JPS6159275B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガラス、陶磁器等のセラミツクス製
品の表面に、金、銀等の貴金属色の模様を形成す
る方法に関するものである。

従来、ガラスや陶磁器等のセラミツクス製品の
表面に貴金属色の模様を形成するには、金液、銀
液等が用いられている。これらは、金、銀等の化
合物をコロイド状にしたものであり、焼付により
金、銀自体の持つ貴金属色を呈する。しかし貴金
属を使用するので高価であり、最近の貴金属類の
価格の高騰により、これらを用いて絵付されたセ
ラミツクス製品は次第に商業ベースに乗りがたく
なりつつある。

この欠点を解消するため、本発明者は先に、
金、銀等の貴金属を使用せずしかもこれらとほと
んど同じ色彩、光沢を呈する絵付が可能なセラミ
ツクス製品の絵付方法を発明し、特願昭54−
92822号として提案した。

この方法はセラミツクス製品の表面にガラス絵
具を印刷し、印刷面が粘着性を失なわない間に、
酸化チタン等のコーテイング層を有する雲母粉末
をふりかけて印刷部分に付着させ、その後焼付け
る方法である。この方法によれば安価に美しい貴
金属色模様が形成できるが、雲母粉末を取扱うの
でその飛散により作業環境が悪化する欠点があ
り、またガラス絵具の上への雲母粉末のふりかけ
と印刷面以外の部分にふりかけられた雲母粉末の
除去の工程が必要であつて生産能率が低いという
欠点もあつた。

本発明は上記の従来技術の欠点を解決するため
になされたものであり、その主たる目的は、雲母
粉末のふりかけ及び除去の工程を必要とせず、セ
ラミツクス製品の表面に貴金属色の模様を形成す
る方法を提供することである。本発明のその他の
目的は、セラミツクス製品の表面に強固に接着さ
れた貴金属色模様を形成する方法を提供すること
である。本発明のその他の目的は、セラミツクス
製品がガラス製の透明なタンブラーであるような
場合に、外面から見た場合のみならず内面から見
たときにも美しい貴金属色を呈する模様を形成す
る方法を提供することである。そして上記の諸目
的を達成するためになされた本発明の要旨とする
ところは、表面に酸化チタンのコーテイング層を
有する雲母粉末の少量を低融点ガラスの粉末とと
もに有機溶剤で混練してなる第１絵具をセラミツ
クス製品の表面に印刷した後、この印刷面上に、
第１絵具よりも雲母粉末の混合比が大きい第２絵
具を重ねて印刷し、その後前記第１絵具、及び第
２絵具をセラミツクス製品上に焼付けることを特
徴とする、セラミツクス製品の表面に貴金属色の
模様を形成する方法にある。

本発明において使用される表面に酸化チタンの
コーテイング層を有する雲母粉末は、５〜150μ
の粒度のものである。雲母は約1.5の屈折率を持
ち、その表面にコーテイングされた酸化チタンは
約2.3の屈折率を持つ。両者はともに透明材料で
あり、入射光線は両者の境界面で反射屈折すると
ともに、白色光線のうち特定波長成分の選択的反
射と残光成分の透過が生じて白色光線が分解され
真珠のような光沢のある金属色を呈する。酸化チ
タンのコーテイング層の厚みを変化させることに
よつて光の干渉を生ぜしめ、各種の干渉色を得る
ことができる。例えば酸化チタンの光学的厚さ
（実際の厚さ×屈折率）が約140mμの場合には反
射光は銀色となり、約210mμの場合には反射光
は金色となる。更に酸化チタンの厚みが増すにつ
れて赤、青、緑等の金属色を得ることもできる。

酸化チタンのコーテイング層のみによつても
金、銀その他の貴金属色が得られるが、酸化チタ
ンの上に更にカーボンブラツク、酸化鉄等のコー
テイングを行なうと、酸化チタンの干渉色にこれ
らの物質の色が重なり、更に鮮やかな色調が得ら
れる。このほか雲母の粒度も色調に影響し、小さ
い粒度のものは絹光沢、大きい粒度のものは金属
光沢となる。粒度が５μ以下になると光沢が不足
し、逆に150μを越えると酸化チタンの付着率が
減少するとともに、スクリーン印刷を行なう場合
に目詰りを生じ易い欠点が生ずるので、雲母の粒
度は５〜150μの範囲が適当である。

本発明においては上記した雲母粉末の少量を、
多量の低融点ガラス粉末とともに有機溶剤で混練
してなる第一絵具をセラミツクス製品の表面に先
ず印刷する。雲母粉末の混合比（雲母重量／ガラ
ス重量）は例えば1/9乃至3/7程度とする。この混
合比はセラミツクス製品がガラスであるか陶磁器
であるかあるいはほうろうであるかによつて変化
させるべきである。一般にガラスの場合には第１
絵具中の雲母粉末の混合比は小さい方が良く、ほ
うろうの場合にはかなり大きくても良い。

ここにおいて使用される低融点ガラスの組成は
セラミツクス製品の種類に応じて調整すべきであ
り、陶磁器用の場合には融点が750〜800℃、ガラ
ス用の場合には550〜650℃、ほうろう用の場合に
は800〜850℃となるように調整する。低融点ガラ
スは市販品を利用することができるので、詳細な
説明は省略する。また、有機溶剤としては例えば
アクリル酸エステルと石油系混合溶剤とを混合し
たものが使用される。

上記の第１絵具をスクリーン印刷等の適当な方
法によつてセラミツクス製品の表面に印刷する。
しかる後、第１絵具よりも雲母粉末の混合比が大
きい第２絵具を、この印刷面上に重ねて印刷す
る。

第２絵具中の雲母粉末重量／低融点ガラス重量
は、２乃至10の範囲とするのが適当である。な
お、第２絵具は第１絵具と雲母粉末の混合比が異
なるほかは、第１絵具と同じ成分であつてよい。

このように第１絵具と第２絵具を重ねて印刷し
た後、セラミツクス製品を焼成すると、各絵具中
の低融点ガラスが溶解し、雲母粉末はガラス状と
なつた低融点ガラスに物理的に保持される。図面
に示されるように、第１絵具層１は低融点ガラス
が大部分を占めるのでセラミツクス製品３に対す
る接着性が大きい。第２絵具層２は雲母粉末の混
合比が第１絵具層１よりも大きいので上面からの
入射光を良く反射し、鮮やかな貴金属色を呈す
る。

第１絵具層１を設けずに雲母粉末の混合比が大
きい第２絵具層２を直接セラミツクス製品３に形
成した場合には、バインダーとして作用する低融
点ガラスが不足するために十分な接着力が得られ
ないが、本発明においては第１絵具層１が介在し
ているので、十分な接着力が得られる。なお、第
１絵具層１に対する第２絵具層２の接着力は、焼
成時に両層とも溶融又は半溶融状態となるため、
十分である。

次に本発明の実施例を示す。

〈実施例 １〉 光学的厚さが約210mμの酸化チタンコーテイ
ング層と、更にその上面に薄い酸化鉄のコーテイ
ング層とを有する粒度約50μの雲母粉末３部を、
７部の低融点ガラス粉末とともに、５部の有機溶
剤と混練して第１絵具を作成した。（いずれも重
量部で表示）次に、同じ雲母粉末７部を３部の低
融点ガラス粉末とともに10部の有機溶剤で混練し
て第２絵具を作成した。

ソーダ石灰ガラス製の透明なガラスタンブラー
の外表面に、第１絵具を用いてスクリーン印刷を
行ない、次に第２絵具を用いて、第１絵具による
印刷面上に重ねてスクリーン印刷を行なつた。こ
のガラスタンブラーを約600℃で焼付けたとこ
ろ、外表面に美しい金色の模様が形成された。接
着強度は極めて大きく、また外表面から見た場合
には雲母粉末の混合比が大であるので優れた光沢
を示すことは勿論、内表面から見た場合にも金色
に見えた。

〈実施例 ２〉 光学的厚さが約140mμの酸化チタンコーテイ
ング層を有する粒度100μの雲母粉末２部と、低
融点ガラス粉末８部とを、10部の有機溶剤で混練
して第１絵具を作成した。次に同じ雲母粉末８部
を低融点ガラス２部とともに有機溶剤６部で混練
して第２絵具を作成した。

陶器製皿の表面に上記の第１絵具をスクリーン
印刷して模様を形成した後、その上に第２絵具を
重ねてスクリーン印刷した。これを約800℃で焼
付けたところ、皿の表面に厚く盛上つた美しい銀
色の模様が形成された。接着強度は極めて大き
く、模様表面を他の陶器片と擦り合せても何等変
化は生じなかつた。

以上に説明した本発明の方法は、次のとおりの
作用効果を有する。

本発明の方法は、雲母粉末を低融点ガラスと
ともに有機溶剤で混練してなる絵具を使用する
ので、雲母粉末のふりかけ及び除去の工程を省
略してセラミツクス製品の表面に直接印刷する
ことが可能であり、雲母粉末の飛散による環境
の悪化が生ずることなく、また高い生産性が得
られる。

本発明の方法は、雲母粉末の混合比が小さい
第１絵具層の上に、雲母粉末の混合比がより大
きい第２絵具層を形成するので、すぐれた接着
力とすぐれた外観を備えた貴金属色の模様が形
成できる。

本発明の方法は、第１層の絵具中にも雲母粉
末を含有させているので、裏から見たときにも
貴金属色を呈する模様を形成することができ、
特に透明なガラス製品に対して有効である。

本発明の方法は、２層に印刷を行なうので厚
く盛上つた印刷模様が形成でき、しかもその上
面になる第２絵具中のみに多量の雲母粉末を含
有せしめたので、雲母粉末を有効的に利用する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の方法によつて形成された模様部
分の縦断面図である。 １−第１絵具の層、２−第２絵具の層、３−セ
ラミツクス製品。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表面に酸化チタンのコーテイング層を有する
   雲母粉末の少量を、低融点ガラスの粉末とともに
   有機溶剤で混練してなる第１絵具をセラミツクス
   製品の表面に印刷した後、この印刷面上に、第１
   絵具よりも雲母粉末の混合比が大きい第２絵具を
   重ねて印刷し、その後前記第１絵具、及び第２絵
   具をセラミツクス製品上に焼付けることを特徴と
   する、セラミツクス製品の表面に貴金属色の模様
   を形成する方法。