JPS6131536Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はブレーキケーブルの係止調整構造の改
良に係り、特にブレーキケーブルの端部を連結固
着したロツドとブレーキアームとの係止状態にお
ける調整に際し、上記ロツドに螺合したナツト部
材の螺回に伴つてロツドが共廻りすることなく、
以つて簡単・確実に調整を行い得るようにしたブ
レーキケーブルの係止調整構造に関するものであ
る。

ケーブルの引張動により車輪に制動作用を行う
ブレーキ、所謂ドラムブレーキタイプのブレーキ
調整にあつては、従来はブレーキアームの先部に
係止したロツドをレンチ等で押え、ロツドに螺合
したナツト部材を螺回して行つていた。

即ち一方の手でロツドを、他方の手でナツト部
材を夫々支持しつつ上記調整を行うため、その作
業自体が面倒であり、又車両の構造上からロツド
を支持することが困難である場合には、ナツト部
材の螺回に伴つてロツドが共廻りする虞れがあ
り、以上の改善が望まれる。

本考案は斯る要望に応えるべく成されたもの
で、この目的とする処は、ナツト部材の螺回に伴
つてロツドが共廻りすること一切なく、しかもロ
ツドを支持する必要なく、簡単・確実に調整を行
うことができ、以つて作業性向上に資するブレー
キケーブルの係止調整構造を提供することにあ
る。

従つて本考案の目的とする処は、ブレーキケー
ブルの端部を連結固着したロツドのネジ部に長さ
方向に連続する平坦面を形成し、ブレーキアーム
の先部に設けたストツパー部材に上記ロツドのネ
ジ部の断面形状と略等しい挿通孔を形成し、上記
ロツドのネジ部を上記ストツパー部材の挿通孔に
挿通して蝶ナツト等のナツト部材を該ネジ部に螺
締して成るブレーキケーブルの係止調整構造を提
供することにある。

更に本考案の目的とする処は、前記ストツパー
部材の前記ナツト部材との当接面を曲面形状とす
るとともに、ナツト部材の同当接面を上記曲面形
状に倣う曲面形状とすることにより、係止状態の
緩みを防止し、確実な係止状態を保証するブレー
キケーブルの係止調整構造を提供することにあ
る。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図はブレーキ作動機構の概略斜視図、第２
図はブレーキカム軸のシール構造を示す縦断側面
図、第３図は本考案に係るブレーキケーブルの係
止調整構造を示す側断面図、第４図は同要部であ
るストツパー部材の平面図である。

ブレーキ作動機構１は、車両の車輪と同軸的に
設けられる固定側部材であるブレーキパネル２
と、該パネルに挿通支持されるブレーキカム軸３
と、該カム軸３と一体に回動するインジケーター
４及びブレーキアーム５と、該ブレーキアーム５
の先部に係止され、ブレーキ作動を行わしめるブ
レーキケーブル６と、上記アーム５を常時ブレー
キ不作動方向に弾発付勢するコイルスプリング７
等から構成される。

ブレーキカム軸３の一端には平坦状のカム部３
ａを形成し、カム軸３の回転によりカム部３ａが
ブレーキシユーの外径を増大せしめ、ドラムブレ
ーキを作動させて車輪（以上図示せず）のブレー
キ制動を行う。該カム軸３の他端にはインジケー
ター４、ブレーキアーム５がセレーシヨン嵌合さ
れ、ボルト８及びナツト（図示せず）により以上
を一体化し、ブレーキアーム５の先部に係止した
ケーブル６の引張により、コイルスプリング７の
弾発力に抗して該アーム５が図中反時計廻りに回
動して上記ブレーキ制動が行われる。この時イン
ジケーター４も同様に回動し、パネル２に予め標
したマーク（図示せず）に対する偏位量を視認す
ることにより、ブレーキシユーの摩耗を検知する
ことができる。斯るインジケーター４の基部には
円形凹部４ａを形成し、該円形凹部４ａ内には第
２図に示す如くラバー等のリング状シール部材９
が囲繞保持されカム軸３のシール作用を行う。

次に本考案に係るブレーキケーブルの係止調整
構造を述べると、鋼板等の金属板を折曲して成る
ブレーキアーム５の先部を二股状５ａ，５ａに適
宜離間し、該二股状先端５ａ，５ａ間にピン１０
を挿通固着し、該ピン１０には予め後述するロツ
ド１１を挿通する遊合孔１０ａをその径方向に貫
通形成する。ブレーキケーブル６の端部にはロツ
ド１１を連結固着し、該ロツド１１は適宜長さを
有し、その外周にはネジ部１１ａを刻設して成
り、ネジ部１１ａには長さ方向に連続する平坦面
１１ｂを形成する。

ストツパー部材１２は金属板から成り、上記ピ
ン１０の外周形状に倣う側面略円弧状に形成し、
上記アーム５の二股状先部５ａ，５ａ間に臨む両
端部を平坦状の突当て部１２ａ，１２ａとする。
斯るストツパー部材１２の中間部、即ち円弧状部
の中央部には、上記ピン１０の遊合孔１０ａと同
軸的に、上記ロツド１１のネジ部１１ａの断面形
状と略等しい係合挿通孔１２ｂを形成する。つま
り挿通孔１２ｂは円形ではなく、第４図では左側
に直線部１２ｃを形成して成る優弧状である。

ナツト部材である蝶ナツト１３には、上記ロツ
ド１１のネジ部１１ａに螺合するネジ孔１３ａを
貫通形成し、該蝶ナツト１３の下面、即ち上記ス
トツパー部材１２の円弧状上面１２ｄとの当接面
を同様の倣い円弧面１３ｂとする。

以上から成る本考案のブレーキケーブルの係止
調整構造構成部材の組付手順を以下に述べる。

先ずブレーキアーム５の二股状先部５ａ，５ａ
間に挿通固着したピン１０の遊合孔１０ａにブレ
ーキケーブル６の端部を連結固着したロツド１１
のネジ部１１ａを挿通し、該ネジ部１１ａにはス
トツパー部材１２を係合装着し、該ストツパー部
材１２を介して蝶ナツト１３をロツド１１のネジ
部１１ａに螺合する。この時ブレーキアーム５は
コイルスプリング７により弾発付勢されているた
め、ピン１０に対しストツパー部材１２を介して
蝶ナツト１３が押接する如くなる。

斯る螺合状態において、ストツパー部材１２の
係合挿通孔１２ｂはロツド１１のネジ部１１ａと
係合関係、即ち挿通孔１２ｂの直線部１２ｃとネ
ジ部１１ａの平坦面１１ｂとが当接係合している
ため、且つストツパー部材１２がアーム５の二股
状先部５ａ，５ａ間に臨むとともに、その円弧状
下面１２ｅがピン１０の外周に当接しているた
め、蝶ナツト１３の螺回に伴つてストツパー部材
１２が共廻りすることなく、従つてロツド１１が
共廻りすることなく、簡単・確実に片手でもつて
調整を自在に行うことができる。

又蝶ナツト１３の螺回により、ストツパー部材
１２がピン１０に対して若干揺動しても、既述の
如く該ストツパー部材１２にはその両端部に突当
て部１２ａ，１２ａを設けてあるため、突当て部
１２ａ，１２ａがアーム５の二股５ａ，５ａに突
き当たつて更なる揺動を阻止することができる。

更にナツト部材である蝶ナツト１３の下面は円
弧面１３ｂであるため、ストツパー部材１２の円
弧状上面１２ｄと螺締調整完了時に係合保持され
ることとなり、蝶ナツト１３自体の螺締状態にお
ける緩みを防止し、以つてブレーキケーブルの係
止状態を確実に保証することができる。しかも蝶
ナツト１３は半回転毎に上記の如くストツパー部
材１２に係合保持されるため、微調整が可能であ
り、且つ他のロツクナツト等の緊締部材を一切必
要としない。

尚以上実施例では、ブレーキアーム５の先部を
二股状５ａ，５ａとし、該二股状先部５ａ，５ａ
にピン１０を挿通固着せしめたが、本考案はこれ
に限定されるものではなく、要はストツパー部材
１２をアームの先部に直接或は間接的に設ければ
良い。又ストツパー部材１２の上面及びナツト部
材である蝶ナツト１３の下面を同様の円弧状面と
したが、円弧状のみに限ることなく、ピン１０の
外周形状に倣う略円弧状であれば足りるのは勿論
である。

以上から明らかなように本考案によれば、ナツ
ト部材の螺回に伴つてロツドが共廻りすること一
切なく、しかもロツドを支持する必要なく、簡
単・確実に調整を行うことができ、以つて調整作
業の向上化に資するとともに、係止状態における
ナツト部材の緩みを防止して確実な係止状態を保
証し得る等頗る実用性に富むブレーキケーブルの
係止調整構造を提供することができる。

又本考案に係るブレーキケーブルの係止調整構
造は、他の分野におけるケーブルの係止にも応用
し得る等の利用を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の好適な一実施例を示すもので、
第１図はブレーキ作動機構の概略斜視図、第２図
はブレーキカム軸のシール構造を示す縦断側面
図、第３図は本考案に係るブレーキケーブルの係
止調整構造を示す側断面図、第４図は同要部であ
るストツパー部材の平面図である。 尚図面中２はブレーキパネル、３はブレーキカ
ム軸、５はブレーキアーム、６はブレーキケーブ
ル、１１はロツド、１１ａはそのネジ部、１１ｂ
は平坦面、１２はストツパー部材、１２ｂはその
挿通孔、１３はナツト部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキケーブルの端部を連結固着したロツド
   のネジ部の長さ方向に連続する平坦面を形成し、
   ブレーキアームの先部に設けたストツパー部材に
   上記ロツドのネジ部の断面形状と略等しい挿通孔
   を形成し、上記ロツドのネジ部を上記ストツパー
   部材の挿通孔に挿通して蝶ナツト等のナツト部材
   を該ネジ部に螺締し、前記ストツパー部材とナツ
   ト部材との当接面のいずれか一方を凸状の略円弧
   状面とするとともに他方をその略円弧状面に倣う
   略円弧状面としたことを特徴とするブレーキケー
   ブルの係止調整構造。