JPS6136821Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用ボールジヨイントに使用す
るラバースプリングに関し、特に原料ゴム中にガ
ラス繊維を配合した高剛性のラバースプリング部
材を波形環状形状に成形して弾発性と耐久性を向
上するようにした波形ラバースプリングに関す
る。

従来、自動車のステアリングリンケージ、サス
ペンシヨン等に使用されるボールジヨイントとし
ては、例えば第１図に示すようにものがある。

第１図において、１はボールジヨイントソケツ
トであり、ボールジヨイントソケツト１内にはボ
ールスタツド２の球部２ａが上下に分割したボー
ルシート３，４の包着により摺動自在に収納さ
れ、ボールスタツド２に所要の作動トルクを持た
せるために、ボールジヨイントソケツト１の下端
部にカシメ固着されたエンドカバー５の間にコイ
ルスプリング６を設け、コイルスプリング６の圧
縮によるバネ荷重によりボールスタツド２にプリ
ロードを加えて所要の作動トルクを得るようにし
ている。

ところで、このようなコイルスプリング６を用
いた従来のボールジヨイントではピアノ線等で作
られたコイルスプリング６のコストが高く、また
所要の作動トルクを得るため比較的大きなスプリ
ング収納スペースを必要としてボールジヨイント
が大型化していた。

そこで、第２図に示すように、コイルスプリン
グ６の代りに、金属性の波形座金７を使用してコ
ストの低減とボールジヨイントの小型化を図るこ
とが考えられている。

しかしながら、波形座金７をコイルスプリング
の代りに用いた場合には、第３図のグラフに示す
ように、コイルスプリングの変位に対するバネ荷
重の曲線Ａに対し、波形座金７の特性曲線Ｂは、
変位に対するバネ荷重の増加が急激すぎ、ボール
スタツド２を介して加わる振動や衝撃を吸収する
ための弾力性が低く、小型化は図れるもののボー
ルジヨイント用としては不向きであるという問題
点があつた。

一方、弾力性を向上するには、ラバースプリン
グを用いることが考えられるが、ラバースプリン
グでは逆に剛性が低いため使用中におけるボール
スタツドの作動トルクの低下が著しく、耐久性に
欠けるという問題点があつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、弾力性、弾発性及び耐久性の
各々を満足するボールジヨイントに適したラバー
スプリングを得るため、原料ゴム中に長繊維長の
ガラス繊維を配合した高剛性ラバースプリング用
部材を波形環状形状に成形することにより、上記
問題点を解決することを目的とする。

以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第４図は、本考案の波形ラバースプリングを用
いたボールジヨイントの断面図である。

まず、構成を説明すると、１はボールジヨイン
トソケツトであり、このボールジヨイントソケツ
ト１内に上下に分割したボールシート３，４によ
りボールスタツド２の球部２ａが摺動自在に収納
され、下側のボールシート４とボールジヨイント
ソケツト１の下端部にカシメ加工により固着され
たエンドカバー５との間に本考案の波形ラバース
プリング１０が装着されている。

尚、８はダストカバーでボールジヨイントソケ
ツト１に対するボールスタツド２の取付部位を覆
つて水、ほこり等の侵入を防止している。

第５図は、第４図の実施例に於ける本考案の波
形ラバースプリング１０を取り出して示した斜視
図であり、この波形ラバースプリング１０は原料
ゴム中に所定長さの繊維長を持つガラス繊維を配
合したラバースプリング用部材を波形環状形状に
成形したものであり、ゴム中に配合したガラス繊
維により単に原料ゴムのみを用いたラバースプリ
ングに比べ圧縮変形に対する剛性が高められてい
る。

次に作用を説明する。

まず、第４図に示すボールジヨイントの組み立
てに際しては、ボールジヨイントソケツト１内に
ボールシート３，４とともにボールスタツド２の
球部２ａを組み込んだ後に、ボールジヨイントソ
ケツト１の下側より第５図に示す本考案の波形ラ
バースプリング１０を入れ、次いでエンドカバー
５を圧入してボールジヨイントソケツト１の下端
部を内側に屈曲変形させるローラカシメ加工によ
り波形ラバースプリング５を押圧し、ボールシー
ト３，４の接触力によりボールスタツド２に所要
の作動トルクを持たせる。

このように本考案の波形スプリング１０を組み
込んだボールジヨイントに於ける波形ラバースプ
リングの軸方向の変位に対するバネ荷重は、第６
図の曲線Ｃに示す特性となる。尚、第６図は第１
図に示した従来のコイルスプリングによる特性曲
線Ａ及び第２図に示した波形座金による特性曲線
Ｂを合わせて示している。

この第６図の特性曲線Ｃから明らかなように、
本考案の波形ラバースプリング１０によれば、ボ
ールスタツド２の軸方向に作用する荷重が小さい
時には、波形ラバースプリング１０の波形形状が
軸方向の荷重を受けて偏平化し、第６図の特性曲
線Ｃに於けるC₁の部分に示すように、荷重の変
化に対する波形ラバースプリングの軸方向の変位
が大きく、一方、ボールスタツド２を介して波形
ラバースプリング１０に加わる軸方向の荷重が大
きい場合には、波形形状の偏平化に加えて波形ラ
バースプリング１０を形成するゴム自体の圧縮変
形により荷重を受け、この結果、第６図の特性曲
線Ｃに於けるC₂部分に示すように、バネ荷重の
増加に対する波形ラバースプリング１０の軸方向
の変位はわずかとなる。すなわち、ボールスタツ
ド２を介して加わる外力に対し、外力が小さい時
には変位量を大きくして十分な弾力性により振動
もしくは衝撃等の吸収をはたし、一方、外力が大
きくなつた場合には変位に対するバネ荷重が急激
に増加して外力に対する適正な弾発力を発生する
ことができる。又、波形ラバースプリング１０に
加わる外力に対する弾発力は波形形状のたわみ弾
性と波形ラバースプリング本体の弾力を使用して
いるため、ボールスタツド２を介して繰り返し振
動もしくは衝撃等による外力が作用したとして
も、波形ラバースプリング１０のへたりが少なく
長期間にわたつて弾発力を維持することができる
という優れた耐久性能が得られている。

第７図は本考案の波形ラバースプリングの他の
実施例を示した断面図であり、この実施例は波形
ラバースプリング１０を円盤状に形成し、その中
心部を外力の作用する方向に突出した波形突出部
１２を形成するようにしたことを特徴とする。こ
の波形突出部１２を中央に有する波形ラバースプ
リング１０に於いても、軸方向の外力が小さい時
には波形突出部１２の変形により弾発力を生じ、
外力が大きくなると波形スプリング１０本体の圧
縮変形により弾発力を発生するようになり、第６
図の特性曲線Ｃと同等な変位に対するバネ荷重の
特性を得ることができる。

以上説明してきたように、本考案によれば、原
料ゴム中に長い繊維長のガラス繊維を配合した高
剛性ラバースプリング部材を波形環状形状に成形
するようにしたため、この波形ラバースプリング
をボールジヨイントに用いた場合には、小さな外
力に対しては十分な変位量を持つて外力を吸収す
る弾力性を生じ、一方外力が大きくなると変位量
が小さくなつて大きな外力に対抗する十分な弾発
力を生じ、原料ゴム中に配合したガラス繊維の剛
性によつてラバースプリング自体の剛性が高めら
れていることから、繰り返し外力が作用しても波
形ラバースプリングがへたつてしまうことがな
く、バネ力の耐久性能を大幅に向上させることが
でき、又、従来のコイルスプリングを用いた場合
に比べスプリングの収納スペースを小さくでき、
これによつてボールジヨイントの小型化が達成さ
れ、更に波形ラバースプリングは量産性に富むこ
とからコストの低減を図ることができるという効
果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はコイルスプリングを用いた従来のボー
ルジヨイントの断面図、第２図は波形座金を用い
た従来のボールジヨイントの断面図、第３図は
１，２図におけるスプリング部材の変位に対する
バネ荷重の関係を示したグラフ図、第４図は本考
案の波形ラバースプリングを用いたボールジヨイ
ントの断面図、第５図は本考案の波形ラバースプ
リングの一実施例を示した斜視図、第６図は本考
案の波形ラバースプリングの変位−バネ荷重特性
を従来例と対比して示したグラフ図、第７図は本
考案の他の実施例を示した断面図である。 １……ボールジヨイントソケツト、２……ボー
ルスタツド、２ａ……球部、３，４……ボールシ
ート、５……エンドカバー、８……ダストカバ
ー、１０……波形ラバースプリング、１２……波
形突出部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 原料ゴム中に長い繊維長のガラス繊維を配合し
   た高剛性ラバースプリング部材を波形環状形状に
   成形したことを特徴とする波形ラバースプリン
   グ。