JPS6142346Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、引起し装置に付設した稈長検出機構
からの検出信号に基づいて扱深さ調節機構を駆動
して、脱穀装置への穀稈挿入長さを設定範囲内に
維持するコンバインにおける扱深さ自動制御機構
に関するものである。

一般に我国では穀稈が断続列状に育成されるの
で、穀稈列に沿う刈取り収穫（条刈り）又は穀稈
列と直交する方向での刈取り収穫（横刈り）を行
うとき、穀稈株を断続的に処理することが多くな
るものであり、且つ走行速度が低下するにつれて
穀稈の途切れ時間が長くなる。したがつて、上記
のように稈長検出機構を引起し装置に付設したも
のにあつては、引起し装置で梳き伸ばした状態で
稈長を正確に検出できる反面、前述の穀稈途切れ
のために稈長検出結果が断続的な信号となり、安
定した扱深さ制御が行えなくなることがあつた。

本考案は、引起し装置に稈長検出機構を付設し
たコンバインの扱深さ自動制御機構における上記
の問題を解決せんとしたものである。問題解決の
ために本考案が講じた技術的手段は、冒記構成の
扱深さ自動制御機構において、前記稈長検出信号
を設定時間保持するホールド回路を設けるととも
に、このホールド回路の信号保持時間を機体走行
速度の低下に応じて自動的且つ可逆的に増大すべ
く構成してあることを特徴とする。

即ち、本考案によれば走行速度変更によつて、
穀稈の途切れ時間が変化しても、常にこの途切れ
時間に対応した時間の信号保持がなされ、過不足
のない信号保持による適格な制御を行うことが可
能となつた。

以下本考案の実施例を例示図に基づいて説明す
る。

第１図はコンバインの前部を示し、クローラ走
行装置１，１を装備するとともに脱穀装置２を搭
載した走行機体の前部に、引起し装置３…刈取装
置４、複数条の刈取り穀稈を横搬送して一箇所に
合流する補助搬送装置５、合流穀稈を後部脱穀装
置２のフイードチエーン６に横倒れ姿勢で供給す
る穂先係止搬送装置７及び株元挾持搬送装置８等
を装備した刈取前処理部９が昇降自在に連結され
ている。

前記穂先係止搬送装置７と株元挾持搬送装置８
とは、後部支点Ｐを中心に一体的に上下揺動可能
に連結されたものであつて、この上下揺動によつ
てフイードチエーン６に対する穀稈挾持位置を変
更して、脱穀装置２内への穀稈挿入長さを調節す
る扱深さ調節機構１０が構成されている。

前記扱深さ調節機構１０は油圧シリンダ１１に
よつて駆動操作されるものであつて、この油圧シ
リンダ１１の制御用電磁バルブ１２が引起し装置
３に装着した稈長検出機構１３の検出結果に基づ
いて自動制御されるものである。

前記稈長検出機構１３は、引起し装置３の背部
に、穀稈との接触によつて開成する常閉型のセン
サースイツチS₁，S₂……を稈長方向に適当間隔を
もつて複数個配設して構成したものであつて、各
スイツチS₁……は第２図に示すように、前記電磁
バルブ１２の制御回路に接続され、稈長の変化が
回路中のａ点での電圧変化として取出される。

つまり、センサースイツチS₁……が４個利用さ
れた実施例の場合、稈長は５段階に検出されるも
のであつて、稈長が最下位のスイツチS₁よりも低
いときには、全スイツチS₁……が閉成維持される
ためにAND回路A₁及びトランジスタTr₁のみが作
動してａ点での電圧が決定され、又、穀稈がスイ
ツチS₁より高くスイツチS₂より低いときには、ス
イツチS₁のみが開成されるために、AND回路A₂
及びトランジスタTr₃のみが作動してａ点での電
圧が増大する。以下同様に、稈長が増大するにつ
れてAND回路A₃，A₄及びトランジスタTr₃，
Tr₄D，Tr₅が夫々順次作動してａ点の電圧が順次
段階的に増大するよう構成されている。

又、前記扱深さ調節機構１０の揺動基部には、
揺動位置を電圧（浅扱き調節位置ほど出力電圧は
大）として検出するポテンシヨメータ１４が設け
られており、このポテンシヨメータ１４からの電
圧変動信号と前記ａ点での電圧変動信号が減算器
１５に入力され、両信号の偏差が設定範囲を外れ
ると、前記電磁バルブ１２の正逆切換え駆動回路
１６及び又は１６′を作動させて油圧シリンダ１
１を伸縮作動させ、前記両信号の偏差が設定範囲
内に戻ると制御を停止するように構成されてい
る。

自動扱深さ制御の基本構成は以上の通りである
が、本考案は更に次のような構成が付加されてい
る。

つまり、前記稈長検出機構１３においては各ス
イツチS₁，S₂……が穀稈との接触によつて開成さ
れたのち接触解除によつて、閉成復帰したとき、
第３図に示すように閉成復帰時点から設定時間ｔ
だけ開成状態での信号を保持するホールド回路
H₁，H₂……が夫々設けられるとともに、各ホー
ルド回路H₁……がクローラ走行装置１の駆動部
分に設けた走行速度検出機構１７に連繋されてお
り、走行速度が減少するに伴つて信号保持時間ｔ
を比例的に増大するように構成されている。そし
て、第４図に示すようにこの信号保持時間ｔが常
に穀稈の途切れ時間t′以上となるように信号保持
時間ｔと走行速度との比例定数が設定されてい
る。尚、第３，４図におけるｂ及びｃは夫々第２
図中のｂ点及びｃ点での信号波形を示す。

上記構成によれば、植立穀稈が引起し装置３…
…にて梳き上げられて所望の刈取り立姿勢になつ
たときに、稈長検出機構１３にて段階的に稈長が
検出され、検出された稈長範囲に応じて予め設定
した位置まで扱深さ調節機構１０が駆動され、脱
穀装置２内に挿入される穀稈長さが設定範囲内に
維持される。

この場合、植立穀稈は各株ごとに断続的に引起
し装置３の作用を受けることとなるので、稈長検
出機構１３の検出も断続的となるが、ホールド回
路H₁，H₂……によつて穀稈接触状態での信号が
設定時間保持されるので、穀稈の途切れに拘わら
ず、連続的な信号に基づく制御が行われることに
なる。

しかも、ホールド回路H₁，H₂……の信号保持
時間ｔは走行速度の減少に比例して増大するの
で、走行速度変更に伴つて引起し装置３へ間欠導
入される植立穀稈の導入時間間隔が変化しても、
穀稈途切れ時間に応じた時間での信号保持が行わ
れて連続的な制御が行われるのである。

尚、前記ホールド回路H₁……の信号保持時間
ｔと走行速度との比例定数を人為的に調節できる
ように構成しておくと、圃場ごとの株間距離の変
化や、条刈り（株列に沿う刈取り）及び横刈り
（株列と直交する方向での刈取り）における株間
距離の変化に応じて適切な信号保持を行うことが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインにおける扱深さ
自動制御機構の実施例を示し、第１図はコンバイ
ンの前部を示す概略側面図、第２図は制御回路
図、第３図ｂ，ｃ及び第４図ｂ，ｃは夫々第２図
回路中のｂ点及びｃ点の信号波形図である。 ２……脱穀装置、３……引起し装置、１０……
扱深さ調節機構、１３……稈長検出機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 引起し装置３に付設した稈長検出機構１３から
   の検出信号に基づいて扱深さ調節機構１０を駆動
   して、脱穀装置２への穀稈挿入長さを設定範囲内
   に維持するコンバインにおける扱深さ自動制御機
   構であつて、前記稈長検出信号を設定時間保持す
   るホールド回路（H₁）……を設けるとともに、こ
   のホールド回路（H₁）……の信号保持時間（ｔ）
   を機体走行速度の低下に応じて自動的且つ可逆的
   に増大すべく構成してあることを特徴とするコン
   バインにおける扱深さ自動制御機構。