JPS621095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、燃料タンクの燃料注入管の先端に
被着されて、注入口を閉塞させるための燃料タン
クのキヤツプ装置に関するものである。

自動車の燃料タンクの燃料注入口には、着脱自
在のキヤツプ装置が被着されて、タンクの内空が
外気から遮断されているが、燃料の消費に伴つて
タンクの内圧が負圧化することから、キヤツプ装
置の構成には、負圧リリーフバルブが付設されて
いて、発生負圧が所定値（概ね30mmHg）を超え
た時点で同バルブが開き、これによりタンクの内
空を静圧に戻すように形成されている。

ここで、従来のキヤツプ装置の構造２例につ
き、図面を参照して説明する。

第１例（第１図参照） このキヤツプ装置では、リリーフバルブの弁板
１がセンタピン２の下端に保持されると共に、同
センタピン２は、シールプレート３の内周縁に嵌
着されたカラー４に緩く案内されていて、これに
より、負圧平衡ばね５の大きな横摺れが抑止され
ている。

なお、横摺れ防止の目的は、若し平衡ばね５が
大きく横撓みすると、弁板１の板面に傾きが生じ
て、バルブのシール性を悪化させることになり、
これを防止するためである。

しかして、このような構造方式のキヤツプ装置
においては、弁板１のセンタリング作用が確実に
行われる反面、(a)部品点数が多くなること、(b)セ
ンタピン２案内部の発錆に基づくこびり付きを防
止するために、ピン２とガイド４の材料には、高
価な黄銅材等を使用しなければならないこと、(c)
ピン２の組付けとカラー４の組付けのためにカシ
メ加工を必要とすること、等の理由により、装置
製作費のコスト高が避けられないという欠点があ
る。

第２例（第２図ａ、第２図ｂ参照） このキヤツプ装置では、弁板６を、インナキヤ
ツプ７との間に挾置された平衡ばね８の上端に浮
かした状態で保持させた構造が採られている。

しかして、このような構造方式のキヤツプ装置
においては、構成が簡潔でかつ加工が容易なメリ
ツトがある反面、(a)弁板６のセンタリング作用
が、弁板６中央の山形部分とシールプレート９の
開口縁との衝合により付随的に行われているこ
と、(b)平衡ばね８のばね定数が、30mmHg程度に
対応する極く弱い弾力であること、等の理由によ
り、キヤツプ全体に横方向の外力加速度がかかつ
た場合には、図ｂに示すように、ばね８に横摺れ
が生じて、弁板６がシール開口縁を乗り越えるこ
とにより、シール洩れを生じ易いという欠点があ
る。

本考案は、上記欠点を解消するためになされた
ものであつて、すなわち、本考案の目的は、構造
が簡単で、かつリリーフバルブのシール性が確実
な燃料キヤツプ装置を提供することにある。

以下、図示の一実施例に基づいて本考案を説明
する。

実施例のキヤツプ装置は、第３図ないし第５図
に示すように、周辺のつばがカシメにより互に重
合されたアウタキヤツプ１０およびインナキヤツ
プ１１と、周縁が両キヤツプ１０，１１間に挾着
されたシールプレート１２と、インナキヤツプ１
１の底面に展着されたロツクブラケツト１３とが
主体をなしていて、装置全体は、つまみ付きの厚
手の円板形に形成されている。

詳しくは、先ずアウタキヤツプ１０は、その直
径上を全通して、上方に膨出したひれ形のつまみ
１０ａが成形されており、また、インナキヤツプ
１１は、中央部分に円筒状の低段部１１ａが成形
されると共に、同低段部１１ａの中心には、つば
１１ｂ付きの中空孔が開けられている。

なお、インナキヤツプ１１の周辺つばは、上記
つまみ１０ａの下方部分が切欠かれることによ
り、同切欠部分が外気への連通空間をなしてい
る。

次に、シールプレート１２は、その中心にリリ
ーフ弁口１２ａが開けられると共に、その上面を
アウタキヤツプ１０に密着させており、かつその
下面の周辺は、パツキング１４によつてインナキ
ヤツプ１１との間をシールされている。

更に、インナキヤツプ１１のつば１１ｂの外周
には、負圧平衡ばね１５の下端が差込まれると共
に、同つば１５の上端には、ハツト形のリリーフ
弁板１６が載せられていて、同弁板１６の外周に
嵌着されたバルブパツキング１７は、シールプレ
ート１２の下面に押付けられている。

最後に、周辺の複数箇所に掛爪１３ａが突設さ
れた中孔を有するロツクブラケツト１３と、Ｌ形
に折立てられた長板より成るストツパ１８の基部
１８ａとは、取付ねじ１９によりインナキヤツプ
１１の低段部１１ａに重合した状態で締着されて
いて、先端に細幅の丸みが付けられたストツパ１
８は、その先端を弁板１６のハツト凹入に臨ませ
ている。

しかして、インナキヤツプ１１の下面とロツク
ブラケツト１３との間には、シールパツキング２
０が挾置されていて、キヤツプ装置が燃料タンク
注入口２１に被着された状態では、同パツキング
２０により、注入口２１とインナキヤツプ１１と
の間がシールされている。

このように構成された実施例のキヤツプ装置
は、つまみ１０ａを回し操作することにより、燃
料注入口２１に被着されるが、被着された図示状
態では、弁口１２ａが弁板１６によつて閉じられ
ていることから、タンクの内空は外気から遮断さ
れており、かつ、タンクの内圧が所定の負圧（概
ね30mmHg）より高まつた場合には、リリーフ弁
板１６が開いてつまみ１０ａの裾から外気が注入
口２１に流入し、これによりタンクの内圧は静圧
に戻される。

更にこの実施例においては、キヤツプ装置に横
方向の外力加速度がかかつた場合、第６図に示す
ように、弁板１６のハツト内壁がストツパ１８に
当つて衝止されることから、弁板１６が横摺れす
るようなことがなく、従つて、リリーフバルブの
シール低下を招く虞れがない。

なお、上述した実施例の構造は、部品点数が少
いほか、材料面の制約や面倒な加工の必要がな
く、その製作が容易である。

以上述べたように、本考案に係る燃料タンクの
キヤツプ装置によれば、負圧リリーフ弁板の横摺
れを、簡単な棒状ストツパによつて衝止せしめる
ように構成したので、構造を複雑化させることな
しに、タンク内空のシール性が確実なキヤツプ装
置が得られ、これによりキヤツプ装置の実用性を
向上させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図ａは、従来のキヤツプ装置
の構造２例を示す断面図、第２図ｂは、第２図ａ
の作動図、第３図は、本考案の一実施例を示す燃
料タンクのキヤツプ装置の平面図、第４図および
第５図は、夫々第３図の−線および−線
における側断面図、第６図は、第５図の部分作動
図である。 １０……アウタキヤツプ、１１……インナキヤ
ツプ、１２……シールプレート、１２ａ……弁
口、１５……ばね、１６……弁板、１８……スト
ツパ、２１……注入口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクの燃料注入口に被着されるキヤツプ
   装置であつて、かつアウタキヤツプとインナキヤ
   ツプとの間に挾装されたシールプレートの中心部
   に、負圧リリーフ用の弁口が開けられると共に、
   同弁口の内側には、ばね付勢により弁口に押圧さ
   れるハツト形のリリーフ弁板が設けられているキ
   ヤツプ装置において、上記インナキヤツプの中央
   箇所には、リリーフ弁板の横摺れを衝止するため
   の棒状ストツパが立設されていて、同ストツパ
   は、その先端を上記弁板中心のハツト凹入に臨ま
   せていることを特徴とする燃料タンクのキヤツプ
   装置。