JPS6138522B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はVTR（ビデオテープレコーダ）など
に用いる記録再生用狭トラツク磁気ヘツドの製造
方法に関するものである。

具体的には２個の強磁性体ブロツクに形成され
た狭トラツク部を精度良く接合した狭トラツク磁
気ヘツドの製造方法を提供するものである。

従来のフエライト材料を用いたトラツク幅が狭
いVTRヘツドにおいて、そのフエライト材料特
有の欠けを防止する目的あるいは狭トラツク幅で
あるための記録媒体との接触による摩耗を減少す
るために、そのヘツド構造として、あらかじめ所
定のヘツドトラツク幅よりも十分幅広のコアを用
い、コアのギヤツプ構成近傍のみに切欠部を設け
狭トラツク幅の寸法を得ている。また、最近の狭
トラツク磁気ヘツドにおいては狭トラツク記録、
再生における隣接あるいは隣々接トラツクのクロ
ストークが問題となり、第１図に示すような形状
のものが用いられている。このような狭トラツク
磁気ヘツドを示す公知例としては、例えば、特開
昭53―70418号公報がある。

第１図において１はコア、２は磁気テープ摺動
面、３はギヤツプ、４はガラス補強層である。ま
た、Ｔはコアの厚み、Ｗはトラツク幅である。

上記第１図に示す磁気ヘツドコアは一般に第２
図に示す形状のフエライトブロツクをガラス等で
接合した後、切断して作製する。すなわち、第２
図に示すように長方形の一対のブロツク５および
６を用意し、前記ブロツクの少なくとも一方にコ
イル巻線溝７が形成してある。そして、ブロツク
の長手方向にはトラツク幅を形成するための切欠
溝を所定の同一ピツチで８，８′のように複数本
形成され、同様にしても一方のブロツクにも９，
９′のように形成される。この時、平坦部１０，
１０′、および１１，１１′のように順次残され、
磁気ヘツドコアにした時にトラツク幅となる。こ
のように加工されたブロツクは互いのギヤツプ対
向面１２および１３にガラス等のギヤツプ規制膜
を形成した後、突合せ、熱処理して接合される。

この時、特に重要となることはギヤツプ形成す
る時に前記ブロツク５および６のトラツク部１０
と１１および１０′と１１′が精度良く突合さるよ
うにすることである。

従来、トラツク合せ操作は顕微鏡を用いトラツ
ク合せを行つた後、瞬間接着剤などで仮止めして
治具に装着し、ギヤツプ形成を行つていた。とこ
ろが接着剤で仮止めした場合、毛細管現象でギヤ
ツプ形成面にまで接着剤が入つてしまい、ギヤツ
プ長精度が得られないことや、接着剤から発生す
るガスによつてフエライトの変質などが起る欠点
があつた。

また、機械的に固定する方法においてはブロツ
ク形状が小さいことによる固定後の位置づれが問
題となつた。

本発明の目的は上記した従来技術の欠点を解消
し、寸法精度の良い狭トラツク磁気ヘツドを能率
よく製造する方法を提供するものである。

本発明は磁気ヘツドを構成する２個の強磁性体
ブロツクに複数個の狭トラツク加工溝を設け、互
いのトラツクを突合せて接合し、ギヤツプ形成を
行う狭トラツク磁気ヘツドの製造工程において、
前記強磁性体ブロツクのギヤツプ対向面にギヤツ
プ規制材を設け、これを互いに突合せて、バツフ
アー材を具備する少なくとも１個の膨張体と位置
決めする敷板とこれらを配置して押圧固定する外
枠とからなる圧接治具に前記一対の強磁性体ブロ
ツクの記録媒体対向面が上部になるように設置
し、位置決めする敷板上で前記強磁性体ブロツク
を長手方向に移動させ、互いのトラツクを所定の
位置に合せ、押圧固定した後、熱処理を行いギヤ
ツプ形成することを特徴とする磁気ヘツドの製造
方法である。

また、前記強磁性体ブロツクのトラツク合せは
マイクロメータの先端に磁石を具備する枠型治具
に前記圧接治具を固定し、磁石によつて強磁性体
ブロツクを吸引して、長手方向に移動させトラツ
ク合せを行うのが好適である。

トラツク位置合せの観察は200倍から400倍の光
学顕微鏡で行う。

本発明は直接ギヤツプ形成用の圧接治具内でト
ラツク合せを行い固定する。したがつて、トラツ
クの位置づれを起す心配がなく、そのまま熱処理
できるので能率的で、かつトラツク位置合せ精度
が良い。

ブロツクの治具内への固定は押圧用のネジで押
し、圧力はトルクメータで一定にする。

ブロツクの位置決めは上下方向を敷板で決め上
部から軽く押しておく。場合によつては真空チヤ
ツク法を用いてもよい。幅方向は押ネジをトルメ
ータで50g―cmしめ、長手方向の移動がマイクロ
メータ先端の磁石で可能な程度にしておく。

磁石で操作する方法は取り付けが簡単で、磁気
ヘツドブロツクのように磁性体でかつ小さい形状
のものを扱うのに好適で、押し戻しができる利点
がある。

上記の操作によつてトラツク位置決めを終了し
た後、トルクメータで100g―cm〜300g―cm圧力
をかけ、トラツク合せ治具を取りはずし所定の温
度で熱処理してギヤツプを形成する。

この場合、100g―cm以下の圧力ではブロツク
が動いてしまう恐れがあり、また300g―cm以上
にするとブロツクにチヤツピングやクラツクを生
ずる危険性がある。

好ましくは150g―cm〜250g―cmの範囲が良
い。

以下、本発明を実施例によつて詳しく説明す
る。

第３図は本発明に用いた圧接治具１９を示し、
第２図に示した強磁性体ブロツク（例えばMn―
Znフエライト単結晶）を装着した組立側面図を
示す。

圧接治具１９は膨張体２０および２１とバツフ
アー材２２と敷板２３と外枠２４とからなり、こ
れにフエライトブロツク５および６を配置して押
圧ネジ２５で固定してなる。

前記フエライトブロツク５および６は記録媒体
対向面となる面を上部にして配置し、膨張体２０
および２１によつてサンドイツチ状にはさみ、押
圧ネジ２５を軽くしめて仮止めしておく。

次に上記圧接治具を第４図に示すトラツク合せ
治具２６に装着しトラツク合せを行う。

第４図Ａはトラツク合せ治具に圧接治具を装着
した上面図を示す。第４図Ｂはその側面断面図で
ある。

トラツク合せ治具２６は圧接治具１９を装着す
る溝を有する非磁性ステンレス鋼製の枠型治具２
７と先端に磁石３２および３３を具備する直進マ
イクロメータ２８および２９からなつている。圧
接治具１９はスペーサー３０の壁に押し当て固定
ネジ３１で固定する。この時、スペーサー３０は
フエライトブロツク５および６の端部に磁石３２
および３３が一致するように移動できるようにす
る。

このようにしてトラツク合せの準備を完了した
後、マイクロメータを移動させ磁石３２および３
３をフエライトブロツク５周波数６の端部に押し
当て押圧ネジ２５をゆるめた後、トルクメータ３
４によつて約50g―cmでしめ、磁石の吸引力で左
右に移動できるようにしておく。この時、同時に
敷板２３の面と均一に接するように上部から押具
（図示せず）で押込んでおく。次にどちらか一方
あるいは両方のマイクロメータでフエライトブロ
ツクを移動させ光学顕微鏡（200倍あるいは400
倍）で観察しながら、フエライトブロツク５およ
び６のトラツク部１０と１１および１０′と１
１′を精度よく一致させる。

このような操作を行つた後、押圧ネジ２５をト
ルクメータによつて200g―cmでしめ付け、トラ
ツク合せ操作を完了する。次にトラツク合せ治具
２６から圧接治具１９をはずし熱処理を行つてギ
ヤツプ形成を行う。

第５図はトラツク合せ方法の一例を示すトラツ
ク部の拡大図である。ａはトラツク合せ前の状態
を示し、あらかじめ互いのトラツク１０と１１お
よび１０′と１１′を多少接するようにしておく
と、トラツク合せ操作の段階で有利である。例え
ば、ｂのような位置からトラツク合せを行つた場
合、互いのトラツクの端部が当る可能性があり、
欠けを生ずるので注意する必要がある。ｃはトラ
ツク合せを完了した図を示し、本発明法によれば
トラツク幅60μｍに対して、±３μｍ以下で調節
できることを確認した。

本発明法に用いる磁石はSmCo系のものが好ま
しく、吸引力の強い方が操作し易い利点がある。

以上に述べたように本発明法によれば圧接治具
内で直接トラツク合せができるため、能率的でか
つ簡単で精度よい狭トラツク磁気ヘツドを製造す
ることができ、ギヤツプ形成も簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図はVTRなどに用いられている狭トラツ
ク磁気ヘツドを示す鳥瞰図、第２図は狭トラツク
磁気ヘツドを製造するための２個の強磁性体ブロ
ツクを示す鳥瞰図、第３図はギヤツプ形成を行う
ために強磁性体ブロツクを配置した圧接治具の組
立側面図、第４図は圧接治具を装着したトラツク
合せ治具を示す図、第５図はトラツク合せ方法の
一例を示す強磁性体ブロツクのトラツク部拡大図
である。 各図において、１はコア、３はギヤツプ、４は
ガラス補強層、５および６はブロツク、８，
８′，９および９′は切欠溝、１０，１０′，１１
および１１′はトラツク部、１２および１３はギ
ヤツプ対向面、２０および２１は膨張体、２２は
バツフアー材、２３は敷板、２５は押圧ネジ、３
２および３３は磁石、２８および２９はマイクロ
メータ、３１は固定ネジ、３４はトルメータであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁気ヘツドを構成する２個の強磁性体ブロツ
   クに複数個の狭トラツク加工溝を設け、互いのト
   ラツクを突合せて接合し、ギヤツプ形成を行う狭
   トラツク磁気ヘツドの製造方法において、前記強
   磁性体ブロツクのギヤツプ対向面にギヤツプ規制
   材を設け、これを互いに突合せて、バツフアー材
   を具備する少なくとも１個の膨張体と位置決めす
   る敷板とこれらを配置して押圧固定する外枠と固
   定ネジとからなる圧接治具に前記一対の強磁性体
   ブロツクの記録媒体対向面が上部になるように設
   置し、位置決めする敷板上で前記強磁性体ブロツ
   クを長手方向に移動させ、互いのトラツクを所定
   の位置に合せ、押圧固定した後、熱処理を行いギ
   ヤツプ形成することを特徴とする狭トラツク磁気
   ヘツドの製造方法。 ２ 前記強磁性体のトラツク合せ操作後、圧接治
   具に押圧固定する際、トルクメータを用いて
   100g―cm〜300g―cmの範囲で加圧することを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の狭トラツク
   磁気ヘツドの製造方法。