JPS6161526B2 - - Google Patents

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Publication number
JPS6161526B2
JPS6161526B2 JP7112480A JP7112480A JPS6161526B2 JP S6161526 B2 JPS6161526 B2 JP S6161526B2 JP 7112480 A JP7112480 A JP 7112480A JP 7112480 A JP7112480 A JP 7112480A JP S6161526 B2 JPS6161526 B2 JP S6161526B2
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JP
Japan
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wire
coil
silicone resin
fixing material
coating layer
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Expired
Application number
JP7112480A
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English (en)
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JPS56167305A (en
Inventor
Ryukichi Usuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Cable Works Ltd
Original Assignee
Fujikura Cable Works Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Cable Works Ltd filed Critical Fujikura Cable Works Ltd
Priority to JP7112480A priority Critical patent/JPS56167305A/ja
Publication of JPS56167305A publication Critical patent/JPS56167305A/ja
Publication of JPS6161526B2 publication Critical patent/JPS6161526B2/ja
Granted legal-status Critical Current

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Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F5/00Coils
    • H01F5/06Insulation of windings

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は耐熱モータや耐熱変圧器等に使用さ
れる耐熱絶縁コイルに関するものである。 周知のように耐熱モータあるいは耐熱変圧器の
コイルなどに使用される耐熱絶縁コイルとして
は、ガラスフリツトまたはガラスフリツトと結晶
性無機物との混合物などからなる物質を導体上に
塗布して焼付け(焼成)したセラミツク絶縁電線
を用いたものが知られている。このようなセラミ
ツク絶縁電線はその被覆層(セラミツク層)が可
撓性に乏しく、そのため巻付加工時に被覆層にク
ラツクが生じてしまうから、使用中のヒートサイ
クルや機械的振動によつてセラミツク絶縁被覆が
剥離してしまう問題がある。そこで前述のような
ガラスフリツトやその混合物を導体上に塗布した
だけの未焼成の段階でコイル巻加工を行ない、そ
の後において焼成して導体上の被覆層をセラミツ
ク化することも行なわれているが、その場合でも
コイル取扱中や使用中の機械的振動により隣り合
う電線同士が擦れ合つたり衝突したりする等の機
械的衝撃や使用中の熱衝撃時によりセラミツク絶
縁電線に割れが発生し、逐には被覆層が剥離して
しまうことが多い。 上述のような問題を解決する方法としては、焼
成済もしくは未焼成のセラミツク絶縁電線をコイ
ル巻加工した後、その電線の絶縁物と同様な組成
の絶縁物を塗布焼付けし、これにより巻付けられ
た電線を固定する方法が知られている。しかしな
がらこの場合にはコイル表面に塗布した電線固定
用の絶縁物を焼成する際に電線自体の絶縁被覆が
軟化流動し、隣り合う線の導体同士が接触して短
絡するおそれがあるから、巻付加工時には電線間
の間隔を開けて巻付ける必要があり、そのためス
ペースフアクタが低下するとともに多層巻付けが
困難となる等の問題が生じる。また一方、セラミ
ツク絶縁電線の被覆層の絶縁物よりも低融点のフ
リツトなどを用いてコイルの電線を固定する方法
も知られており、この場合にはそのコイル固定用
のフリツトなどを焼成する際に電線の絶縁被覆が
軟化流動するおそれがなくなる。しかしながらこ
の場合にはコイルの耐熱性、特にヒートシヨツク
に対する耐性が低くなりクラツクを生じて剥離し
易くなるとともに、高温での電気的特性も低下す
る等の問題が生じる。さらにまた、高融点のアル
ミナ等の無機物と水ガラス等の液状ガラスとの混
合物を用いてコイルの電線を固定する方法も考え
られているが、この場合には液状ガラスがNaや
K等のアルカリ成分を含むため、常温では吸湿性
が高くなつて高湿雰囲気で電気的特性が低下し、
また高温でも前記アルカリ成分がワイヤーの絶縁
層に拡散するなどによつて絶縁特性が低下して長
期間の使用が不能となる問題がある。 さらに、上述の如く巻付けられた電線を無機絶
縁物で固定した各従来コイルは、確かにそのよう
な固定を行なわない場合と比較すれば機械的振動
に対し強固ではあるが、しかしながら異常に強い
機械的振動や外力が加わつた場合にはその固定用
絶縁物自体に割れやクラツクが発生し、これによ
り固定用絶縁物が剥離して固定作用が得られなく
なるおそれがあるとともに、固定用絶縁物自体の
割れが電線の絶縁被覆層に波及してしまうおそれ
がある。 ところでこのような耐熱絶縁コイルが使用され
る電気機器やその使用条件によつては、平常時は
セラミツク絶縁を必要とするほど高温とはなら
ず、異常時等にはじめてセラミツク絶縁被覆を要
する程度の高温となるような場合があり、そのよ
うな条件のコイルに適応できる電線として、この
発明の発明者は既に、高温時に耐熱性無機物とな
るシリコーン系樹脂等の無機高分子と耐熱性無機
物粉末との混合物からなる複合被覆層を導体上に
形成した耐熱絶縁電線を提案している。この提案
の電線は予め人工的な焼成熱処理を施しておか
ず、使用時の高温によりはじめてセラミツク化し
得るようにしたものである。この電線をコイルに
巻込んだ場合、前述の場合とほぼ同様に機械的振
動が加わつた場合の線同士の擦れ等により被覆層
の剥離が生じる問題がある。 この発明は以上のような事情を背景としてなさ
れたもので、未焼成の耐熱絶縁電線をコイルとし
て使用する場合に、その未焼成の耐熱絶縁電線に
適した固定材で電線を固定するようにし、同時に
従来の固定材による問題を解決するようにした耐
熱絶縁コイルを提供することを目的とするもので
ある。 すなわちこの発明の耐熱絶縁コイルは、電線と
して、導体上にシリコーン系樹脂と無機物粉末と
の混合物からなる絶縁電線が使用され、その電線
がコイル状に巻かれているとともに、そのコイル
の線間空隙部分およびコイルの外表面部分の内、
少なくとも1部には、シリコーン系樹脂もしくは
シリコーン系樹脂と無機物粉末との混合物を充填
および/または被覆してなる電線固定材層が形成
されて、使用中の高温時には前記複合被覆層およ
び電線固定材層がセラミツク化されるようにした
ことを特徴とするものである。したがつてこの発
明の耐熱絶縁電線は、シリコーン系樹脂の分解温
度以下の常温もしくは常温に近い温度で使用して
いる間は電線導体上の複合被覆層および電線固定
材層が通常の有機質エナメル絶縁物とほぼ同等な
機械的、電気的特性を示し、また使用中の異常な
どによつて昇温した際にはシリコーン系樹脂が分
解し、その分解生成物や無機物粉末によつて複合
被覆層および電線固定材層がセラミツク化して、
高い耐熱絶縁特性、耐熱衝撃特性等が得られるの
である。 以下図面を参照してこの発明をより詳細に説明
すると、第1図はこの発明の耐熱絶縁コイルの基
本的な構造例を示すものであつて、導体1上に後
述する複合被覆層2が形成されてなる絶縁電線3
が例えば巻枠4上にコイル巻加工されており、そ
のコイルの隣り合う電線3の間に後述する電線固
定材が充填されるとともにコイルの外表面部分に
同じ電線固定材が被覆されて、電線3の間および
コイル外表面部分に電線固定材層5が形成されて
いる。 前記絶縁電線3の導体1としては、銅線、銅合
金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、コ
ンスタンタン線、銀線、金線、白金線、ステンレ
ス銅線、さらにはニツケルや銀等の耐熱性金属も
しくは合金のメツキ銅線やクラツド銅線などの良
導電性金属線、望ましくは耐熱性を有する良導電
性金属線が用いられる。 また導体1上の複合被覆層2は、シリコーン系
樹脂と高融点無機物粉末との混合物からなるもの
である。ここで複合被覆層2に使用されるシリコ
ーン系樹脂は、複合被覆層のバインダとして作用
し、しかもコイル使用中に異常時等の高温により
焼成された時の分解後の生成物質が無機物粉末の
結合剤として作用してより強固なセラミツク層を
生成させる作用を果たすものである。このような
シリコーン系樹脂としては、各種のシリコーン樹
脂や変性シリコーン樹脂、例えばシロキサンとメ
チルメタクリレート、アクリロニトリル等の有機
モノマーとの共重合物、あるいはシリコーン樹脂
とアルキツド樹脂、フエノール樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂との共実合物など、さらにはSi
以外にTi,B,Al,N,P,Ge,As,Sb等の元
素の1種以上と酸素とを骨格に持つたシリコーン
系樹脂、またはSi以外にTi,B,Al,N,P,
Ge,As,Sb等の元素の1種以上と酸素と炭素と
を骨格に持つたシリコーン系樹脂、またはこれら
と前記有機モノマーや樹脂との共重合物等を使用
することができるが、これらの各種のシリコーン
系樹脂の内でも可撓性に優れかつ耐熱温度以上で
は炭化水素基等が徐々に分解するタイプのシリコ
ーン系樹脂、例えばメチル−フエニルシリコーン
の如く、分解温度の異なる2種以上の基を持つシ
リコーン樹脂であつて、望ましくは分解生成する
無機物量の割合がより多いものが最も適当であ
る。なお複合被覆層のバインダとしては前述のよ
うなシリコーン系樹脂を単独で使用しても良い
が、特に機械的強度等を考慮してシリコーン系樹
脂に他の有機樹脂例えばエポキシ樹脂、ポリカー
ポネート、フエノール樹脂等を混合して用いるこ
とができる。また前記複合被覆層2に使用される
無機物粉末としては、バインダとして使用される
シリコーン系樹脂の分解温度附近で半融または溶
融しないもの、すなわち望ましくは融点が550℃
以上、より望ましくは800℃以上のものであつて
電気的絶縁特性が優れたものを使用することが望
ましい。例えば結晶質粉末、ガラス質粉末、また
はこれらの混合粉末が使用され、より具体的には
アルミナ(Al2O3)、チタン酸バリウム
(BaTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チ
タン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン(ZrSiO4)、ジル
コン酸バリウム(BaZrO3)、ステアタイト
(MgSiO3)、シリカ(SiO2)、ベリリア(BeO)、
ジルコニア(ZrO2)、マグネシア(MgO)、クレ
ー、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリ
ン、あるいは通常の高融点ガラスフリツト、マイ
カ等の酸化物、ボロンナイトライト(BN)、窒化
ケイ素等の窒化物、またはこれらの混合粉末等が
使用される。これらの無機物粉末の粒径は導体の
径に応じて適宜の大きさのものが使用されるが、
通常は10μm以下のものが好ましい。また無機物
粉末の粒度は均一であつても良いが、複合被覆層
が可及的に緻密な構造となるように、大径の粒子
と小径の粒子とがうまく組合された状態とするこ
とが望ましい。 なお、導体1上の複合被覆層2に使用される前
記混合物は、無機物粉末に対しシリコーン系樹脂
が少な過ぎれば複合被覆層2の可撓性が不足して
コイル巻加工が困難となり、逆にシリコーン系樹
脂が多過ぎれば使用時において高温で軟質化して
機械的に弱くなるなどの問題がある。これらの理
由から前記混合物の配合比は、無機物粉末100部
に対しシリコーン系樹脂10〜200重量部、好まし
くは20〜60重量部とする。また複合被覆層2の厚
みは1〜100μmとすることが望ましく、1μm
未満では使用時において高温に加熱されることに
より複合被覆層がセラミツク化した場合、そのセ
ラミツク層の厚みが不足して高温における絶縁性
能が不足し、また100μmを越えれば可撓性が低
下するとともに複合被覆層が軟質化して耐摩耗性
が低下する等の問題がある。 前記複合被覆層は単層に形成されても良いし、
多層に形成されても良い。 一方、前記電線固定材5に使用される電線固定
材としては、高温時に耐熱無機物を生成するシリ
コーン系樹脂、もしくはそのシリコーン系樹脂と
高融点無機物粉末との混合物が用いられる。ここ
でシリコーン系樹脂としては前掲の複合被覆層2
に使用されるシリコーン系樹脂と同様なものが用
いられ、また高融点無機物粉末も前掲の複合被覆
層2に使用される無機物粉末と同様なものが用い
られる。そして電線固定材としては上述のように
シリコーン系樹脂を単独で使用しても良いが、そ
の場合、コイル使用中の異常時等の高温により電
線固定材層5の収縮量が大きくなつて割れが発生
するおそれもあり、その意味から電線固定材とし
ては複合被覆層2用の混合物と同様にシリコーン
系樹脂と無機物粉末との混合物を使用することが
望ましい。またその場合、シリコーン系樹脂10〜
40wt%、残部無機物粉末となるように配合比を
設定することが望ましい。シリコーン系樹脂が
10wt%未満では結合力が不足して電線固定材層
5の靭性が不足するとともに、使用中の高温時に
強固なセラミツク層が生成されず、また40wt%
を越えれば無機物粉末添加量が少なくなつて無機
物粉末を混合した効果が得られない。すなわち使
用中の高温時にセラミツク化した際の収縮量が大
きくなつて割れが発生するおそれがある。 さらに、電線固定材としてシリコーン系樹脂と
無機物粉末との混合物を使用する場合、その無機
物粉末の全部または一部としては、シリコーン系
樹脂と親和性または反応性を有する状態に表面処
理した無機物粉末、例えばビニル基、アルキルア
ミノ基、アルコキシ基などを有するシラン、アル
キルシリケートなどによつて前処理した無機物粉
末を使用することが望ましい。斯くすれば混合物
のスラリー状態における均一性が良好となり、ま
たコイル使用中の高温によりセラミツク化された
後の電線固定材層5内の結合力も増大する。さら
に前述の電線固定材には、シリコーン系樹脂もし
くはシリコーン系樹脂と無機物粉末のほか、特に
機械的強度を配慮して、有機高分子、例えばエポ
キシ樹脂、ポリカーボネート、フエノール樹脂等
を配合しても良い。 上述のような耐熱絶縁コイルを製造する際には
電線3をコイル巻加工する必要がある。しかしな
がらここで導体1上に形成されている複合被覆層
2はセラミツク化されていないものであつて、シ
リコーン系樹脂が無機物粉末のバインダとして作
用しており、したがつてその複合被覆層2は可撓
性に富み、従来の通常の有機質エナメル絶縁電線
と同様に割れが発生することなく小径のコイル巻
加工を容易に行うことができる。 またこの発明の耐熱絶縁コイルを導体1上の複
合被覆層2中のシリコーン系樹脂や電線固定材層
5中のシリコーン系樹脂の分解温度以下の常温に
近い温度で使用している間には、複合被覆層2や
電線固定材層5はセラミツク化しておらず、した
がつて複合被覆層2および電線固定材層5は高い
靭性、可撓性を示し、そのため異常に強い機械的
振動が加わつても割れが発生したり剥離が生じた
りすることがなく、しかも両層2,5は非多孔質
となつているため吸湿性が低く、多湿雰囲気で使
用しても電気抵抗が低下するおそれがなく、した
がつて常温における絶縁特性は通常の有機質エナ
メル絶縁電線と同程度の良好な特性を示す。一
方、電気機器の異常の発生等により急速に温度上
昇した場合、導体1上の複合被覆層2中のシリコ
ーン系樹脂が分解してシリカやシリカと他の酸化
物との複合酸化物等の無機物を生成し、この分解
生成物が複合被覆層2中の無機物粉末の結合材と
して作用して、その複合被覆層2が著しく強固な
セラミツク層となる。またこれと同時に電線固定
材層5の無機高分子も分解して前記同様の無機物
を生成するから、電線固定材層5がシリコーン系
樹脂のみで構成されていた場合にはその分解生成
による無機物のみのセラミツク層が形成され、一
方電線固定材層5がシリコーン系樹脂と無機物粉
末との混合物で構成されていた場合にはシリコー
ン系樹脂の分解生成物が無機物粉末の結合剤とし
て作用してより強固なセラミツク層が形成され
る。このように使用中の温度上昇により複合被覆
層2および電線固定材層5はセラミツク化し、こ
れによつて高い耐熱絶縁特性を示すようになり、
またこの際両層2,5は多孔質の焼結体となるか
ら、熱衝撃に対しても強い耐性を示すことにな
り、熱衝撃による割れを発生するおそれが少なく
なる。 前述した第1図の構成は電線3が巻枠4上に1
層のみ巻付けられているものであるが、もちろん
第2図または第3図に示すように電線3を巻枠4
に多層に巻付けても良いことは勿論である。この
場合、電線固定材層5は、要は電線3が機械振動
や衝撃等によつて移動したり擦れ合つたりしない
ように電線3を保持していれば良いから、必ずし
も電線3の間の全てに充填されていなくても良
く、また最外層の電線3の表面側にのみ被覆(す
なわちコイルの外表面部分のみ被覆)されていて
も良い。換言すれば、コイルの線間空隙部分およ
びコイルの外表面部分の内、少くとも一部に、電
線固定材すなわちシリコーン系樹脂やシリコーン
系樹脂と無機物粉末との混合物を充填および/ま
たは被覆して、前記少くとも一部に電線固定材層
5を形成すれば良い。具体的には、例えば第2図
におけるコイルの内層部分A、外層部分B、外表
面部分Cの内、いずれか1つ以上の部分に電線固
定材層5が形成されていれば良い。但し、実際上
は少くとも外層部分Bおよび外表面部分Cの内い
ずれか一方に形成されていることが望ましい。 上述のような電線固定材層5の充填もしくは被
覆部位は、その固定材の充填/被覆の方法によつ
て左右される。ここでその充填/被覆法の具体例
について説明すると、先ず第1図には、電線3を
一層巻付けるたびごとに電線固定材(すなわちシ
リコーン系樹脂、もしくはシリコーン系樹脂と無
機物粉末との混合物)を電線3上に塗布する方法
がある。この場合最終巻付層上にも塗布すれば、
内層部分A、外層部分B、外表面部分Cの全てに
電線固定材層5が形成されることになり、また最
終巻付層上にのみ塗布しなければ外表面部分C以
外の隙間の全てに電線固定材層5が形成されるこ
とになる。もちろん電線3を1層巻付けるたびご
とに電線固定材を吹付けるかまたはコイルを固定
材の溶液またはスラリー中に浸漬しても上述の場
合と同効である。次に第2の方法として、電線3
を多数巻付けた後、そのコイルを固定材の溶液ま
たはスラリー中に浸漬するかまたはそれらを塗布
もしくは吹付けて、コイルの外側から固定材を含
浸させる方法がある。この場合には巻付層数が多
ければ内層部分Aまで固定材が充填されず、外層
部分Bおよび外表面部分Cに充填、被覆され、こ
れらの部分のみに電線固定材層5が形成される。
さらに、特殊な方法として、電線3を多層に巻付
けた後、先ずシリコーン系樹脂を含浸させ、その
後シリコーン系樹脂と無機物粉末との混合物のス
ラリーをコイル表面に塗布する方法がある。この
場合にはシリコーン系樹脂は内層部分Aまで充填
され、混合物は主として外表面部分Cに被覆され
る。したがつて固定材層5は、線間部分A,Bに
おいてはシリコーン系樹脂のみからなる層、外表
面部分Cにおいては混合物からなる層となる。も
ちろんシリコーン系樹脂含浸後に混合物スラリー
も含浸させれば、混合物は外層部分Bにも充填さ
れる。なお実際には上述のような各方法を適宜組
合せても良い。 なおまた、場合によつてはコイルの線間部分、
すなわち内層部分Aおよび外層部分Bの内の少く
とも内層部分Aに潤滑性を与えるような耐熱性無
機物粉末、例えばMoS2,WS2,BN,雲母などを
充填しておき、コイルの外表面部分Cもしくは外
表面部分Cおよび外層部分Bに前記同様な電線固
定材を被覆(および充填)しても良い。この場合
電線固定材層5はコイル表面もしくは表面近くの
みに形成されているためコイルの内側部分では電
線3が機械的振動によりある程度擦れ合い易い状
態となつているが、その内側部分の線間には潤滑
性無機物粉末により潤滑性が与えられているか
ら、前述のような擦れ合いにより電線3の絶縁被
覆層2が摩耗、剥離するような事態の発生を効果
的に防止できる。 以上のようにこの発明の耐熱絶縁コイルにおい
ては、電線の導体上の被覆層がシリコーン系樹脂
と無機物粉末との混合物からなる複合被覆層で構
成され、かつ電線を固定するために線間やコイル
表面部分に充填および/または被覆されている電
線固定材層がシリコーン系樹脂もしくはシリコー
ン系樹脂と無機物粉末との混合物で構成されてお
り、しかもそれらの複合被覆層および電線固定材
層は予め人工的な焼成熱処理によつてセラミツク
化されていないものがある。したがつてコイル製
造時における電線のコイル巻加工時には被覆層に
割れや剥離が生じることなく容易に巻付加工する
ことができ、またコイルをシリコーン系樹脂の分
解温度以下の常温もしくは常温に近い温度で使用
している間は、著しく強い機械的振動が加わつて
も電線の被覆層やその電線を固定している電線固
定材層に割れや剥離が生じることがないととも
に、前記複合被覆層および電線固定材層が非多孔
性となつていて吸湿性が低く、そのため電気絶縁
特性も良好となつており、一方コイル使用中にお
いて機器の異常等によつて温度上昇した場合には
電線の被覆層および電線固定材層がセラミツク化
され、これにより高い耐熱絶縁特性が得られるよ
うになるとともに、多孔質の焼結体となるためヒ
ートシヨツクにより割れが発生することが少な
く、そのため急速に昇温,冷却が繰返された場合
でも長期間の使用に耐え得る。さらにこの発明の
耐熱絶縁コイルは、従来の耐熱絶縁コイルの場合
の如く電線上の被覆層や電線固定材を予め人工的
に焼成しておくものではないから、人工焼成熱処
理により電線の導体上の被覆層が軟化流動して隣
り合う線の導体同士が接触して線間短絡を生じる
ことがなく、また使用中の高温によりセラミツク
化する際にも各層のシリコーン系樹脂の分解生成
物質が結合剤として作用してセラミツク層を形成
するから、低温で溶融もしくは軟化流動する低融
点フリツトなどの結合剤を必要とせず、したがつ
て使用中の高温時にも各層が軟化流動して前述の
ような線間短絡を生じることなく、相当程度の高
温まで安定して使用することができ、またこれら
の理由により、電線の巻付け時に電線間隔をそれ
ほど開けておく必要がなく、そのためスペースフ
アクタが良好となり、かつ多層巻付けも容易とな
る。さらに、従来例の如く、焼成温度を考慮して
低融点のフリツトを使用したりあるいは液状ガラ
スを使用したりする必要がなく、したがつてアル
カリ金属成分を含むガラス類を使用しなくて済
み、その意味からも常温、高温絶縁特性が良好と
なり、しかも長寿命化する効果が得られる。 以上のようにこの発明の耐熱絶縁コイルは耐振
動特性、耐熱衝撃特性が良好でしかも常温および
高温における電気的絶縁特性がいずれも良好であ
り、さらにはスペースフアクタも良好であり、そ
れに加えて製造上も巻付加工が容易である等、各
種の効果が得られるものであり、したがつて耐熱
モータ、耐熱変圧器など、使用中に高温となる可
能性のある条件下で使用して有益なものである。 以下にこの発明の実施例および比較例を記す。 実施例 1 電線として外径0.70mmφのニツケルメツキ銅線
上にシリコーンワニス(樹脂分)30wt%および
アルミナ粉末70wt%の混合物からなる複合被覆
層が22μm厚で形成されたものを用い、これをボ
ビン外径50mmの巻枠上に5層にわたつて巻付け、
その後シリコーンワニス(樹脂分)20wt%、1.6
μm以下のアルミナ粉末80wt%からなる混合物
を電線間に含浸させて耐熱絶縁コイルを得た。 実施例 2 電線導体上の複合被覆層としてシリコーンワニ
ス(樹脂分)35wt%、アルミナ65wt%からなる
混合物を用い、また電線間に含浸させる電線固定
材としてシリコーンワニス(樹脂分)20%、アル
ミナ50%、融点800℃のガラスフリツト30%なる
組成の混合物を用い、その他の条件は実施例1と
同様にして耐熱絶縁コイルを得た。 比較例 電線として外径0.70mmφのニツケルメツキ銅線
上に800℃で焼成したガラス質成分を主成分とし
た被覆層が20μm厚で形成されたものを用い、こ
れを外径50mmの巻枠上に5層に巻付け、その後電
線間に融点600℃のガラスフリツトを含浸させ、
600℃×5分間焼成熱処理を施した。 各実施例および比較例についての外観観察結
果、振動試験結果、絶縁特性測定結果を第1表に
示す。なお振動試験はJIC D1601(77)法にした
がつて4Gにて行つた。 【表】
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図はそれぞれこの発明の耐熱
絶縁コイルの構造例を示す略解的な断面図であ
る。 1……導体、2……複合被覆層、3……耐熱絶
縁電線、5……電線固定材層。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 導体上に無機物粉末とシリコーン系樹脂との
    混合物からなる複合被覆層が形成された絶縁電線
    がコイル状に巻かれており、かつそのコイルの線
    間空隙部分およびコイルの外表面部分の内少なく
    とも一部には、シリコーン系樹脂もしくはシリコ
    ーン系樹脂と高融点無機物粉末との混合物を充填
    および/または被覆してなる電線固定材層が形成
    されており、高温時には前記複合被覆層および電
    線固定材層がセラミツク化することを特徴とする
    耐熱絶縁コイル。
JP7112480A 1980-05-28 1980-05-28 Heat resistance insulating coil Granted JPS56167305A (en)

Priority Applications (1)

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JP7112480A JPS56167305A (en) 1980-05-28 1980-05-28 Heat resistance insulating coil

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