JPS6151051B2 - - Google Patents
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- JPS6151051B2 JPS6151051B2 JP53029218A JP2921878A JPS6151051B2 JP S6151051 B2 JPS6151051 B2 JP S6151051B2 JP 53029218 A JP53029218 A JP 53029218A JP 2921878 A JP2921878 A JP 2921878A JP S6151051 B2 JPS6151051 B2 JP S6151051B2
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Landscapes
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
本発明は、芯鞘構造の吸水性複合糸およびその
製造方法に関するものである。 従来より、天然繊維が繊維固有の吸湿,吸水性
能により水分をよく保持することはよく知られて
いる。一方、人造繊維のうち、特に合成繊維は、
その優れた性質から衣料用素材として非常に広範
囲に使用されているが、その多くが疎水性の重合
体よりできているために、吸湿,吸水性能に乏し
い欠点がある。近年この様な合成繊維の吸湿,吸
水性能を向上させるために、親水性合成繊維の開
発研究、あるいは疎水性合成繊維の親水性研究が
数多くなされ、例えば、親水性基をポリマー主鎖
中に導入する方法,親水性化合物をポリマー中に
練り込む方法,繊維表面に親水性化合物を塗布す
る方法などが提案されている。しかし、いずれに
おいても親水性について充分な効果を与えようと
すると、本来のポリマー繊維の有していた優れた
性能を低下させ、耐久性に乏しかつたり、織編物
として衣料にした場合に、風合、特に肌ざわりの
点で粗硬感が著るしい等種々の欠点を持つてい
た。しかも、天然繊維,親水性合成繊維のいずれ
の場合も、これらの糸条で形成された布帛が水分
を多分に保持した状態で肌に接すると、保持され
た水分のべとつきによる不快感を与える。そし
て、現存する繊維糸条では若干の差はあるがすべ
てこの欠点を有するのである。例えば、吸水性に
優れると一般に云われている木綿繊維糸条で形成
された肌着でも着用時に発汗すると布帛が肌にべ
とついて不快感を覚える。 又、合成繊維糸条から織編成された布帛の場
合、繊維自身の可とう性が小さいために肌に刺激
痛を与え、極めて着心地を悪くする場合があり、
特にこの現象は発汗し、皮膚が敏感になつた時に
著るしい。一方、木綿繊維糸条から織編成された
布帛の場合も一度洗濯すれば風合が粗硬感を呈
し、必ずしも肌ざわりは好ましくない。これらの
不快感を少なくするためには、発汗時には布帛が
肌の汗を速やかに吸い取ると共に、肌に直接触れ
る布帛表面に残留する汗を少なくし、かつ柔らか
な肌ざわりを与えるような布帛表面とすることが
必要である。即ち、体温を調節するため、汗腺を
通つてきた汗は、液体として皮膚面上に出る。こ
の汗の一部は直接布帛を構成している糸間,繊維
間の空隙を通つて外界へ放散し、一部は一旦糸
間,繊維間,或いは繊維の有する吸水能力に応じ
て繊維中に保有される。この一旦保有された汗の
一部は、保有密度勾配に基づく移動プロセスによ
り、外界側へと移動して放散される。そして、そ
れ以上の汗はどこへも移動できず、布帛中に残留
し飽和状態となる。この汗を含んだ布帛が皮膚に
接し、皮膚を濡らすので着衣時のべとつき感に結
びつくのである。従つて、人体より発散された汗
を速やかに吸収すると、皮膚と布帛の接する面に
汗を残さないことが着心地を良くする上で極めて
重要とされる。 本発明は、このような性能を具備する布帛を提
供できる糸条について鋭意研究を設けた結果、糸
条を複合糸構造とし、芯部と鞘部に使用する繊維
の役割を分担させることによつて、発汗によるべ
とつき感,刺激痛の少ない布帛を得るための複合
糸を提供するものである。 すなわち、本発明は、 1 仮撚捲縮を有しない繊度が0.9デニール以下
の単繊維が互いに交絡してなる合成繊維マルチ
フイラメント糸によつて、親水性繊維を含有す
る繊維束の周りを被覆し芯鞘構造としたことを
特徴とする吸水性複合糸。 2 繊度が0.9デニール以下の単繊維から構成さ
れる合成繊維マルチフイラメント糸と親水性繊
維を含有する繊維束とを撹乱流体処理域に供給
し処理するに際し、該撹乱流体処理域で10〜40
%多くの供給された該合成繊維マルチフイラメ
ント糸により該繊維束の周りを被覆せしめ芯鞘
構造とすることを特徴とする吸水性複合糸の製
造方法である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に使用する親水性繊維を含有する繊維束
(以下、単に繊維束と云う)とは、水分を速やか
に吸収することができる繊維、即ち、木綿,麻,
ピスコースレーヨン,キユプラレーヨン等の繊維
素繊維や水分を充分に保持することができる羊毛
繊維、さらには親水性合成繊維等を含む繊維束で
ある。親水性繊維の含有率は用途により変化させ
得るが、本発明の効果を得るためには、該繊維束
の50%以上が親水性繊維であることが望ましい。
又、該繊維束の形態としては、毛羽を有するもの
が水分保持性能が高いので望ましく、したがつ
て、ステープル繊維よりなることが望ましい。ス
テープル繊維よりなる繊維束としては、融着,接
着による無撚糸であつてもよく、仮撚手段で集束
された仮撚糸でもよいが、取扱い易さの点では、
従来の精紡機で作られた紡積糸が望ましい。 次に、本発明に使用する合成繊維マルチフイラ
メント糸は単繊維繊度が、0.9デニール以下の単
繊維からなるものであつて、ポリエステル,ポリ
アミド,ポリアクリルニトリル,ポリプロピレン
等の合成繊維からなつている。 即ち、本発明の合成繊維マルチフイラメント糸
の単繊維繊度は0.9デニール以下であることが必
要であつて、0.5デニール以下であれば、さらに
好ましい結果を得ることができる。そして繊度が
0.9デニール以下であるような極めて細い繊維
は、次の様な方法などで得られる。例えば、ポリ
エステルマルチフイラメント糸を得るために紡糸
ドラフト200〜700,紡糸引取速度3000〜5000m/
分で溶融紡糸し、単糸デニール0.2〜0.5デニール
の繊維を形成せしめた后、該繊維を定長下、又は
20%以下の伸長を与えつつ100℃以上融点以下の
温度で熱処理する方法である。 又、本発明の複合糸を効率よく形成するために
は、芯部を構成する繊維束と鞘部を構成する合成
繊維マルチフイラメント糸の混合割合が以下の範
囲にあることが好ましい。即ち、繊維束と合成繊
維マルチフイラメント糸との構成割合を合成繊維
マルチフイラメント糸が30〜80重量%を占める様
に用いることにより、繊維束の囲りを合成繊維マ
ルチフイラメント糸の多数のフイラメントが完全
に被覆し、芯鞘構造複合糸を形成できるのであ
る。 複合糸を構成する合成繊維マルチフイラメント
糸の割合が80%を超えると合成繊維マルチフイラ
メント糸の被覆状態は良好となるが、複合糸中に
含まれる前記親水性繊維の占める割合が複合糸に
対し、少なくなり吸水性能が充分得られない。一
方、合成繊維マルチフイラメント糸の割合が30%
未満となると、合成繊維マルチフイラメント糸に
よる完全被覆がむづかしくいずれも本発明の複合
糸の形成は困難となる。 本発明の複合糸は、上記のような繊維束と合成
繊維マルチフイラメント糸とを撹乱流体で処理す
ることにより、該合成繊維マルチフイラメント糸
が該繊維束の周りを被覆することで得られるが、
該撹乱流体処理域で、該繊維束より合成繊維マル
チフイラメント糸を10〜40%多く供給(オーバー
フイード)することにより、繊維束を完全に包み
込むように被覆することができ、芯鞘構造の複合
糸とすることができる。 即ち、該合成繊維マルチフイラメント糸のオー
バーフイード量が10%未満では繊維束の表面の露
出度が著るしくなり、合成繊維マルチフイラメン
ト糸により繊維束を完全に被覆することはできな
い。また、オーバーフイード量が40%を超える
と、オーバーフイード分を撹乱流体域で吸収でき
ず、合成繊維マルチフイラメント糸と繊維束との
間に張力のアンバランスを生じ糸切れの発生原因
となる。従つて、合成繊維マルチフイラメント糸
のオーバーフイードは繊維束の全てを包み込んで
しまう範囲にする必要があり、その範囲は10〜40
%である。こゝに云う撹乱流体処理は、通常のイ
ンターレースノズルを使用して行うことができる
が、乱流噴射ノズル(タスランノズル)を使用し
て行うこともできる。 本発明の複合糸は、このような構成とすること
により得られるが、第1図は本発明により得られ
た複合糸の縦方向断面図である。即ち、本発明で
得られる複合糸は、合成繊維マルチフイラメント
糸2を構成する多数の単繊維が繊維束1を含み込
む様に被覆した芯鞘構造の複合糸である。 本発明の複合糸は、このような構造であるた
め、この複合糸により得られた布帛は優れた性質
を示す。即ち、まず第一に着用中に発汗しても、
親水性繊維の作用により汗は直ちに吸収される。
この際、親水性繊維を含んだ繊維束は0.9de以下
の極めて細い合成繊維マルチフイラメント糸で被
覆されているので、優れたウイキング性を有して
いる該合成繊維マルチフイラメント糸の繊度が非
常に細いこと、および互に交絡した構造の作用に
より、汗の吸収速度は、木綿100%の布帛の汗の
吸収速度のように極めて早いのである。 次に、発汗量が多い場合は、即に述べたように
汗が布帛の繊維内又は繊維間に飽和状態か、又は
それに近い状態で残留するので、逆に木綿繊維の
ような保水率の大きい繊維からできている場合は
特に、皮膚表面を濡らし、べとつきによる不快感
を与えるが、本発明の複合糸による布帛は皮膚と
接触する面は合成繊維マルチフイラメント糸より
なるので常に乾いた感じとなり不快感を与えな
い。さらに、本発明の複合糸による布帛は、0.9
デニール以下の細い合成繊維マルチフイラメント
糸が表面に多く現われ、かつ該合成繊維マルチフ
イラメント糸が撹乱流体処理により空隙を多く有
する構造であるため、非常にソフトで柔軟な肌ざ
わりを与える優れた風合を有する。即ち、着用初
期においても、例えば木綿繊維が呈するような粗
硬感は全くなく、又、太デニールの合成繊維が与
える刺激痛(特に、発汗時の皮膚が敏感になつた
時に経験する)もなく、常に乾いた状態で、ソフ
トで柔軟な肌ざわりを与える優れた風合の布帛を
作り得るのである。 本発明の複合糸を用いた織編物は、上記のよう
に優れた特性を有するので肌着や中衣(シヤツ,
ブラウス),スポーツ用シヤツ,カツターシヤツ
等の分野に広く用いることができる。 以下、本発明を実施例により説明する。 実施例 1 〔η〕0.65のポリエチレンテレフタレートを孔
数72ホールの紡糸口金より298℃で溶融后、紡糸
ドラフト420,紡糸引取速度3800m/分で紡糸
し、冷却固化して単糸デニール0.44デニールの繊
維を得た後、1対のゴデツトローラーとワインダ
ーとの間に1対のネルソン型加熱ローラー(表面
温度210℃)を設け、最終ゴデツトローラーと該
加熱ローラーとの間で1.0倍(定長)熱処理を施
して、得られた極細のポリエステルマルチフイラ
メント糸を6本ひき揃えたものを合成繊維マルチ
フイラメント糸として用い、木綿繊維100%から
成る40S/l紡績糸を繊維束として用いた。 該紡績糸に対し、前記ポリエステルマルチフイ
ラメント糸を30%オーバーフイードしながら、両
糸条を同時に通常のインターレースノズルに供給
しし、加工速度120m/分にて撹乱加工を施した
結果、紡績糸の囲りにポリエステルマルチフイラ
メント糸が良好な状態にて被覆する芯鞘型の複合
糸が得られた。該複合糸の保水率測定結果第1表
に示す。 又、該複合糸を10ゲージの丸編機により製編
后、ウイツキング性(布帛上にビユレツトにて蒸
留水を1/15〜1/25c.c.滴下し、水滴の鏡面反射が消
えるまでの時間)を測定し、又、表面の感触およ
び水分を該布帛の30重量%含有させた時の表面の
べとつき感を官能評価した。これらの結果を合わ
せて第1表に示す。 第1表には上記の紡積糸と極細のポリエステル
マルチフイラメント糸の組み合せによるものの外
に、木綿100%紡績糸40S/lとポリエステルマ
ルチフイラメント糸75de/36フイラメント糸の
3本ひき揃え糸とを用いて同様の方法にて撹乱流
体処理を施して作成した複合糸の場合、更に木綿
紡績糸40S/l、100%、ポリエステル紡績糸
40S/l、100%の場合の結果も比較用として第
1表に併記する。なお丸編地はいずれの糸使いの
場合も同一目付に設計して供試した。
製造方法に関するものである。 従来より、天然繊維が繊維固有の吸湿,吸水性
能により水分をよく保持することはよく知られて
いる。一方、人造繊維のうち、特に合成繊維は、
その優れた性質から衣料用素材として非常に広範
囲に使用されているが、その多くが疎水性の重合
体よりできているために、吸湿,吸水性能に乏し
い欠点がある。近年この様な合成繊維の吸湿,吸
水性能を向上させるために、親水性合成繊維の開
発研究、あるいは疎水性合成繊維の親水性研究が
数多くなされ、例えば、親水性基をポリマー主鎖
中に導入する方法,親水性化合物をポリマー中に
練り込む方法,繊維表面に親水性化合物を塗布す
る方法などが提案されている。しかし、いずれに
おいても親水性について充分な効果を与えようと
すると、本来のポリマー繊維の有していた優れた
性能を低下させ、耐久性に乏しかつたり、織編物
として衣料にした場合に、風合、特に肌ざわりの
点で粗硬感が著るしい等種々の欠点を持つてい
た。しかも、天然繊維,親水性合成繊維のいずれ
の場合も、これらの糸条で形成された布帛が水分
を多分に保持した状態で肌に接すると、保持され
た水分のべとつきによる不快感を与える。そし
て、現存する繊維糸条では若干の差はあるがすべ
てこの欠点を有するのである。例えば、吸水性に
優れると一般に云われている木綿繊維糸条で形成
された肌着でも着用時に発汗すると布帛が肌にべ
とついて不快感を覚える。 又、合成繊維糸条から織編成された布帛の場
合、繊維自身の可とう性が小さいために肌に刺激
痛を与え、極めて着心地を悪くする場合があり、
特にこの現象は発汗し、皮膚が敏感になつた時に
著るしい。一方、木綿繊維糸条から織編成された
布帛の場合も一度洗濯すれば風合が粗硬感を呈
し、必ずしも肌ざわりは好ましくない。これらの
不快感を少なくするためには、発汗時には布帛が
肌の汗を速やかに吸い取ると共に、肌に直接触れ
る布帛表面に残留する汗を少なくし、かつ柔らか
な肌ざわりを与えるような布帛表面とすることが
必要である。即ち、体温を調節するため、汗腺を
通つてきた汗は、液体として皮膚面上に出る。こ
の汗の一部は直接布帛を構成している糸間,繊維
間の空隙を通つて外界へ放散し、一部は一旦糸
間,繊維間,或いは繊維の有する吸水能力に応じ
て繊維中に保有される。この一旦保有された汗の
一部は、保有密度勾配に基づく移動プロセスによ
り、外界側へと移動して放散される。そして、そ
れ以上の汗はどこへも移動できず、布帛中に残留
し飽和状態となる。この汗を含んだ布帛が皮膚に
接し、皮膚を濡らすので着衣時のべとつき感に結
びつくのである。従つて、人体より発散された汗
を速やかに吸収すると、皮膚と布帛の接する面に
汗を残さないことが着心地を良くする上で極めて
重要とされる。 本発明は、このような性能を具備する布帛を提
供できる糸条について鋭意研究を設けた結果、糸
条を複合糸構造とし、芯部と鞘部に使用する繊維
の役割を分担させることによつて、発汗によるべ
とつき感,刺激痛の少ない布帛を得るための複合
糸を提供するものである。 すなわち、本発明は、 1 仮撚捲縮を有しない繊度が0.9デニール以下
の単繊維が互いに交絡してなる合成繊維マルチ
フイラメント糸によつて、親水性繊維を含有す
る繊維束の周りを被覆し芯鞘構造としたことを
特徴とする吸水性複合糸。 2 繊度が0.9デニール以下の単繊維から構成さ
れる合成繊維マルチフイラメント糸と親水性繊
維を含有する繊維束とを撹乱流体処理域に供給
し処理するに際し、該撹乱流体処理域で10〜40
%多くの供給された該合成繊維マルチフイラメ
ント糸により該繊維束の周りを被覆せしめ芯鞘
構造とすることを特徴とする吸水性複合糸の製
造方法である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に使用する親水性繊維を含有する繊維束
(以下、単に繊維束と云う)とは、水分を速やか
に吸収することができる繊維、即ち、木綿,麻,
ピスコースレーヨン,キユプラレーヨン等の繊維
素繊維や水分を充分に保持することができる羊毛
繊維、さらには親水性合成繊維等を含む繊維束で
ある。親水性繊維の含有率は用途により変化させ
得るが、本発明の効果を得るためには、該繊維束
の50%以上が親水性繊維であることが望ましい。
又、該繊維束の形態としては、毛羽を有するもの
が水分保持性能が高いので望ましく、したがつ
て、ステープル繊維よりなることが望ましい。ス
テープル繊維よりなる繊維束としては、融着,接
着による無撚糸であつてもよく、仮撚手段で集束
された仮撚糸でもよいが、取扱い易さの点では、
従来の精紡機で作られた紡積糸が望ましい。 次に、本発明に使用する合成繊維マルチフイラ
メント糸は単繊維繊度が、0.9デニール以下の単
繊維からなるものであつて、ポリエステル,ポリ
アミド,ポリアクリルニトリル,ポリプロピレン
等の合成繊維からなつている。 即ち、本発明の合成繊維マルチフイラメント糸
の単繊維繊度は0.9デニール以下であることが必
要であつて、0.5デニール以下であれば、さらに
好ましい結果を得ることができる。そして繊度が
0.9デニール以下であるような極めて細い繊維
は、次の様な方法などで得られる。例えば、ポリ
エステルマルチフイラメント糸を得るために紡糸
ドラフト200〜700,紡糸引取速度3000〜5000m/
分で溶融紡糸し、単糸デニール0.2〜0.5デニール
の繊維を形成せしめた后、該繊維を定長下、又は
20%以下の伸長を与えつつ100℃以上融点以下の
温度で熱処理する方法である。 又、本発明の複合糸を効率よく形成するために
は、芯部を構成する繊維束と鞘部を構成する合成
繊維マルチフイラメント糸の混合割合が以下の範
囲にあることが好ましい。即ち、繊維束と合成繊
維マルチフイラメント糸との構成割合を合成繊維
マルチフイラメント糸が30〜80重量%を占める様
に用いることにより、繊維束の囲りを合成繊維マ
ルチフイラメント糸の多数のフイラメントが完全
に被覆し、芯鞘構造複合糸を形成できるのであ
る。 複合糸を構成する合成繊維マルチフイラメント
糸の割合が80%を超えると合成繊維マルチフイラ
メント糸の被覆状態は良好となるが、複合糸中に
含まれる前記親水性繊維の占める割合が複合糸に
対し、少なくなり吸水性能が充分得られない。一
方、合成繊維マルチフイラメント糸の割合が30%
未満となると、合成繊維マルチフイラメント糸に
よる完全被覆がむづかしくいずれも本発明の複合
糸の形成は困難となる。 本発明の複合糸は、上記のような繊維束と合成
繊維マルチフイラメント糸とを撹乱流体で処理す
ることにより、該合成繊維マルチフイラメント糸
が該繊維束の周りを被覆することで得られるが、
該撹乱流体処理域で、該繊維束より合成繊維マル
チフイラメント糸を10〜40%多く供給(オーバー
フイード)することにより、繊維束を完全に包み
込むように被覆することができ、芯鞘構造の複合
糸とすることができる。 即ち、該合成繊維マルチフイラメント糸のオー
バーフイード量が10%未満では繊維束の表面の露
出度が著るしくなり、合成繊維マルチフイラメン
ト糸により繊維束を完全に被覆することはできな
い。また、オーバーフイード量が40%を超える
と、オーバーフイード分を撹乱流体域で吸収でき
ず、合成繊維マルチフイラメント糸と繊維束との
間に張力のアンバランスを生じ糸切れの発生原因
となる。従つて、合成繊維マルチフイラメント糸
のオーバーフイードは繊維束の全てを包み込んで
しまう範囲にする必要があり、その範囲は10〜40
%である。こゝに云う撹乱流体処理は、通常のイ
ンターレースノズルを使用して行うことができる
が、乱流噴射ノズル(タスランノズル)を使用し
て行うこともできる。 本発明の複合糸は、このような構成とすること
により得られるが、第1図は本発明により得られ
た複合糸の縦方向断面図である。即ち、本発明で
得られる複合糸は、合成繊維マルチフイラメント
糸2を構成する多数の単繊維が繊維束1を含み込
む様に被覆した芯鞘構造の複合糸である。 本発明の複合糸は、このような構造であるた
め、この複合糸により得られた布帛は優れた性質
を示す。即ち、まず第一に着用中に発汗しても、
親水性繊維の作用により汗は直ちに吸収される。
この際、親水性繊維を含んだ繊維束は0.9de以下
の極めて細い合成繊維マルチフイラメント糸で被
覆されているので、優れたウイキング性を有して
いる該合成繊維マルチフイラメント糸の繊度が非
常に細いこと、および互に交絡した構造の作用に
より、汗の吸収速度は、木綿100%の布帛の汗の
吸収速度のように極めて早いのである。 次に、発汗量が多い場合は、即に述べたように
汗が布帛の繊維内又は繊維間に飽和状態か、又は
それに近い状態で残留するので、逆に木綿繊維の
ような保水率の大きい繊維からできている場合は
特に、皮膚表面を濡らし、べとつきによる不快感
を与えるが、本発明の複合糸による布帛は皮膚と
接触する面は合成繊維マルチフイラメント糸より
なるので常に乾いた感じとなり不快感を与えな
い。さらに、本発明の複合糸による布帛は、0.9
デニール以下の細い合成繊維マルチフイラメント
糸が表面に多く現われ、かつ該合成繊維マルチフ
イラメント糸が撹乱流体処理により空隙を多く有
する構造であるため、非常にソフトで柔軟な肌ざ
わりを与える優れた風合を有する。即ち、着用初
期においても、例えば木綿繊維が呈するような粗
硬感は全くなく、又、太デニールの合成繊維が与
える刺激痛(特に、発汗時の皮膚が敏感になつた
時に経験する)もなく、常に乾いた状態で、ソフ
トで柔軟な肌ざわりを与える優れた風合の布帛を
作り得るのである。 本発明の複合糸を用いた織編物は、上記のよう
に優れた特性を有するので肌着や中衣(シヤツ,
ブラウス),スポーツ用シヤツ,カツターシヤツ
等の分野に広く用いることができる。 以下、本発明を実施例により説明する。 実施例 1 〔η〕0.65のポリエチレンテレフタレートを孔
数72ホールの紡糸口金より298℃で溶融后、紡糸
ドラフト420,紡糸引取速度3800m/分で紡糸
し、冷却固化して単糸デニール0.44デニールの繊
維を得た後、1対のゴデツトローラーとワインダ
ーとの間に1対のネルソン型加熱ローラー(表面
温度210℃)を設け、最終ゴデツトローラーと該
加熱ローラーとの間で1.0倍(定長)熱処理を施
して、得られた極細のポリエステルマルチフイラ
メント糸を6本ひき揃えたものを合成繊維マルチ
フイラメント糸として用い、木綿繊維100%から
成る40S/l紡績糸を繊維束として用いた。 該紡績糸に対し、前記ポリエステルマルチフイ
ラメント糸を30%オーバーフイードしながら、両
糸条を同時に通常のインターレースノズルに供給
しし、加工速度120m/分にて撹乱加工を施した
結果、紡績糸の囲りにポリエステルマルチフイラ
メント糸が良好な状態にて被覆する芯鞘型の複合
糸が得られた。該複合糸の保水率測定結果第1表
に示す。 又、該複合糸を10ゲージの丸編機により製編
后、ウイツキング性(布帛上にビユレツトにて蒸
留水を1/15〜1/25c.c.滴下し、水滴の鏡面反射が消
えるまでの時間)を測定し、又、表面の感触およ
び水分を該布帛の30重量%含有させた時の表面の
べとつき感を官能評価した。これらの結果を合わ
せて第1表に示す。 第1表には上記の紡積糸と極細のポリエステル
マルチフイラメント糸の組み合せによるものの外
に、木綿100%紡績糸40S/lとポリエステルマ
ルチフイラメント糸75de/36フイラメント糸の
3本ひき揃え糸とを用いて同様の方法にて撹乱流
体処理を施して作成した複合糸の場合、更に木綿
紡績糸40S/l、100%、ポリエステル紡績糸
40S/l、100%の場合の結果も比較用として第
1表に併記する。なお丸編地はいずれの糸使いの
場合も同一目付に設計して供試した。
【表】
ここで保水率とは次の様にして測定したもので
あり、測定サンプルはいずれも総状に一定長採取
し、供試した。
あり、測定サンプルはいずれも総状に一定長採取
し、供試した。
【表】
〓重量 〓
rpm5分)間脱水し
た試料重量
保水率=
rpm5分)間脱水し
た試料重量
保水率=
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 仮撚捲縮を有しない繊度が0.9デニール以下
の単繊維が互いに交絡してなる合成繊維マルチフ
イラメント糸によつて、親水性繊維を含有する繊
維束の周りを被覆し芯鞘構造としたことを特徴と
する吸水性複合糸。 2 複合糸の30〜80重量%が合成繊維マルチフイ
ラメント糸からなる特許請求の範囲第1項記載の
吸水性複合糸。 3 繊度が0.9デニール以下の単繊維から構成さ
れる合成繊維マルチフイラメント糸と、親水性繊
維を含有する繊維束とを攪乱流体処理域に供給し
処理するに際し、該攪乱流体処理域で10〜40%多
く供給された該合成繊維マルチフイラメント糸に
より該繊維束の周りを被覆せしめ芯鞘構造とする
ことを特徴とする吸水性複合糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2921878A JPS54125750A (en) | 1978-03-16 | 1978-03-16 | Water absorbable composite yarn and production |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2921878A JPS54125750A (en) | 1978-03-16 | 1978-03-16 | Water absorbable composite yarn and production |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS54125750A JPS54125750A (en) | 1979-09-29 |
JPS6151051B2 true JPS6151051B2 (ja) | 1986-11-07 |
Family
ID=12270052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2921878A Granted JPS54125750A (en) | 1978-03-16 | 1978-03-16 | Water absorbable composite yarn and production |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS54125750A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1350872A1 (en) * | 2002-04-02 | 2003-10-08 | Faytex Corporation | Elastic hydrophobic/hydrophilic composite yarns and moisture management elastic fabrics made therefrom |
EP1350873A1 (en) * | 2002-04-02 | 2003-10-08 | Faytex Corporation | Composite yarns and moisture management fabrics made therefrom |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60134036A (ja) * | 1983-12-22 | 1985-07-17 | 東レ株式会社 | 糸または布帛 |
JPS63154676U (ja) * | 1987-11-19 | 1988-10-11 | ||
JP6468746B2 (ja) * | 2014-07-24 | 2019-02-13 | ユニチカトレーディング株式会社 | 高視認性織物 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5225143A (en) * | 1975-08-19 | 1977-02-24 | Hanjirou Fujii | Core coil yarn |
JPS6015737A (ja) * | 1983-07-06 | 1985-01-26 | Fujitsu Ltd | 音声出力制御方式 |
-
1978
- 1978-03-16 JP JP2921878A patent/JPS54125750A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5225143A (en) * | 1975-08-19 | 1977-02-24 | Hanjirou Fujii | Core coil yarn |
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EP1350873A1 (en) * | 2002-04-02 | 2003-10-08 | Faytex Corporation | Composite yarns and moisture management fabrics made therefrom |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS54125750A (en) | 1979-09-29 |
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