JPS6139445B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、基礎杭施工時に生じる掘削泥土を
僅々地上に排土することなく、しかも該掘削泥土
を利用し杭柱面を毛頭損傷する等の憂れいなくし
て、地中に支持力強固なる基礎杭を無音無振動で
容易かつ確実に施工するための基礎杭の施工装置
に関するものである。

従来、基礎杭を無音無振動にて施工する工法と
して、予めスクリユーオーガーで所定地盤を先掘
し、該先掘杭孔内に杭体を吊下挿入して施工する
先掘り工法、また掘進時に前記オーガー先端部よ
りウオータージエツトを噴射させて杭体を同時に
杭孔内に圧入施工する所謂中掘り工法が汎く用い
られているが、これら何れの工法による場合で
も、オーガーにて地盤を掘削し杭孔を掘設するが
ために、該掘削に伴つて生じる大量の土砂、泥水
等の揚上、あるいは地上への排土等の作業に相当
なる労力と日数を要し、更に爾後の残土処理上に
おいても二次的公害を齎たらしめていることは明
らかである。

しかも、斯かる公知の工法においては、杭体圧
入時に該杭体外面が杭周土壌と接触し、圧入に従
つて摩擦抵抗が大となり円滑良好な施工を求める
ことは非常に困難とされ、特に前記杭体圧入時に
おける摩擦力を低減しようとする目的から近似開
発されているところの杭表面にアスフアルト等の
瀝青材を被層してなる所謂既製塗布杭を用いる場
合、該被層面が前記摩擦抵抗によつて破壊され、
塗布杭としての機能を著しく減少する等の重大な
欠点を有していたものである。

そこで、上記の欠点を解消し、掘削泥土を地上
に排土する等の作業を必要とすることなく、塗布
杭はもとよりいかなる杭柱でも所定地盤に確実に
無音無振動にて施工できるようにするために、地
盤を掘削すると同時に掘削土砂を撹乱しながら地
中に軟泥柱体を造成し、該軟泥柱体内に既成杭を
挿入する施工法を実施しようとしたものである。
この場合、これに用いる施工装置は、掘削と同時
に掘削土砂をできるだけ効率よく撹乱して軟泥化
できることが必要である。

本発明は、上記に鑑みてなしたもので、掘削と
同時に掘削土砂を撹乱して効率よく軟泥化できる
施工装置を提供しようとするものである。

すなわち本発明の施工装置は、内部に多数の撹
乱刃を付設してなる撹乱ケーシングを、管軸の下
端部に放射状のアームを介して連設するととも
に、該撹乱ケーシングと前記管軸の内部に、軸部
に多数の撹乱刃を突設してなるオーガードリル
を、一方の撹乱刃が他方の撹乱刃間に位置するよ
うにして回転自在に挿入配置せしめたことを特徴
とするものである。

以下、本発明実施態様を例示図に基いて詳説す
る。

１は減速用の駆動モーターであつて、杭施工機
（図示省略）のリーダーガイドを上下昇降自在に
配置されており、該モーターの下面には出力軸２
が突設され、これにオーガードリル３が連動連結
されている。

オーガードリル３は先端部に掘削刃４を付設せ
るオーガーヘツド５を有し、該掘削刃４の上部に
は数枚の拡径刃６，６が拡閉自在に配設されてい
る。

該拡径刃６，６はオーガードリル３の正回転ま
たは逆回転等の回転作用によつて自動的に拡開、
或は閉刃し得る形態に構成されているが、場合に
よつては油圧あるいは他の機械力を利用して地上
より機械的に拡閉する構造とすることもできる。

７はオーガードリル３の軸芯部に設けられたセ
メントミルク、モルタル等の注入剤或は軟泥剤の
導通孔であつて、該下端部はオーガーヘツド５の
先端部にてノズル８として開口されている。

９は撹乱ケーシングであつて、管軸１０の下端
部において放射状に延設された数本のアーム１１
………によつて支承固定されており、この撹乱ケ
ーシング９と前記管軸１０に前記オーガードリル
３を回転自在に内挿した状態で管軸１０の上部を
駆動モーター１の機底部に固定連結している。

更に前記撹乱ケーシング９の内部におけるオー
ガードリル３の軸部には、適当長さの撹乱刃１２
………が多数放射状に突設されて撹乱部として形
成されている。また撹乱効果を更に良好とするた
めに、本発明の場合、第３図示のごとく撹乱ケー
シング９の内面側には前記撹乱刃１２………の上
下刃間部分にて交又する状態で多数の撹乱刃１３
………を配設して、より効果的な作用が得られる
ようにしている。

本発明の施工装置は、叙上の如き構造より成る
ものであり、この施工装置を用いて基礎杭を施工
する場合について具体例を以下に説明する。

先ず、オーガードリル３を撹乱ケーシング９に
内挿した状態で駆動モーター１に連結した施工機
（図示省略）にて所定地面に吊下し建て込みす
る。次に駆動モーター１を駆動させると、オーガ
ードリル３が回転し、先端掘削刃４にて地中を掘
進するが、該掘進時にオーガーヘツド５先端部の
ノズル８より軟泥剤Ａを吐出すれば、掘削土砂は
撹乱ケーシング９内部にて該撹乱ケーシング９内
面に付設せる多数の撹乱刃１２………およびオー
ガードリル３の撹乱刃１３………等により撹乱混
練されて軟泥状と化し、更に該軟泥土が前記掘進
による沈下に伴つて放射状アーム１１………の間
隙より上部に自動的に流動排出する（第４図）。
従つて撹拌混練されて軟泥化した泥土は撹乱ケー
シング９の上方部に抜け出すので以降の撹拌に抵
抗を与えず、掘孔内に軟泥土が残存していてもオ
ーガードリル３の回転に余分な負荷を与えないで
掘削できることになる。

斯かる状態で、オーガードリル３と撹乱ケーシ
ング９にて地盤を掘削撹乱させながら所定深度ま
で掘進し、これが所定深度に到達すれば前記軟泥
剤Ａの吐出に代えて先端地盤内にセメントミル
ク、モルタル等の凝結材Ｂを注入し（第５図）、
所定量の注入が終るとオーガードリル３、撹乱ケ
ーシング９を地上に引き上げることによつて、先
端に根固め部Ｄを一体的に形成してなる軟泥柱体
Ｃを地中に造成することができ得るのである（第
６図）。

さらに、前記根固め部の造成時に、オーガード
リル３を逆回転して拡径刃６，６を拡開回転させ
て先端部に径大なる球根孔Ｆを掘孔し、該球根孔
内にセメントミルク、モルタル等の凝結材Ｂを前
記同様に注入し、しかる後にオーガートリル３を
正転に戻して拡径刃６，６を閉刃させ、オーガー
ドリル３と撹乱ケーシング９を地上に引き上げる
ことによつて、先端部に拡径球根部Ｅを有する軟
泥柱体Ｃを容易に造成することができ得る（第８
図）。

斯くして所定の地盤内において軟泥柱体Ｃ、根
固め部Ｄ或は球根状根固めによる拡径球根部Ｅの
造成が終ると、前記軟泥柱体Ｃ内に既製杭Ｐをそ
の先端部P′が該軟泥柱体Ｃの根固め部Ｄまたは拡
径球根部Ｅに到達するまで挿入して施工が完了す
るが、前記根固め部Ｅあるいは球根部Ｅの凝結材
の固化作用によつて、第７図示の如く地中に安定
強固な基礎杭が容易に造成されるのである。

なお、前記軟泥柱体Ｃは、該軟泥柱体Ｃ内に既
製杭Ｐを自重若しくは補足加重のみで圧入でき得
る程度にまで軟泥化するのがよく、それがために
軟泥剤Ａは水、ベントナイト、CMC、界面活性
剤等をその施工地質に応じて適当に配合したもの
を使用することが最適であり、かつ前記注入時に
おいてエアーを混入すれば、より良好な軟泥柱体
Ｃが造成される。

また上記施工例では、撹乱ケーシング９を非回
転の状態でオーガードリル３のみの回転により撹
乱する場合を示しているが、本発明の施工装置と
しては、前記の撹乱ケーシング９をオーガードリ
ル３とは逆回転とするか、或は速度を異にして回
転自在の構成としたダブルオーガー式とすること
ができ、この場合、前記撹乱作用がより一層良好
確実となり、更に掘進時において、支持層到達前
に砂礫層や硬質地層等がある場合には拡径刃６，
６を拡開回転させれば、前記掘進作業が非常に円
滑容易となる。

以上の如く本発明の施工装置によれば、地盤を
掘削すると同時に撹乱しながら地中に軟泥柱体Ｆ
を造成し、該軟泥柱体Ｃ内に既製杭Ｐを挿入する
施工方法を良好確実に実施できるものである。特
に、管軸の下端部に放射状のアームを介して連設
されかつ内部に多数の撹乱刃が付設された撹乱ケ
ーシングの内部に、軸部に多数の撹乱刃を突設し
てなるオーガードリルを、一方の撹乱刃が他方の
撹乱刃間に位置するようにして回転自在に挿入配
置せしめたものであるから、撹乱ケーシング内の
掘削土砂が両者の撹乱刃が交叉する状態で撹拌さ
れ、非常に効果的な撹乱、混練作用が得られ、き
わめて能率よく軟泥化できる。しかも前記のケー
シング内にて軟泥化した掘削土砂は掘進作用に伴
つて放射状アームの間から上方に排出されるの
で、掘孔内の軟泥化した泥土の全てを常に撹拌混
練するのでなく、管軸の下端部に連設された撹乱
ケーシング内の部分でのみ撹乱されるもので、撹
乱抵抗が過度に増大せず、また掘進に伴い地盤に
圧入される前記撹乱ケーシングの孔壁との摩擦抵
抗による負荷も少ないものとなる。また撹乱ケー
シングの上方部分では管軸内のオーガードリルあ
るいは管軸が回転しても、その回転作用が孔壁に
さほどの影響を及ぼさず、したがつて孔壁を良好
に保護できる。すなわち、孔壁は撹乱部分の周辺
では撹乱作用の影響を受けて崩壊のおそれがある
が、撹乱部分より上方の部分では前記撹乱作用の
影響をほとんど受けないので、本願発明の場合上
記したように下端部にのみ撹乱ケーシングを設け
たことにより、撹乱ケーシングの圧入抵抗が局力
すくなくて、しかも孔壁の保護を撹拌部分の周辺
において良好になし得ることになる。したがつて
これらが相俟つて、掘削と同時にその掘削土砂を
撹乱しながら地中に軟泥柱体を造成し、該軟泥柱
体に既成杭を挿入する施工法を好適に実施するこ
とができる。

さらに前記の本発明装置を用いた施工法によれ
ば、従来の如く掘削泥土を地上に排土することが
なく、しかも軟泥柱体をその施工地層に応じて造
成でき、既製杭を単に自重若しくは小量の補足加
重のみにて容易かつ能率的に施工でき、また既製
塗布杭はもとよりいかなる杭体であるも、該杭面
を摩擦抵抗等による損傷懸念もなく円滑確実に無
音無振動にて施工ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の基礎杭の施工装置の概略を示
す一部欠截正面図、第２図は同上ア−ア′線横断
面図、第３図は同上の実施構造を例示する要部断
面図、第４図、第５図および第６図は基礎杭の施
工例を順次に示す施工略解図、第７図は同上施工
完了図、第８図は球根部を付設せる基礎杭施工状
態図である。 （符号の説明）、１……駆動モーター、２……
出力軸、３……オーガードリル、４……掘削刃、
５……オーガーヘツド、６……拡径刃、７……導
通孔、８……ノズル、９……撹乱ケーシング、１
０……管軸、１１……アーム、１２……撹乱刃、
１３……撹乱刃、Ａ……軟泥剤、Ｂ……凝結剤、
Ｃ……軟泥柱体、Ｄ……根固め部、Ｅ……拡径球
根部、Ｐ……既製杭。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内部に多数の撹乱刃を付設してなる撹乱ケー
   シングを、管軸の下端部に放射状のアームを介し
   て連設するとともに、該撹乱ケーシングと前記管
   軸の内部に、軸部に多数の撹乱刃を付設してなる
   オーガードリルを、一方の撹乱刃が他方の撹乱刃
   間に位置するようにして回転自在に挿入配置せし
   めたことを特徴とする基礎杭の施工装置。