JPS6127002B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は弾性のある２枚の植付円板で苗を挾
み、これを回転させて下方で放出し圃場に植付け
る移植機に関するものある。

従来よりゴム板で１対の円板を作り、この円板
の上部を開口させ、開口部に苗を供給し、供給後
円板を閉じて下方に回転させ、植付用溝内に達し
たとき円板を開いて苗を放出し、覆土して苗を植
付ける移植機は知られている。例えば特公昭43−
28041号公報には円板を強制開口させ、人手で苗
や母根（ビートの採種用に使用する）を挾み込
み、挾持させた状態で下方に回転させ植付溝に植
付ける移植機が開示されている。又、実公昭52−
5052号、実公昭52−18891号、等の公報には１対
の植付円板の上部を朝顔状に開口させ開口部に苗
保持テープから苗を落下させて挾持さす移植機が
示されている。

上記移植機は構造が極めて簡単で、植付間隔も
苗の供給速度を調節するだけでよいので古くから
色々と研究されたが、苗の供給にはタイミングが
極めてむずかしく、このため前記実公昭52−
18891号公報では苗テープを使用し苗挾持ロール
からの繰出しを１対のガイドロールで朝顔状の苗
受け入れ部に落下さす構造としている。この構造
は玉葱苗の如く軽い裸苗では無理なく受入れ部に
落下し、回転する円板に挾持されるが、紙筒苗の
如く土部が相当のかたさと重量のある苗では特公
昭47−171180号に記載する手段で分離し実開昭55
−65918号に記載される手段で直接弾性円板植付
装置に挾持させようとしても土部のかたさと弾性
円板の回転速度が著しく早いため受渡し時に姿勢
を乱すとか脱落することが多い。又分離後落下さ
せて挾持させようとしても落下時の自重により受
入れ部で苗がおどつて姿勢を崩すとか、甚しい場
合には飛び出して植付を不可能にするものであ
る。このため現実には土付苗は人手によつて供給
しているので多くの人手を要し、省力とはないも
のである。

本発明は上記事情によりなされたもので、従来
の円板式移植機の欠点たる苗供給手段を自動化
し、能率よく移植ができる移植機を得んと長年研
究を進めた結果、紙筒苗の如き土付苗の横方向に
搬送する苗供給ベルト上に併列させ、移植機の走
行と連動させて搬送し、搬送端部には一対の苗押
えローラを設けて前記苗供給ベルトとの間で苗を
繰り出し、繰り出された紙筒苗を分離し、その下
部を挾み上部を突出させて下方に転送する苗転送
機構と、前記突出した紙筒苗の上部を挾持し、下
方に向けて回転さす一対の弾性円板植付機構を組
合せ、前記苗転送機構は前記弾性円板植付機構に
対し苗を落下することなく側部切線方向から苗を
供給し、苗転送機構の搬送速度と弾性円板植付機
構の周速度をほゞ同一とすることにより解決した
のである。

以下、本発明の例を図面によつて説明する。

第１図は本発明の装置を装着した移植機の側面
図で、１は機枠を示し、機枠１の前方にはトラク
ター等への取付穴２を設け矢印方向に牽引するよ
うにしてある。機枠１の後方には一対の接地輪３
を設けるが、この接地輪３は独立して設ける場合
もあるが、好ましくは下方を内方に傾斜させて鎭
圧輪を兼ねるようにする。機枠１の上方には苗台
４、苗供給機構５及びいす６′を設け、苗台４の
上には紙筒苗Ｐを載直し、いす６′に座乗した作
業員が人手で苗供給機構５に苗を供給する。苗供
給機構５は後記するように紙筒苗Ｐ（単に苗Ｐと
することがある。）を機体の進行に対し横方向に
転送する苗供給コンベア１５と、下方向に転送す
る一対の苗転送コンベア２９により構成され、機
体の進行方向に回転する一対の植付円板６に苗を
供給する。そして、接地輪３の軸７に固定した鎖
車８と植付円板６の軸９に固定した鎖車１０の間
にチエン１１を張設し、軸９と苗供給機構５の駆
動軸１２との間に傘歯車１３，１３を設け、接地
輪３の回転と連動させる。このため、機体の進行
により苗供給機構５から繰出された苗Ｐは植付円
板６に挾持されて下方に回転し、機枠１の下方に
固定したオープナー１４により作溝せられた溝内
に搬送せられる。このとき植付円板６は開口して
苗Ｐを放出させ後続する接地輪３により鎭圧され
る。

第２図以降にその詳細が示されており、苗供給
機構５の苗供給コンベア１５は機体の進行に対し
横方向に苗Ｐをを搬送するもので、いす６′に座
した作業員が苗台４上の紙筒苗Ｐを列状に剥離し
頭部を上にして縦方向に併列さす。該コンベア１
５は通常平ベルトよりなるが、その表面に凹凸を
設けてもよく、図に示すように搬送方向に向けて
傾斜させ一端に設けたプリー１６により矢印方向
に回転さすとよい。このプリー１６にはその軸１
７に鎖車１８が固定され、該柵車１８は前記駆動
軸１２に固定した鎖車１９とチエン２０で連結し
ている。従つて、プリー１６は駆動軸１２、傘歯
車１３、軸９を介し、軸９と固定関係にある植付
円板６と連動回転するものである。

前記コンベア１５の搬送端部上方には紙筒苗Ｐ
を挾持できる間隔をおいて苗押えローラ２１を設
けるが、該ローラ２１はその軸２２にスポンジ体
を貼着し、苗Ｐを傷めず且つ確実に押圧できるよ
うにしたもので、前記軸２２は歯車２３を固定
し、該歯車２３は前記プリー１６の軸１７に固定
した歯車２４と噛み合い互に反対方向に回転し、
コンベア１５との間で苗Ｐを１本１本確実に前方
に向けて繰出す。

前記プリー１６で繰り出す方向前方には、スポ
ンジ体を被覆した苗分離ローラ２５を設け、前記
コンベア１５との間に紙筒苗Ｐを挾持する間隔を
置いて対峙させるが、該苗分離ローラ２５はその
軸２６に歯車２７を固定し、軸１７に固定した歯
車２８と噛み合せ、前記苗押えローラ２１及びプ
リー１６の周速より早く回転させる。このため、
苗押えローラ２１とコンベア１５の間で繰り出さ
れた苗Ｐは早い回転に接して後続の苗Ｐと分離
し、１本本１本の苗Ｐとなりコンベア１５の先端
湾曲にそつて転がるように落下する。

落下した苗Ｐは、下方に位置する苗転送コンベ
ア２９に移行するが、落下はコンベア１５の湾曲
にそつているので姿勢のみだれはない。苗転送コ
ンベア２９は一対のベルト３０，３０′及びこれ
を駆動する装置により構成せられ、前記ベルト３
０，３０′は駆動軸１２と遊動軸３１′及び軸３
２′，３３′に固定したそれぞれのプリー３４，３
１及び３２，３３の間に紙筒Ｐを挾持する間隔を
おいて張設されている。そしてベルト３０，３
０′を駆動軸１２に固定した歯車３５と軸３１′に
固定した歯車３６を噛み合せ矢印方向に回転さ
す。又、ベルト３０，３０′は前記苗分離ロール
２５より一側にずれた位置に設け、前記落下した
苗Ｐをその根部下部が水平方向に挾持さ、葉部及
び土付部の約1/3〜1/5を外側に突き出した状態で
搬送されるようにし、搬送速度は植付円板６の周
速とほゞ同一としてある。

尚、前記ベルト３０，３０′は平ベルトを使用
しても良いが好ましくはその表面にスポンジを貼
着するとか毛状体３８を植設しておく。この場合
好ましいのは毛状体３８であり、使用する毛状体
としては直径が0.05〜５mm、長さが１〜20mmのも
のがよく、特に長さが７〜16mmのものが常用され
る。通常硬いベルトの上に苗Ｐが落下すると反撥
力により飛び上り挾持の姿勢を崩したり、甚だし
い場合には系外に飛び出すものであるが、毛状体
３８を植毛しておくと落下エネルギーは毛状体に
吸収されて落ちつき、前記弊害は起こらない。
又、ベルト３０，３０′が汚れた場合でも単に水
で洗滌すれば良く、付着した水は空廻しするだけ
でふり飛ばされ連続して使用できるものである。
植毛に使用する繊維としては天然繊維、化学繊維
何れも使用できるが、好ましくは合成繊維でポリ
アミド系繊維、ポリビニール系繊維、ポリアクリ
ルニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエ
チレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ尿素
系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリシアン化ビニ
リデン系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリテトラ
フルオロエチレン系繊維等である。植毛は上記繊
維を接着又は溶着させるか、或はベルトの表面に
多数の突起を作らせても良いものである。

前記の如く、苗Ｐの下部を水平に挾持し、下方
に向けて転送するベルト３０，３０′の下方には
これとかわす位置に機体の進行方向に回転する植
付円板６が設けられており、その切線部でかわし
ている。従つて、植付円板６は切線部で苗Ｐの上
部突出部を受取り下方に向けて回転する。植付円
板６は前記した特公昭43−28041号、実公昭52−
5052号等に記載された構成をもつもので、一対の
ゴム製円板よりなりそれぞれ円心を軸９にボス３
９により固定され、デスク軸受４０を介して機枠
１に回転自在に取付けられ、接地輪３の回転によ
り鎖車８、チエン１１、鎖車１０を介して回転す
る。そして上部は案内輪４３により唇状又は朝顔
状に開口しているので、軸９の水平延長線上でベ
ルト３０，３０′から苗Ｐを受取り、紙筒の一部
と葉部を外側に設けた一対の案内軸４１の押圧効
果により挾持する。案内輪４１は公知の如く植付
円板６，６を両側より押圧し閉じる作用をするも
ので、機枠１に固定した支持杆４２の端に設けら
れ、植付円板６の水平部より円周のほゞ４分の１
に副い多数設けられ、支持杆４２は押圧力をもつ
板バネの如きもので構成されている。又植付円板
６の苗挾持部分はオープナー１４の内側空間部を
回転するので、前記支持杆４２も多くがオープナ
ー１４の内側に位置するよう取付けられている。
このため苗Ｐは下方を突出した状態で回転し、回
転により横方向から縦方向に姿をかえ植付円板６
が最下位に回転したとき挾持がとかれ溝内に放出
される。放出された苗Ｐは後続する接地輪３の押
圧効果により鎭圧され植付けられる。４３は植付
円板６，６の内側に設けた案内輪で植付円板６，
６を押し開き苗Ｐの受入れを容易にする。又植付
円板６，６の内側にも前記した植毛をしておくと
苗Ｐの傷みも少なく、ベルト３０，３０′との苗
Ｐの受渡しもスムーズになる利点がある。

上記例は、苗分離ローラ２５で苗を分離し、ベ
ルト３０，３０′を介して植付円板６に苗Ｐを供
給する例であるが、前記ベルト３０，３０′を１
対のローラに代えて受け渡しをすることも可能で
ある。この場合使用する１対のローラは苗分離ロ
ーラ２５から落下する苗を受ける位置に前記した
ようにスポンジを貼るか、植毛したローラを配
し、ローラの間で苗Ｐを受け上部を突出せしめ、
その周速を植付円板６の周速とほゞ等しくしてお
けばよい。又上記ローラを羽根車に代えることも
可能である。この羽根車は１対の板体よりなり、
該板体に苗Ｐを受ける凹状の苗受けを設け、その
周速を植付円板６とほゞ同一とし、前述のように
受渡しを行えばよい。

第５図は更に他の例を示すもので、苗転送コン
ベア２９の一方のベルト３０をベルト３０′より
長くし、苗分離ローラ２５の位置まで延長し、苗
分離ローラ２５を省略し、その機能をベルト３０
の上端で行なわす如くしたものである。又、図で
は苗転送コンベア２９を斜めに配し圃場の畦巾に
より制限を受ける移植機の横巾をせばめて多条植
えに適する移植機として示してあるが、横巾によ
る制限を受けない場合は上下方向の苗転送コンベ
ア２９としてよいこと勿論である。

第５図を参照して、苗分離ローラ２５の軸２６
にベルト３０の上部をかけ、反対側をプリー３
２′にかけ、20度〜45度内側に向けて傾斜させて
ある。又、ベルト３０′は上記傾斜にそつてプリ
ー３１とプリー３４に苗Ｐを挾持する間隔を置い
て対向させてある。そしてベルト３０，３０′の
表面にはスポンジを貼着するか、毛状体３８を植
設してある。従つてベルト３０，３０′で苗Ｐの
根部下方を挾持し、その転送端部で植付円板６の
切線部で受渡しを行うと前記したように植付けら
れるのである。この場合、苗Ｐは植付円板６に斜
め方向から供給することになるが角度45度以下の
傾斜であればスポンジ又は毛状体がねじれを吸収
するので実用的に支障はないものである。

上記したように、本発明は機体の進行に対し横
方向に回転する苗供給コンベア１５上に紙筒苗Ｐ
を併列させ、作業員による苗取り作業を容易に
し、その搬送端部で苗押えローラ２１で苗Ｐを押
えながら繰出して前方に突出せしめ苗Ｐの分離を
容易にし、苗供給コンベア１５より高速回転し、
植付円板６とほゞ同一周速をもつ苗転送コンベア
２９で植付間隔に等しい間隔に分離後の苗Ｐ上部
を突出させて下方向に転送し、これと直角方向に
回転する苗植付円板６の切線部において突出した
苗Ｐの上部を渡して挾持させ約４分の１周回転さ
せて立垂状態となし、本圃に定植するものであ
る。このため従来の苗供給の如く分離後直接弾性
円板６，６に供給することなく分離された紙筒苗
Ｐは一たん苗転送ベルト３０で姿勢を正し、弾性
円板６，６とほゞ同一速度で転送し、正しい姿勢
で弾性円板６，６に挾持させ植付けるものである
から正しい植付を可能ならしめる。

更に、苗転送コンベアの周面をスポンジ又は毛
状体で以て被覆すると、苗Ｐが保護され受け渡し
時の姿勢の乱れもなく、直立した状態で移植を行
うことができるのである。

本発明の装置は紙筒で育苗した苗の移植機とし
て極めて適している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の装置を装着した移植機の側面
図、第２図は第１図の要部側面図、第３図は第２
図の正面図、第４図は植付円板の取付図、第５図
は他の例の苗転送機構正面図である。 １…機枠、３…接地輪、５…苗供給機構、６…
植付円板、１４…オープナー、２１…苗押えロー
ラ、２９…苗転送コンベア、３０，３０′…ベル
ト、Ｐ…紙筒苗。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 機体の進行に対し、併列密着した紙筒苗を横
   方向に搬送する苗供給コンベアと、該コンベアと
   その搬送末端に設けた苗押えローラとにより繰出
   して紙筒苗を分離し、分離した紙筒苗の上部を突
   出させて保持し下方に向けて転送する苗転送機構
   と、機体の下方に固定したオープナーの後方に位
   置し前記転送された紙筒苗の上部を挾持し下方に
   向けて回転する１対の弾性円板植付機構とからな
   り、前記苗転送機構は前記弾性円板植付機構に切
   線方向から紙筒苗を供給し、苗転送機構の搬送速
   度と弾性円板植付機構の周速をほゞ同一としたこ
   とを特徴とする土付苗移植機。 ２ 苗転送機構が苗押えローラと苗供給コンベア
   とによる紙筒苗繰出し部下方に設けた１対のコン
   ベアであり、該コンベアの周面にスポンジ体を貼
   着するか毛状体を植設したことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項の土付苗移植機。 ３ 苗転送機構が苗押えローラと苗供給コンベア
   とによる紙筒苗繰出し部下方に設けた１対のロー
   ラであり、該ローラの周面にスポンジ体を貼着す
   るか毛状体を植設したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項の土付苗移植機。 ４ 苗転送機構が苗押えローラと苗供給コンベア
   とによる紙筒苗繰出し部下方に設けた羽根車であ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項の土付
   苗移植機。 ５ 苗転送機構が長短１対のベルトであり長いベ
   ルトの上部で苗押えローラ苗供給コンベアとより
   繰出された紙筒苗を分離し短いベルトの間で挾持
   し弾性円板植付機構に切線方向から供給すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項の土付苗移植
   機。 ６ １対の弾性円板植付機構が苗の挾持部のみ外
   側から押圧され、その内面にスポンジ体又は毛状
   体を有することを特徴とする特許請求の範囲第１
   項の土付苗移植機。 ７ １対の弾性円板植付機構の苗挾持部がオープ
   ナーの内側を回動することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項の土付苗移植機。