JPS6118665Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は例えばコンバインなどに搭載する脱穀
機において、扱胴を内蔵する扱室の一側で扱胴軸
の軸芯方向にフイードチエーンを張架させ、前記
扱胴によつて脱粒する穀桿をフイードチエーンに
よつて供給する装置の改良に関するものである。

「従来の技術」 従来、フイードチエーンの穀桿搬送側を略直線
的に若干傾斜させて張架させ、そのフイードチエ
ーンにより扱室に穀桿を搬入させる技術があつ
た。

「考案が解決しようとする問題点」 前記従来技術は、扱胴に対する穀桿の移行速度
が略一定であり、そのため扱胴の前側での脱粒作
用は比較的高負荷となり、扱歯による穂切及び桿
切などが発生し易く、また扱胴の後側での脱粒作
用は前記と逆に比較的低負荷となり、株元に近い
遅れ穂などが残粒し易く、従つてこの不都合を解
消すべく、前記フイードチエーン速度を遅くし、
或には扱胴の前後長さを長く形成しても、脱粒能
率が低下し、或いは構造が煩雑となり、扱胴の脱
粒作用に適応したフイードチエーンによる穀桿の
搬送態様を得ることが困難であつた。

そこで特公昭35−6715号公報などに示す如く、
穀桿を浅扱から深扱状態に順次移行させる傾斜搬
送部をフイードチエーンに設けた従来技術があ
り、稈切れ等の防止並びに脱粒効率の向上などを
容易に図れるが、フイードチエーン前部を下降傾
斜させるから、フイードチエーンの搬送作用側に
設ける挾扼板の支持構造の簡略化が難しいと共
に、フイードチエーン始端と挾扼板との間に送込
む穀桿の案内構造の簡略化も容易に図り得ない等
の問題があつた。

「問題点を解決するための手段」 然るに、本考案は、フイードチエーンの送り始
端乃至中間において送り始端側を扱胴軸から離す
方向に屈曲張設させ、フイードチエーンによつて
搬送する穀桿を浅扱ぎ姿勢から深扱ぎ姿勢に順次
移行させる傾斜搬送部をフイードチエーンの送り
始端側に形成する装置において、前記扱胴軸に略
平行に藁押え台を横設させ、その藁押え台に複数
の挾扼板を弾性支持させると共に、前記フイード
チエーンの搬送作用側で前記傾斜搬送部に設ける
複数の挾扼板の上下幅を、この送り始端部が最も
大きく送り終端部が順次小さくなるように形成し
たものである。

「作 用」 従つて、フイードチエーンの傾斜搬送部におい
て送り始端側の挾扼板の上下幅を順次大きく形成
しているから、挾扼板を取付ける藁押え台などの
支持構造を従来よりも簡単に構成し得ると共に、
フイードチエーン送り始端の挾扼板の上下幅を最
も大きく形成することにより、フイードチエーン
始端に受継がせる穀桿をその挾扼板前側を利用し
て簡便に案内し得、従来に比べてフイードチエー
ン始端における穀桿の案内構造の簡略化を容易に
図り得るものである。

「実施例」 以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳述す
る。第１図はコンバインの側面図、第２図は同平
面図であり、図中１は左右に走行クローラ２，２
を装設するトラツクフレーム、３は前記トラツク
フレーム１に固定支持する機台、４はフイードチ
エーン５を左側に張架し且つ扱胴６を内蔵してな
る脱穀部、７は回動支点軸８を中心に油圧シリン
ダ９によつて昇降させる刈取部、１０は前記フイ
ードチエーン５終端に連結させる排藁チエーン１
１を臨ませる排藁カツター、１２は前記チエーン
１１を介して排藁を未処理状態で取出す排藁集速
台、１３は揚穀筒１４を臨ませてなる籾タンク、
１５は前記タンク１３後部に連設する吸気筒１６
を備えたエンジン、１７は運転席１８及び運転操
作部１９を備えた運転台であり、穀桿を連続的に
刈取つて脱穀するように構成する。

さらに、第３図は要部の断面側面図、第４図は
横断面図であり、図中２０は扱胴６を内蔵する扱
室２１下方に張架させるクリンプ網、２２は揺動
リンク２３及び揺動クランクアーム２４を介して
前後及び上下に揺動自在に支持する揺動選別盤、
２５は前記選別盤２２方向に風を吹出す唐箕、２
６は一番樋２７に内設して揚穀筒１４を連結させ
精粒を取出す一番コンベア、２８は二番樋２９に
内設して二番還元スロア３０に連結させ二番還元
物（籾及び藁屑）を扱室２１に戻す二番コンベ
ア、３１は藁屑を放出する三番口３２を形成する
三番樋、３４は揺動選別盤２２の後部上方に位置
させる吸排塵フアン、３５は前記フアン３４の上
側を覆う四番樋、３６，３７は前記カツター１０
上面を開閉する排藁処理切換板であり、フイード
チエーン５によつて搬送する穀桿の穂先側を扱室
２１に扱口３８を介して供給し、扱胴６の扱歯３
９…によつて前記穀桿の穂先部を整梳して脱粒す
ると共に、揺動選別盤２２を介して一番コンベア
２６に流下する穀粒を揚穀筒１４によつて籾タン
ク１３に搬出させ、またフイードチエーン５から
排藁チエーンに受継ぐ脱穀済み桿即ち排藁をカツ
ター１０或いは集束台１２に排出するように構成
する。

また前記フイードチエーン５の上面側を搬送作
用側とし、フイードチエーン５の送り始端乃至中
間において送り始端側を扱胴軸４０から離す方向
に屈曲張設させ、即ちフイードチエーン５の送り
始端を低く且つこの中間を高くするように傾斜さ
せ、扱歯３９の回転軌跡３９ａからフイードチエ
ーン５の始端側を徐々に離し、またその軌跡３９
ａにフイードチエーン５の中間側を徐々に接近さ
せ、フイードチエーン５によつて搬送する穀桿ａ
を浅扱ぎ姿勢から深扱ぎ姿勢に順次移行させる傾
斜搬送部５ａを該チエーン５の送り始端側に形成
すると共に、前記フイードチエーン５の中間乃至
送り終端側を扱胴軸４０に略平行に張設し、フイ
ードチエーン５の送り始端乃至中間の扱胴６前側
において、フイードチエーン５の速度よりも扱胴
軸４０方向の穂先部の移行速度を遅くし、フイー
ドチエーン５の中間乃至送り終端の扱胴６後側に
おいて、フイードチエーン５速度と扱胴軸４０方
向の穂先部の移行速度を略同じとし、扱胴６に対
するフイードチエーン５の桿送り速度を扱胴６の
前後で異ならせるように形成する。

次いで複数の挾扼板４１…を折曲げ自在に連結
させた挾扼板４２を、フイードチエーン５上面の
搬送作用側に設けるもので、前記フイードチエー
ン５の搬送作用側で前記傾斜搬送部５ａに設ける
複数の挾扼板４１…の上下幅を、この送り始端部
が最も大きく送り終端側が順次小さくなるように
形成している。

また脱穀機４外側で扱胴軸４０に略平行に藁押
え台４３を横設させると共に、挾扼板４１…の連
結部に支軸４４…を突設させ、藁押え台４３に支
軸４４…を摺動自在に支承させる。そして挾扼板
４１…をフイードチエーン５方向に加圧すべく、
藁押えバネ４５…を挾扼板４１…に附勢してその
挾扼板４１を藁押え台４３に弾性支持させ、フイ
ードチエーン５の傾斜搬送部５ａの藁搬送力Ｆ１
と、該部における藁押上げ力Ｆ２との合力Ｆを、
支軸４４の軸芯方向と一致させ、支軸４４の摺動
方向と異なる力が支軸４４に負荷されるのを防
ぎ、支軸４４の抉れによるこの折曲を阻止し、挾
扼板４１による藁押え作用を確実に得ると共に、
アンダーチエーン形式のフイードチエーン５始端
を扱口３８の前端下方に伸張させ、刈取部７から
受継ぐ桿をフイードチエーン５の上側搬送部で、
その桿の落零れをなくして刈取り穀桿を確実にフ
イードチエーン５に受渡するように形成してなる
ものである。

本実施例は上記の如く構成しており、刈取り並
びに脱穀作業を連続的に行うもので、刈取部７で
刈取つた穀桿をフイードチエーン５に受継ぐと、
フイードチエーン５始端に近い穀桿ａはこの穂先
部の先端のみを扱歯３９の回転軌跡３９ａ内部に
臨ませ、先ず穀桿ａの穂先部先端の脱粒を行うと
共に、フイードチエーン５の傾斜搬送部５ａによ
つて穀桿ａを移行させることにより、前記穀桿ａ
が浅扱ぎ姿勢から深扱ぎ姿勢に順次変位し、穀桿
ａの穂先部を徐々に脱粒する。そしてフイードチ
エーン５の中間に穀桿ａが至ると、穀桿ａの株元
に近い遅れ穂が扱歯３９の回転軌跡３９ａに臨
み、フイードチエーン５の送り終端部で穀桿ａの
遅れ穂などを脱粒するもので、フイードチエーン
５の傾斜搬送部５ａでの扱胴６に対する穀桿ａの
送り速度が遅く、該部５ａにおいて扱歯３９によ
つて穀桿ａの穂先部を充分に整梳できると共に、
フイードチエーン５の送り終端部での扱胴６に対
する穀桿ａの送り速度が早くなり、遅れ穂などの
脱粒を行つた後、この脱穀済み桿即ち排藁チエー
ン１１に受継がせ、その排藁をカツター１０或い
は集束台１２に排出するものである。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、フイ
ードチエーン５の送り始端乃至中間において送り
始端側を扱胴軸４０から離す方向に屈曲張設さ
せ、フイードチエーン５によつて搬送する穀桿ａ
を浅扱ぎ姿勢から深扱ぎ姿勢に順次移行させる傾
斜搬送部５ａをフイードチエーン５の送り始端側
に形成する装置において、前記扱胴軸４０に略平
行に藁押え台４３を横設させ、その藁押え台４３
に複数の挾扼板４１…を弾性支持させると共に、
前記フイードチエーン５の搬送作用側で前記傾斜
搬送部５ａに設ける複数の挾扼板４１…の上下幅
を、この送り始端部が最も大きく送り終端側が順
次小さくなるように形成したもので、フイードチ
エーン５の傾斜搬送部５ａにおいて送り始端側の
挾扼板４１の上下幅を順次大きく形成しているか
ら、挾扼板４１を取付ける藁押え台４３などの支
持構造を従来よりも簡単に構成できると共に、フ
イードチエーン５送り始端の挾扼板４１の上下幅
を最も大きく形成することにより、フイードチエ
ーン５始端に受継がせる穀桿をその挾扼板４１前
側を利用して簡便に案内することができ、従来に
比べてフイードチエーン５始端における穀桿の案
内構造の簡略化を容易に図ることができる等の実
用的な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すコンバインの
側面図、第２図は同平面図、第３図は要部の断面
側面図、第４図はその横断面図である。 ５……フイードチエーン、５ａ……傾斜搬送
部、４０……扱胴軸、４１……挾扼板、４３……
藁押え台、ａ……穀桿。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フイードチエーン５の送り始端乃至中間におい
   て送り始端を扱胴軸４０から離す方向に屈曲張設
   させ、フイードチエーン５によつて搬送する穀桿
   ａを浅扱ぎ姿勢に順次移行させる傾斜搬送部５ａ
   をフイードチエーン５の送り始端側に形成する装
   置において、前記扱胴軸４０に略平行に藁押え台
   ４３を横設させ、その藁押え台４３に複数の挾扼
   板４１…を弾性支持させると共に、前記フイード
   チエン５の搬送作用側で前記傾斜搬送部５ａに設
   ける複数の挾扼板４１…の上下幅を、この送り始
   端部が最も大きく送り終端側が順次小さくなるよ
   うに形成したことを特徴とする脱穀機の穀桿搬送
   装置。