JPS6122110Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として戸建住宅を対象として、床
下地上に敷設することによつて、遮音、断熱を図
りつつ振動伝達率の低下を図るための床防振パネ
ルに関するものであつて、その主たる目的は、大
なる防振性能を発揮できるものを安価に、かつ能
率良く施工できる状態にして提供せんとする点に
ある。

以下先ず本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案に係る床防振パネルＡを裏返し
状態で示してある。この床防振パネルＡは、グラ
スウールなど吸音性とともに断熱性にも勝れた吸
音材２を内部に充填したパネル本体１の複数箇所
に、弾性パツド３をその一部がパネル本体１の一
面側（施工時に下面となる側）より外方に突出す
る状態で埋込ませてあるものである。具体的に
は、パネル本体１は、対向させた２枚の矩形状の
板材として合板１Ａ，１Ｂを、両者間に前記吸音
材２を挾在させた状態でその四周辺に釘などによ
り固定した４枚の合板１Ｃ…を介して内側に内部
空間を形成する状態に箱形に連結してなるもので
あつて、前記対向合板１Ａ，１Ｂのうち施工時に
下位となる（第１図では上位の）合板１Ｂには巾
方向および長さ方向に夫々適当間隔を隔て複数箇
所に矩形の孔１ｂ…を形成してあり、かつこの孔
１ｂ…と同一位相関係で前記内部空間に充填され
た吸音材２にも上下に貫通する矩形の孔２ａ…が
形成されている。そしてこれら対応する孔１ｂ，
２ａ…の夫々に対し、前記弾性パツド３…が埋込
まれ、第２図の如く、施工時に上位となる（第１
図、第２図では下位の）合板１Ａの内面に対し接
着されている。

弾性パツド３は、ガラス繊維を高密度に圧縮
し、かつその周りを薄いゴム部材で被覆してなる
ものである。

参考までに床防振パネルＡの寸法関係の一例を
示すと、パネルＡの長さは約1800mm、巾は約900
mm、厚さは約50mm、上位合板１Ａの厚さは約９〜
12mm、下位合板１Ｂの厚さは約６〜９mm、周囲の
合板１Ｃ…の厚さは約６mm、弾性パツド３…の
巾、長さ、厚さは夫々約50mmで、下位合板１Ｂよ
り約10mm外方に突出している。弾性パツド３…内
のガラス繊維の密度は約250Kg／m³、表面のゴム
部材の厚みは約１mmである。パツド３の分布度
は、パネルＡの面積に対し９〜12個／m²程度であ
る。一つのパツド３は、例えば15Kgの荷重に対し
約１〜２mm縮む程度の弾性定数をもつ。

実験によれば、上記の床防振パネルの固有振動
数は約１Hzであり、地盤での主たる振動数50Hzに
対し振動伝達率は1/2000以下であり、又床材
（畳）上での主たる振動数25Hzに対し振動伝達率
は1/500以下であつた。つまり、ほぼ完全に防振
できることが分かつた。

第３図は上記床防振パネルＡの施工態様を示し
たもので、大引き４上に根太５を敷設し、その上
に合板６を載置した上で床防振パネルＡを敷設
し、更にその上に床材として畳７を置いてある。
尚、８は柱９とパネルＡとの間に介在させた絶縁
ゴム、１０は土台１１と布基礎１２との間に介在
させた防振ゴム、１３は束石１４と大引き４との
間に介在立設させた防振束、１５は束石１４下に
配したモルタルである。

第４図は別実施例に係り、弾性パツド３の突出
端面に位置規制用の板材３′を連設したものであ
る。即ち、下位合板１Ｂが薄く撓みやすい場合に
は第５図の如く弾性パツド３が下位合板１Ｂ内に
不測に入つてしまい出てこなくなる可能性がなき
にしもあらずであるが、第４図はこれを確実に防
止したものである。

以上要するに、本考案による床防振パネルは、
２枚の板材１Ａ，１Ｂを互いに間隔を隔てて内側
に空間を形成する状態の箱形に形成し、この２枚
の板材１Ａ，１Ｂ間の内部空間に吸音性、断熱性
に勝れた吸音材２を充填したパネル本体１の複数
箇所に、弾性パツド３をその一部がパネル本体１
の一面側の板材１Ｂより外方に突出する状態で前
記パネル本体１内に埋込ませてあることを特徴と
するものであるから、次の作用効果を奏する。

即ち、弾性パツド３をパネル本体１の複数箇所
に分散させた状態で、かつ一部を一方の板材１Ｂ
表面より外方に突出させた状態で設けたから、人
の移動に伴なう内部振動、自動車振動など外部か
ら地面および床下地を伝播してくる比較的広範な
周波帯域の振動を十分に吸収し、大なる防振性能
を発揮できるとともに、パネル本体内の内部空間
に充填した吸音材２をもつて大なる遮音性能およ
び断熱性能を発揮でき、全体として快適居住性の
向上と同時に省エネルギーにも貢献する。

しかも、以上の諸性能を有するものがパネルと
して一体化、プレハブ化されているから、生産、
保管、現場への搬入および施工の各面において経
済的かつ能率的であるという実用効果を奏し得
る。

殊に、弾性パツド３として、ガラス繊維を高密
度に圧縮しその周りを薄いゴム部材で被覆してな
るものを用いる場合には、地盤での主たる振動数
（50Hz）に対しても、又床材上での主たる振動数
（25Hz）に対しても、振動伝達率を極めて小さい
ものとでき、より勝れた防振性能を発揮させるこ
とができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る床防振パネルの実施例を示
し、第１図は一部切欠斜視図、第２図は要部の縦
断正面図、第３図は施工態様を示した縦断面図、
第４図は応用例に係る要部縦断正面図、第５図は
問題点を指摘する断面図である。 １……パネル本体、２……吸音材、３……弾性
パツド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 床下地上に敷設することによつて遮音、断熱
   ならびに、振動伝達率の低下を図る床防振パネ
   ルであつて、２枚の板材１Ａ，１Ｂを互いに間
   隔を隔てて内側に空間を形成する状態の箱形に
   形成し、この２枚の板材１Ａ，１Ｂ間の内部空
   間に吸音性、断熱性に勝れた吸音材２を充填し
   たパネル本体１の複数箇所に、弾性パツド３を
   その一部がパネル本体１の一側面の板材１Ｂよ
   り外方に突出する状態で前記パネル本体１内に
   埋込ませてあることを特徴とする床防振パネ
   ル。 前記弾性パツド３は、ガラス繊維を高密度に
   圧縮し、その周りを薄いゴム部材で被覆してな
   るものである実用新案登録請求の範囲第項に
   記載の床防振パネル。