JPS6117232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のシリンダブロツクに関す
る。

従来の内燃機関のシリンダブロツクとしては、
例えば第１図〜第４図に示すようなものがある。
第１図は平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面
図、第３図は第１図のＢ−Ｂ断面図、第４図は第
１図Ｃ−Ｃの断面図である。

即ち、このシリンダブロツク１は、シリンダ壁
（ライナ挿入式のものにあつてはライナ挿入部と
なる）２の周囲に全周に亘つてウオータジヤケツ
ト４を形成し、その外側をブロツク壁３で囲む構
成となつている（このようなものとしては、例え
ば実開昭53−51527号公報に記載されているよう
なものがある）。

しかしながら、こような従来のシリンダブロツ
クにあつては、シリンダ壁の全周を冷却水で覆う
構造となつていたため、エンジンの暖機に時間が
かかり、燃費悪化の原因となるばかりか、シリン
ダブロツクの外形寸法が大きくなり、これに伴な
い重量も鋳鉄製又はアルミ鋳物製のため大きくな
るという問題点があつた。

本考案はこのような従来の問題点に着目してな
されたもので、並設された円筒状のシリンダ壁に
対して、これらを接して囲むほぼ長方筒状のブロ
ツク壁で、シリンダ壁とブロツク壁との接する部
分を共通化し、該共通部分を除くシリンダ壁とブ
ロツク壁との間にのみウオータジヤケツトを形成
する構成とすることにより、上記問題点を解決し
た内燃機関のシリンダブロツクを提供するもので
ある。

以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第５図〜第８図は本考案の一実施例を示し、第
５図は平面図、第６図は第５図のＤ−Ｄ断面図、
第７図は第５図のＥ−Ｅ断面図、第８図は第５図
のＦ−Ｆ断面図である。

これらの図に示すシリンダブロツク１１は、互
いに接して並設された円筒状のシリンダ壁１２
と、これらシリンダ壁１２を接して囲むほぼ長方
筒状のブロツク壁１３とから構成されている。そ
して、シリンダ壁１２とブロツク壁１３とが接す
る部分、及びシリンダ壁１２同志が接する部分
は、互いに共通化された一体になつている。そし
て、該共通部分以外のシリンダ壁１２とブロツク
壁１３との間に、従つて各シリンダ壁１２の周囲
４箇所にシリンダブロツク１４を形成してある。
言換えればシリンダ壁１２とブロツク壁１３との
共通部分ではシリンダ壁１２が直接外部に露出し
ている。

尚、１５はウオータポンプ取付孔、１６はウオ
ータポンプからの冷却水が流入するウオータジヤ
ケツト、１７はウオータジヤケツト１６から各シ
リンダのウオータジヤケツト１４へのウオータギ
ヤラリ、１８はウオータギヤラリ１７からウオー
タジヤケツト１４への連通孔、１９はウオータジ
ヤケツト１４から図示しいシリンダヘツドのウオ
ータジヤケツトへの連通孔である。

かかる構成によれば、並設された円筒状のシリ
ンダ壁１２に対して、ブロツク壁１３従つてシリ
ンダブロツク１１の外形寸法をでき得るかぎり小
さくすることができ、シリンダブロツクの小型化
並びに軽量化を達成できる。

冷却作用については、ウオータポンプ取付孔１
５に取付けられたウオータポンプにより、冷却水
はフロント側のウオータジヤケツト１６に流入
し、ポンプ圧により下方へ送込まれてウオータギ
ヤラリ１７に流入する。ウオータギヤラリ１７は
シリンダブロツクの下部両側に長手方向に延在し
ており、冷却水はウオータギヤラリ１７から各連
通孔１８を通つて各ウオータジヤケツト１４に流
入し、第６図及び第８図に破線で示す如く下から
上方に向かつて流れ、それぞれのシリンダ壁１２
を冷却する。シリンダ壁１２を冷却した冷却水は
連通孔１９からシリンダヘツド側のウオータジヤ
ケツトへ流入し、燃焼室、点火栓、バルブシート
等を冷却する。ここで、ウオータギヤラリ１７に
より各シリンダのウオータジヤケツト１４へ冷却
水分配通路をウオータジヤケツトとは別にし、ウ
オータジヤケツトを多くに別けたため各シリンダ
への冷却水の分配も均一になり、流速のバラツキ
もほとんどなく、且つ冷却水路における冷却水の
よどみもなくすることが可能なので、少量の冷却
水で効率の良い冷却が可能となる。かくして、シ
リンダ壁１２の全周にウオータジヤケツト１４を
設けず、エンジンの暖機を迅速化し、コールド時
の燃費を向上しようとも、必要な冷却性能を維持
できるものである。

但し、シリンダ壁１２のウオータジヤケツト１
４におおわれていない部分が他の部分に較べて熱
的に苦しいことは否めないので、下記に詳述する
ような対策を選択実施することは必要と思われ
る。

(a) シリンダブロツクをアルミ鋳物製とすること
により、放熱効果を高める。

(b) シリンダ壁を内側から油冷する。即ち、コン
ロツド、クランクシヤフトから若しくは専用の
オイルジエツトにより、ピストンの内側及びシ
リンダ壁の内側へエンジンオイルを効果的に吹
付けて冷却する。

(c) 少くともシリンダ壁と共通化されたブロツク
壁に補強リブを兼ねた放熱用フインをブロツク
と一体に鋳造する。第９図及び第１０図（第９
図のＧ−Ｇ断面図）はブロツク壁１３の側面全
体に横方向に放熱用フイン２０を設けた例を示
し、第１１図はブロツク壁１３と共通化された
シリンダ壁１２に縦方向に放熱用フイン２１を
設けた例を示している。

(d) また、シリンダブロツクの上端面即ちシリン
ダヘツドと接する部分が下方部分に較べて熱的
に苦しいので、ブロツクの上端面に冷却水通路
としての溝を設ける。第１２図及び第１３図
（第１２図のＨ−Ｈ断面図）はシリンダブロツ
ク１１の上端面に各連通孔１９をつなぐ構２２
を設けた例を示している。

尚、以上の実施例では隣合うシリンダ壁を共
通に一体化してこれらの間にウオータジヤケツ
トを形成していないが、シリンダ壁同志を接す
ることなくこれらの間にウオータジヤケツトを
形成してもよい。

以上説明したように本考案によれば、シリンダ
ブロツクの小型化並びに軽量化を達成できると共
に、必要な冷却性能を維持しつつエンジンの暖機
を速めてコールド時の燃費を改善することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダブロツクを示す平面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は第
１図のＢ−Ｂ断面図、第４図は第１図のＣ−Ｃ断
面図、第５図は本考案に係るシリンダブロツクの
一実施例を示す平面図、第６図は第５図のＤ−Ｄ
断面図、第７図は第５図のＥ−Ｅ断面図、第８図
は第５図のＦ−Ｆ断面図、第９図、第１１図及び
第１２図はそれぞれ他の実施例を示す平面図、第
１０図は第９図のＧ−Ｇ断面図、第１３図は第１
２図のＨ−Ｈ断面図である。 １１……シリンダブロツク、１２……シリンダ
壁、１３……ブロツク壁、１４……ウオータジヤ
ケツト、２０，２１……放熱用フイン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 並設された円筒状のシリンダ壁と、これらシ
   リンダ壁を接して囲むほぼ長方筒状のブロツク
   壁とからなり、シリンダ壁とブロツク壁との一
   部を共通化し、該共通部分を除くシリンダ壁と
   ブロツク壁との間にウオータジヤケツトを形成
   したことを特徴とする内燃機関のシリンダブロ
   ツク。 (2) 並設された円筒状シリンダ壁が互いに接して
   いることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の内燃機関のシリンダブロツク。