JPH0311398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は船外機に関するもので、詳しくは船外
機に搭載されたエンジンにおける点火栓近傍を冷
却するための水路の構造に関する。

〔従来技術〕

船外機では、その動力源として並列多気筒エン
ジンが採用されるとともに、そのクランクシヤフ
トが上下方向に延びるように搭載されるのが一般
的である。このような構成のエンジンでは、その
排気管は各気筒から下方へ延設されるため、上方
に位置する気筒ほど排気管は長くなり、このため
に上下気筒間に排気ボリユーム等の差異による発
熱の不均衡が生じ、上方に位置する気筒ほど加熱
される傾向にある。また、エンジンにおいては点
火栓およびその近傍が最も熱を発生する部位であ
るため、前記発熱の不均衡はこの部位に大きな影
響を与える。そこで従来では、シリンダヘツドの
点火栓近傍に冷却水路を設け、上記熱発生を抑制
している。

ところが前記水路は、下方から上方へと冷却水
が流れるよう構成されているので、上方に達した
冷却水は下方の点火栓近傍の熱によつて加熱さ
れ、上方の点火栓近傍を十分に冷却することが困
難であつた。上記の如き要因による点火栓および
近傍の加熱は、該部位に多大な熱害を及ぼす虞れ
があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記認識に基づき、船外機における点
火栓および点火栓近傍の過加熱を防止し、もつて
該部位の熱害を除去することを目的とする。

〔考案の構成〕

本考案では、並列多気筒エンジンのシリンダヘ
ツドに、各気筒における点火栓の近傍を通つて上
下方向に延設され、かつ下方から上方へ向けて冷
却水を流通させる水路を設けるとともに、この水
路に、下方に位置する気筒の点火栓近傍へ冷却水
を供給するための冷却水供給通路と、この冷却水
供給通路より大きな通路断面積を有し、上方に位
置する気筒の点火栓近傍に冷却水を供給するため
の冷却水追加供給通路とを設けることによつて、
上記目的を達成している。

〔実施例〕

以下、本考案の構成を実施例を示す図面に従つ
て詳細に説明する。

第１図乃至第３図は本考案に係る船外機のシリ
ンダヘツド１を示し、第１図は側面、第２図は上
面、第３図は底面をそれぞれ表わしている。

第３図から明らかなように、シリンダヘツド１
の底面には燃焼室２ａ，２ｂが形成されており、
さらにシリンダヘツド１には該燃焼室２ａ，２ｂ
の周囲を巡る水路３が形成されている。

一方、シリンダヘツド１の上面には、各燃焼室
２ａ，２ｂに対応して点火栓取り付け用のボス４
ａ，４ｂが突設されており、該ボス４ａ，４ｂの
近傍には上下方向に延びる水路５がシリンダヘツ
ド１と一体に形成されている。この水路５の下端
は栓６によつて閉塞されている。また、この水路
５は既述したシリンダヘツド１の底面側に形成さ
れた水路３と、３箇所の冷却水供給通路７ａ、冷
却水追加供給通路７ｂ、および通路７ｃによつて
連通されている。冷却水供給通路７ａは、水路５
における下方のボス４ａの近傍に臨んで設けら
れ、一方、冷却水追加供給通路７ｂは、水路５に
おける上方のボス４ｂの近傍に臨んで設けられて
いる。また、第１図から明らかなように冷却水追
加供給通路７ｂの径Ｌ２は冷却水供給通路７ａの
径Ｌ１より大きく設定されており、これにより両
水路の断面積が大きく異なる。

上記の如き構成において、いまエンジンが運転
を開始すると、図示していない冷却水供給口より
水路３へ冷却水が取り入れられる。この冷却水
は、水路３内を上昇しつつ燃焼室２ａの周囲を冷
却するとともに冷却水供給通路７ａを通過して水
路５に入いり込んだ後、下方のボス４ａの近傍、
すなわち点火栓の近傍を冷却しながら水路５内を
上昇してゆく。このとき、水路３内を通過する冷
却水は燃焼室の周囲のみを冷却するので、水路５
内を通過し点火栓近傍の発熱によつて加熱された
冷却水と比較して、その水温は低い。一方、水路
３内の冷却水が冷却水追加供給通路７ｂに達する
と、冷却水は該水路７ｂを通つて水路５に流入
し、先に冷却水供給通路７ａから水路５に流入し
ていた冷却水と合流しながら該水路５内を上昇し
てゆきつつ、上方のボス４ｂの近傍、すなわち点
火栓の近傍を冷却する。このとき冷却水追加供給
通路７ｂの径を冷却水供給通路７ａの径と比較し
て十分に大きく設定してあるために、前記した理
由にによつて加熱量の少ない冷却水、いうなれば
比較的冷たい冷却水が、下方からの加熱された冷
却水に多量に注がれ、これによつて上方に向かう
冷却水の温度が下げられる。上記理由により、上
部の点火近傍は十分に冷却される。水路５内の冷
却水の上昇に伴なつて、水路３内の冷却水も、上
昇しつつ燃焼室２ｂの周囲を冷却する。前記冷却
水が水路３の上端部に達すると、該冷却水は通路
７ｃを通過して水路５に流入した後、該水路５の
上部から水路５を上昇して来た冷却水と共に排出
される。

以後、上記循環をくり返すことにより、エンジ
ン運転中の点火栓近傍の冷却が行なわれる。

なお、上述した各実施例では、本考案を、２気
筒エンジンに適用した例を示したが、本考案はこ
れに限定されるものではなく、３気筒以上のエン
ジンにおいても上記実施例に従つた構成をとるこ
とが可能である。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案に関わる船外機に
よれば、冷却水供給通路を介して水路に導入さ
れ、下方に位置する気筒を冷却したのち水路内を
上昇し、次いで上方に位置する気筒を冷却しよう
とする冷却水に、冷却水追加供給通路からの新規
な冷却水が供給される。

この結果、下方の気筒を冷却したことによつて
温度の上昇していた冷却水は、新規な冷却水の混
入によりその温度が引き下げられ、上方の気筒を
効率良く冷却することが可能となり、もつて下方
の気筒と上方の気筒とが、共に十分に冷却される
こととなる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、本考案に係る船外機にお
けるシリンダヘツドを示し、第１図は第２図にお
ける−線断面図、第２図は前記シリンダヘツ
ドの上面図、第３図は同じく底面図である。 １……シリンダヘツド、５……水路、７ａ……
冷却水供給通路、７ｂ……冷却水追加供給通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 並列多気筒エンジンを、各気筒が上下方向に沿
   つて並置される態様で搭載した船外機であつて、 上記並列多気筒エンジンのシリンダヘツドに、
   各気筒における点火栓の近傍を通つて上下方向に
   延設され、かつ下方から上方へ向けて冷却水を流
   通させる水路と、 上記水路における下方に位置する気筒の点火栓
   近傍に設けられ、上記水路に冷却水を供給する冷
   却水供給通路と、 上記水路における上方に位置する気筒の点火栓
   近傍に設けられ、かつ上記冷却水供給通路より大
   きな通路断面積を有し、上記水路に冷却水を供給
   する冷却水追加供給通路と、 を備えて成ることを特徴とする船外機。