JPS6125622Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、湛水圃場内において田植作業を行
なう田植機において、植付部の苗載台上に載置さ
れる苗マツトを苗載台傾斜下端方向に縦送りする
苗縦送り装置に、関するものである。

すなわち、この考案は、畦際等で植付け可能の
全条の苗植付けを行なわず特定の一或は複数条の
みの苗植付けを行なうような場合に、苗載台の複
数条の苗載区画のうちのいくつかについては、選
択的に苗縦送りを停止させることを容易とする、
田植機における新規な苗縦送り装置を提供しよう
とするものである。

図示の実施例について、この考案に係る苗縦送
り装置の構成を説明すると、第１図に示すよう
に、左右の走行駆動車輪１によつて走行せしめら
れる機体の前部にエンジン２を塔載し、これによ
り後方にかけて機体を構成するトランスミツシヨ
ン３を設けると共に、機体後部に、後上方向きに
斜設され横往復動せしめられる苗載台４及び上下
回動駆動され苗載台４上の苗マツトから一株宛の
苗を切取り圃場に植付ける植付爪５等を備えた植
付部６を設け、さらに植付部６後端より後上方向
きに延出させた操縦ハンドル７及び機体を下方か
ら受け支持するフロート８等を備えさせてある歩
行型田植機において、この考案は、次のように実
施されている。

すなわち、第２，３図に示すように、前記苗載
台４は、図示田植機による苗植付け条数に応じた
複数条の苗載区画４Ａに、該苗載台４の巾方向に
おいて仕切られており、この苗載台４の背面上に
は該台４の巾方向に沿わせて上下のスターホイー
ル軸９，１０を設けて、この各スターホイール軸
９，１０に各苗載区画４Ａにおいて複数個（４
個）宛のスターホイール１１，１２を嵌着し、こ
の各スターホイール１１，１２を苗載台４の窓穴
１３，１４から苗載面上にまで臨ませて、苗マツ
トに係合しつつ第２図の矢印Ａ方向に間欠回転駆
動される該スターホイール１１，１２により間欠
的に苗マツトの強制縦送りを行なうべくしてあ
る。スターホイール１１，１２の間欠回転駆動
は、同様に第２，３図に示すように、植付部６の
トランスミツシヨン１５から左右に延出させてあ
る駆動軸１６に左右１対の縦送り駆動カム１７を
嵌着すると共に、下方側のスターホイール軸１０
と同心的に設けたスターホイール駆動軸１８にフ
オロワカム１９を嵌着し、また上方側のスターホ
イール軸９と同心的に設けた他のスターホイール
駆動軸２０と上記スターホイール駆動軸１８間を
第３，４図に示すように、上記フオロワカム１９
とスターホイール駆動軸２０に固定せるアーム２
１とに駆動軸１８，２０に対し偏心させた位置で
両端を枢着してある連動リンク２２によつて、連
動連結し、横往復動せしめられる苗載台４側のフ
オロワカム１９が該苗載台４の左右動端で縦送り
駆動カム１７にカム係合し回転駆動されることを
利用して、スターホイール駆動軸１８，２０の間
欠回転を得、該スターホイール駆動軸１８，２０
によりスターホイール軸１０，９を回転駆動させ
て、行なうようにされている。

以上に説明した部分は、特に上方側のスターホ
イール軸９及びスターホイール１１並びにスター
ホイール駆動軸２０、そしてこれと下方側のスタ
ーホイール駆動軸１８との連動回転機構を設けた
点を除いては、通例の通りであるが、通例の場合
であると、スターホイール駆動軸１８とスターホ
イール軸１０とが一体化されているのに対し、こ
の考案に係る図示の苗縦送り装置では、第３−５
図に示すように、スターホイール駆動軸１８，２
０とスターホイール軸１０，９とを切離して設け
ると共に、スターホイール軸９，１０を各苗載区
画４Ａごとに分断して設けている。そして、この
ように設けられたスターホイール駆動軸１８，２
０とそれに隣接するスターホイール軸１０，９間
と隣合うスターホイール軸９間及び隣合うスター
ホイール軸１０間は、それぞれクラツチ２３によ
つて連動連結されている。

各クラツチ２３の構成を説明すると、第４−６
図に示すように、この各クラツチ２３は、スター
ホイール駆動軸１８，２０またはスターホイール
駆動軸１８，２０側に位置するスターホイール軸
１０，９（以下、この軸をスターホイール駆動軸
１８により代表させて、原動側軸１８という。）
に遊嵌された第１のラチエツトホイール２４と、
スターホイール駆動軸１８，２０反対側で隣合う
スターホイール軸１０，９（以下、この軸をスタ
ーホイール軸１０に代表させて従動側軸１０とい
う。）に固定された第２のラチエツトホイール２
５とを、備えている。各ラチエツトホイール２
４，２５は、そのボス部をスリーブ状のものに形
成されており、このスリーブ状ボス部内におい
て、原動側軸１８と従動側軸１０とにまたがられ
てコイルスプリング２６を捲回してある。このコ
イルスプリング２６は、その一端を第１のラチエ
ツトホイール２４のスリーブ状ボス部に止着され
ると共に他端を従動側軸１０に止着されており、
且つ、原動側軸１８の矢印Ａ方向への回転により
締付けられる方向において捲回されている。

両ラチエツトホイール２４，２５のスリーブ状
ボス部に遊嵌して１対の回動アーム２７，２８を
設けてあり、この両回動アーム２７，２８の自由
端部にまたがらせて設けたピン２９に回動自在に
支持させて、両ラチエツトホイール２４，２５に
作用するラチエツト爪３０が設けられている。こ
のラチエツト爪３０は、回動アーム２７，２８を
一方向に回動附勢する引張りスプリング３１によ
り常時はラチエツトホイール２４，２５に噛合わ
ない位置におかれている。そして、このラチエツ
ト爪３０に先端（下方側の軸１８，１０上のラチ
エツトホイール２４，２５に関連させてあるラチ
エツト爪３０に対し）及び中途（上方側の軸２
０，９に関連させてあるラチエツト爪３０に対
し）を枢着した操作杆３２が設けられており、こ
の操作杆３２は、苗載台４の縦方向に沿わせて該
苗載台４の上端近くにまで導いてあり、苗載台４
上端近くに支点軸３３まわりで回動自在に設けら
れた操作レバー３４に基端を枢着されている。操
作レバー３４は、その回動操作により操作杆３２
に引き作用を与えるものに構成されており、その
回動操作端では、苗載台４に固定して設けた掛金
３５に操作逆方向への回動不能に掛止めされるも
のとされている。そして操作レバー３４の操作で
操作杆３２に引き作用を与えると、ラチエツト爪
３０にピン２９まわりでラチエツトホイール２
４，２５への噛合い方向の回動変位が与えられ
て、該ラチエツト爪３０がラチエツトホイール２
４，２５へと噛合され、以後の操作杆３２引き作
用によりラチエツト爪３０が回動アーム２７，２
８を回動変位させつつ両ラチエツトホイール２
４，２５を矢印Ａ反対方向に若干量回転変位させ
るように、図られている。第６図に実線図示の回
動アーム２７，２８及びラチエツト爪３０位置
は、そのような操作前の状態を、また同図に鎖線
図示の回動アーム２７，２８及びラチエツト爪３
０位置はそのような操作後の状態を、それぞれ示
しており、鎖線図示の状態では、掛金３５への操
縦レバー３４の掛止めで操作杆３２の前進変位が
阻止されていることから、ラチエツトホイール２
４，２５の矢印Ａ方向への回転がラチエツト爪３
０により制止される。そして、このように操作レ
バー３４の回動操作でラチエツトホイール２４，
２５に矢印Ａ反対方向への回転変位を与えると、
第２のラチエツトホイール２５の同方向への回転
変位により前記コイルスプリング２６が若干量捲
戻される。

以上よりして、各クラツチ２３は、次のように
作用する。すなわち、先ず第６図に実線図示のよ
うにラチエツト爪３０がラチエツトホイール２
４，２５に噛合されていない状態では、矢印Ａ方
向への原動側軸１８の回転により、その上のコイ
ルスプリング２６が原動側軸１８と従動側軸１０
上で締付けられ、このコイルスプリング２６によ
つて該両軸１８，１０間が結合されて、原動側軸
１８により従動側軸１０が矢印Ａ方向に回転駆動
される。この状態から、前記操作レバー３４を操
作して操作杆３２を第６図の矢印Ｂ方向に引き、
前記のようにラチエツト爪３０の両ラチエツトホ
イール２４，２５への噛合いで、該両ラチエツト
ホイール２４，２５を矢印Ａ反対方向に若干量回
転させた上で両ラチエツトホイール２４，２５を
矢印Ａ方向への回転を制止すると、前記のように
コイルスプリング２６が若干量捲戻されて弛緩
し、原動側軸１８と従動側軸１０間の結合が断た
れると共に、ラチエツトホイール２５の矢印Ａ方
向への回転制止で、従動側軸１０が回転不能に拘
束される。

すなわち、クラツチ２３は、矢印Ａ方向の回転
を原動側軸１８から従動側軸１０へと伝達する一
方向ばねクラツチとなつており、且つ、このクラ
ツチ２３は、その離脱により従動側軸１０を若干
量、苗縦送り反対方向に回転させた上で苗縦送り
方向への回転不能に拘束する制止手段２５，３０
を備えたものとされている。

したがつて、図示の苗縦送り装置では、何れか
のクラツチ２３を離脱させると、そのクラツチ２
３よりも従動側に位置する全てのスターホイール
軸９，１０とその上のスターホイール１１，１２
の回転が停止せしめられて、該スターホイール１
１，１２が属する苗載区画４Ａの苗縦送りが行な
われなくなると共に、上記の従動側スターホイー
ル軸９，１０及びスターホイール１１，１２が苗
縦送り方向（矢印Ａ方向）への回転を不能とされ
て、苗マツトに係合するスターホイール１１，１
２の回転不能な拘束で、前記苗載区画４Ａ上の苗
マツトの、自重による苗載台４傾斜下端方向への
移動も阻止される。そして、この自重による苗マ
ツト移動の阻止は、スターホイール１１，１２が
苗縦送り反対方向（矢印Ａ反対方向）に若干量回
転せしめられた上で拘束されることから、スター
ホイール１１，１２の苗マツトへの縦送り反対方
向への係合が確実に行なわれた上で該ホイール１
１，１２拘束が行なわれることとなつて、極めて
確実な阻止となる。なお、操作レバー３４を前記
掛金３５から外すと、前記引張りスプリング３１
の作用で回動アーム２７，２８とラチエツト爪３
０が第６図の鎖線図示位置から実線図示位置へと
戻されて、再び苗縦送りが行なわれる状態が得ら
れる。

以上のように、この考案の田植機における苗縦
送り装置は、苗載台４の横往復動端で間欠回転駆
動されるスターホイール駆動軸１８，２０と苗縦
送り用のスターホイール１１，１２を嵌着してあ
りスターホイール駆動軸１８，２０により回転駆
動されるスターホイール軸９，１０とを互に切離
し、且つ、スターホイール軸９，１０を各条の苗
載区画４Ａごとに分断して、これらのスターホイ
ール駆動軸１８，２０及びスターホイール軸９，
１０を互に同心配置して設けると共に、スターホ
イール駆動軸１８，２０とそれに隣接するスター
ホイール軸９，１０間にスターホイール駆動軸１
８，２０の回転を隣接するスターホイール軸９，
１０に対し選択的に伝達可能とするクラツチ２３
を、また互に隣接する各２スターホイール軸９，
１０間にスターホイール駆動軸１８，２０側に位
置するスターホイール軸９，１０の回転をスター
ホイール駆動軸１８，２０反対側に位置するスタ
ーホイール軸９，１０に対し選択的に伝達可能と
するクラツチ２３を、それぞれ配設し、また上記
クラツチ２３の各々を選択的に入断させるための
操作手段３４を設けてある構成のものであつて、
畦際等で田植機により植付け可能な全条の苗植付
けを行なわず特定の一或は複数条のみの苗植付け
を行なうような場合に、苗植付けを行なわない条
の苗載区画について苗縦送り停止を、上記したク
ラツチの操作で極く容易に行なえるものとなつて
いる。

そしてこの長所は、前記クラツチ２３の各々
を、該クラツチ２３の離脱により従動側に位置す
るスターホイール軸９，１０を苗縦送り方向への
回転不能に拘束する制止手段２５，３０を備えた
クラツチに、構成することで、苗マツトに係合す
るスターホイール１１，１２の苗縦送り方向への
回転を不能として、苗縦送り装置に苗ストツパー
機能を併せ有せしめることによつて、一層高めら
れるに至る。

そしてさらに、この考案の他の実施態様に従つ
て、前記制止手段２５，３０を、従動側に位置す
るスターホイール軸９，１０を苗縦送り反対方向
に若干量回転させた上で苗縦送り方向への回転不
能に拘束する手段に構成するときは、苗縦送り用
のスターホイールが自重による苗マツト移動を阻
止する方向で苗マツトに確実に係合した上で、苗
縦送り方向への回転不能に拘束されるに至ること
から、上記の苗ストツパー機能が極めて確実なも
のとなつてくる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を装備した歩行型
田植機の概略側面図、第２図は同田植機要部の縦
断側面図、第３図は同要部の一部を示す背面図、
第４図は同実施例の一部を示す背面図、第５図は
同実施例要部の縦断面図、第６図は同要部の側面
図である。 ４……苗載台、４Ａ……苗載区画、９，１０…
…スターホイール軸、１１，１２……スターホイ
ール、１６……駆動軸、１７……縦送り駆動カ
ム、１８……スターホイール駆動軸、１９……フ
オロワカム、２０……スターホイール駆動軸、２
２……連動リンク、２３……クラツチ、２４，２
５……ラチエツトホイール、２６……コイルスプ
リング、２７，２８……回動アーム、２９……ピ
ン、３０……ラチエツト爪、３１……引張りスプ
リング、３２……操作杆、３４……操作レバー、
３５……掛金。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 苗載台の横往復動端で間欠回転駆動されるス
   ターホイール駆動軸と苗縦送り用のスターホイ
   ールを嵌着してありスターホイール駆動軸によ
   り回転駆動されるスターホイール軸とを互に切
   離し、且つ、スターホイール軸を各条の苗載区
   画ごとに分断して、これらのスターホイール駆
   動軸及びスターホイール軸を互に同心配置して
   設けると共に、スターホイール駆動軸とそれに
   隣接するスターホイール軸間にスターホイール
   駆動軸の回転を隣接するスターホイール駆動軸
   に対し選択的に伝達可能とするクラツチを、ま
   た互に隣接する各２スターホイール軸間にスタ
   ーホイール駆動軸側に位置するスターホイール
   軸の回転をスターホイール駆動軸反対側に位置
   するスターホイール軸に対し選択的に伝達可能
   とするクラツチを、それぞれ配設し、また上記
   クラツチの各々を選択的に入断させるための操
   作手段を設けてある、田植機における苗縦送り
   装置。 ２ 前記クラツチの各々を、該クラツチの離脱に
   より従動側に位置するスターホイール軸を苗縦
   送り方向への回転不能に拘束する制止手段を備
   えたクラツチに構成してある、実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載の田植機における苗縦送
   り装置。 ３ 前記制止手段を、従動側に位置するスターホ
   イール軸を苗縦送り反対方向に若干量回転させ
   た上で苗縦送り方向への回転不能に拘束する手
   段に構成してある、実用新案登録請求の範囲第
   ２項に記載の田植機における苗縦送り装置。