JPS6037913Y2 - 整流フイン付きリアクシヨンフイン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、船舶における整流フィンをそなえたリアクシ
ョンフィンに関する。

リアクションフィンを設けた船舶では、一例としてリア
クションフィンが第１、第２図に示すように構成されて
いるため、プロペラ７の推進力によって船体が航走する
ときに、プロペラ７に流入する船体に沿った水の流れが
プロペラ前方で、フィン４ａ〜４ｆによってプロペラ７
の回転方向と逆方向の回転流となる。

この回転流がプロペラ７に流入するので、プロペラ７後
方に生じる回転流は減少して、リアクションフィンを設
けない場合より推進性能は向上する。

しかし、従来のリアクションフィンでは、船舶が航走し
ているときの船尾の流れは非常に複雑な流向流速の分布
をしているため、このような流湯にリアクションフィン
が設置されると、リアクションフィンの影響で、整流さ
れる域と、乱される域とができるという欠点がある。

すなわち、第３図に示すように、リアクションフィン後
方の流れの分布は、プロペラ軸３方尚の流速成分Ｖｘと
■との比の等しい点の分布として表わすと、プロペラ軸
３の周囲でプロペラ７の下方に乱される域を生じている
。

このために抵抗が増加腰推進性能が低下するという問題
点がある。

本考案は、このような問題点の解消をはかろうとするも
ので、リアクションフィン後方の乱された流湯を整流し
て船体抵抗を減少させ、これにより推進性能の向上をは
かることを目的としている。

このため本考案の整流フィン付きリアクションフィンは
、プロペラ軸のスクリュープロペラ寄りの部分を取り囲
むように船体に形成されたボスの周囲に、船体のスター
ンフレームに取り付けられたリングを備えるとともに、
上記ボスから上記リングへ向けて放射状に、且つ、水の
流れを上記スクリュープロペラの回転方向と逆向きに曲
げうるように傾斜またはひねりを付与されて装架された
複数のフィンを備え、上記ボスよりも下方の上記スター
ンフレーム下部とこれに隣接する上記フィンの中間部と
を連結する流線形断面をもった整流フィンが、流れの方
向に向けて設けられたことを特徴としている。

以下、図面により本考案の一実施例としての整流フィン
付きリアクションフィンについて説明すると、第４図は
その正面図、第５図は第４図の■−Ｖ矢視図、第６図は
その側面図、第７図はそのフィン後方の流れの分布図、
第８図はそのフルード数に対する全抵抗係数のグラフで
あり、図中、第１〜３図と同じ符号はほぼ同様のものを
示す。

本考案の整流フィン付きリアクションフィンは、第４〜
６図に示すように、プロペラ軸３のスクリュープロペラ
７寄りの部分を取り囲むように船体にボス２が形成され
ており、このボス２はスターンフレーム１に設置されて
いる。

ボス２の周囲には、船体のスターンフレーム１に、リン
グ５がその上端と下端とを固着されるようにして設けら
れている。

ボス２とリング５とを連結して、ボス２から放射状に複
数（ここでは６）のフィン４ａ〜４ｆが装架されており
、プロペラ軸３に対して、フィン４ａ〜４ｆの各後縁が
プロペラ回転方向と逆方向に傾斜またはひねりを与えら
れて設けられている。

さらに、整流フィン９，９がボス２よりも下方のスター
ンフレーム下部１ａとこれに隣接するフィン４ｃ、４ｄ
の中間部とを連結するように設けられている。

これら整流フィン９，９の断面形状は第５図に示すよう
に流線形になっており、流湯の乱れを無くすべく、流れ
の方向に向けられて配設されている。

第４，６図中、符号６はシューピースを示す。

上述のように構成されているため、船舶が航走する際、
プロペラ７に流入する水の流れは、プロペラ７前方（船
首側）に設置されたフィン４ａ〜４ｆによって、プロペ
ラの回転方向と逆方向に変えられ、特にプロペラ７の下
部においては、整流フィン９，９により、リアクション
フィンの配設に伴って乱される流れが整流されるように
なる。

このようにして、フィン後方の流れの分布図は第７図に
示すようになり、第３図の従来例と比べて明らかに流湯
の分布が整えられるのがわかる。

第７図において、符号７′はプロペラ先端の回転軌跡を
示し、８は船体の中心線を示す。

また、各数値は第３図と同様に、流速成分Ｖｘと船速■
との比を表わし、その曲線は上記比の等しい点を連ねた
線である。

整流フィン９，９によって、フィン４ａ〜４ｆ後力の乱
された流湯は整流されるので、第８図に示すように、船
体の抵抗は減少する。

第８図は、船速■の関数であるフルード数をベースに全
抵抗係ｒａを表わしたもので、第８図中実線は従来の整
流フィン無しリアクションフィンのフルード数と全抵抗
係数との関係を示し、破線は本考案の整流フィン９，９
付きリアクションフィンのフルード数と全抵抗係数との
関係を示したものである。

ここで、ｖ／−／ｇＬはフルード数、ｇは重力加速度、
Ｌは船の長さ、Ｒは全抵抗、ρは氷の密度、Ｓは船の浸
水面積を表わす。

以上詳述したように、本考案の整流フィン付きリアクシ
ョンフィンによれば、プロペラ軸のスクリュープロペラ
寄りの部分を取り囲むように船体に形成されたボスの周
囲に、船体のスターンフレームに取り付けられたリング
を備えるとともに、上記ボスから上記リングへ向けて放
射状に、且つ、水の流れを上記スクリュープロペラの回
転方向と逆向きに曲げうるように傾斜またはひねりを付
与されて装架された複数のフィンを備え、上記ボスより
も下方の上記スターンフレーム下部とこれに隣接する上
記フィンの中間部とを連結する流線形断面をもった整流
フィンが、流れの方向に向けて設けられるという簡素な
構造で、リアクションフィンの設置に伴い同すアクショ
ンフィンの後方に乱れた流湯が発生するのを、上記整流
フィンの整流作用によって十分に防止できるようになり
、これにより船体抵抗が減少して、推進性能が向上し、
また燃料の節約にもなる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は従来のリアクションフィンを示すもので、
第１図はその正面図、第２図はその側面図、第３図はそ
のフィン後方の流れの分布図であり、第４〜８図は本考
案の一実施例としての整流フィン付きアクションフィン
を示すもので、第４図はその正面図、第５図は第４図の
■−■矢視図、第６図はその側面図、第７図はそのフィ
ン後方の流れの分布図、第８図はそのフルード数に対す
る全抵抗係数のグラフである。 １・・・・・・スターンフレーム、１ａ・・・・・・ス
ターンフレームの下部、２・・・・・・ボス、３・・・
・・・プロペラ軸、４ａ〜４ｆ・・・・・・フィン、５
・・・・・・リング、６・・・・・・シューピース、７
・・・・・・プロペラ、７′・・・・・・プロペラ先端
の回転軌跡、８・・・・・・船体中心線、９・・・・・
・整流フィン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プロペラ軸のスクリュープロペラ寄りの部分を取り囲む
   ように船体に形成されたボスの周囲に、船体のスターン
   フレームに取り付けられたリングを備えるとともに、上
   記ボスから上記リングへ向けて、放射状に、且つ、水の
   流れを上記スクリュープロペラの回転方向と逆向きに曲
   げうるように傾斜またはひねりを付与されて装架された
   複数のフィンを備え、上記ボスよりも下方の上記スター
   ンフレーム下部とこれに隣接する上記フィンの中間部と
   を連結する流線形断面をもった整流フィンが、流れの方
   向に向けて設けられたことを特徴とする、整流フィン付
   きリアクションフィン。