JPS6135308Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、プレス機械における成型用金型に
係わり、更に詳しくは、例えばパンチプレスにお
けるバーリング用金型に関するものである。

一般に、バーリング加工とは、板材の一部に穴
を明けて、所定の高さにフランジ部を曲げ起す加
工のことを言う。

ところで、従来パンチプレス、あるいはNC装
置付のタレツトパンチプレス等により、穴抜き加
工、及びバーリング加工等を含む製品を加工する
場合、加工後の製品の移送を円滑にさせるために
通常は、バーリング加工の立上り部分（フランジ
部）を、被加工材の表面（あるいは上面）に位置
するように加工している。

しかし、上記のような加工の場合、穴抜加工に
より生ずる“バリ”の方向は、被加工材の裏面
（あるいは下面）である。従つて、製品の表面が
上記のように加工表面と一致する時は別に問題は
生じないが、被加工材の裏面が製品の表面になる
場合には、“バリ”が製品の表面に現われるので
具合が悪い。

そこで、従来ではかかる不具合を回避するため
に、先ず、被加工材の穴抜き加工（当然にバーリ
ングの下穴加工も含む）を行ない、次いで加工材
の表裏を反転し、上向きのバーリング金型でバー
リング加工を行なつていた。これにより、被加工
材の移送も滑らかに行なうことができ、かつ、製
品の表面に、“バリ”でのでるのを防止してい
た。

しかしながら、上記のような加工方法では、常
に被加工材の反転作業を必要とし、しかも被加工
材のクランプをやり直すことによる精度の低下等
の問題があつた。

この考案は、かかる従来の諸問題に鑑み、これ
を有効に解決したもので、その目的とするところ
は、加工時において、被加工材を反転することな
く円滑に移送でき、かつ精度良く加工を行なうこ
とができるようにした下向き形式のプレス機械に
おける成形用金型を提供するものである。

以下、添付図面に基づいて、この考案の好適一
実施例を説明する。

第１図は、例えばタレツトパンチプレス１の上
型３と、下型５とを示し、上型３を構成するパン
チ７はパンチガイド７ａに沿つて昇降自在に設け
られている。

また一方、前記上型３の下方に対向して設けら
れた下型５は、バーリング加工を行なうバーリン
グ金型１１である。

このバーリング金型１１は、ダイ１３上にシヨ
ルダースクリユー１５、及び圧縮弾機をなすリタ
ーンスプリングの如き弾機１７に付勢され、前記
シヨルダースクリユー１５の肩下長さに規制され
る高さに浮上した位置を占める截頭円錐環体のエ
ジエクタープレート１９がダイ１３の円柱状突起
部に遊嵌されている。

上記エジエクタープレート１９の上面には、第
２図に示すように、ダイ１３、及びエジエクター
プレート１９の中心部に形成されたパンチ挿通孔
２１を中心に、放射状（この実施例では十文字
状）のガイド溝２３が穿設されている。

ガイド溝２３の深さは、少なくとも、被加工材
Ｍをバーリング加工した際、そのバーリング加工
の立上り部（フランジ部）が通過し得る深さに加
工するのが望ましい。

また上記の実施例は、バーリング金型１１につ
いて実施した場合について説明したが、例えば、
バーリング加工に類似する成形加工、即ち、カウ
ンターシンク等に要する下方に突出した部分を有
する成形加工や、球状の絞出し加工等にも応用で
きることは言うまでもない。

この考案は、上記のように構成されているた
め、例えば、第２図の一点鎖線に示すように、パ
ンチ７を下降させて、被加工材Ｍにあらかじめ加
工されている下穴をパンチングすると、エジエク
タープレート１９は、弾機１７の弾性力に抗して
下降する。そして、エジエクタープレート１９
が、ダイ１３の上面に当接した際、パンチ７がパ
ンチ挿通孔２１に嵌合して、バーリング加工が終
了する。

このような状態から、パンチ挿通孔２１及び製
品からパンチ７を上昇させると、加工された製品
は、ダイ１３とエジエクタープレート１９との間
に介装された弾機１７の弾性力によつて、加工前
の位置まで押し上げられる。

そして、このような製品を、エジエクタープレ
ート１９から取外す際には、バーリング加工した
“バリ”の部分を、エジエクタープレート１９に
形成されたガイド溝２３に沿つて移動させれば、
製品を円滑に移動させることができる。

なお、上記の実施例は、被加工材Ｍにあらかじ
め下穴を加工したものを使用するため、一行程の
金型について説明したが、２行程の金型でも可能
である。

この考案は、上記のようにプレス機械における
下型の加工側表面に、パンチ挿通孔を中心とし
て、放射状のガイド溝を穿設したため、例えばバ
ーリング加工を行なつた製品を移動する場合、そ
の“バリ”の部分をガイド溝に沿つて円滑に移送
でき、また、製品の表面に“バリ”のでるのを防
止することができる。

更に被加工材Ｍを放射方向のガイド溝２３を持
つ截頭円錐環体であるエジエクタープレート１９
で浮上させて保持したから、被加工材Ｍを平面で
浮上させた高さ位置に支承し、上型３のパンチガ
イド７ａの下面の衝撃的な下圧で加工する時に、
被加工材Ｍに傷を残すおそれがない効果が得られ
る。

また、従来のように、被加工材の反転作業を必
要としないので、被加工材のクランプをやり直す
必要がなく、精度良の良い加工を行なうことがで
きる。

更に、構成が極めて簡単であるため、安価に製
作できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、タレツトパンチプレスの上型と、下
型を示す縦断面図、第２図は、第１図の−線
に沿う平面図である。 図面中に表わされた主要な符号の説明、５……
下型、Ｍ……被加工材、７……パンチ、２１……
パンチ挿通孔、２３……ガイド溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板材にバーリング加工などを行なう成形用金型
   にして、ダイ（下型）の中心にパンチ挿通行孔を
   備えた円柱状突起部を設け、該円柱状突起部に遊
   嵌され複数のシヨルダースクリユーに案内されか
   つ複数のシヨルダースクリユーの肩下有効長さに
   よつて規制される高さに圧縮弾機によつて付勢さ
   れて浮上位置を占める截頭円錐環体のエジエクタ
   ープレートを設け、該エジエクタープレートの頂
   面に放射方向のバーリング等の加工部（フランジ
   部）が通過自在なガイド溝を設けたことを特徴と
   するプレス機械における成形金型。