JPS6131175Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、水冷横形直噴式エンジンの燃料噴射
装置に関し、高速高負荷連続運転時にも良好な燃
料の噴射を維持して燃焼性能を高く保てるように
することを目的とする。

従来、水冷横形直噴式エンジンの燃料噴射装置
は、第４図に示すように、クランクケース２０の
前端壁にシリンダヘツド２１を固定し、シリンダ
ヘツド２１のヘツドジヤケツト２２を貫通させて
一体鋳造したノズル挿入ボス２３に燃料噴射ノズ
ル２４を挿入して固定してある。

ところが、ヘツドジヤケツト２２とラジエータ
２５を連通する通水口２６が絞られていること、
及びノズル挿入ボス２３の肉壁２７が厚くて、燃
料噴射ノズル２４の熱が放熱しにくいことから、
エンジンを長時間高速高負荷運転すると燃料噴射
ノズル２４が冷却不足で過熱され、ノズル２４内
の燃料が炭化して、ノズルの噴口を詰まらせた
り、燃料の噴射方向を狂わせたりして燃料性能を
低下させるので、エンジンを高速高負荷で長時間
連続運転をすることができなかつた。

本考案は、上記欠点を解消するために提案され
たもので、シリンダとシリンダヘツドを一体に形
成することにより、シリンダジヤケツトとヘツド
ジヤケツトを一連に形成し、ヘツドジヤケツトの
上部開口をラジエータの下部に大きく開口させて
シリンダジヤケツト及びヘツドジヤケツトに多量
の冷却水を流通させるとともに、ヘツドジヤケツ
トに流入した冷却水の吸・排気ポート壁間の昇水
隙間を流れて上昇する冷却水で肉薄のノズル挿入
筒を介してこれに挿嵌固定した燃料噴射ノズルを
強力に冷却して、ノズル内の燃料の炭化を防ぐよ
うにするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は水冷横形デイーゼルエンジンの側面図
を示し、このエンジンＥは、クランクケース１の
上方にラジエータ２と燃料タンク３とを前後に並
べて載置固定するとともに、クランクケース１の
前方にはシリンダヘツド４を一体に鋳造して形成
してある。

クランクケース１には、ピストン５を摺動自在
に収容したシリンダライナ６が支持され、シリン
ダライナ６の周囲にはシリンダブロツクＣ内に形
成したシリンダジヤケツト７が配設されている。
また、シリンダヘツド４には、その内部にヘツド
ジヤケツト８が形成されていて、シリンダジヤケ
ツト７とヘツドジヤケツト８とは一連に形成され
ている。

上記シリンダジヤケツト７の上部は大きく開放
されていて、ラジエータ２の下部に連通するよう
になつている。そして、シリンダジヤケツト７の
上部のうち前部７ａは前側に拡大形成されてい
て、ヘツドジヤケツト８の上側にまで延設されて
おり、この拡大されたシリンダジヤケツト部７ｂ
の底面にヘツドジヤケツト８の上面８ｂを開放し
て、シリンダジヤケツト７とヘツドジヤケツト８
とを上方で連通させるようにしている。また、シ
リンダジヤケツト７はヘツドジヤケツト８の下部
とも連通している（第２図参照）。

シリンダヘツド４にはその外方からヘツドジヤ
ケツト８を貫通する状態で燃料噴射ノズル９と吸
気弁１１及び排気弁１０が挿着してある。

これら吸気弁１１及び排気弁１０と燃料噴射ノ
ズル９とは第３図の縦断正面図に示すように、吸
気弁１１と排気弁１０を上下に重ならない状態で
左右両横に並べ、吸気ポート１２と排気ポート１
３のポート壁１４・１５間に形成した冷却水の昇
水隙間Ｓの上方に燃料噴射ノズル９を位置させて
ある。

この燃料噴射ノズル９はヘツドジヤケツト８の
前端壁８ａ及び燃焼室１６の前端壁１６ａに明け
た筒挿嵌孔１７・１８に薄肉のノズル挿入筒１９
を挿嵌固定し、ノズル挿入筒１９に燃料噴射ノズ
ル９を挿嵌して固定してある。

こうして装着された燃料噴射ノズル９は、ヘツ
ドジヤケツト８を流れる冷却水、特に吸・排気ポ
ート１２・１３のポート壁１４・１５間の昇水隙
間Ｓを流れる冷却水で強力に冷却され、過熱によ
る燃料噴射ノズル９内の燃料の炭化を未然に防ぐ
ことができ、常に良好な燃料の噴射を維持でき
る。

本考案は、以上に説明したように構成され作用
するので次の効果を奏する。

即ち、シリンダとシリンダヘツドとを一体に鋳
造形成してシリンダジヤケツトとヘツドジヤケツ
トを一連に形成し、ヘツドジヤケツトの上部開口
をラジエータの下部に直接臨ませて開口させてあ
るので、シリンダジヤケツトからヘツドジヤケツ
トを通りラジエータに還流する冷却水の流通抵抗
が少なく、多量の冷却水を循環させて燃焼室を強
力に冷却できるとともに、ヘツドジヤケツトの
吸・排気ポート壁間の昇水隙間を流れる冷却水で
薄肉製のノズル挿入筒を介してこれに密接して挿
嵌固定した燃料噴射ノズルを強力に冷却するの
で、燃料噴射ノズル内の燃料が過熱されて炭化す
るのを未然に防ぐことができる。これにより、燃
料噴射ノズルからの燃料噴射を良好に維持し、エ
ンジンを長時間に亘つても連続して高速高負荷運
転することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の実施例を示し、第
１図は水冷横形直噴エンジンの側面図、第２図は
要部の側面図、第３図はシリンダヘツド部分の縦
断正面図であり、第４図は従来例を示す第２図相
当図である。 Ｅ・・エンジン、Ｓ・・昇水隙間、４・・シリ
ンダヘツド、６・・シリンダ（シリンダライ
ナ）、７・・シリンダジヤケツト、８・・ヘツド
ジヤケツト、８ａ・・８の前端壁、１４・１
５・・吸・排気ポート壁、１６・・燃焼室、１６
ａ・・１６の前壁、１７・１８・・ノズル挿嵌
孔、１９・・ノズル挿入筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水冷横形燃料直接噴射式エンジンＥのシリンダ
   ６の前部にシリンダヘツド４を一体に鋳造し、シ
   リンダ６を取囲むシリンダジヤケツト７の上面を
   開放し、シリンダジヤケツト７内の上寄りの前部
   ７ａをシリンダヘツド４のヘツドジヤケツト８の
   上側にまで拡大し、この拡大したシリンダジヤケ
   ツト部７ｂの底面にヘツドジヤケツト８の上面８
   ｂを開放して連通し、ヘツドジヤケツト８内の中
   間高さ部にヘツドジヤケツト８の前方正面よりの
   縦断面視で縦方向に重ならない状態で吸・排気ポ
   ート１２・１３のポート壁１４・１５のうちの一
   方を横一側部に、他方を横他側部に設けるととも
   に、対向する両ポート壁１４・１５の間に昇水隙
   間Ｓを形成し、この昇水隙間Ｓの上側で燃焼室１
   ６の前端壁１６ａ及びヘツドジヤケツト８の前端
   壁８ａに挿嵌孔１７・１８を明、両挿嵌孔１７・
   １８に亘つてノズル挿入筒１９を挿嵌固定して、
   このノズル挿入筒１９を昇水隙間Ｓの直上に位置
   させ、ノズル挿入筒１９に燃料噴射ノズル９を密
   接状に挿入した事を特徴とする、水冷横形直噴エ
   ンジンの燃料噴射装置。