JPS607323Y2 - 開口の容易な紙容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は容易な開口手段を具備した密封性の高い紙容器
に関するものである。

近年、牛乳カートンに代表される紙容器は著しい普及を
示し、多種多様な物に応用するために素材の改良が進み
、当初の紙の表裏両面に熱融着性合成樹脂層を有するも
の以外に、更に裏面の合成樹脂層にアルミ箔、熱融着性
合成樹脂を順次積層したものも使用されるようになった
。

これらのアルミ箔層を有する容器は、主として酒、しよ
う油、ジュース等の浸透性の高い液体やマヨネーズ、ジ
ャム等の粘稠物等の容器として既に使用され又は使用が
検討されている。

本考案は、上記構成に係るアルミ箔層を有する素材に代
えて、紙の裏面にガスバリアー性合戒樹脂層を有し、且
つ、熱融着性合成樹脂層を表裏両面の最外層とする素材
を使用して密封性を高めた紙容器について、ストロ−や
スプーンを挿入するための一部開口を容易に形成できる
ようにしたものである。

本出願人は、先に実開昭５４−６７１３８に於て、紙の
表裏両面にポリエチレン樹脂層を設けたのみの素材を使
用した従来の紙容器に関し、ストロ−挿入穴形成のため
に、容器の内外両面から素材厚の半分の切込みを設ける
ことを提案したが、ガスバリアー性合威樹脂層を有する
紙容器についても同様に、容器の頂部パネルの引きはが
しやナイフの使用によることなく、ストロ−やスプーン
を容易に挿入できる構造であることが望まれる。

しかしながら、上記提案に係る従来型紙容器についての
構成をガスバリアー性合或樹脂層を有する紙容器に適用
すれば、この合成樹脂層自体にも切込むこととなり、浸
透性の高い液体等の紙容器としての本来の機能を失うこ
ととなる。

一般に、この種の紙容器に於て、ストロ−の挿入時に最
も大きな抵抗となるのは紙ベースである。

従って、アルミ箔層を有する紙容器の場合にも、ストロ
−挿入部分の紙ベースを欠くことを解決策とする構成と
して、挿入予定位置に透孔を設けた紙ベースを使用して
表面に熱融着性合成樹脂層、裏面に熱融着性合成樹脂層
とアルミ箔層を積層したものや、ストロ−挿入部分に対
し容器外面から予め最外層の熱融着性合成樹脂層と紙ベ
ースを除去したものが提案されている。

しかし、後者については勿論のこと、前者の場合でも紙
ベースを欠いた部分の容器外面側の樹脂層が凹状になる
ために、保管、運搬又は陳列時にこのストロ−挿入部分
にほこりがたまり易く不衛生であり、又、これを避ける
ために紙やアルミ箔等の補助材で蓋をすればコスト高と
なる。

こうした問題はガスバリアー性合成樹脂層を有する紙容
器の場合にも全く共通している。

本考案は、紙容器の製造段階で紙ベースの一部を除去す
ることから生ずる前述の不都合を解消したものであり、
購入者の側で開口部分の紙ベースを剥離により取除くこ
とができ、強度を低下させた上でストロ−やスプーンを
差込むことができるように構成したものである。

即ち、本考案は容器外面から紙の厚さの半分以上に達す
る剥離用切込みを設けると共に、この剥離用切込みによ
り区画される位置にほぼ相当する紙とガスバリアー性合
成樹脂層との積層面を非接着状態としたことを特徴とす
る。

以下、図面に示す実施例に従って本考案を説明する。

第１図は、本考案に係る紙容器を外面から剥離した状態
を示す斜視図、第２図は剥離用切込みの部分の一例を示
す要部断面図、第３図は剥離用切込みの部分の別の例を
示す要部断面図である。

図面に於て、紙容器１の素材は、紙２をベースと腰その
表面にポリエチレン等の熱融着性合成樹脂層３を有し、
更に裏面（容器内面側）にガスバリアー性合成樹脂層４
及び熱融着性合成樹脂層５が積層されている。

最外面及び最内面の熱融着性合成樹脂層３及び５は容器
成型時に所要箇所が相互に熱融着されて容器形状を維持
することを主たる機能とし、ある程度の気密性を発揮し
て内容物を保護する。

これに対して、ガスバリアー性の合成樹脂層４は従来の
アルミ箔層に代りうる完全な気密性を得るためのもので
あり、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、
ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリメチルペン
テン等を使用する。

これらのガスバリアー性樹脂が紙２への接着性に乏しい
場合には、適宜接着剤や熱融着性合成樹脂を使用して積
層する。

この紙容器１の外面には、紙２の厚さの半分以上に達す
る剥離用切込み７が設けられている。

尚、この剥離用切込み７の形状は任意であるが、先端部
を容器１の屈曲部上に位置させれば、剥離操作に際して
指先がこの先端部に引掛り易くなり好都合である。

更に、第２図に於ては前記剥離用切込み７により区画さ
れる位置にほぼ相当する紙２とガスバリアー性合成樹脂
層４との積層面には剥離剤６が介在し、この部分のみを
非接着状態としている。

この非接着処理は紙２とガスバリアー性合成樹脂層４と
の接着状態を阻止又は弱めるものを、両者の積層に先立
って、少なくともいずれか一面に塗工又は印刷すること
により行なうが、シリコン樹脂、尿素メラミン樹脂、ア
ルキッド樹脂、ポリビニルアルコール、パラフィン、ワ
ックス類、テフロンディスパージョン等の剥離剤を使用
すると効果的であり、特にシリコン樹脂が適している。

上記のような剥離剤にかえて、発泡性インキの如く合成
樹脂に対する接着力の弱い塗料を介在させても良い。

非接着処理を施す面は、剥離用切込み７の区画する面に
ほぼ一致していれば足り、区画面に対する多少の大小相
違や位置のズレは許容される。

一方、第３図はガスバリアー性合或樹脂が紙２への接着
性に乏しい場合の実施例を示すものであり、接着剤８を
使用して紙２に積層しているが、剥離用切込み７により
区画される位置にほぼ相当する積層面に対しては、この
接着剤８を塗布しないことにより非接着状態としている
。

接着剤８に変えて熱融着性合成樹脂を使用する場合も、
同様にこの部分をスポット抜きすれば良い。

又、理論上、剥離用切込み７は紙２の全厚に切込まれて
いることが望ましいが、実質的に紙厚の半分以上に達し
ていれば、紙層間で剥離することもなく、紙２を全厚に
わたってめくることができる。

本考案に係る紙容器の使用に際しては、先ず剥離用切込
み７部分をめくると、非接着状態となっている紙２とガ
スバリアー性合成樹脂層４との間で剥離が生じ、切込み
の形状に従って紙２が全厚にわたってめくられて、ガス
バリアー性合成樹脂層４が露出する。

次に、露出した合成樹脂層４にストロ−やスプーンを突
当てれば、紙ベースを次いて抵抗の弱くなった残存層を
容易に突破ることができる。

以上、詳述した通り、本考案によれば、剥離用切込みに
対応する紙とガスバリアー性合戊樹脂層との積層面を非
接着状態とすることにより、開口時に、ストロ−やスプ
ーン等の挿入に最大の抵抗となる紙ベースを完全に剥離
することが可能になった。

従って、ストロ−等の挿入が容易であると共に、蓋等の
補助材を使用することもなく低コストで衛生的な紙容器
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る紙容器の開口部分を外面から剥離
した状態を示す斜視図、第２図及び第３図は剥離用切込
み部分の例を示す要部断面図である。 １・・・・・・紙容器、２・・・・・・紙、３，５・・
・・・・熱融着性合成樹脂層、４・・・・・・ガスバリ
アー性合戊樹脂層、６・・・・・・剥離剤、７・・・・
・・剥離用切込み、８・・・・・・接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紙をベースとしてこの紙の裏面側にガスバリアー性合威
   樹脂層を有し、且つ熱融着性合成樹脂層を表裏両面の最
   外層とする素材からなる紙容器に於て、容器外面から紙
   厚の半分以上に達する剥離用切込みを設けると共に、こ
   の剥離用切込みにより区画される位置にほぼ相当する紙
   とガスバリアー性合戊樹脂層との積層面を非接着状態に
   したことを特徴とする開口の容易な紙容器。