JPS6014795B2 - リチウムコンプレツクスグリ−ス及びその製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は転がり軸受用のＩＪチウムコンプレツクスグ
リ了スに関し、特に、高い温度条件下での使用に耐えら
れる高い満点や優れた増穂剤ミセルの安定性、高付着並
びに耐熱性、耐水性、防錆性、耐荷重性、低騒音性など
多くの高度な特性を長期に亘り維持できる新規な組成の
グリース並びにその製造方法に関するものである。

転がり軸受に用いられる従来のグリースには、耐熱性や
耐水性が良好であり、爽雑物の混入も少なく、かつ価格
的にも適当である。

などの理由によって、主にリチウム石鹸グリースが使用
されて来た。しかし、リチウム石鹸グリースの場合、使
用環境・条件が１３０ｏｏ以上の高温になると酸化劣化
によるミセルの破壊、付着力の減少、軟化や滋油増加な
どによってグリースが軸受から流出し潤滑作用が急速に
失なわれる欠点がある。これらの欠点を補う耐熱グリー
スとして満点が極めて高い各種の非石鹸基グリース、各
種コンプレックスグリースなどが開発されているが、長
期間の使用で増穂剤が硬化したり、極度に軟化したり、
而かもベースオイルとして特殊な合成油を使用した場合
には極めて高価であるなどの欠点があり、用途がおのず
から限定されている。

一方、グリースの使用環境は機械装置の小型化や作動部
の高速化に伴なつて悪化しつつあり、例えば自動車など
の電装部品に用いられる軸受のように、エンジンなどの
熱源を近くにひかえた部位で使用される場合には、前記
軸受を潤滑するグリースも、特に高い温度条件に長時間
さらされる。

こうした場合、グリースは耐高温性を有しかつ充分な耐
久性とともに十分な耐水性を備えていなければならず、
従って前述のようなリチウム石鹸グリースよりも格段に
諸特性において優れ、さらに非石鹸基グリース、各種コ
ンプレックスグリースなどの欠点を消除しかつ長寿命潤
滑が保証できる耐熱グリースの出現が要望される。この
発は前記の要望に応えるために成されたもので、転がり
軸受にひろく使用されているリチウムグリース、耐熱グ
リースとしてのりチウムコンブレックスグリースの改良
にかかわるもので、特に１３０ｑｏ以上の高い温度条件
下での長期使用に必須である特性としての高い満点や優
れた増穂剤ミセルの高温での安定性、高温での潤滑寿命
を直接的に左右する高付着性などを備え、かつこれらの
優れた諸特性を、長期間、例えば前記した自動車の電装
部品のような使用条件さらにはこれ以上の苛酷な条件に
も十二分に耐えうる新規なりチウムコンプレックスグリ
ースの提供をその目的とする。

前記の目的は、脂肪酸とジカルボン酸及び／又はジカル
ボン酸ェステルのいずれかと水酸化リチウムで増穂した
ベースグリースにリン酸ェステル及び／又は亜リン酸ェ
ステルを添加し２１０午○以上の温度条件下で反応させ
ることにより生じたりチウムコンプレックスグリースに
よって達成される。

金属石鹸の成分としてリチウムの水酸化物を用いたコン
プレックスグリースは従来より何種類か知られており、
特許文献としては米国特許第２８７２４１７号明細書、
米国特許第２８９８２９６号明細書などを提示すること
ができる。

前者は基油と脂肪酸と過剰の水酸化リチウムとでグリー
スを製造し、脱水後に２００ｏ〜２５００Ｆでリン酸ま
たは亜リン酸ェステルを加えたりチウムコンプレツクス
グリースが示されている。又、後者は基油と脂肪酸およ
び二塩基酸ェステルとを水酸化リチウムで鹸化したりチ
ウムコンプレックスグリースを開示しているが、この場
合上記二塩基酸ヱステルの代りに二塩基酸を用いると満
点が３６００Ｆとなり所期の目的を達成しえないことが
明示されている。これらは、いずれも５０００Ｆ（約２
６０ｏｏ）程度の滴点を有している。これに対し、この
発明は前記の組成並びにプロセスによって容易に製造す
ることができる。

この発明におる潤滑油基剤すなわち基油は、一般的な鉱
油或いは合成炭化水素油、合成ェステル油、その他入手
可能な合成減、のいずれかまたはこれらの混合物である
。これらは一般には４０００で約５〜５０比ｓｔの範囲
内の粘度を有する。合成油としては、例えばジー２ーヱ
チルヘキシルセバケートのようなジカルボン酸ェステル
、トリメチロ−ルプロパンカプリル酸ェステルやペンタ
ェリスリトールカプリル酸ェステル、ジベンタェリスリ
トールカプロン酸ェステルのようなヒンダードヱステル
油を使用するこせとができる。他にはポリグリコール油
、シリコーン油、ポリフェニルェーブル油、ハロゲン化
炭化水素油、パーフロロポリェーテル油、アルキルベン
ゼン油など各種の合成油が使用できる。この発明のグリ
ースを製造する際に用い得る脂肪酸は炭素原子を約１２
〜２４個有するもの、好ましくは約１６〜２の固有する
ものであり、より好ましくはステアリン酸である。

ジカルボン酸は炭素原子数４〜１２個、好ましくは６〜
１の固のものが良い。

なかでもセバシン酸、アゼラィン酸などが特に好ましい
。ジカルボン酸ェステルとしては、ジカルボン酸部分の
炭素数については前記と同様で、ジー２−エチルヘキシ
ルセバケート、ジー２ーエチルヘキシルアゼレートなど
が最も好ましい。

又、石鹸分はグリ−ス全体を１００として、２〜５の重
量％、好ましくは５〜３の重量％の範囲内の組成比率を
占める。

更に、前記の構成を具備したものに、耐高温性、高付着
性などを賦与するため添加し反応させるリン酸ェステル
、亜リン酸ェステルなどは脂肪族、芳香族のいずれであ
っても良いが、なかでもリン酸トリクレジルが最も好ま
しい。

また、上述のような組成の生グリースに、酸化防止剤、
金属不活性剤、防錆剤、極圧剤、粘度指数向上剤、油性
向上剤、着色剤などを必要に応じ適宜添加しそ、添加剤
面からさらに諸特性の向上をはかることが望ましい。

なお、この発明の目的とするりチウムコンプレックスグ
リースを得るためには、リン酸ェステル、亜リン酸ェス
テルの両者又はいずれかを前記した基油に脂肪酸、ジカ
ルボン酸及び／又はジカルボン酸ェステル及び水酸化リ
チウムとを混合してべスグリースを製造してこれを添加
配合し且つ反応温度を２１０こ○以上に保ってコンフレ
ツクス化し再度増稲するプロセスが必須である。

又、この発明に係るリチウムコンプレックスグリースの
製造過程に於て、基油に対してリン酸ェステル及び／又
は亜リン酸ェステルを添加して２１０００以上で加熱す
ると、ベースグリースには見られない粘欄性の増加、付
着性の増加などが生じ、かつ反応後の製品グリースの満
点が上昇する事実が認められるので、両者の間には化学
反応が生じているものと推定される。

叙上の如く構成することによって、この発明の所期の目
的を達成することができる。

以下さらにこの発明の具体的内容を実施例及び実験例に
よって説明する。尚、実施例１では生成された新規なグ
リースの満点測定の他の各種の試験項目について詳細な
試験測定結果を記載したが試験測定結果に関しては滴点
の高いものかこの発明の目的を達成する第１の関門であ
ることが判明しているので、他の実施例、試験例等では
満点のみの測定にとどめた。〔実施例１〕 ポリオールェステル油５００夕、ジー２ーェチルヘキシ
ルセバケート１２０夕、ステアリン酸１２０夕を反応容
器に入れ、７０℃まで加熱、燈拝し、ステアリン酸を完
全に溶解させる。

ついで、ジ−２ーェチルヘキシルセバケードおよびステ
アリン酸と反応させるのに十分な水酸化リチウム４４夕
を含む水溶液を加え、十分に縄梓、加熱して鹸化を完了
し、脱水を行なう。さらに２００℃まで加熱して石鹸分
を完全に再び溶解し、ここでリン酸トリクレジル５０夕
を加え、２４０ｑｏまで昇温し、蝿拝しながら１流ご間
保持して前記グリースとリン酸トリクレジルとを反応さ
せてコンプレックス化をはかり、６０ｑｏまで静暦放冷
したのち、ロール処理を行なった。さらに添加剤３２夕
をポリオールェステル独１３４のこ溶解して添加、脱泡
し一日経過後の物性値を測定した。組成と一般性状を表
１に示す。表 １ 実施例１の組成と性状〔実施例
２〕 基油として鍵油（＃１８０タービン油）６６．鷲重量パ
ーセントを用い、之れに対してステアリン酸１２重量パ
ーセント、ジー２ーェチルヘキシルセバケート１２重量
パーセント、水酸化リチウム４．１重量パーセント、リ
ン酸トリクレジル５重量パーセントより成る増穂剤を実
施例１と全く同様に実施した。

尚、添加剤の配合は之れを省いた。その結果、本実施例
のグリースの満点はＪＩＳＫ−２５６１で試験した処好
ましい温度２６０午 Ｃに上昇した。更に実施例３乃至
実施例８は本発明の各成分の配合を種々変更した実施例
を示すもので表２に示す組成の下に実施例１と全く同機
の条件で製造したグリースに関するもので、この発明の
目的とする満点がいづれも２３０午○以上の温度である
ことが分る。尚、表２には、この発明の構成に欠くこと
ができない組成物の一部を欠除した試験例１及び２を記
載してあるが、試験例１は二塩基酸ェステルを欠除し試
験例２はリン酸ェステル及び亜リン酸ェステルを欠除し
たもので満点はいづれも低く実用に供し得ないことが判
明した。

表２ 次に、実施例１で生成される新規なグリースを用いた実
験例を以下に詳記すると共に従来品との対比した結果を
示す。

（実験例１） 実施例１の本発明のリチウムコンプレックスグリースに
添加剤として、アミン系酸化防止剤２種、金属不活性剤
１種、防錆剤１種も用いて実験用グリースを製造した。

このグリース０．１６夕を玉軸受、型番６２７（内径７
柵、外径２２肋、幅７側）、０．１０夕を玉軸受、型番
６０７（内径７側、外径１９肋、幅６側）に封入し、モ
ーターに組込み、外輪温度を１３５ｏｏに調節し、スラ
スト荷重２ｋｇを加えて毎分２８００回転の回転速度で
軸受の内輪を回転させた。軸受中のグリースが劣化する
ことによって軸受の回転トルクが過大になり、この軸の
回転を駆動している電動機の入力電流が制限電流を超過
したとき、また潤滑不良により発熱し、軸受外輪温度が
１０ｑｏ上昇し１４５ｏｏになったときにグリース寿命
であると判定基準を設定し、それまでの経過時間をグリ
ース寿命時間とした。実施例１により製造したグリース
と市販の高温用ウレア系耐熱グリースとの寿命時間を比
較する。この発明によるグリース １２１８〜１３
２１時間市販非石鹸耐熱グリース（ウレア系）５１０〜
５２７時間 （実験例２） 実施例１で製造したグリース１．３夕を玉軸受、型番６
９０８（内径４仇肋、外径６２肋、幅１２職）に封入し
、モーターに組込み、内輪温度を１４０℃に調節し、ラ
ジアル荷重２０ｋ９を加えてグリースの付着性の良否が
グリース寿命を大きく左右する毎分鰍００回転の回転速
度で軸受の外輪を回転させる外輪回転試験を行った。

グリース寿命は実施例１と同様にして判定した。次に寿
命試験結果を示す。この発明によるグリース
１１３節市販耐熱グリース（ナトリウム系） ２
２７〜２７４ｈ市販非石鹸耐熱グリース（ウレア系）１
４８〜３８０ｈ軸受内輪温度を１６０ｑｏにしたときの
結果を次に示す。この発明によるグリース
３２０〜４６７ｈ市販耐熱グリース（ナトリウム系）
７１〜１７鉢市販非石鹸耐熱グリース（ウレア系）
５４〜１９１ｈ市販耐熱グリース（リチウムコンプレ
ックス系）１２５〜１８水この発明は以上の内容を具備
しており、脂肪酸のＩＪチゥム石鹸及びジカルボン酸或
いはジカルボン酸ェステルのリチウム石鹸で増穂したグ
リースにリン酸ェステル及び／又は亜リン酸ェステルを
添加し、２１０℃以上の温度条件下で反応させることに
よって２３０℃以上の高い満点を有し、しかもこの特性
を著しく長時間維持できる特徴を発揮するばかりでなく
、軸受の外輪回転試験のようなきびしい使用条件にも十
分耐え、かっこの種用途で一応グリース寿命の限界とさ
れる１００畑時間以上突破できるグリースの提供が可能
になった。

この発明によって、グリースの使用環境温度が従来に比
較して非常に高い場合でも付着性に優れているので軸受
などから流出せず最後まで潤滑に寄与し而かも高温条件
に於いてグリースのミセルの安定性が極めて高いので潤
滑不良という事態に到らないグリースが製造でき、一方
においては低温特性、低トルクなどの特殊条件をも具備
しなければならない時には、ジェステル油やヒンダード
ェステル油などの低粘度のものを使用することによって
優れた低温特性、低トルク特性などをも同時に具備させ
得るのでより広範な温度条件にも適応できることなった
。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基油と、炭素数１２〜２４の脂肪酸と、炭素数４〜
   １２のジカルボン酸及び／又はジカルボン酸エステルと
   水酸化リチウムとより成るベースグリースに、リン酸エ
   ステル及び／又は亜リン酸エステルを添加、加熱反応さ
   せて得ることを特徴とするリチウムコンプレツクスグリ
   ース。 ２ 前記脂肪酸は、ステアリン酸からなる特許請求の範
   囲第１項記載のリチウムコンプレツクスグリース。 ３ 前記ジカルボン酸は、セバシン酸、アゼライン酸か
   らなる特許請求の範囲第１項記載のリチウムコンプレツ
   クスグリース。 ４ 前記ジカルボン酸エステルは、ジ−２−エチルヘキ
   シルセバケート、ジ−２−エチルヘキシルアゼレートか
   らなる特許請求の範囲第１項記載のリチウムコンプレツ
   クスグリース。 ５ 前記リン酸エステルと前記亜リン酸エステルは、リ
   ン酸トリクレジルからなる特許請求の範囲第１項記載の
   リチウムコンプレツクスグリース。 ６ 基油と、炭素数１２〜２４の脂肪酸と、炭素数４〜
   １２のジカルボン酸及び／又はジカルボン酸エステルと
   水酸化リチウムとを混合分散してベースグリースを製造
   し該ベースグリースにリン酸エステル及び／又は亜リン
   酸エステルを加えて２１０℃以上の温度条件の下に反応
   させることによって増稠することを特徴とするリチウム
   コンプレツクスグリースの製造法。