JPS6124020Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は田植機における苗植装置を走行機体に
対して上下動自在に装着するための支持装置に関
するものである。

〔従来の技術〕

田植機において、苗植装置を圃場の凹凸に追従
できるように、走行機体に対して上下動可能に装
着する場合、苗植装置における往復横移動式の苗
載台が左方向に移動すればこの重量が苗植装置の
左側に作用し、苗植装置の左側が重くなり、走行
機体に対して上下動可能に取付く苗植装置は左側
に傾くことになるから、苗の植付け深さが左側で
深く、右側で浅くなり、苗載台が逆に右方向に移
動すれば、苗の植付深さが右側で深く、左側で浅
くなるというように、苗載台の横移動に伴つて苗
植付深さが変化することになる。

そこで先行技術としての実開昭52−131410号公
報は、走行機体にリフト機構を介して上下昇降可
能に装着された苗植装置と、前記リフト機構との
間に一つの引張ばねを装架し、該引張ばねのリフ
ト機構側の取付け位置を、前記苗植機構における
苗載台の移動方向とは逆方向に相対的に移動させ
ることにより、苗載台の横移動に伴つて苗植装置
が傾くのを防止することを提案している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このものは、苗植装置とリフト機構と
の間に一つの引張ばねを別に設けなければならな
いから、構造がそれだけ複雑になることに加え
て、この一つの引張ばねは、苗植装置の垂直中心
線上に位置しているので、この一つの引張ばね力
によつて苗載台の移動に伴う苗植装置の傾きを防
止するためには、該引張ばねによつてのみ苗載台
の重量及び当該苗載台上の苗マツトの重量の両方
を支持するようにしなければならず、しかも、こ
の張ばねの作用点と田植機の長手中心線との間の
距離を大きくすることができないから、当該引張
ばねは相当ばね力の大きい、従つて著しく大型の
ばねにしなければならないから、水平保持の感度
が鈍く、しかも田植機の重量が増大するばかり
か、この大型の引張ばねを装着するためのスペー
スが必要であつて、田植機が大型になる不具合が
あつた。

本考案は、苗植装置を走行機体に対して上下昇
降可能に装着した形式の田植機においては、例え
ば実開昭52−104850号公報に開示されているよう
に、走行機体と苗植装置との間に、苗植装置を走
行機体に引張付勢するようにした苗植装置引張付
勢用の引張ばねが左右一対設けられていることに
鑑み、この苗植装置引張付勢用の両引張ばねを利
用して、苗載台の横移動に伴う苗植装置の傾きを
防止するようにして、前記先行技術の不具合を解
消したものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、走行機体に、往復横移動す
る苗載台を備えた苗植装置を上下昇降可能に装着
する一方、該苗植装置と走行機体との間に左右一
対の引張ばねを装架して成る田植機において、前
記両引張ばねの走行機体側への装着部に、前記苗
載台の左方向への移動時に左側の引張ばねを引張
作動すると同時に右側の引張ばねを緩め作動し、
苗載台の右方向への移動時に右側の引張ばねを引
張作動すると同時に左側の引張ばねを緩め作動す
るようにした機構を設けた構成にしたものであ
る。

〔実施例〕

次に本考案を６条植乗用型田植機に適用した実
施例に基づき説明すると、図において１は、前部
機体２の後端上下に突設したブラケツト４，５′
と後部機体３の前端上下に突設したブラケツト
５，４′とを同一垂直線上でピン６，７枢着して
水平折曲げ可能に構成した走行機体を示し、前記
の前後両機体２，３の左右両側には車軸ケース
８，８，９，９を取付け、該車軸ケース８，８，
９，９の先端には、チエン１０，１０，１１，１
１を介して車輪１２，１２，１３，１３が装着さ
れている。１４は後部機体の後端に装置されたエ
ンジンを示し、また、１５，１６は前記上下連結
ピン６，７の中間に設けた折曲自在継手軸で前記
エンジン１４からの動力を前後機体２，３内の動
力伝動機構に伝達するものであり、これにより車
輪１２，１２，１３，１３を駆動すると共に前部
機体２の前端に突出するPTO軸１７から伸縮自
在軸１８を介して後述する苗植装置２０の入力軸
１９に動力伝達する。

また、前部機体２の上面に設けたハンドル２１
のステアリング機構２２と後部機体３とをコネク
テイングロツド２３で連結し、ハンドル２１の回
動操作により前後両機体２，３間を折曲してかじ
取りするよう構成する。

２０は前部機体２の前方に位置する６条植の苗
植装置を示す。この苗植装置２０は、伝動ケース
２４、その先端両側に取付く苗植爪２５，２５、
その上面に沿設した上下レール２６，２７に沿つ
て横移動自在に取付く苗載台２８及び伝動ケース
２４下面に取付くフロート２９とから成る苗植ユ
ニツトを３つ並設し、この各苗植ユニツトにおけ
る伝動ケース２４の後端間を筒状部材３０で連結
すると共に、各苗植ユニツトにおける伝動ケース
２４の前端間をバンパー３１で連結したものに構
成する。

前記苗植装置２０における各伝動ケース２４を
連結する筒状部材３０内に動力伝達軸３２，３２
を挿通し、各伝動ケースのうち中央の伝動ケース
２４の駆動軸３３から各伝動ケース２４内の伝動
機構３４を介して爪軸３５に動力伝達し、各爪軸
３５先端に取付く苗植爪２５を駆動する。３６は
中央の伝動ケース２４後端に取付く苗載台横送り
機構で、駆動軸３３からチエン３７及び変速機構
３８を介して円筒カム軸３９に動力伝達し、摺動
自在な横送り軸４０に取付く舟型キー４１を前記
円筒カム軸３９に係合させ、該カム軸３９の回転
にて横送り軸４０を苗載台２８における苗マツト
の巾に相当する距離Ｌだけ左右往復動させると共
に、その横送りの左右端において、カム機構によ
り前記横送り軸４０を一定角度回動させるように
構成する。

また、前記苗植装置２０における苗載台２８の
裏面には、前記横送り軸４０の両端をブラケツト
４２，４２を介して連結すると共に苗載台２８の
表面に一部突出する苗マツト送り爪車４３を適宜
間隔で備えた苗マツト縦送り軸４４を枢支し、該
縦送り軸４４に設けた一方向送りクラツチ４５を
連杆４６を介して前記横送り軸４０と連結し、横
送りの左右端にて縦送り軸４４を一ピツチづつ間
欠送りして苗マツトを苗載台２８下端方向に送り
込むように構成する。

この苗植装置２０における管状部材３０，３０
の後端部にはロワーリンク用取付片４７，４７を
突設すると共に、苗載台２８の裏面に沿わせてマ
スト４８を立設し、一方前記走行機体１における
前部機体２の前端両側に取付けたフレーム４９，
４９の下面にはブラケツト５０，５０を設け、該
ブラケツト５０，５０と前記取付片４７，４７と
には左右一対のロワーリンク５１，５１の両端を
回転自在にピン止めする一方、前記マスト４８上
端と前部機体２前端上部とにはトツプリンク５２
の両端を回転自在にピン止めして、これら各リン
クにより苗植装置２５を前部機体２に対して上下
動自在に取り付ける一方、この苗植装置２０を走
行機体１側に設けた油圧シリンダにて上下昇降す
るように構成する。

そして、両ロワーリンク５１，５１は前記苗植
装置２０における各苗植爪２５による苗植条間の
位置に配設され、その内側にはロワーリンク５
１，５１と両フレーム４９，４９との間に例えば
両端を回転自在にピン止めした横振れ防止用の引
張部材５３，５３が設けられている。

さらに、苗植装置２４の後方下部と前部機体２
の前方上部との間には該苗植装置２４の横振れ防
止又は横振れに対する復帰用の一対の左右対称の
引張りばね５６，５７を装架するにあたり、前部
機体２前端上部にレバー５４をその中央部で水平
回動自在にピン５５に枢支し、前記レバー５４の
左右両端と前記ロワーリンク用取付片４７との間
に前記左右一対の引張ばね５６，５７を平面視に
おいて前広がりの八字状に装架する。そして、前
記レバー５４の左側中途部に一つの油圧シリンダ
５８の一端を、該各油圧シリンダ５８の他端を機
枠にそれぞれ取付ける。

一方、前記苗植装置２０における筒状部材３０
又は伝動ケース２４等の横移動不動部分には、左
右一対の油圧ポンプ５９，６０を、そのピストン
杆６１の軸線が苗載台２８の横移動方向と平行
で、且つ、当該ピストン杆６１が外向きになるよ
うにして取付け、該両油圧ポンプ５９，６０のピ
ストン杆６１を、前記ブラケツト４２，４２に
各々係着すると共に、この両油圧ポンプ５９，６
０と前記油圧シリンダ５８とを油圧管路にて接続
することにより、苗載台２８の右方向への移動に
応じて左側油圧ポンプ６０を作動させてその油圧
により前記レバー５４に取付く油圧シリンダ５８
のピストンを前進動して、レバー５４を回動させ
て前記右側の引張ばね５７を走行機体１側に引張
作動すると同時に、左側の引張ばね５６を緩め作
動し、反対に苗載台２８の左方向への移動に応じ
て右側油圧ポンプ５９を作動させてその油圧によ
り前記レバー５４に取付く油圧シリンダ５８のピ
ストンを後退動して、レバー５４を回動させて前
記左側の引張ばね５６を走行機体１側に引張作動
すると同時に、右側の引張ばね５７を緩め作動す
るように構成する。

この構成において、苗植装置２０をそのフロー
ト２９が圃場面に接地するように下降したのち走
行機体１を前進させ、苗植装置２０の入力軸１９
に動力伝達すれば苗載台２８は一ピツチづつ横移
動し、これに同期して苗植爪２５が苗載台下端と
圃場面との間を往復揺動し苗載台２８上の苗マツ
トから一株づつに分割しながら圃場面に複数条に
沿つて苗植付けすることになる。

そして、苗載台２８が右方向へ横移動すれば、
それに応じて苗植装置２０の右側が重くなつて、
苗植装置２０が右に傾くことになり、反対に苗載
台２８が左方向に横移動すれば苗植装置２０の左
側が重くなつて、苗植装置２０が左に傾くことに
なるが、本考案に従えば、苗載台２８が右方向へ
横移動すれば、その移動量に応じて走行機体１と
苗植装置２０との間に装架した左右一対の引張ば
ね５６，５７のうち右側の引張ばね５７が引張作
動する同時に、左側の引張ばね５６が緩み作動す
ることにより、苗植装置２０の右側に対する支持
力が大きくなると同時に苗植装置２０の左側に対
する支持力が小さくなるから、苗載台２８の右方
向への横移動による苗植装置２０の右側への傾き
を修正することができ、また、苗載台２８が左方
向へ横移動すれば、その移動量に応じて走行機体
１と苗植装置２０との間に装架した左右一対の引
張ばね５６，５７のうち左側の引張ばね５６が引
張作動する同時に、右側の引張ばね５７が緩み作
動することにより、苗植装置２０の左側に対する
支持力が大きくなると同時に苗植装置２０の右側
に対する支持力が小さくなるから、苗載台２８の
左方向への横移動による苗植装置２０の左側への
傾きを修正することができるのである。

〔考案の作用・効果〕

以上の通り本考案によると、苗植装置と走行機
体との間に左右一対装架される両引張ばねを利用
して、苗載台の横移動に連動して前記両引張ばね
のうち一方の引張ばねを引張作動すると同時に他
方の引張ばねを緩め作動することによつて、苗載
台の横移動に伴う苗植装置の傾きを防止するもの
で、前記先行技術のように苗載台の横移動に伴う
苗植装置の傾きを防止することのためのみ設けら
れる大型の引張ばねを省略することができるので
ある。

しかし、苗植装置と走行機体との間に左右一対
装架される両引張ばねを利用して、苗載台の横移
動に伴う苗植装置の傾きを防止する場合におい
て、苗載台の横移動に伴う苗植装置の傾きを、両
引張ばねのうち一方の引張ばねの引張作動のみに
よつて防止することは、当該両引張ばねは、苗載
台の重量及び苗載台上の苗マツトの重量の両方を
支持し得るものにしなければならないから、両引
張ばねが大型になると共に、両引張ばねを引張作
動する場合の作動距離を大きくしなければならな
いから、苗載台の横移動に対する苗植装置の水平
保持の感度が低下することになる。これに対して
本考案は、苗植装置と走行機体との間に左右一対
装架される両引張ばねを利用して、苗載台の横移
動に伴う苗植装置の傾きを防止するに際して、苗
載台の横移動に連動して当該両引張ばねのうち一
方の引張ばねを引張作動すると同時に他方の引張
ばねを緩め作動するようにしたものであるから、
両引張ばねとしては、苗載台の重量及び苗載台上
の苗マツトの重量の両方を支持し得るものに構成
する必要はなく、その一部の重量を支持するのみ
で良いから、両引張ばねの大型化を回避できると
共に、両引張ばねの引張作動及び緩め作動に際し
ての作動距離を半分にできるから、苗載台の横移
動に対する苗植装置の水平保持の感度を向上でき
るのである。

従つて、本考案によると、苗載台の横移動に伴
う苗植装置の傾きを防止することのために、構造
が複雑化すること、田植機が大型化すること及び
田植機の重量が増加することを確実に回避でき、
しかも、苗載台の横移動に対する苗植装置の水平
保持の感度が高く、圃場面に対する苗の植付け深
さをより安定させることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は６条
植乗用型田植機の側面図、第２図はその平面図、
第３図は苗植装置の一部切欠断面図、第４図は第
１図−視拡大図である。 １……走行機体、２０……苗植装置、２９……
フロート、２４……伝動ケース、２８……苗載
台、３０……筒状部材、４０……横送り軸、５
９，６０……油圧ポンプ、５６，５７……引張ば
ね、５４……レバー、５８……油圧シリンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行機体に、往復横移動する苗載台を備えた苗
   植装置を上下昇降可能に装着する一方、該苗植装
   置と走行機体との間に左右一対の引張ばねを装架
   して成る田植機において、前記両引張ばねの走行
   機体側への装着部に、前記苗載台の左方向への移
   動時に左側の引張ばねを引張作動すると同時に右
   側の引張ばねを緩め作動し、苗載台の右方向への
   移動時に右側の引張ばねを引張作動すると同時に
   左側の引張ばねを緩め作動するようにした機構を
   設けたことを特徴とする田植機における苗植装置
   の支持装置。