JPS62121B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は補酵素Q₁₀を化粧料基剤に配合してな
る化粧料、特に美肌化粧料に関するものである。
補酵素Ｑは1955年R.A.Mortonにより最初に発見
され、細菌、カビ、酵母、植物及び動物など広く
生物界から見い出されるキノンであることからユ
ビキノンと命名され、種によりイソプレン単位
（ｎ）を異にする同族体（Ｑ−ｎ）を生合成する
ことはよく知られるところである。例えばある種
の微生物ではイソプレン数が６個（Q₆）、原虫テ
トラヒメナでは８個（Q₈）、植物では９個
（Q₉）、そしてヒトでは10個（Q₁₀）である。 本発明者らは、人体及び高等動物にのみ存在
し、ミトコンドリア中にて重要な生理活性作用を
担う補酵素Q₁₀に着目し、化粧料への配合につい
て鋭意研究の結果、美肌作用及び皮膚賦活作用の
優れた効果を見い出したものである。 補酵素Q₁₀を体内に投与した場合の生理活性に
ついては、例えば細胞活動の為のエネルギー供給
面、即ち呼吸の維持回復、ATP産生促進の作用
及び過酸化脂質の低下作用面、即ち細胞膜の損
傷、異常の抑制作用等の働きを有することが知ら
れており、又、臨床面については、虚血性心不全
に極めて有利であり、補酵素Ｑの中では本品補酵
素Q₁₀のみが治療薬として認められ市販されてい
るものである。 従来、ｎ＝６、７、９等の補酵素についてはα
−トコフエロール等との組み合せ配合の提案があ
る（特開昭51−57838）。これはin vivoあるいは
in vitroにおいて酸化還元反応を司どる系に着目
し、その組み合せに限定されるものである。本発
明者らは人体に存在し、医薬業界で利用されてい
る唯一の補酵素Q₁₀の化粧品への配合について鋭
意研究の結果、以下の新規な効果を見い出したの
である。 まず、補酵素Q₁₀について以下の経皮吸収実験
を行つた。 実験 １ 〔3¹−¹⁴C〕ユビキノン−10の経皮 吸収性テスト 被験物質：〔3¹−¹⁴C〕ユビキノン−10 (1) ヘアレスマウス経皮吸収テスト 10週令の雄のヘアレスマウス２匹の背部皮膚
３cm²に、被験物質を１μCi／20μの濃度
で、エタノールに溶解した溶液を2.16×
10⁶dpm（16.8μｇ）の量で塗布した。塗布24
時間後、屠殺し、塗布部皮膚を剥離する。 他は全身ホモジネートし、別に糞、尿及び呼
気排泄についても放射能を測定する。 結果を表−１に示す。 (2) モルモツト経皮吸収テスト 体重400ｇの２匹の毛刈りしたモルモツトの
背部皮膚30cm²に、上記被験物質を10μCi／200
μの濃度でエタノールに溶解した溶液を2.22
×10⁷dpm（173μｇ）の量で塗布した。塗布24
時間後、放血死させ、各臓器を摘出し、ホモジ
ネート、乾燥、燃焼して、放射能を測定した。
尿については、親水性シンチレータで、放射能
を測定した。 テスト結果を表−２に示す。

【表】

【表】

【表】

【表】 以上の結果、補酵素Q₁₀は角層に約28重量％
（以下、％は重量％を表わす。）、表皮及び真皮上
層に44〜46％が経皮吸収されること、即ち大部分
が皮膚内に存在することが判明した。一方、皮膚
の上皮基底細胞中にはミトコンドリアが豊富に存
在することが知られており、本薬剤に上記の通
り、皮膚貯留現象が認められたことは、化粧品用
途として極めて合目的であり、新規な期待効果を
与えるものである。 即ち、経皮吸収された補酵素Q₁₀は皮膚細胞の
ミトコンドリア中にて電子伝達酵素として細胞の
エネルギー蓄積、換言すればATP産生に不可欠
の機能を賦与し、結果的に、皮膚細胞の新陳代射
が活発化し、恒常性の保全作用が飛躍的に向上す
ると予測される。 次に本発明者らは過酸化脂質の抑制又は分解に
関する検討の結果、補酵素Q₁₀が皮膚上において
有意な過酸化脂質抑制効果を有することを見い出
した。 実験 ２ 過酸化脂質抑制効果テスト (1) 試料 補酵素Q₁₀、Ｖ−Ｅ（ビタミンＥ）アセテー
ト、Ｖ−B₂（ビタミンB₂）テトラブチレートは
各々0.5％溶液として調製した。 (2) 被験動物 ウイスター系雄ラツトを用い、毛刈後、１
回／１日、５日間にわたり試料を塗布し、５日
目にリノール酸（2.5mg／25cm）を併せて塗布
した。 (3) 測定 紫外線（UV−Ｂ）を２時間照射し、皮膚を
ホモジネート後、生成した過酸化物をTBA法
により測定した。 (4) 結果

【表】 即ち、補酵素Q₁₀及びＶ−Ｅアセテートについ
て、特に補酵素Q₁₀については、紫外線照射によ
る皮膚の過酸化脂質生成の顕著な抑制効果を有す
ることが明らかとなつた。 このことは、紫外線照射による皮膚損傷を防止
し、ひいては皮膚の老化を予防する上で、補酵素
Q₁₀が極めて重要な働きを有することを示唆して
いる。 以上の実験結果から、本発明者らは補酵素Q₁₀
を化粧品に配合することにより、適度な経皮吸収
を経て皮膚細胞の新陳代謝を活発化し、又過酸化
脂質生成を抑制することにより、皮膚の老化を予
防する効果が期待できるという新規な知見を得る
ことができた。 これらの実験結果をもとに更に以下の実使用テ
ストを行ないその効果を確認した。使用テスト品
は後述の実施例１（クリーム）、実験例２（乳
液）を用いた。 まず手及び顔の肌の荒れている女性40名（年令
20才〜40才）を抽出し、それぞれ20名づつ無作為
にＡ群、Ｂ群に分け、Ａ群にクリーム、Ｂ群に乳
液を１日３回（朝、昼、晩、洗顔及び手洗い
後）、Ａ群は顔に、Ｂ群は手に１カ月間使用さ
せ、手及び顔の肌の荒れ状態を肉眼で観察したと
ころ次の結果を得た。

【表】

【表】 この結果から、手及び顔の肌荒れを防止し、皮
膚に潤いを与え、美肌及び皮膚賦活効果を有する
ことは明らかである。 上記の新規な皮膚賦活作用の知見をもとに、次
に皮膚に対する補酵素Q₁₀の安全性について実験
を行なつた。即ち、皮膚一次刺激性、累積刺激
性、光毒性、感作性、眼瞼刺激性、パツチテスト
等の面で下記の良好な知見が得られた。このこと
から補酵素Q₁₀は化粧品薬剤として安全性面でも
従来にない新規な高付加価値原料であると考える
ものである。

【表】 本発明で配合される補酵素Q₁₀の量は、0.01〜
１％が適当である。 0.01％未満では、上掲の効果は得られず、上掲
の効果を得るには１％で、十分である。 本発明の実施例を以下に示す。 実施例 １ クリーム ％ 補酵素Q₁₀ 0.01 １・３−ブチレングリコール ５ ポリエチレングリコール300 ７ グリセリン ５ ホホバ油 ６ スクワラン ６ セチルアルコール ４ 硬化油脂 ３ グリセリルモノステアレート 1.7 ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレ
ート 1.3 香料、防腐剤、色素 適量 精製水 60.99 実施例 ２ 乳 液 補酵素Q₁₀ 0.3％ ポリオキシエチレン（60モル）硬化ヒマシ油 ２ ペンタエリスリトールテトラ２−エチルヘキサノ
エート 28 プロピレングリコール 10 香料、防腐剤、色素 適量 エタノール 10 精製水 49.7 実施例 ３ パツク 補酵素Q₁₀ 0.5 酢酸ビニル樹脂エマルジヨン 15 ポリビニルアルコール 10 オリーブ油 ５ グリセリン ５ 亜鉛華 ６ カオリン ７ エタノール ５ 香料、防腐剤 適量 精製水 46.5 本パツクを用いて、顔面に肌荒れ、しみ、そば
かすを有する女性12名（年齢28〜52歳）により、
週３回、顔面に対して使用テストを行つた。 その結果、皮膚がなめらかとなり、しつとり感
が得られたと答えた人は12名中10名、又、しみ、
そばかすがうすくなり色白感が得られたと答えた
人は12名中９名であつた。 上記の通り、本実施例品は、しつとり感が得ら
れる美肌作用及び色白感が得られる美白作用が認
められた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 化学式 で表わされる補酵素Q₁₀（化学名ユビキノン）を
   配合することを特徴とする化粧料。