JP2572730B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明はセラミド類とサポニン等を含有してなる保存
安定性に優れた皮膚化粧料に関する。

（従来技術） 老化皮膚とは、乾燥して滑らかさのない荒れた肌で、
角質細胞の剥離現象が認められ、角質層のターンオーバ
ー速度も遅くなる。

このような皮膚老化の防止効果を期待して、従来から
血行促進剤等が検討されているが単に血行促進させるだ
けでは皮膚の老化防止効果は発現するものではなかっ
た。

セラミド等はエモリエント効果に優れ（特開昭61−26
0008号公報）皮膚が本来備えている水分保持機能を亢進
し、皮膚を健常な状態に保持する（特開昭61−271205号
公報）ので優れた皮膚老化防止剤であるが、本発明者の
その後の検討でセラミド等は長期に保存した場合には次
第に変色を起こすことが判明した。特に化粧品や医薬品
などの基剤中に配合した場合には、その傾向が強い。

（発明の開示） そこで、本発明者は、上記の事情に鑑み鋭意研究した
結果、セラミド類とサポニン又はサポニンを含有する植
物抽出物を含有した皮膚化粧料は、保存安定性に優れて
いる事を見出し本発明を完成した。

（発明の目的） 本発明の目的は、保存安定性、老化防止効果、皮膚安
全性に優れた皮膚化粧料を提供するにある。

（発明の構成） 本発明はセラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシ
ルセラミドからなる群から選択された少なくとも一種
と、サポニン及びサポニンを含有する植物抽出物より選
ばれた少なくとも一種とを含有していることを特徴とす
る皮膚化粧料に関する。

（構成の具体的な説明） 本発明に用いるセラミド、グルコシルセラミド、ガラ
クトシルセラミドは、人、豚、牛、馬、羊などの哺乳動
物の表皮に微量存在する化合物であって（バイオケミス
トリー、アンド、フィジオロジー、オブ、ザ、スキン、
第363頁〜第381頁、Biochemistryand Physiology of th
e Skin,Oxford University Press,Inc.1983 New York,
ジャーナル、オブ、リピッド、リサーチ第24巻1983等を
参照）、これらの動物表皮より通常の抽出方法にて得る
ことが可能である。本発明においては、特開昭61−2712
05号公報や生化学実験書（脂質の生化学、生化学実験講
座、第３巻、20〜21頁、1974年、日本生化学会編、東京
化学同人）に記載されている製造方法により得られるセ
ラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミドを
用いることができる。ここでセラミドは、Ｎ−アシルス
フィンゴシン、Ｎ−（α−ヒドキシアシル）−フィトス
フィンゴシン、Ｎ−アシルフィトスフィンゴシンなどの
混合物である。また、グルコシルセラミドは主にＮ−ア
シルグルコシルスフィンゴシン、Ｎ−（α−ヒドキシア
シル）−グルコシルフィトスフィンゴシン、Ｎ−（α−
ヒドキシアシル）−グルコシルスフィンゴシン、Ｎ−ア
シルグルコシルフィトスフィン１−（３′−Ｏ−アシ
ル）グルコシルなどの混合物である。ガラクトシルセラ
ミドは主にＮ−アシルガラクトシルスフィンゴシン、Ｎ
−（α−ヒドキシアシル）−ガラクトシルフィトスフィ
ンゴシン、Ｎ−（α−ヒドキシアシル）−ガラクトシル
スフィンゴシンなどの混合物である。

本発明に用いるサポニン及びサポニンを含有する植物
抽出物は公知の物質である。

本発明におけるサポニンは、ステロール或いはトリテ
ルペンという無極性グループ（サポゲニン）と糖（ペン
トース、ヘキソース、ウロン酸）が結合した化合物であ
ると定義される。

その存在は、ある種のヒトデを例外として一般に広く
植物界に見られ、かつ一種の植物中にも多種類のサポニ
ンが存在する。本発明ではその構造は特に限定されるも
のではないが、製法も公知である（例、ファルマシアVo
l15、No.10 897〜899（1979）等）麦門冬、天門冬、商
陸、セネガ、遠志、人参、特開昭56−160981号公報に記
載されている大豆、特開昭56−127316号公報に記載され
ている、アマチャズル、等の各種サポニンが使用され
る。

次に、本発明で使用できるサポニンを含有する植物抽
出物は例えば特開昭61−178908号公報に記載されてい
る、ヒマワリ（Hetianthus annuus L.）の種子、ミシマ
サイコ（Bupleurum falcatun L.）の根、チユ（Sanguis
orba officinalis L.）の根茎から得られる抽出物、特
開昭52−125510号公報に記載されているムクロジの果皮
の抽出物、特公昭42−10928号公報に記載されているミ
シマサイコの根等から得られる粗サポニン、特公昭58−
40923号公報に記載されている薊、クコ、シコン、 水蛭から得られる抽出物、特開昭57−106607号公報に記
載されているセネガ、ハマメリス、オオヘビイチゴ、抽
出物等が使用できる。

本発明における前記セラミド、グルコシルセラミド、
ガラクトシルセラミドからなる群から選択された少なく
とも一種の配合量は皮膚化粧料の総量を基準として0.05
〜5.0重量％（以下wt％と略記する）である。

又、前記サポニン又はサポニンを含有する植物抽出物
より選ばれた少なくとも一種の配合量は皮膚化粧料の総
量を基準として0.01〜3.0wt％（サポニン含量として）
である。

本発明の皮膚化粧料は、水溶液系、可溶化系、乳化
系、粉末分散系、水−油２層系、水−油−粉末３層系な
どの広い範囲の剤型に適用でき、用途も化粧水、乳液、
クリーム、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデー
ションなどのメーキャップ化粧料があげられる。

又、これ以外にもシャンプー、リンス、ヘアトニック
などの頭髪化粧料などの化粧料のほか、医薬品、医薬部
外品など多岐にわたる。

本発明の皮膚化粧料には必要に応じて、本発明の効果
を損なわない範囲で、保湿剤、増粘剤、油分、防腐剤、
乳化剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収
剤、粉末、薬剤、色剤、香料などを配合できる。

（実施例） 以下、種々の実施例及び比較例にて詳説する。記載さ
れている保存安定性試験実用特性試験は次の方法で測定
した。

又、実施例に使用したセラミド、グルコシルセラミ
ド、ガラクトシルセラミドはミニブタから得られたもの
を適用した。

（１） 保存安定性試験 試料を45℃恒温室に３カ月間保持し、色及び匂いの変
化について評価した。

（色） 変色全くなし ◎ やや変色 ○ かなり変色 △ 著しい変色 × （匂い） 変臭全くなし ◎ やや変臭 ○ かなり変臭 △ 著しい変臭 × （２） 実用特性試験 試料を20名の被検者が使用して、「保湿性」「刺激」
について評価した。試験結果はそれぞれ「肌がしっとり
した」「刺激がある」と回答した人数で示した。

実施例１〜10 比較例１〜４ （スキンクリーム） （１）処 方 A.油 相 配合量（wt％） セタノール 4.0 ワセリン 7.0 スクワラン 21.0 ステアリン酸モノグリセライド 2.0 ポリオキシエチレンソルビタン モノステアレート（20E、０） 3.0 エチルパラベン 0.2 第一表に示す成分 第一表に示す配合量 B.水 相 プロピレングリコール 5.0 精製水 全量を100とする残量 （２）製 法 Ａに属する油相部の成分とＢに属する水相部の成分と
をそれぞれ別々に加熱溶解し、油相部を水相部に混合し
て乳化し、室温まで冷却してスキンクリームを得た。

（３）特 性 その特性を第１表に示す。第１表から明らかなよう
に、セラミド類とサポニン等を配合した実施例１〜10の
スキンクリームはそれぞれ単独配合の比較例１〜４に較
べて保存安定性、実用特性の両面に優れたものであっ
た。更に、従来酸化防止剤として知られている、ジブチ
ルヒドロキシトルエンを安定化剤として配合した比較例
５のスキンクリームは保存安定性には優れるが、皮膚刺
激のあるものであった。

実施例11（スキンミルク） （１）処 方 A.油 相 配合量（wt％） ステアリン酸 2.5 セタノール 1.5 ワセリン 5.0 流動パラフィン 10.0 ポリオキシエチレンモノオルエート（10E.0） 2.0 プロピルパラベン 0.1 セラミド 1.0 ムクロジ果皮抽出物 0.05 B.水 相 グリセリン 10.0 精製水 67.85 （２）製 法 実施例１に準じる （３）特 性 その特性を第２表に示す。第２表から明らかな如く、
本発明のスキンミルクは保存安定性、実用物性に優れた
ものであった。

実施例12（ファンデーション） （１）処 方 A.油 相 配合量（wt％） セタノール 3.5 脱臭ラノリン 4.0 ホホバ油 5.0 ワセリン 2.0 スクワラン 6.0 ステアリン酸モノグリセライド 2.5 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（60E、０） 1.5 ポリオキシエチレンセチルエーテル（25E、０） 1.0 ミシマサイコの根粗サポニン 0.05 B.水 相 グリセリン 3.0 調合粉末 12.0 精製水 58.45 （２）製 法 Ａに属する油相部の成分を加熱溶解する。これとは別
に、調合粉末を除くＢに属する水相部の成分を加熱溶解
し、これに調合粉末を分散する。油相部を水相部中に混
合して乳化し、室温まで冷却してファンデーションクリ
ームを得た。

（３）特 性 その特性を第２表に示す。第２表から明らかな如く、
本発明のファンデーションの保存安定性、実用特性は優
れたものであった。

（発明の効果） 以上記載の如く、本発明の皮膚化粧料は保存安定性、
実用特性に優れ、皮膚刺激の無いものであることは明ら
かである。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セラミド、グルコシルセラミド、ガラクト
   シルセラミドからなる群から選択された少なくとも一種
   に、サポニン及びサポニンを含有する植物抽出物より選
   ばれた少なくとも一種とを含有していることを特徴とす
   る保存安定性、皮膚老化防止効果及び皮膚安全性に優れ
   た皮膚化粧料。
2. 【請求項２】前記セラミド、グルコシルセラミド、ガラ
   クトシルセラミドからなる群から選択された少なくとも
   一種の含有量が皮膚化粧料の総量を基準として0.05〜5.
   0重量％であり、サポニン及びサポニンを含有する植物
   抽出物より選ばれた少なくとも一種の含有量が皮膚化粧
   料の総量を基準としたサポニン含量として0.01〜3.0重
   量％である請求項１記載の皮膚化粧料。