JPS6036557Y2 - 整流フィン付きリアクションフィン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、船舶における整流フィンをそなえたリアクシ
ョンフィンに関する。

従来のリアクションフィンは、プロペラ軸ヲ同心にして
囲むボスから放射状に複数のフィンが突出し、そのフィ
ンは、プロペラに流入する水の流れを、プロペラ回転方
向と逆向きに変えられるように、ひねられており、フィ
ンの先端は、リング状の補強材に取り付けられ、その補
強材は、スターンフレームに固着されている。

船体が航走している場合、プロペラに流入する水の流れ
は、上記リアクションフィンの作用により、プロペラの
回転方向と逆向きに変えられるので、プロペラ後方に発
生するプロペラ回転と同一方向の回転流が減少して、そ
の分だけ推進性能が向上する。

しかしながら、船体が航走しているときの船尾まわりの
水の流れは非常に複雑になっており、その状況如何によ
っては、推進性能を大きく左右する原因となる。

この様な船尾流場の中に、上記リアクションフィンを設
置すると、そのフィンの作用により、整流される域と、
逆に乱される域が発生し、それが船体の抵抗増加の原因
となっていた。

特に、船体中心線付近においては、流場が乱されるケー
スが多い。

したがって、考案者らはプロペラ軸下方部の、下部スタ
ーンフレームと、それに隣接するフィンとの間に、整流
フィンを設けて、その作用により整流して、抵抗増加を
防ぐ、整流フィン付すアクションフィンの考案について
既に出願をした。

然し、この従来考案されたものによってもなおプロペラ
軸上方部に乱される域があり、それが抵抗増加の原因と
なっていた。

以下、従来のものの構造（プロペラが右回りの場合）を
図を用いて説明する。

第１図は右舷側から見た船尾部の側面図、第２図は第１
図の■−■断面矢視図、第３図は第２図の■−■断面矢
視図、第４図はプロペラ位置断面の流場分布図である。

図において、１ａはプロペラ軸３よりも下方のスターン
フレーム（以下、下部スターンフレームという）。

１ｂはプロペラ軸３よりも上方のスターンフレーム（以
下、上部スターンフレームという）。

２はボスでプロペラ軸３を回転可能に囲んで上部スター
ンフレーム１ｂと下部スターンフレーム１ａとに固着さ
れている。

３はプロペラ軸で、後端には、プロペラ７が取付けられ
、前端には、図示しない船内の主機に連結されている。

４ａｌ ４ｂｔ ４ｃ、 ４ｄｔ ４ｅ、 ４ｆはフィ
ンでボス２に放射状に取付けられ、その先端はリング５
に取付けられており、プロペラ回転と逆方向にひねられ
ている。

５はリングで、上端は上部スターンフレーム１ｂに、下
端は下部スターンフレーム１ａに固着されており、フィ
ン４ａ〜４ｆがそれぞれ取付けられている。

６は下部整流フィンで、下部斜のフィン４ｃｙ４ｄのボ
ス２の取付部およびリング５の中間部と、下部スターン
フレーム１ａのフィンボス２およびリング５の中間部と
を結んで設置される。

なお同フィン６は流れ方向に向けられている。

７はプロペラで、プロペラ軸３の後端に取付けられてい
る。

このような従来の整流フィン付きリアクションフィンに
おいて、図示しない船内に設置された主機により、プロ
ペラ軸３が回され、プロペラ７が回転すると、プロペラ
７よりスラストが発生して、船体が船走する。

そして船尾部の水の流れは、フィン４ａ〜４ｆの作用に
より、プロペラ７の回転方向と逆方向（左回り方向）に
曲げられて、プロペラに流入する。

また、下部整流フィン６の作用により、プロペラ軸３の
下方部の流れは、乱れの少ない分布となっているが、プ
ロペラ軸３に上方部の船体中心付近は、比較的乱れた、
伴流の大きい流場分布となり、第４図に示すようなプロ
ペラ７位置の流場分布となる。

なお、同図において、８は船長方向の船体中心線、９は
プロペラ７の先端の回転軌跡、■は船速、ＶＸは、プロ
ペラ軸３方向の流速成分を示す。

このように、従来のリアクションフィンでは、船舶が航
走しているときプロペラ軸３上方に発生する、流れの乱
れと大きな伴流によって、船体の抵抗が増加し、推進性
能が低下するという問題点がある。

本考案は、このような問題点の解消をはかろうとするも
ので、リアクションフィン後方の乱された流場を従来の
ものよりもさらに整流して船体抵抗を減少させ、これに
より推進性能の向上をはかることを目的としている。

このため本考案の整流フィン付きリアクションフィンは
、船尾のスクリュープロペラ軸を囲ムヨうに船体に形成
されたボスの周囲に、船体のスターンフレームに取り付
けられたリングと、上記ボスから上記リングへ向けて放
射状に水の流れをプロペラの回転方向と逆向きに曲げら
れるようにひねって装架された複数のフィンと、上記ボ
スより上部のスターンフレームとこれに隣接する上記フ
ィンの中間部とを連結する流線断面形状の上部整流フィ
ンと、上記ボスより下部のスターンフレームとこれに隣
接する上記フィンの中間部とを連結する流線断面形状の
下部整流フィンとが夫々流れの方向に向けて設けられた
ことを特徴としている。

以下、図面により本考案の一実施例としての整流フィン
付きリアクションフィン（プロペラが右回りの場合）に
ついて説明すると、第５図は右舷側から見た船尾部側面
図、第６図は第５図の■−■断面矢視図、第７図は第６
図の■−■断面矢視図、第８図は第６図の■−■断面矢
視図、第９図はプロペラ位置断面の流場分布図である。

なお、図中第１〜３図に図示されるものと均等物につい
ては同一符号を付した。

１０は上部整流フィンであり、上部斜のフィン４ａ、４
ｆのボス２およびリング５の中間部と、上部スターンフ
レーム１ｂのボス２およびリング５の中間部とを結んで
設置されている。

又、この上部整流フィン１０は、従来第２，３図で示す
下部整流フィン６と同様に、流線断面形状にして、かつ
流れの方向に向けて設けられている。

その他の構成は従来と同じである。

本実施例はこのように構成されており、図示されない船
内に設置された主機によって、プロペラ軸３が回されて
、プロペラ７が回転し、プロペラ７によりスラストが発
生して、船体が航走すると、船尾部の水の流れは、フィ
ン４ａ〜４ｆの作用により、プロペラ７の回転方向と逆
方向に曲げられてプロペラに流入する。

また、下部整流フィン６および上部整流フィン１０の作
用によりプロペラ軸３の下方及び上方の船体中心付近の
流れが整流され、大きい伴流と流れの乱れがなくなり、
第９図に示すようなプロペラ７位置断面の流場分布とな
る。

従来の下部整流フィン６付のリアクションフィンに比べ
て、本実施例の上部整流フィン１０を追加したリアクシ
ョンフィンの船体抵抗は、第１０図に示すとおり、減少
する。

したがって、その分だけ推進性能は向上する。

なお、第１０図は、フルード数ベースｖ／ｊｇＬに船体
の抵抗係数を表わしたカーブであり、■は船速、ｇは重
力加速度、Ｌは船長、ρは水の密度、Ｓは船体の浸水面
積、Ｒは船体の抵抗である。

なお、下部整流フィン６及び上部整流フィン１０の一端
はそれぞれ下部スタンフレーム１ａ及び下部スタンフレ
ーム１ｂに接続されているので補強の役目も果す。

従って、下部スタンフレーム１ａと下部斜フィン４ｃ、
４ｄ間及び上部スターンフレーム１ｂと上部斜フィン４
ａ、４ｆ間の補強用リング５は切欠くこともある。

以上詳述したように、本考案の整流フィン付きリアクシ
ョンフィンによれば、プロペラ軸上方及び下方の船体中
心線付近の流れが整流され、そのため船体抵抗を減少さ
せることができるという利点があり、船体抵抗が減少す
ることによって、同じ推力に対する推進性能が従来のも
のに比べてさらに向上し、また燃料の節約にもなるとい
う利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は従来のリアクションフィンを示すもので、
第１図はその側面図、第２図はその■−■断面矢視図、
第３図は第２図の■−■断面矢視図、第４図はフィン後
方の流れの分布図であり、第５〜８図は本考案の一実施
例としての整流フィン付きリアクションフィンを示すも
ので、第５図はそＧ側面図、第６図は第５図のＶＩ−Ｖ
Ｉ断面矢視図、第７図は第６図の■−■断面矢視図、第
８図は第６図の■−■断面矢視図、第９図はフィン後方
の流れの分布図、第１０図はそのフルード数に対する全
抵抗係数のグラフである。 １ａ・・・・・・下部スターンフレーム、１ｂ・・・・
・・上部スターンフレーム、２・・・・・・ボス、３・
・・・・・プロペラ軸、４ａ〜４ｆ・・・・・・フィン
、５・・・・・・リング、６・・・・・・下部整流フィ
ン、７・・・・・・プロペラ、訃・・・・・船体中心線
、９・・・・・・プロペラ先端の回転軌跡、１０・・・
・・・上部整流フィン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船尾のスクリュープロペラ軸を囲むように船体に形成さ
   れたボスの周囲に、船体のスターンフレームに取り付け
   られたリングと、上記ボスから上記リングへ向けて放射
   状に水の流れをプロペラの回転方向と逆向きに曲げられ
   るようにひねって装架された複数のフィンと、上記ボス
   より上部のスターンフレームとこれに隣接する上記フィ
   ンの中間部とを連結する流線断面形状の上部整流フィン
   と、上記ボスより下部のスターンフレームとこれに隣接
   する上記フィンの中間部とを連結する流線断面形状の下
   部整流フィンとが夫々流れの方向に向けて設けられてこ
   とを特徴とする、整流フィン付きリアクションフィン。