JPS6146271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧緩衝器のバネ荷重調整機構の改良
に関する。

例えば自動二輪車のリヤクツシヨンとして用い
られる油圧緩衝器にあつては、車高調整のため、
或は緩衝特性の変更のためコイルバネのセツト荷
重の調整が行なわれる。

このバネ荷重の調整を行うための機構は今まで
数多く提案されているが、これらの中では特にシ
リンダ外周に深さの異なる波状カム面を備えたア
ジヤスタを摺動、且つ回動自在に嵌合するととも
に、これの前記カム面をシリンダ外周に突設され
たストツパに係合し、該アジヤスタを手動で回動
せしめてこれのカム面のストツパとの係合位置を
変え、以つてアジヤスタ及びこれに当接するバネ
受を上下動せしめてコイルバネのセツト長さ及び
セツト荷重を調整する式のものが簡単であるとの
理由で実用化されている。

しかしながら、この種機構においては、アジヤ
スタ端面にコイルバネの全反力を直接受けるた
め、調整に際してはこの強い反力に抗してアジヤ
スタを移動、回動せしめる必要があり、調整には
多大な労力を要し、又操作が面倒であつた。

本考案者は斯るバネ荷重調整機構における上記
問題に鑑み、これを有効に解決すべく本考案を成
したもので、本考案の目的とする処は、シリンダ
外周に回動、且つ摺動自在に嵌合し、液状カム面
を備えて成るアジヤスタと、該アジヤスタのカム
面に当接係合してこれの位置決めを図るストツパ
とから構成される従来の機構に、シリンダに回動
自在に枢着されたレバーを付加することにより、
該レバーのてこ作用を利用して前記バネ受とアジ
ヤスタから浮動せしめ、以つて労力を要せずして
容易に、且つ効率よく調整作業を行い得るように
した油圧緩衝器のバネ荷重調整機構を提供するに
ある。

以下に本考案に係る好適一実施例を添付図面に
基づいて詳述する。

第１図は本考案に係る調整機構を有して成る油
圧緩衝器の側面図、第２図は同緩衝器下部の側面
図である。

第１図に示す油圧緩衝器１において２はシリン
ダであり、このシリンダ２内には上方よりピスト
ンロツド３が挿入され、ピストンロツド３の下端
には減衰力を発生するバルブ機構を備え、シリン
ダ２内に摺動自在に嵌合するピストン（図示せ
ず）が結合されている。尚シリンダ２内には作動
油が封入され、この作動油の流動によるエネルギ
損失で以つてシリンダ２内には所要の減衰力が発
生する。

上記ピストンロツド３の上端には上部バネ受け
を兼ねるアツパーブラケツト４が固定され、該ブ
ラケツト４の下面で、且つピストンロツド３の外
周にはストツパラバー５が設けられている。

一方、前記シリンダ２の下方外周には上下摺動
自在に下部バネ受６が嵌合しており、該バネ受６
と前記アツパーブラケツト４間にはシリンダ２及
びピストンロツド３を外方から囲む如くコイルバ
ネ７が張架されている。従つてバネ受６は常時下
方へ弾発付勢されている。

上記バネ受６の下方にはその下端面に高さの異
なる波状カム面８ａを形成して成るアジヤスタ８
が回動、且つ摺動自在に嵌合され、該アジヤスタ
８の上面は前記バネ受６を受けている。

而してアジヤスタ８はシリンダ２の外周から側
方へ突設されたストツパ９，９のカム面８ａへの
係合により位置決めされ、コイルバネ７の反力は
バネ受６、アジヤスタ８を介して両ストツパ９，
９にて支持されている。

又シリンダ２の下方外周にはその前半部１０
ａ，１０ａが二股状に分岐した側面略Ｕ字状の調
整レバー１０がその二股状前半部１０ａ，１０ａ
の略中央般折曲部をビス１１，１１にて回動自在
に枢着されており、該レバー１０の後端部はグリ
ツプ部１０ｂを構成している。そしてこのレバー
１０の回動中心、即ちビス１１，１１からグリツ
プ部１０ｂの力の作用点までの距離Ｌはビス１１
から先端までの距離ｌよりも大きく設定され、又
この距離ｌは第１図に示す如くレバー１０先端の
バネ受６への係合開始時にレバー先部１０ｃが鉛
直線となす角をθとすれば、次の関係を示す如く
設定されている。

ΔＨ＝ｌ（１−cosθ）＞Δｈ ……(1) ここに、ΔＨ：バネ受６のリフト量 Δｈ：カム面８ａの最大段差 又距離Ｌとｌとの関係は次式で表わされる。

Ｌ＞ｌ ……(2) 而して油圧緩衝器１において、これら車両用と
して用いられる場合はピストンロツド３の先端は
アツパーブラケツト４を介して車体側に連結さ
れ、他方シリンダ２の下端はロアーブラケツト１
２を介して車輪側に連結され、両者２，３は相対
伸縮動する如く構成されている。

次に本緩衝器１におけるバネ荷重調整作業を説
明する。

まずレバー１０のグリツプ部１０ｂを持つてこ
れをビス１１，１１を中心として第１図中反時計
方向（図中矢印方向）に回動せしめれば、これの
先端はバネ受６を第２図に示す如くコイルバネ７
に抗して第(1)式で示す量ΔＨだけ上動せしめ、結
果的にバネ受６とアジヤスタ８間はΔＨだけ離間
する。この時バネ７の反力は全てレバー１０を介
してビス１１，１１に負担され、アジヤスタ８に
は何ら反力が作用しないため、作業者はこれを最
大限ΔＨまで容易に持ち上げ、カム面８ａのスト
ツパ９，９との係合を解除し、これを自由に回転
させることができる。ここで、このリフト量ΔＨ
は第(1)式との関係でカム面８ａの最大段差ΔＨよ
りも大きいため、アジヤスタ８の回転に際しスト
ツパ９，９が干渉することがなく、全回転範囲に
亘つてアジヤスタ８は自由な回転を保証される。

第(2)式の関係により、レバー１０の回動はてこ
の原理で成され、従つてバネ受６を上動せしめる
に必要な力を減少せしめることができ、それだけ
作業者の労力を軽減せしめ、調整作業が、容易、
且つ効率よく進められる。

ところで、アジヤスタ８を所定角度回転させ、
これのカム面８ａのストツパ９，９との係合位置
を変え、その後レバー１０を前とは逆方向（図中
時計方向）に回動せしめれば、バネ受６はコイル
バネ７の弾発力にて再びアジヤスタ８に圧接せし
められるとともに、その高さを変更せしめられ、
結果としてコイル７のセツト長さ及びセツト荷重
が調整されることとなる。

尚以上の実施例ではレバー１０を固定式とした
が、これを取り外し式とすることもできる。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、シ
リンダ外周に回動、且つ摺動自在に嵌合し、波状
カム面を備えて成るアジヤスタと、該アジヤスタ
に当接係合してこれの位置決めを図るストツパと
から構成される従来の調整機構にシリンダに回動
自在に枢着されたレバーを付加し、該レバーのて
こ作用を有効に利用してバネ受をアジヤスタから
浮動せしめるようにしたため、労力を要せずして
容易に、且つ効率よくバネ荷重の調整を行うこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係る調整機構を有して成る油圧緩衝器
の側面図、第２図は同緩衝器下部の側面図であ
る。 尚図面中２はシリンダ、６はバネ受、７はコイ
ルバネ、８はアジヤスタ、８ａはカム面、９はス
トツパ、１０は調整用レバーである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 油圧緩衝器のシリンダ外周に摺動自在に嵌合す
   るバネ受に摺動自在に当接し、反当接側端面に波
   状カム面を備えて成るアジヤスタと、シリンダ外
   周に突設され、前記カム面に当接係合するストツ
   パと、シリンダに回動自在に枢着されたレバーと
   から構成される機構であつて、前記レバーの一方
   の腕の長さを該レバーが回動した際これが前記バ
   ネ受をアジヤスタから浮動せしめる長さに設定し
   たことを特徴とする油圧緩衝器のバネ荷重調整機
   構。