JPH0340088Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は紙筒で育苗した苗の如き土付苗から不
良苗を選別分離する装置に関するもので，特に移
植機に装着すると良苗のみ移植できる装置を提供
するものである。

（従来の技術） 紙筒苗は無底無蓋の育苗容器で，これが多数水
溶性糊料で互に接着された集合体をなしている。
育苗に際しては土詰播種後潅水して温床で育成
し，１本１本の苗に分離して移植する。育成後の
苗は播種むらや発芽しない種子が原因して移植に
適さない紙筒が混在するものである。これらの紙
筒は移植に先立つて除去する必要があるが，除去
作業は通常人手によつて行われるため移植機で移
植する場合はその上に作業員が搭乗し，コンベヤ
ー上に苗を並べて選別する。この選別作業は極め
てわづらわしい仕事で多くの手間を要する。この
ため，本出願人は，特公昭55−28650号に開示し
ているように根部を支持する丸ベルトと葉部を支
持する丸ベルトを併行させその上に１本１本に分
野した紙筒苗を載置搬送し，葉のない紙筒を落下
させて選別する装置を開発した。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の選別装置は葉部支持位置がづれない様丸
ベルトを使用しているが，その上に紙筒苗を載置
すると葉部が丸ベルトと溝車の間に挾まれ次の搬
送ベルトに移行しない現象が往々にして見られ
る。このように葉がからむと人手で除去しなけれ
ばならないので作業効率を低下させる外，良い苗
を無駄にする等の問題があつた。

（問題点を解決するための手段） そこで，本考案者らは，ベルトによる葉部巻込
みを防止せんと研究を進めた結果，紙筒苗を１本
１本に分離する装置に引続き，互いに平行して走
行する根部支持ベルトと葉部支持ベルトを対とし
て設け，葉部支持ベルト表面には幅広の帯状ベル
トを固定し，葉部が垂れ下つてもプリーとベルト
の間にはさめ込まれないようにすることで解決し
た。

（実施例） 本考案の例を添付の図面により説明すると，第
１図は本考案の選別装置を装着した移植機で，図
中１は移植機の機枠を示し，機枠１の前方には取
付穴２を設けトラクター等の牽引車に連結し矢示
方向に牽引する。機枠１の上方には苗台３を設け
紙筒で育苗した苗Ｐを搭載しその前方には座席４
を設けて作業員が座乗できるようにし，苗台３と
座席４の間には紙筒苗供給装置５を設け横方向に
紙筒苗Ｐを搬送しながら選別し，苗Ｐを紙筒苗搬
送ベルト６に供給する。該搬送ベルト６の搬送端
部は苗植付円板７と対向しており，前記搬送ベル
ト６で横方向から紙筒苗Ｐを供給して挾持させ下
方に回転させて放出し定植する。定植は機枠１の
下方に前記苗植付円板７を掩う如くオープナー９
を設けその後方には鎮圧輪８を配し，オープナー
９内に放出した苗Ｐを鎮圧輪８で鎮圧して植付け
る。又上記装置の駆動は鎮圧輪８の軸１０に固定
したスプロケツト１１にチエン１２を掛け植付円
板７の軸１３に固定したスプロケツト１４と連結
して植付円板７を回転させ，更に軸１３に固定し
た傘歯車１５により中間軸１６を回転させ中間軸
１６により前記紙筒苗供給装置５及び前記紙筒苗
搬送ベルト６を駆動する。

本考案の紙筒苗選別装置は前記紙筒苗供給装置
５に含まれているもので，その詳細は第２図以下
に示されている。図中１７は苗送りベルトを示し
これは従来の移植機用苗送りベルトと同様平ベル
トで構成され水平又は傾斜して設ける。苗送りベ
ルト１７への紙筒苗Ｐの供給は前記座席４に座し
た作業員が苗台３上の紙筒苗Ｐ群を適宜の分離器
により列状に剥離し，根部を手前にして載置す
る。紙筒苗Ｐは，水溶性湖料により接着されてい
るが育苗時の潅水により湖料が流失し１本１本の
苗に容易に分離する。この分離を行なうため苗送
りベルト１７の端部上方にスポンジ付苗押え輪１
８を設けて押圧しながら押し出し，その前方にス
ポンジ付分離輪１９を設けこれに当接させ，分離
輪１９を早く回転させて分離する。上記機素の回
転は苗送りベルト１７のプリー軸２０に歯車２
１，２２を固定し，苗押え輪１８，苗分離輪１９
の軸に固定した歯車２３，２４とそれぞれ噛み合
せて矢示方向に回転さすものである。

苗分離輪１９の下側にはプリー２５，２５′を
水平に位置に配し，該プリー２５，２５′間には
苗整列コンベヤー２６を張設する。このコンベヤ
ー２６は紙筒苗Ｐの紙筒部中央を支持する横幅を
有し，その表面には多数の突起２７が横方向に並
列固定され，その列間隔は１本の紙筒苗Ｐを挾ん
で搬送するに足る間隔としてある。そして前記プ
リー２５と，その搬送方向後方に設けたプリー２
８との間には根部支持ベルト２９，葉部挾持ベル
ト３０を互に平行して張設し，葉部挾持ベルト３
０の中間部には中間プリー３１を回転自在に設け
中間プリー３１の径をプリー２５，２８より大と
してある。

葉部挾持ベルト３０により前記ベルト２６上の
紙筒苗Ｐの葉部を挾持するためその上方にプリー
３２，３３，３４を三角形状に配し，その間に上
部挾持ベルト３５を張設し上下対向させて前記葉
部挾持ベルト３０と同一周速で回転させる。前記
葉部挾持ベルト３０及び上部挾持ベルト３５とし
ては特公昭55−28650号に記載するような紐状の
ベルト例えば丸ベルト，Ｖベルト等が使用できる
が，本考案では更にそれらのベルトの外側に広幅
の帯状ベルト３６を固定してある。従つて，葉部
の挾持が確実であると共に葉部が垂れ下つてもベ
ルト３０，３５と直接接触せず搬送中プリー２
５，２８，３１，３２，３３に巻き込まれること
はない。このため，前記苗整列コンベヤー２６上
の紙筒苗Ｐは中央部を苗整列コンベヤー２６に，
根部下方を根部支持ベルト２９に葉部を葉部挾持
ベルト３０に支持されることになるが，搬送途中
より葉部は上部挾持ベルト３５と接し，上下挾持
され正常な紙筒苗Ｐは根部支持ベルト２９と葉部
挾持ベルト３０，３５により支持されることにな
る。このとき葉部のない紙筒苗P′は葉部の支持が
ないので，前記ベルト２６の端部でバランスを失
なつて落下する。

上記のようにして不良苗P′を分離し，正常な苗
Ｐのみ搬送するが葉部は下部の紙筒のように硬く
ないので葉部側を下にして垂れ下がり易く葉部挾
持ベルト３０，３５と根部支持ベルト２９を同一
面に張設すると垂れ下つた部分がつかえて次のベ
ルトへの移送を困難にする。このため中間プリー
３１を大きくして葉部側を引き上げ紙筒をほゞ水
平に維持させる。このようにして搬送された正常
な紙筒苗Ｐは再び姿勢を正すため中間プリー３１
の軸を軸とするプリー３１′と前記プリー２８と
の間に前記苗整列コンベヤー２６と同一構造をも
ち突起２７′を有する苗転送コンベヤー３９に転
送する。該苗転送コンベヤー３９は葉部挾持ベル
ト３０，根部支持ベルト２９とほゞ同一速度で回
転しており突起２７′が回転して下方より紙筒苗
Ｐを掬い上げ突起２７′列間で支持し再び姿勢を
矯正する。前記プリー２８の搬送後方には苗供給
ベルト４０を設けその間に細幅の苗整理ベルト４
１を２本以上張設する。このベルト４１はプリー
２８の深溝に喰い込んで回転するのでその周速は
前記ベルト２９，３０及び苗送りベルト１７の周
速より遅くなる。この周速のおくれは紙筒苗Ｐの
発芽率を考慮して決定されているので，若し良い
苗のみであるとベルト４１上には過剰の苗Ｐが供
給されるが不良苗P′があるとその部分は欠株とな
るが欠株の部分は後続の苗Ｐが早く回転するベル
ト３９の突起２７′に押されて前進して詰るので
連続することになる。前記ベルト４１の搬送端部
上方には苗押え輪４２を設け，ベルト４１と互に
反対方向に回転さすのでその間に紙筒苗Ｐを挾持
し供給量を所定の速度で行いながら前方に繰り出
し前記した紙筒苗搬送ベルト６に供給し，該ベル
ト６を介して苗植付円板７に供給して前記したよ
うに植付けるのである。

上記装置の回転はギヤーボツクス４２内に収納
した駆動機構により行うもので，中間軸１６の回
転はチエンを介してプリー２８の軸４３の鎖車４
４に伝達され軸４３の鎖車４５はプリー３１′の
軸４６の鎖車４７と連結し前記苗転送コンベヤー
３９を回転さす。又軸４６には歯車４８を設けて
プリー３３の軸４９の歯車５０と噛み合せ軸４９
の鎖車５１とプリー３４の軸５２の鎖車５３を連
結し，プリー３２の軸５３を従動軸として上部挾
持ベルト３５を回転さす。又前記軸４６の鎖車５
４とプリー２５′の軸５５の鎖車５６を連結し，
プリー２５の軸５７を従動軸として苗整列コンベ
ヤー２６を回転さす。従つて前記苗整列コンベヤ
ー２６，苗転送コンベヤー３９及び上部挾持ベル
ト３５は軸４３，軸５７により回転する根部支持
ベルト２９，葉部挾持ベルト３０と連動し等速回
転する。又軸５５の鎖車５８は前記した苗供給コ
ンベヤー１７のプリー軸２０の鎖車５９を回転さ
せ，該軸２０上の歯車２１，２２がそれぞれ苗押
え輪１８，苗分離輪１９の軸の歯車２３，２４と
噛み合つて回転するので全体は連動する。

（効果） 本考案は上記例の如くしてなり従来の紐状の葉
部挾持ベルトの表面に広幅の帯状ベルト３６を固
定してあるので，走行位置が一定し，葉部が帯状
ベルト３６からはみ出し垂れ下つても広幅である
からプリーの外側に垂れるのでベルトの回転によ
りプリーに巻き込まれることはない。又広幅であ
るから葉部の挾持も確実で移送中脱落のおそれは
ないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置を装着した移植機の側面
図，第２図は本考案の装置の側面図，第３図は第
２図の平面図，第４図は展開図である。 １……機枠、５……紙筒苗供給装置、１７……
苗送りベルト、２６……苗整列コンベヤー、２９
……根部支持ベルト、３０……葉部挾持ベルト、
３５……上部挾持ベルト、３６……帯状ベルト、
４１……苗整列ベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 苗分離輪により１本１本に分離した紙筒苗を根
   部を支持するベルトと葉部を上下挾持するベルト
   に供給して不良苗を選別する装置において葉部を
   挾持する紐状のベルト上側に帯状ベルトを添着し
   たことを特徴とする紙筒苗選別装置の葉部巻込み
   防止べルト。