す
る光学的異方性ピッチはいかなる製法を用いて製造して
もよいが、ピッチ製造用の一般的原料である重質炭化水
素油、タール、市販ピッチ等を反応槽で380℃〜50
0℃の温度にて撹拌し、不活性ガスで税気しながら十分
に熱分解重縮合して、残渣ピッチのAPを高める従来の
方法を使用することができる。しかしながら、この方法
によってAPが80%以上のものを製造した場合には、
熱分解重縮合反応が進み過ぎ、キノリンネ溶分が70重
量%以上と大きくなり軟化点も330℃以上となる場合
もあるのみならず、IPも微小球状の分散状態とはなり
にくく必ずしも好ましい方法とは言えない。
従って、本発明で使用する光学的異方性ピッチの好まし
い製造方法は、熱分解重縮合反応を半ばで打ち切ってそ
の重縮合物を350℃〜400’Cの範囲の温度で保持
して実質的に静置し、下層に密度の大きいAPを成長熟
成させつつ沈積し、これを上層の密度が小さくIPが多
い部分より分離して取り出す方法であり、この方法の詳
細は特開昭57−119984号公報に記載されている
本発明で使用する光学的異方性ピッチの更に好ましい製
造方法は、特開昭58−180585号公報に記載され
ている如く、APを適度に含み、未だ過度に重質化され
ていない炭素質ピッチを溶融状態のまま遠心分離操作に
かけ、迅速にAP部分を沈降せしめる方法である。この
方法によれば、AP相は合体成長しつつ下層(遠心力方
向の層)に集積しAPが約80%以上の連続層を成し、
その中に僅かにIPを島状又は微小な球状体で分散して
いる形態のピッチが下層となり、一方上層はIPが大部
分で、その中にAPが微小な球状態で分散している形態
のピッチとなる。この場合、肉層の境界が明瞭であり、
下層のみを上層から分離して取り出すことができ、容易
にAP含有率が大きく紡糸しやすい光学的異方性ピッチ
を製造することができる。この方法によれば、AP含有
率が95%以上で軟化点が230℃〜320℃の炭素質
ピッチを短時間に、経済的に得ることができる。
このような光学的異方性炭素質ピッチは、溶融紡糸加工
特性において優れ、その均質性と高い配向性のために、
それを紡糸して得られた炭素繊維及び黒鉛繊維の引張強
度並びに弾性率は極めて優れたものとなる。
C)繊維の製造 1)紡糸 前記のような、AP含有率が高くその軟化点の低いピッ
チは、公知の方法によって紡糸することができる。この
ような方法は、例えば、下方に直径0.1mm〜0.5
mmの紡糸口金を有する金属製紡糸容器にピッチを張り
込み、不活性ガス雰囲気下で280℃〜370℃の間の
一定の温度にピッチを保持し溶融状態に保って、不活性
ガスの圧力を数百mmHHに上昇せしめて口金から溶融
ピッチを押し出し、温度及び雰囲気を制御しつつ流下し
たピッチ繊維を高速で回転するボビンに巻き取り、又は
集束させて、気流で引き取りつつ下方の集積箱の中に集
積する方法である。この場合、紡糸容器へのピッチの供
給を予め溶融したピッチやギアポンプ等により加圧供給
することによって連続的に紡糸することが可能である。
更に、上記方法において、口金の近傍で一定の温度に制
御され高速で下降するガスを用いてピッチ繊維を延伸し
つつ引き取り、下方のベルトコンベア上に長繊維を作る
方法も用いることができる。
又、周壁に紡糸口金ををする円筒状の紡糸容器を高速で
回転させ、これに溶融ピンチを連続的に供給し、円筒紡
糸器の周壁より延伸力によってピッチを押し出し、回転
の作用によって延伸されるピッチ繊維を集積するような
紡糸方法を採用することもできる。
本発明では、これらの紡糸したピッチ繊維を、通気性容
器中にケンス状に集積し、通気性容器ごと不融化する。
通気性容器中にケンス状に集積する方法としては、紡糸
と同時に集積(ケンス紡糸)することができるのみなら
ず、一度ボビンに巻き取った後これを解舒(巻戻)して
ケンス状に集積したものでも良い。一旦ベルトコンベア
hにピッチ繊維を落とし、これをケンス状に集積しても
差支えない。
ピッチ繊維の段階で合糸を行い、それをケンス状に集積
して不融化することも行われる。
しかしながら、単に従来の方法を採用したのみでは、ピ
ッチ繊維の強度は約0.0IGPaと著しく弱く且つ脆
いため、次の焼成工程の段階における糸の取扱いが問題
であり、又、容器にケンス状に集積した状態で処理をし
ようとすると、ピッチ繊維の軟化点が低いために不融化
中に糸と糸との融着を回避するのが通常は困難である。
例えば、不融化時には糸が伸縮するので糸条にズレが生
じたり、これらの工程中に糸条の間に他の糸条が入り込
み巻き戻しが困難になり、或いは糸の切断が起こる場合
もある。更には、容器に糸を厚く堆積するために不融化
中の焼成が不均一となり、所謂焼きムラが発生し易い等
解決すべき問題がある。
本発明においては、均一な不融化を行うため、又、不融
化後、不融化繊維の繊維束を集積容器から解舒(引出し
)し易くするために、集積容器にピッチ繊維をケンス状
に集積する際、繊維束間の空間が大きくなるように繊維
束がループを描くようにして(自転)且つ集積容器内に
大きな円を形成して(公転)引き落とす。ループの外径
は、約50〜200mmであるのが好ましい。
ループが小さいと糸が密集し、通気性が悪く、不融化時
に融着し易く、不融化後の繊維束の解舒が困難となるの
で好ましくない。あまり大きくするのは繊維束が絡み、
切断し易くなるので好ましくない。
通気性容器ヘケンス伏に堆積させたピッチ繊維の厚み(
最大)は、5〜500mm、集積繊維の容器内の最大径
は200〜1,000mmであることが好ましい。集積
厚みや最大径を大きくとると通気性が悪くなり、不融化
時に繊維間の融着を引き起こし易く、又、不融化度のバ
ラツキが大きくなるので好ましくない。集積厚み、最大
径が小さい場合は、−回に処理できる量が少なくなるの
で経済的でない。
熔融紡糸機1台(1紡糸口金)から紡糸されるピッチ繊
維のフィラメント数は溶融紡糸のため限界があり、通常
は1〜2,000フィラメントであり、好ましくは50
〜1,000フィラメントである。
又、本発明においては、いずれの公知方法によって紡糸
する場合であっても、AP含有率が95%以上と高いに
もかかわらず、軟化点の低い光学的異方性炭素質ピッチ
を使用するので280℃〜370℃という、従来よりも
低温で紡糸することができる。このような温度で紡糸す
る場合には熱分解や熱重合が極めて低く抑えられるので
、紡糸後のピッチ繊維は、紡糸前のピッチと殆ど同じ化
学的組成を維持することができる。従って、紡糸後の繊
維を再熔融して再度紡糸することができて便利である。
+1)i気性容器 本発明においては、ピッチ繊維をケンス状に集積したま
ま不融化を行うので、これらの温度に耐えられ、且つ、
不融化を均一に行うために必要な材質、形状の繊維を集
積収納する容器を選択する必要がある。
本発明においては、不融化中の繊維間の融着を少なくし
、均一に不融化を行うため通気性の良い通気性容器を使
用する。通気性容器は、最大径200〜1,000mm
、高さ5〜500mmの丸形、或いは角形の容器であり
。上部のみが繊維を出し入れできるように開いている構
造のものを使用する。容器は、通気性を良くするため金
網としたり、又は、穴を開けたり、或いはシンタードグ
ラス、焼結金属濾材等の多孔性濾材で作製したりする。
穴をあける場合には、空間率(開孔率)10〜80%と
することが好ましい、空間率を80%以上とした場合に
は、容器の強度が低下するので好ましくなく、10%以
下では通気性が不十分となり、不融化中の焼成が不均一
となり好ましくない。
本発明で使用する通気性容器を作製する材料としては、
鉄、銅、ニッケル、アルミニウム及びその他の合金等の
金属性のボビンの他、耐熱性樹脂、又は耐熱性樹脂と炭
素繊維複合物、耐熱性樹脂とガラス繊維、シリコンカー
バイド繊維等の無機繊維複合物、耐熱性樹脂とアラミド
繊維等の有機繊維複合物等を使用することができる。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、
ポリエーテルイミド等のポリイミド樹脂、ポリサルフォ
ン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフ
ィド等の芳香族ポリエーテル樹脂、全芳香族アリレート
等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン、ポリ
テトラフルオロエチレン等を用いることができる。
上記の他、炭素/炭素繊維複合材料、グラファイト複合
材料、シリカ、アルミナ、シリコンカーバイト等のセラ
ミック製の容器を使用することができる。
本発明では、容器に収納したまま不融化を行うので、容
器の内側を、カーボンファイバーと相溶性があり、熱処
理に従って生ずる繊維の伸縮を吸収し、繊維が切断する
のを防止するような材料(例えば炭素材料)で被覆する
ことも好ましい。
容器の内表面全体を炭素フェルトのような弾性と通気性
を兼ね備えた材料で覆うこともできる。
又、本発明においては、均一な焼成のために、通気性容
器の熱容量を小さくすることが好ましく、従って容器の
肉厚は5mm以下であることが好ましい0本発明におい
ては、5US304.5US316の金網層のカゴを好
ましいものとして使用することができ、その際の金網は
2〜300メツシユ、好ましくは3〜60メツシユのも
のを使用する。
本発明においては、溶融紡糸したピッチ繊維はエアサッ
カーを通して集束しつつオイリングローラ−に導き集束
剤(油剤)を付けて更に集束する。
この場合の集束剤としては、例えば、水、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール等のアルコール類又は粘度3〜3
00cst  (25℃)のジメチルシリコン油、メチ
ルフェニルシリコン油等をシリコン油又はパラフィン油
等の溶剤で希釈したもの、又は乳化剤を入れた水に分散
させたもの;同様にグラファイト又はポリエチレングリ
コールやヒンダードエステル類を分散させたもの;界面
活性剤を水で希釈したもの;その他通常の繊維、例えば
ポリエステル繊維に使用される各種油剤の内ピンチ繊維
をおかさないものを使用することができるが特に、水エ
マルジョン系の耐熱性油剤が好ましい。耐熱性の水エマ
ルシロン系油剤としては、非イオン系界面活性剤を減圧
蒸留して得た沸点600℃以下(大気圧換算)の留出物
を乳化剤とし、25℃で10〜1.0OOcstの粘度
を有するアルキルフェニルポリシロキサンを乳化したも
のを使用する。
非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ステルが用いラレル。
アルキルフェニルポリオキシシロキサンとしては、その
成分としてフェニル基を5〜80モル%含むものが好ま
しく、特に10〜50モル%含むものが好ましい。
又、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基が好ましい、同一の分子に2種以上のアルキル基を
有していても良い。
この組合せのものは、水エマルジヨン系油剤を作ること
ができ、不融化中、油剤の分解、劣化が著しく少なく、
繊維束の集束も良好で、不融化中の繊維束の切断が無い
上毛羽立ちも少な(、連続的に線状で不融化炉を通すこ
とができる。集束剤の繊維への付着量は通常0.01〜
10重量%であるが特に0.05〜5重量%が好ましい
Hi)ピッチ繊維の不融化 紡糸したピッチ繊維を酸化して不融性炭素質繊維とする
工程は、温度、酸化剤、反応時間等について種々の組合
せを考える必要がある。本発明においては、基本的には
この不融化の条件として公知の方法を使用することがで
きるが、本発明では容器中で集積度の大きいピッチ糸を
不融化するので、通常より低い温度からスタートして酸
化反応を行いピッチ繊維の融着や巻縮を防止する必要が
ある0本発明における不敵化工程の温度は150℃〜4
0θ℃、好ましくは200℃〜300℃の範囲でステッ
プ状又は徐々に昇温して、通常は1〜10時間処理する
。処理時間は不融化の反応が十分に均一に進むように1
日〜3日という長時間行うことも差支えない。
不融化は、空気、酸素、又は空気と酸素若しくは空気と
窒素の混合ガス等を使用して行うことができるが、酸素
濃度を余り高くすることは反応が急速に進み糸が燃焼す
る恐れが生ずるので好ましくない。
本発明においては、200℃以下の温度でハロゲン、N
O2、オゾン等の酸化剤を含んだ雰囲気中で短時間処理
するか、又は、酸素ガス雰囲気中でピッチの軟化点より
30℃〜50℃低い温度、即ち150℃〜240℃の温
度で十分な不融化が得られる迄10分〜1時間保持し、
その後必要により約300℃迄昇温しで不融化を終了せ
しめる方法が好ましく、特に後者の方法は容易且つ確実
であり好ましい。
本発明においては、酸化剤を使用することなくピッチの
軟化点に応じて150℃〜250℃の空気中で長時間放
置し、次に短時間300℃〜400℃に昇温する方法を
採用することもできる。特に軟化点280℃以上の炭素
質ピンチを使用する場合には、230℃〜250℃の温
度で約30分〜2時間保持することにより不融化するこ
とができて好ましい。
本発明における不融化は容器のまま行うので、紡糸時に
集束剤を使用した場合には不融化処理の前に該集束剤中
の水及び低沸点油剤を蒸発して取り除き、糸と糸との間
の通気性を良くする必要がある。このような前処理によ
って不融化処理におけるムラを低減することができる。
不融化に際しては、雰囲気と同じ種類のフレッシュなガ
スを毎分0.1〜5回の割合で流通置換して、古いガス
を排出することが好ましい。
雰囲気ガスは、通気性容器中の繊維の上部から下部方向
に向けて吹き込むことが好ましい。
不融化処理時の雰囲気はファンによって強制的に撹拌す
ることが好ましく、その風速は0.1〜】0m7秒、好
ましくは0.5〜5m/秒である。
このような強制撹拌は集積された糸内部へのガスの浸透
を推進し、不融化炉内の温度分布をなくして焼成を均一
にする効果がある。
容器のまま不融化したピッチ繊維は、不融化繊維束を集
束している油剤の分解劣化により、集束性が乱れ、繊維
束が極めて弱く、脆くなっており、繊維の膠着もあるた
め、不融化後ケンス状に集積した繊維束の解舒(引出し
)が著しく困難である。本発明においては、スプレー等
によって集束剤を付与することによって繊維束の柔軟性
を増加せしめ、容器内の集積糸の解舒(引出し)が容易
にできるようにする。集束剤としては、紡糸の集束油剤
の項で述べたものと同様なものが用いられる。
これらの集束剤の中で、水、又は粘度3〜30Qcst
(25℃)のジメチルシリコーン油、メチルフェニルシ
リコーン油等を非イオン系界面活性剤で水に分散させた
水エマルジョン系の油剤、非イオン系界面活性剤を水で
希釈したもの等は作案件が良く、好ましいものとして使
用することができる。
iv)不融化繊維の合糸 本発明においては、不融化した繊維束の強度を増して第
1次の熱処理をし易くするため、不融化処理時を行う。
本発明では、ケンス不融化で得られた不融化繊維束を2
〜20本用いて、200〜50,000フィラメント、
好ましくは500〜6.000フィラメントに合糸する
。合糸は、容器中の不融化繊維を複数の容器から同時に
解舒(引出し)し、繊維束を1つに合糸することによっ
て行われる。
合糸は、合糸後ボビンに巻き取っても良く、合糸後再び
ケンス状にして容器に落としても良い。
ボビンに巻き取る場合、その巻き取りトラバースは、ボ
ビン1回転当たり5〜100mmであることが好ましい
。解舒性を良くするためには、トラバースは大きくする
方が良いが、大き過ぎると糸が損傷し易いので好ましく
ない。
金糸は、第1次熱処理を行いながら行うことも採用され
る。必要に応じて、金糸時撚りをかけることも行われる
■)熱処理工程 ケンス不融化によって不融性となった炭素質ピッチ繊維
を、化学的に不活性な窒素ガス又はアルゴンガス雰囲気
で、500℃〜1.000℃迄昇温し、初期の炭化を行
うことによって予備炭化繊維が得られ更に1,000〜
2,000℃まで昇温し、炭化することによって所謂炭
素繊維が得られ、2,000℃〜3,000℃迄昇温し
、黒鉛化することによって黒鉛繊維が得られる。次に、
これらの方法について詳述する。
本発明においては、連続熱処理炉に熱処理しようとする
繊維を線状で連続的に通して熱処理を行う。
特に、本発明においては、適切な炉の温度プロファイル
(温度勾配)のもとで不融化したピッチ繊維を予備炭化
、炭化、黒鉛化処理することによって性能の優れた製品
を効率良く得るために、2段階の熱処理を行う。炉の長
さが短いと適切な温度プロファイル(温度勾配)を得る
ことは設備上困難であるが、一方炉の長さが長くなると
、繊維束のたるみにより炉内にこすり傷かつ(度合が増
え、結果として製品性能が低下する。これらの相反する
問題は、熱処理炉を分割し、第1次の熱処理、第2次の
熱処理という2段階の処理を行うことによって解決され
る。2つに分割することにより適切な温度プロファイル
を作り易くなり、又、繊維束のたるみによる傷発生を少
なくすることが可能となる。
又、このような2段階の熱処理を行うことによって第1
次の熱処理、第2次の熱処理を合わせた炉の長さを長(
できるので、同じ昇温速度の場合には炉への通糸速度を
速くでき、時間当たりの生産量を大きくできるので有利
である。
本発明の2段階の熱処理における熱処理の分離温度は、
不融化したピッチ繊維の予備炭化、炭化中に発生する反
応生成ガス及びタール伏物質の製品性能への悪影響をミ
ニマムにするためと、繊維束強度も考慮して、1.80
0℃以下好ましくは600℃〜1,500℃の間で行わ
れる。ガスの発生量は、500℃前後で最も多いので、
600℃以上であることが好ましく、約1.500℃で
は反応生成ガスが少量になるので好ましい。
第1次の熱処理は、窒素ガス及び/又はアルゴンガスの
ような非酸化性ガス雰囲気下に線状で連続的に通して行
う。雰囲気ガスは、不融化繊維から生成した排ガスを除
去するため、0.05〜1回/分の割合で流通置換する
。これらのガスの一部はリサイクルし、或いは、精製し
て再び使用することもできる。
第1次の熱処理をいきなり高い温度から行うと、繊維の
熔融/融着により繊維束の切断や部分的な糸切れが起こ
る。これを避けるため、熱処理の開始を400℃以下、
好ましくは300℃以下から開始する。第1次の熱処理
の昇温速度は、徐々に炭化を行い繊維束の軟化点を少し
ずつ上昇させることにより融着による繊維束の切断を避
けるため20〜2,000℃/分、好ましくは50〜b
容易になるが経済的でない。
第1次の熱処理温度(最高温度)は、先に述べた理由に
より1.800℃以下、好ましくは600℃〜1,50
0℃で行う。最高温度到達後、1時間以内保持しても良
い。
第1次の熱処理は、張力をかけずに行うこともできるが
、繊維束のたるみによる熱処理炉の炉底や炉壁での糸の
こすれによる損傷を防ぐと共に、張力下に糸条を焼成し
炭素繊維及び黒鉛繊維の物性を上げるため、1フィラメ
ント当たり0.001〜0.2gの張力をかけて行う。
第1次の熱処理は、通常0.1〜20m/分の速度で連
続焼成炉を通して行う。
第2次の熱処理は、アルゴンガス及び/又は窒素ガス等
の不活性ガス雰囲気の連続熱処理炉に通して行う。雰囲
気ガスは、黒鉛繊維を作る場合には特にアルゴンガスが
好ましい。雰囲気ガスは、繊維から生成したガスを除去
するため0.05〜1回/分の割合で流通置換する。必
要に応じて雰囲気ガスのリサイクル及び精製をし、再使
用することも行う。
第2次の熱処理は、3,000℃以下で行うが通常1.
−000℃〜3.000℃の範囲の熱処理温度(最高温
度)で行う。
第2次の熱処理の開始温度は、1,000℃以下であり
、そこから第2次の熱処理の最高温度迄の昇温速度は、
100〜2.000℃/分で行う。
第2次の熱処理は、張力をかけずに行うことができるが
、通炉中の糸の損傷を防ぎ、且つ張力下で処理し、炭素
繊維、黒鉛繊維の物性を同士するため1フィラメント当
たり0.001〜0.2gの張力をかけて行う。
第2次の熱処理は、第1次の熱処理で既に炭素繊維又は
それに近い強度の繊維となっているので、すでに公知と
なっている焼成法(PAN系)で焼成することができる
(米国特許第3.700.511号、同第3,900,
556号、同第3.954.950号、同第3,764
,662号、同第4,301,136号、英国特許第1
,110゜791号、同第1,215,005号、特公
昭45−12540、同45−19415、同47−2
6733、同47−36463、特開昭46−2961
、同47−716、同6O−99010)。
尚、本発明における第1次の熱処理、第2次の熱処理と
は、その処理温度から、予備炭化、炭化、黒鉛化の表現
で言い換えた場合、下記の意味を有するものである。
第mす4理     第」ノlジ1理 予備炭化       炭化 予備炭化/炭化    炭化 予備炭化       炭化/m鉛化 予備炭化/炭化    黒鉛化 (発明の効果) 本発明の方法によれば、容器内にピンチ繊維をケンス状
に集積し、糸が緩く重なった状態で不融化するので、通
気性が著しく向上し、均一な不融化が可能であり、フィ
ラメント間の融着や膠着を生じることなく高品質のロン
グフィラメント糸を得ることができる。
又、本発明は、不融死後屈曲ぐせの少ない不融化繊維の
段階で通気性容器から繊維を引き出して熱処理するので
、炭素繊維にした時に一方向にそろった外観の良い糸を
得ることができる。
不融化繊維の段階で、解舒し合糸した後予備炭化、炭化
する方法であるので、生産上の効率が極めて高い。
特に、光学的異方性炭素質のピッチ繊維を用いる時は、
高強度、高弾性率の炭素繊維、黒鉛繊維を得ることがで
きる。
又、繊維束を連続して、線状で第1次の熱処理をするの
で焼成ムラのない均一な物性の繊維を得ることができる
更に、2段階で適切な温度プロファイルの炉を使用し、
2段階で熱処理するので、傷のない高品質の炭素繊維、
黒鉛繊維を得ることができるのみならず、第2次の高温
度の熱処理を非常に短時間で終了させることにより、高
強度で高弾性率の黒鉛繊維を容易に得ることができる。
このようにして得られた繊維は、糸扱い時の毛羽立ちが
少なく、糸の外観も良い高品質ロングフィラメント糸で
あり、巻き取り、巻き戻し、金糸が自在であるのみなら
ず、織物や編物とすることも自在であり、複合材料を製
造する場合のフィラメントワインディングやプリプレグ
の製造等に使用することができるので、その応用範囲も
広く本発明の意義は大きい。
以下に本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明
はこれにより限定されるものではない。
実施例1゜ 光学的異方性相(AP)を約55%含有し、軟化点が2
32℃である炭素質ピッチを前駆体ピッチとして使用し
た。この前駆体ピッチは、キノリンネ溶分を16.1重
量%及び灰分0.26重量%を含有しており、370℃
における粘度は2゜8ボイズを示した、このピッチを内
容積2olの溶融タンク中で熔融し、370℃に制御し
て、ローター内有効容積200ml1の円筒型連続遠心
分離装置へ20mff/分の流量で送り、ロータ一温度
を370℃に制御しつつ、遠心力を30.00θGとし
て、AP排出口より光学的異方性相の多いピッチ(Aピ
ッチ)、IP排出口より光学的等方性の多いピッチ(■
ピッチ)を連続して抜き出した。
得られた光学的異方性ピッチは、光学的異方性相を98
%含み、軟化点は265℃、キノリンネ溶分は29.5
%であった。
次に、得られた光学的異方性ピッチを、500大の紡糸
口金を有する溶融紡糸機(ノズル孔径:直径0.3mm
)に通し、355℃で約200mmHHの窒素ガス圧で
押し出して、ノズル下部に設けた5US304の10メ
ツシユ(空間率55%)の金網製の丸形、直径500m
mの通気性容器に500m/分の速度で10分間引取り
、ピッチ繊維をケンス状に集積した。集積した糸の厚さ
は約3Qmmであった。紡糸の間の糸切れはなかった。
この際、紡糸した糸はエアサッカーで略集束してオイリ
ングローラ−に導き、糸に対して約0.5%の割合で集
束用油剤を使用した。油剤としては、25℃における粘
度が14cstのジメチルシリコーン油を使用した。
このようにして得た金網製の通気性容器内のピッチ繊維
を、容器に入ったまま、空気雰囲気のファン付強制熱風
循環炉に導入した。温度は100℃から230℃迄、0
.5℃/分の昇温速度で昇温し、250℃で2時間保持
した。この間、炉内雰囲気を新しい空気で0.5回/分
の割合で置換した。この場合の風速は、0.7m/秒で
あった。
不融化処理の終了後、紡糸に用いたと同じ14cstジ
メチルシリコーン油をスプレーを用いて付与した。
次に、不融化繊維が入った通気性容器6個を用意し、そ
の中から繊維束を同時に引き出して合糸し、3.000
フィラメントとしてステンレス鋼製のボビンに30m/
分の速度で30分間巻き取った。巻き取りのトラバース
のピッチは、20mm、/1回転であった。ボビンを交
換しながら、容器内の不融化繊維の解舒及び、金糸を行
ったが、容器内の糸は全量合糸することができた。この
ようにして合糸した糸巻を、第1次の熱処理を行う連続
熱処理炉の入り口にセットした。これらの糸巻を解舒し
つつ連続的に線状で第1次の熱処理を行った。
!$1次の熱処理は、炉入口温度300℃、最高温度8
00℃の温度の窒素ガス雰囲気の連続熱処理炉で行った
。昇温速度は、200℃/分、通糸速度は1m/分で行
った。この間のボビンからの解舒は円漬に行われた。
第2次の熱処理は、窒素ガス雰囲気下張高温度1.50
0℃で行い、この時の昇温速度は500℃/分、通糸速
度は1m/分であった。第2次の熱処理炉の出口で巻き
取り炭素繊維を得た。通炉中の張力は、1フィラメント
当たり0.01gで行った。得られた炭素繊維の引張強
度は、2.2GPa、、引張弾性率は250GPaであ
り、糸径は10.0μmであった。
第2次の熱処理を2,500℃でアルゴンガス雰囲気下
に行い、黒鉛化繊維を得た。得られた黒鉛繊維の引張強
度ば2.3GPa、引張弾性率は680GPa、糸径は
9.Lumであった。
このようにして得た炭素繊維及び黒鉛繊維は、その後の
巻き戻し、巻き取り、合糸等を自在に行うことができた
実施例2゜ 不融化後の集束剤を付けなかった他は実施例1と同様に
処理した。このようして得た容器内の不融化繊維の解舒
は、繊維束が切断し易く、とても実用できるものではな
かった。
実施例3゜ 不融化繊維の金糸を行わなかった他は、実施例1と同様
に処理した。この不融化繊維は、第1次熱処理中、炉内
で繊維束が切断し、長繊維の炭素繊維を得ることができ
なかった。
実施例4゜ ピッチ繊維を通気性容器にとらず、通気性のない同形状
の容器にとった他は実施例1と同様に処理した。この場
合、不融化時に融着がおこり、不融化後の繊維束の解舒
はできなかった。
実施例5゜ 軟化点265℃の光学的等方性の前駆体ピッチを実施例
1と同じ装置で熔融紡糸した。このピッチ繊維を実施例
1と同じ方法で不融化、第1次、第2次の熱処理を行っ
た。第2次の熱処理温度は1500℃であった。
この時得られた炭素繊維の強度は、1.2GPa、引張
弾性率は90GPa、糸径は9.9μmであった。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)炭素質ピッチを溶融紡糸したピッチ繊維を、カゴ状
    の通気性容器にケンス状に集積せしめ、これを通気性容
    器ごと酸化雰囲気下において不融化し、次いで集束剤を
    付与して通気性容器内の不融化繊維を引き出して合糸し
    、その後、1,800℃以下の非酸化性ガス雰囲気中に
    線状で連続的に通して第1次の熱処理を行い、次いで3
    ,000℃以下の不活性ガス雰囲気中に線状で連続的に
    通して第2次の熱処理を行うことにより、炭化、黒鉛化
    処理することを特徴とする炭素繊維及び黒鉛繊維の製造
    方法。 2)通気性容器が、最大径200〜1,000mm、高
    さ5〜500mmの丸形又は角形の容器であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び黒
    鉛繊維の製造方法。 3)通気性容器の空間率が、10〜80%となるように
    小孔を全面に開けた金属製孔あき容器又は金網製容器で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第2項に記載の炭
    素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 4)通気性容器が、焼結金属材料からなることを特徴と
    する特許請求の範囲第2項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊
    維の製造方法。 5)通気性容器が、耐熱性樹脂又は耐熱性樹脂で含浸さ
    れた炭素繊維複合物、耐熱性樹脂で含浸されたアラミド
    繊維複合物、耐熱性樹脂で含浸されたガラス繊維複合物
    の何れかからなることを特徴とする特許請求の範囲第2
    項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 6)耐熱性樹脂が、ポリイミド系樹脂、芳香族ポリエー
    テル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレ
    ン、ポリテトラフルオロエチレンの中から選択された樹
    脂である特許請求の範囲第5項に記載の炭素繊維及び黒
    鉛繊維の製造方法。 7)ポリイミド系樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミ
    ド及びポリエーテルイミドの何れかである特許請求の範
    囲第6項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 8)芳香族ポリエーテル系樹脂が、ポリサルフォン、ポ
    リエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、
    ポリフェニレンエーテル及びポリフェニレンスルフィド
    の中から選択された何れかである特許請求の範囲第6項
    に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 9)芳香族ポリエステル系樹脂が全芳香族ポリアリレー
    トである特許請求の範囲第6項に記載の炭素繊維及び黒
    鉛繊維の製造方法。 10)通気性容器へのケンス状に堆積させたピッチ繊維
    の厚み(最大)が5〜500mm、最大径200〜1,
    000mmであることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 11)通気性容器に紡糸されたピッチ繊維を引き落とす
    時の繊維束のループの最大径が、50〜200mmであ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の炭素
    繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 12)不融化処理を150〜400℃の温度範囲で、且
    つ空気、酸素又は、空気と酸素若しくは空気と窒素の混
    合ガス雰囲気下で行うことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 13)雰囲気ガスを0.1〜5回/分の割合で流通置換
    することを特徴とする特許請求の範囲第12項に記載の
    炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 14)雰囲気ガスを通気性容器中の繊維の上部から下部
    方向に吹き込むことを特徴とする特許請求の範囲第12
    項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 15)不融化した繊維に付与する集束剤が、水、及び/
    又は耐熱性油剤であることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 16)雰囲気を、風速が0.1〜10m/秒の速度とな
    るように強制撹拌することを特徴とする特許請求の範囲
    第13項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 17)合糸前の不融化繊維のフィラメント数が50〜2
    ,000フィラメントであり、合糸後の不融化繊維のフ
    ィラメント数が200〜50,000フィラメントであ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の炭素
    繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 18)合糸した不融化繊維が、不融化された不融化繊維
    の複数の通気性容器から同時に引き出して合糸すること
    により得られることを特徴とする特許請求の範囲第17
    項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 19)合糸した不融化繊維が、不融化繊維を第1次の熱
    処理をしながら連続的に合糸することにより得られるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第17項に記載の炭素繊
    織及び黒鉛繊維の製造方法。 20)第1次の熱処理が施される所定のフィラメント数
    を有する合糸した不融化繊維が、一度合糸した不融化繊
    維を一度ボビンに巻き取り、再解舒して、再合糸を行う
    ことにより得られることを特徴とする特許請求の範囲第
    17項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 21)合糸時のボビンの巻取トラバースを5〜100m
    m/(ボビン1回転)とすることを特徴とする特許請求
    の範囲第17項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方
    法。 22)第1次の熱処理を窒素ガス及び/又はアルゴンガ
    スの雰囲気下で行うことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 23)第1次の熱処理の雰囲気ガスを0.05〜1回/
    分の割合で流通置換することを特徴とする特許請求の範
    囲第22項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 24)第1次の熱処理の最高温度が、600〜1,50
    0℃である特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び
    黒鉛繊維の製造方法。 25)第1次の熱処理開始温度が、400℃以下であり
    熱処理開始温度から第1次の熱処理の最高温度までの昇
    温速度が、20〜2,000℃/分であることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊
    維の製造方法。 26)第1次の熱処理の昇温速度が、50〜500℃/
    分であることを特徴とする特許請求の範囲第25項に記
    載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 27)第1次の熱処理を、1フィラメント当り0.00
    1〜0.2gの張力をかけながら焼成することを特徴と
    する特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊
    維の製造方法。 28)第2次の熱処理をアルゴンガス及び/又は窒素ガ
    スの雰囲気下で行うことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 29)第2次の熱処理の雰囲気ガスを0.05〜1回/
    分の割合で流通置換することを特徴とする特許請求の範
    囲第28項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 30)第2次の熱処理の最高温度が、1,000〜3,
    000℃であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法。 31)第2次の熱処理開始温度が、1,000℃以下で
    あり、熱処理開始温度から第2次の熱処理の最高温度迄
    の昇温速度が、100〜2,000℃/分であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び
    黒鉛繊維の製造方法。 32)第2次の熱処理を1フィラメント当り0.001
    〜0.2gの張力をかけながら焼成することを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊維及び黒鉛繊維
    の製造方法。 33)炭素質ピッチが、光学的異方性ピッチであり、光
    学的異方性炭素質ピッチが、約95%以上の光学的異方
    性相を含有し、且つ軟化点が約230〜320℃である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の炭素繊
    維及び黒鉛繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5733484A (en) * 1995-02-22 1998-03-31 Nippon Oil Co., Ltd. Method for manufacturing carbon preform and carbon/carbon composite material

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5733484A (en) * 1995-02-22 1998-03-31 Nippon Oil Co., Ltd. Method for manufacturing carbon preform and carbon/carbon composite material

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