JPS6045909B2 - たばこ香喫味の改善方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は葉たばこの精油の一種類又は二種類以上をプレ
ンして喫煙物質に０．０９〜０．００１ｐｐｍ）好まし
くは０．０５〜０．００８ｐｐｍ程度の極めて微量添加
することによりその香喫味を改善する方法に関する。

本発明における喫煙物質には葉たはこ、中骨、シートた
ばこ、再生たばこその他たばこ代替物等のたばこ製造用
の主原料をはじめ、巻紙、フィルター、包装紙、のり等
のたばこ製造用材料品等も包含される。最近のたばこ工
業、特にシガレット製造上の特徴的傾向として製品たば
この低ニコチン低タール化を挙げることが出来る。

低ニコチン低タールたばこは軽快な喫味である反面、た
ばこらしい香喫味がうすく、喫煙の満足感が不足するこ
とは必然的な結果となつてくる。又原料葉たばこの変遷
、土質及び耕作法の変化等により原料葉たばこの香味品
質が劣化してきており、更に再生たばこの利用、合成た
ばこの導入等により旧来の加工方法では優れた香喫味を
呈する製品がつくり難くなつて来ている。従つてこれら
の原料を使用して製品たばこを製造する際、たばこらし
い香喫味の増強、原料の悪癖を抑制する技術が急務とし
て求められている。本発明はかかる課題に応えることを
目的として行つたものである。すなわち本発明は一種類
又は二種類以上の葉たばこを水蒸気蒸留し、弱酸性で溶
媒抽出して得られる精油を単独若しくはブレンドして喫
煙物質に０．０９〜０．００１ｐｐｍ）好ましくは０．
０５〜０．００８ｐｐｍ程度の極めて微量を添加するこ
とにより、製品たばこの香喫味を改善する方法である。
各種葉たはこの精油に関する研究は古くから行われてお
り、これに関する報告も多数みられる。

例えば大西勲氏の’’葉たばこ精油成分に関する研究’
’（１９５８）や松島Ξ児氏等が農芸化学会誌、Ｈ、１
０２７（１９８０）に発表している葉たはこ精油の成分
組成と香気との関連等かある。しかしこれらの研究は主
として精油の内容成分に関する化学分析的な考察が主で
ある。又、葉たばこを有機溶媒て抽出し、更に塩基性部
、中性部に分画し、それらを別々にたばこの刻に添加し
た場合、喫味の向Ｊ上をもたらしたという報告があり、
（藤森嶺氏、日本専売公社中央研究所報告Ｎ０．１１８
、８８〜８９頁）、更にそれらの個々の成分を分画採取
又は化学合成して、それを添加し、喫味改善を図つた例
は多々ある。近年は、機器分析手法の発達に伴つて、葉
；たばこ中に含まれる新規な化学成分が発見され、こら
の中には、たばこの香喫味改善に有効と認められる成分
もあり、諸成分を、たばこの刻や巻紙、糊、フィルター
等に添加して香喫味の改善を行うという特許発明も多々
ある（例えば特公昭５７一５５０＼昭５７−６４１１、
昭５７−４８９５涛）。しかし葉たばこを水蒸気蒸留し
、弱酸性で溶媒抽出して得られる精油が、０．０９〜０
．００１ｐｐｍという極めて微量の添加により、香喫味
に乏しい原料葉たばこの香喫味を改善する効果があると
いうことは、これまで知られていなかつたことは驚くべ
きことである。その理は精油の製造に供される良質の原
料葉たばこを刻みの状態で、被改質原料たばこに混入す
る場合に、明確な改善効果を得るためには、品種により
異なるが、重量比で５〜１０％の添加が必要であり（後
述比較例参照）、又葉たばこ中に含まれ、これまで香喫
味改善に有効と報告されている単一の化学成分について
も望ましい改善効果を得るためには、通常１〜１００ｐ
ｐｍの添加が必要とされているからである。たばこ精油
の添加量は対象原料たる喫煙物質の種類、品質、喫煙者
の嗜好、更にはフィルター、巻紙、巻紙用のり等への添
加により異なり、一定のものではないが、例えばたばこ
の刻に対して−は、０．０５〜０．００８ｐｐｍ程度の
極めて微量の添加で充分効果を発揮するものである。

例えば１ｋ９の良質葉たはにから精油が３ｙ採取出来る
と、これを０．０３ｐｐｍ添加して香喫味を向上させ得
る被改質たばこは１００ｔ．すなわち精油を採取するた
めにつぶ冫したたばこの実に１０万倍の製品たはにの香
喫味を改善することができるという実に驚くべき効果を
有する。次に本発明に関してたばこ精油製造方法の具体
例を挙ける。

５刻たばこ１５０
ｙを２ｅ容の水蒸気蒸留用のフラスコにとり、刻たばこ
の下部より水蒸気を送り、刻の層を通つた水蒸気を冷却
し、留出水を集め、その量が３ｆとなつたとき水蒸気を
止め、食塩を飽和になるまで加える。その液性は原料に
より異５なる（例えは黄色種の場合は弱酸性、パーレー
種は弱アルカリ性）が、アルカリ性の場合はクエン酸に
より、ＰＨを４〜５に調整した後、５ｅ容の分液ロード
に移し、ヘキサン５００ｍ１を加えてよく振とうした後
、ヘキサン層を分離する。水層に更に４新しいヘキサン
５００ｍ１を加え、同様の操作で精油分をヘキサン層に
移す。１回目及び２回目のヘキサンを合わせ、無水硫酸
ナトリウムを加え、完全脱水した後ろ過し、ろ液を約３
０℃で減圧濃縮し、完全にヘキサンを回収して残つた精
油を得る。

精油の収率は原料の種類により異なるが、約０．２〜０
．３５％であつた。得られた精油１部にプロピレングリ
コール９缶＄を加え、１％溶液とした。次に本精油添加
による香喫味改善効果の実施例を示す。実施例１ 米国産黄色種から得られた精油の１％のプロピレングリ
コール溶液５０ｍｇをエチルアルコール１００・ｍｌに
溶かしたものを、香味がうすく、特有のくさみを有する
国内産黄色種１０ｋ９に噴霧添加した後、常法により巻
上げ、紙巻たばことした。

この紙巻たばこを特に訓練された１０人の専門パネルに
よつて該精油無添加の対照品と比較する方法で試喫した
結果、第１表に示す如く香喫味が向上していることが明
らかとなつた。実施例２ 米国産バーレー種から得られた精油の１％プロピレング
リコール溶液３０ｍｇをエチルアルコール１００ｍｔに
溶かしたものを、香味がうすく、特有のくさみを有する
国内産バーレー種１０ｋ９噴霧添加した後、常法により
巻上げ紙巻たばことした。

これを特に訓練された１０人の専門パネルによつて該精
油無添加の対照品と比較する方法で試喫した結果、第２
表に示す如く、香喫味が改善されていることが判明した
。実施例３ 良質の日本在来種松川葉から得られた精油の１％プロピ
レン溶液３０ｍ９をエチルアルコール１００ｍ１に溶か
したものを、香味がうすく、特有のくさみを有する国内
在来種の該たばこ１０ｋｇに噴霧して常法により巻上げ
、紙巻たばこを製造した。

これを特に訓練された１０人の専門パネルにより該精油
無添加の対照品と比較する方法で試喫した結果、第３表
に示すように、香喫味が良化することが明らかになつた
。実施例４ 米国産黄色種、米国産バーレー種、良質の日本在来種松
川葉からそれぞれ得られた精油の１％プロピレングリコ
ール溶液をそれぞれ１５ｍ９、９ｍｇ、６ｍ９を配合し
たものをエチルアルコール１００ｍ１に溶解し、これを
製品銘柄１パートナーョの刻１０ｋ９に均一に噴霧添加
し、これを常法により巻上げ、フィルターをつけて試料
とした。

この試料を特に訓練された１０人の専門パネルにより該
精油無添加の対照品と比較する方法で試喫した結果、第
４表に示す如く香喫味が改善されていることが明らか；
となつた。次に精油を採取したと同じロッドの葉たばこ
の刻を被改質たばこの刻に混入した場合の香喫味の変化
を比較の為次に示す。

比較例１ 香味かうすく、特有のくさみを有する国内産黄色種の刻
に米国黄色種の刻を夫々３％、５％、１０％混合して巻
上げ、紙巻たばこを製造した。

これを特に訓練された１０人の専門パネルにより米国産
黄色種の刻を全く混入しない対照品と比較する方法で試
喫した結果を第５表に示す。明確な改善効果を得るには
１０％以上の添加が必要である。比較例２香味がうすく
、特有のくさみを有する国内産バーレー種の刻に米国産
バーレー種の刻を３％、５％混合して巻上げ、紙巻たば
こを製造した。

これを特に訓練された１０人の専門パネルにより米国産
バーレー種の刻を全く混入しない対照品と比較する方法
で試喫した結果、第６表に示ように有効な改善効果を得
るには５％以上の添加が必要である。以上の結果からた
ばこの精油が極めて微量の添加で、香喫味の改善効果が
大きいことがわかる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一種類又はそれ以上の葉たばこを水蒸気蒸留し、弱
   酸性で溶媒抽出して得られる精油を単独若しくは種類別
   の精油をブレンドして喫煙物質に０．０９〜０．００１
   ｐｐｍ添加することを特徴とするたばこ香喫味の改善方
   法。