JP2001286083A - 耐放射線性コイルと耐放射線性モータ - Google Patents
耐放射線性コイルと耐放射線性モータInfo
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Abstract
されるものであって、導体20の外径が0.02mm以
上1.0mm以下で、この導体20の外周にポリイミド
樹脂絶縁体21を被覆した線材を巻回した耐放射線性コ
イル。形状保持には、例えば無機系充填材を配合したシ
リコン系ワニスを使用し、モータ5の回転軸8の潤滑油
には、例えばポリフェニルエーテル系潤滑剤を使用す
る。 【効果】 高い線量の放射線照射環境で、試料を回転駆
動するような用途に適する。
Description
おいて、特に測定系駆動用のモータへの使用に適する耐
放射線性コイル及びそのコイルを使用した耐放射線性モ
ータに関する。
線の影響を調べるため、各種の実験が行われる。こうし
た実験の高度化や高精度化を目的として、試料や測定系
を動かしながら実験を進めることが要求されることがあ
る。その場合には、試料や測定系を駆動する機構が必要
になる。この駆動機構には、例えば、空気圧、水圧を使
用したものや、電気モータを使用したものが知られてい
る。これらの駆動機構は原子炉内部で中性子線やガンマ
線を繰り返し多量に浴びることになる。従って、電気モ
ータを使用する場合には、界磁に使用するコイルに対し
て耐放射線性が要求される。耐放射線性コイルには、従
来から、MIケーブル(無機絶縁電線)と呼ばれる線材
が使用されている(特開平4ー303901、特開平5
ー182526)。
な従来の技術には、次のような解決すべき課題があっ
た。図2の(a)は、従来の耐放射線性コイルに使用さ
れるMIケーブルの横断面図で、(b)はそのMIケー
ブルを使用したコイルの部分横断面図である。このケー
ブルは、図2(a)に示すように、中心に銅等の導体1
を配置し、その外周にセラミック絶縁体2とステンレス
等の金属シース3を順に被覆した構造をしたものであ
る。このように、導体1と絶縁体2とシース3の全ての
構成材に無機材料を使用することにより、耐放射線性に
優れたコイルが提供できる。
造上、剛性が高く、小さい曲げ半径でコイル巻きを行う
ことは困難である。具体的には、最小曲げ半径がシース
3の外径の2倍程度に制限される。しかも、線径が数m
m以下になると、必要な絶縁厚を確保するために、導体
1の外径とシース3の外径の比が無視出来ない程大きく
なる。即ち、図2の(a)に示すように、導体1の外径
に比べてシース3の外径が4〜5倍程度以上になるた
め、コイルに巻回したとき導体の占める断面積が小さ
い。例えば、図2の(b)に示したように、コイル断面
から見たとき、導体1の実効面積が小さくなる。原子炉
内部において、物質の耐放射線性の実験で使用されるモ
ータには、小型で高いトルクを得られるものが要求され
る。そのモータに使用されるコイルは高い電流密度の得
られる構成が望まれる。MIケーブルはこのような用途
には適さないという問題があった。
するため次の構成を採用する。 〈構成1〉放射線環境下に置かれる電気機器に使用され
るものであって、導体径が0.02mm以上1.0mm
以下で、この導体外周にポリイミド樹脂を被覆した線材
を巻回して成ることを特徴とする耐放射線性コイル。 〈構成2〉前記ポリイミド樹脂の皮膜厚は、0.005
mm以上0.07mm以下であることを特徴とする構成
1に記載の耐放射線性コイル。 〈構成3〉前記コイルの形状保持に無機系充填材を配合
したシリコン系ワニスを使用することを特徴とする構成
1に記載の耐放射線性コイル。 〈構成4〉導体径が0.02mm以上1.0mm以下
で、前記導体外周に、皮膜厚が0.005mm以上0.
07mm以下のポリイミド樹脂を被覆した線材を巻回し
て成るコイルを使用した耐放射線性モータ。 〈構成5〉モータの回転軸の潤滑油に、ポリフェニルエ
ーテル系潤滑剤を使用したことを特徴とする構成4に記
載の耐放射線性モータ。
例を用いて説明する。図1は、本発明の耐放射線性コイ
ルを使用した装置の一例を示し、(a)は耐放射線性コ
イルを使用したモータとこのモータに駆動される装置の
縦断面図、(b)は耐放射線性コイル用線材の横断面図
である。図1の(a)に示したように、モータ5は、ロ
ータ6とステータ7と回転軸8を備えている。ロータ6
は例えばネオジウム系の磁性材料を使った永久磁石によ
り構成される。ステータ7には図1の(b)に示したよ
うな断面構成の線材を用いる。これが耐放射線性コイル
である。このモータは例えば、ブラシレスのサーボモー
タとして可変速駆動される。
されている。この減速ギヤ9の駆動軸10が、ハフニウ
ムでできた窓付き中性子吸収体11に連結されている。
この窓付き中性子吸収体11は、放射線を照射するため
の試料13の周囲を矢印Aの方向に回転する。キャプセ
ル15はモータ5と減速ギヤ9と窓付き中性子吸収体1
1を包囲して保護する。
ら中性子線が照射される。ハフニウムでできた窓付き中
性子吸収体11は、毎分0.1〜毎分数十回転の速度で
試料13の周囲を回転して、試料13に照射される中性
子線量を調整する。モータ5には、リード線14を通じ
て駆動電流が供給される。
る線材は、図1の(b)に示したような構造のものであ
る。この図の導体20はニッケルメッキ銅線、絶縁体2
1はポリイミド樹脂である。このポリイミド樹脂は、例
えば、耐放射線性に優れたものとして開発され、特許公
報(特開平4ー325561号公報)等により紹介され
ているものを使用することが好ましい。なお、本発明に
は、この種のポリイミド樹脂主成分として含む耐放射線
性組成物を広く使用することができる。
使用することが好ましいが、通常の銅線でも構わない。
上記の構造の測定系に使用するモータのコイル用として
は、導体径が0.02mm以上1.0mm以下のものを
使用することが好ましい。導体径が1.0mmを越える
線材は要求されている小型モータ用には適さない。さら
に、MIケーブルに比較して、高い電流密度の小型コイ
ルを製造する上での本発明の巻線の優位性は、導体径が
1.0mm以下のものについて顕著に発揮される。ま
た、導体径が0.02mm未満は許容電流値が低いた
め、十分なトルクを得るための小型モータ用コイルとし
て適さない。
モータの実施例には、導体に絶縁体を被覆した後の仕上
がり外径が0.22mm、導体径が0.18mmのもの
を使用した。本発明の耐放射線性コイルに適する巻線の
絶縁体の皮膜厚は、0.005mm以上0.07mm以
下の範囲とするのが好ましい。絶縁体の皮膜厚が0.0
05mmに満たない場合、小型モータの駆動に要求され
る絶縁耐圧が得られない。また、絶縁体の皮膜厚が0.
07mmを越えると、線材の横断面から見た導体の占め
る面積が小さくなり、高トルク小型モータに要求される
電流密度を得ることができない。
タイプとし、形状保持にはアルミナとマグネシアを主体
とする無機系充填材を配合したシリコン系ワニスを使用
する。ポリイミド樹脂絶縁の線材を巻回したコイルに無
機系充填材を配合したシリコン系ワニスを塗布して形状
保持をすると、無機系充填材が線材の外周を包囲し密着
してコイルの隙間を埋めるため、コイル全体の耐放射線
性特性が向上するという効果がある。シリコン系ワニス
はポリイミド樹脂絶縁体に非常に良く密着し、コイルの
固定と耐放射線性アップの両方に優れた効果がある。
9の潤滑油には、ポリフェニルエーテル系潤滑剤を使用
する。モータ5の回転軸8や減速ギヤ9の磨耗による金
属粉が回転部の摩擦を高めるのを防止するためである。
ポリフェニルエーテル系潤滑剤を使用したのは耐放射線
性特性が高い潤滑油だからである。しかも、ポリイミド
樹脂絶縁の線材を巻回したコイルに付着しても、その絶
縁性を低下させることがない。また、ポリイミド樹脂絶
縁体やシリコン系ワニスを化学変化させたり劣化させる
おそれがないという効果がある。
のほか、各種自動制御のためのアクチュエータやソレノ
イド等に利用することができる。
ために次のような試験を行った。使用したモータの外径
は25mm、図1に示した装置の全長は76mmで、モ
ータの回転軸8を含めた全長が35mm、減速ギヤ9の
駆動軸10を含めた全長が41mmである。また、ステ
ータ7には、導体20の外径が0.18mm、絶縁体2
1の外径が0.22mmのものを使用した。絶縁体はポ
リイミド樹脂である。このステータ7部分のコイル絶縁
抵抗は20MΩ以上で、駆動電圧は24Vである。減速
ギヤ9の駆動軸10の先端における駆動トルクと起動ト
ルクは、3000gf/cmである。
アを主体とする無機系充填材を配合したシリコン系ワニ
スを使用した。また、モータ5の回転軸8と減速ギヤ9
の潤滑油には、ポリフェニルエーテル系潤滑剤、例えば
松村石油(株)製RG−42−1を使用した。
高速中性子の照射線量が1.5×1017n/cm2、ガ
ンマ線の線量が、3×107Gyまで、正常に運転をす
ることができた。なお、この照射線量は積分値で表現し
ている。
的な絶縁樹脂を被覆した巻線で上記のステータ7を製造
した場合には、高速中性子に耐えることはできず、ま
た、ガンマ線の線量が、106Gyに達すると絶縁破壊
を生じた。 (実施例2)0.02mmの皮膜厚を持つ巻線は、線間
絶縁破壊電圧が2400V以上であった。この巻線を使
用して実施例1のコイルを製造した場合、加工劣化によ
り対地間耐圧が1000Vになった。加工劣化というの
は、コイルに巻回したときに加わる機械的な応力等によ
り、絶縁特性が劣化することをいう。特に、小さい巻径
でコイルを製造する場合は、この加工劣化を考慮しなけ
ればならない。この巻線によるステータを使用したモー
タは実施例1の試験環境で十分な線間絶縁破壊電圧特性
を維持した。 (比較例2)
を持つ巻線は、線間絶縁破壊電圧が1100V以上であ
った。この巻線を使用してコイルを製造した場合、加工
劣化により対地間耐圧が400Vになった。本発明で要
求される小型モータの駆動電源電圧は、24V〜50V
程度である。このモータをサーボモータとして駆動する
場合の電流電圧制御電圧の特性と、長時間継続運転をす
るための保証を考慮すると、線間絶縁破壊電圧は、駆動
電源電圧の10倍程度であることが必要である。即ち、
線間絶縁破壊電圧が500Vに満たないものは、信頼性
の高い運転が期待できない。
絶縁体の皮膜厚が0.02mmを持つ巻線を用いてコイ
ルを製造したところ、導体占積率は67パーセントであ
った。これにより上記実施例1のサイズのモータを製造
し、十分な駆動トルクと起動トルク特性を得た。 (比較例3)導体の外径が0.18mm、絶縁体の皮膜
厚が0.08mmを持つ巻線を用いてコイルを製造した
ところ、導体占積率は28パーセントであった。これで
実施例3と同じ巻き数のコイルを製造すると、体積が
2.4倍になった。体積が実施例3より140パーセン
ト増大するので、目的とするトルク特性で同程度のサイ
ズのモータを得ることは出来なかった。 (実施例4)形状保持にはアルミナとマグネシアを主体
とする無機系充填材を配合したシリコン系ワニスを使用
したものと、従来一般的な、無機系充填材を含まない形
状保持剤を使用したものとを比較した場合、本発明のも
のは、耐放射線性が数十パーセント以上向上した。ま
た、ポリフェニルエーテル系潤滑剤によってその効果が
低下することは無かった。
(a)は耐放射線性コイルを使用したモータとこのモー
タに駆動される装置の縦断面図、(b)は耐放射線性コ
イル用線材の横断面図である。
るMIケーブルの横断面図で、(b)はそのMIケーブ
ルを使用したコイルの部分横断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 放射線環境下に置かれる電気機器に使用
されるものであって、導体径が0.02mm以上1.0
mm以下で、この導体外周にポリイミド樹脂を被覆した
線材を巻回して成ることを特徴とする耐放射線性コイ
ル。 - 【請求項2】 前記ポリイミド樹脂の皮膜厚は、0.0
05mm以上0.07mm以下であることを特徴とする
請求項1に記載の耐放射線性コイル。 - 【請求項3】 前記コイルの形状保持に無機系充填材を
配合したシリコン系ワニスを使用することを特徴とする
請求項1に記載の耐放射線性コイル。 - 【請求項4】 導体径が0.02mm以上1.0mm以
下で、前記導体外周に、皮膜厚が0.005mm以上
0.07mm以下のポリイミド樹脂を被覆した線材を巻
回して成るコイルを使用した耐放射線性モータ。 - 【請求項5】 モータの回転軸の潤滑油に、ポリフェニ
ルエーテル系潤滑剤を使用したことを特徴とする請求項
4に記載の耐放射線性モータ。
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JP2000092772A JP2001286083A (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | 耐放射線性コイルと耐放射線性モータ |
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JP (1) | JP2001286083A (ja) |
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- 2000-03-30 JP JP2000092772A patent/JP2001286083A/ja active Pending
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