JPS5950450B2 - スロ−アウエイチツプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、とくに仕上用正面フライスカッターのチップ
として有効に用い得るスローアウェイチップに関するも
のである。

フライス作業において、高精度の仕上面を確保するため
にはチップの切刃をで゛きるだけ大きな曲率半径の円弧
状に形成するのがよいことが知られている。

従来、この円弧状切刃を形成する手段として、チップの
側面を全体的に円弧状に湾曲させることにより、この円
弧状側面とチップの基準面（正面または背面）との稜線
部に円弧状切刃を形成しているのが通例である。

しかしながら、この種のスローアウェイチップは、１枚
のチップに対し複数の切刃が設けられ、それらのうち１
の切刃で切削する際に他の切刃を形成している側面がカ
ッタ一本体に対する被支持面となるものである。

従って、従来のように側面全体を円弧状に湾曲形成すれ
ば、カッタ一本体の平坦な支持面に対しこの円弧状側面
が線接触で支持されることになり、安定性が悪く、チッ
プを正確に取付けることは極めて困難である。

そのために折角理想的な曲率半径の円弧状切刃を形成し
得たとしても、その取付姿勢および勿ツタ一本体からの
突出量の誤差などにより切刃の切削性能を充分に発揮さ
せることはできなかった。

なお、チップの稜線部に円弧状切刃を形成する別の手段
として、チップの正面および背面の周辺部に溝を設け、
この溝の底面を円弧面に加工することにより、該円弧状
底面とチップ側面との交差稜線部に円弧状切刃を形成し
たものが公知である。

この場合、チップの側面が平坦であるからカッタ一本体
に対する取付けには好都合であるが、チツフ泪身の加工
性ならびに耐久性に問題がある。

すなわち、この種のチップは比較的薄いものであり、こ
のような薄板状チップの周辺部に溝を設ければそれだけ
強度が低下し、刃先の欠損が生じ易い。

また、チップの形状が非常に複雑であり、１の円弧状切
刃を形成するために、チップの正面または背面に対して
垂直な面と円弧状の底面との二面を研削加工しなければ
ならず、加工が非常に面倒で、量産性に劣り、製品コス
トが非常に高くつく欠点もある。

また、従来において、たとえば米国特許第３４８６２１
０号に示されるように、チップ正面と側面との交差部に
円弧面を設けて円弧状切刃を形成したものが知られてい
るが、このチップでは、チップの辺長さ全長にわたって
円弧状切刃が形成され、各辺の円弧状切刃の始端とその
切削前方の円弧状切刃の終端との交差部にノーズ部が形
成されているだけであり、その切削時には、ノーズ部が
被削材に喰い込んだ後に円弧状切刃によって切削される
ため、ノーズ部の被削材に対する喰付き角度が大きく、
そのため、切込み深さを大きくすることができず、仕上
げ面精度が悪く、切削効率が悪いという問題がある。

しかも、このチップでは円弧状切刃を形成するための円
弧面の幅が大きく、それだけチップ側面に残存する平坦
面の幅が小さくなっているため、チップをカッタ一本体
に取付ける際の支持面積が小さくなり、安定性が悪く、
所謂ビビリが生じ易く、切削精度を低下する等の問題も
ある。

本発明は、上記の点に鑑み、構造をできるだけ簡単にし
て容易に量産できるようにし、かつチップの強度を低下
させずに曲率半径の大きい円弧状切刃を得ることができ
ると共に、カッタ一本体に対し正確に取付けることがで
き、しがも、大きな切込み深さで効率よく切削でき、が
っ、仕上面粗度を大巾に改善できるスローアウェイチッ
プを提供することを目的とするものである。

本発明は、平坦でかつ互いに平行な前後一対の基準面と
、両基準面の周辺間に位置する平坦な側面とからなる角
板状のチップ原形に対し、各側面において、少なくとも
一方の基準面側のチップコーナ側に所定幅の傾斜面を設
けてこの傾斜面と前記基準面との交差部にチップの辺長
さの１７４以下の直線状切刃を形成すると共に、残りの
側面部分と前記基準面との交差稜線部近くに細幅の円弧
面を設けることにより、該円弧面と基準面との交差部に
前記直線状切刃に連続した円弧状切刃を形成し、該円弧
面は、チップの辺長さより大きな曲率半径で湾曲すると
共に、基準面に対し所定の逃げ角を有し、かつ円弧面の
巾を当該側面において残存する平坦面の巾よりも小さく
したことを特徴とするものである。

以下、本発明の実施例を図によって説明する。

第１図乃至第４図は本発明に係るスローアウェイチップ
１の実施例を示す拡大図で、このチップ１は第１図工点
鎖線で示すチップ原形１０を用いてほぼ正方形のポジテ
ィブ形に形成されている。

チップ原形１０は、平坦でかつ互いに平行な一対の基準
面つまり正面１１と背面１２を有すると共に、正面１１
に対しそれぞれ所定の正面逃げ角α１ （７〜１５°、
ただしチップ原形を２０ｍｍ口とした場合、以下同様）
で傾斜する平坦な側面１３，１４．１５．１６を有する
正四角錐台形状に形成され、このチップ原形１０の各側
面１３． １４． １５．１６を次のように加工してノ
ーズ部１３１゜１４１．１５１，１６１と直線状切刃１
３２，１４２．１５２，１６２と円弧状切刃１３３，１
４３．１５３，１６３を形成する。

すなわち、チップ原形１０の一側面１３において、チッ
プコーナ側すなわちノーズ側を所定の巾ａ （３〜５
ｍｍ）で傾斜状にカットしてその傾斜面１３４と正面１
１との交差部に直線状切刃１３２を形成し、次いで、残
りの側面１３部分と正面１１との交差稜線部１３０近く
を円弧状にカットしてその円弧面１３５と正面１１との
交差部に円弧状切刃１３３を形成する。

斯る場合、傾斜面１３４は側面１３に対し所定の喰い付
き角β （１〜４５°）で傾斜させ、かつ正面１１に対
し側面１３と同程度の正面逃げ角α２で傾斜させる。

（第９図参照）。なお、上記角度βを大きくすれば直
線状切刃１３２の外周切刃角が大きくなり、切込深さを
大きくすることができる。

一方、円弧面１３５は、正面１１に垂直なＸ−Ｘ軸に対
して角度α３ （７〜１２°）で傾斜するＹ−Ｙ軸を中
心に大きな曲率半径Ｒで湾曲する。

これにより円弧面１３５は正面１１に対し所定の逃げ角
α３ （α３〈α１）で傾斜することになる。

円弧面１３５の曲率半径Ｒは特に限定しないが、少なく
ともチップ原形１０の辺長さＬよりも大きくする必要が
ある。

この曲率半径Ｒは大きければ大きい程仕上面粗度を良好
にできるもので、たとえばチップ原形１０が２０ｍｍ口
の場合は曲率半径Ｒを３〜５ｍ程度に設定するのが好ま
しい。

上記円弧面１３５の平面形状は平凹レンズに似た形状で
、その頂部１３６が最も狭く両側に到る程次第に広くな
っている。

この場合、円弧面１３５の巾は大きくする必要はなく、
要は円弧状切刃１３３が形成できればよいのであって、
上記チップでは頂部１３６の巾Ｃを０〜０．５ｍｍ程度
にするのが好ましい。

なお、これより大きくしてもよいが、あまり大きくする
とその分だけ側面１３において残存する平坦面が小さく
なり、チップ取付時の安定性を阻害することになるので
、円弧面１３５の巾はチップ原形の厚みｔ （４〜６
ｍｍ）の１７２以下にしておく必要がある。

これによって側面１３の大部分に平坦面を残存させ、チ
ップ取付時の安定性を向上できる。

また、円弧状切刃１３３はその切刃の長さが長い程よく
、とくに実際の切削に供される切刃部分（以下実効切刃
と称す）の長さｂを長くする程仕上面精度を向上できる
。

そのために、この実施例では円弧面１３５の頂部１３６
をチップ原形１０の稜線１３０の中心から反ノーズ側に
所定量（０，５〜２ｍｍ）変位した位置に配置させ、こ
の頂部１３６から直線状切刃１３１までの間に形成され
る実効切刃が長くなるように形成しである。

このようにしてチップ原形１０の一側面１３に傾斜面１
３４と円弧面１３３を設けて直線状切刃１３２と円弧状
切刃１３３を形成し、以下、他の各側面１４，１５，１
６においても同様にそれぞれ傾斜面１４４，１５４，１
６４、と円弧面１４５．１５５，１６５を設けることに
より、各稜線部１４０，１５０，１６０に直線状切刃１
４２゜１５２．１６２と円弧状切刃１４３，１５３，１
６３を形成し、然る後、各ノーズ部１３１，１４１．１
５１，１６１に所定のノーズアール（１〜２Ｒ）を形成
することによってスローアウェイチップ１を製作するの
である。

この場合、各円弧状切刃のノーズ側にはそれぞれ所定の
喰い付き角で傾斜する直線状切刃を設けであるので、各
ノーズ部が直接被削材に当ることはなく、従って、この
ノーズアールは極く小さくてよい。

上記の如く構成したスローアウェイチップ１は、第５図
乃至第７図に示す如く、カッタ一本体２の下面周辺部に
おいて周方向一定間隔置きに設けられた複数個（６〜１
２個）のチップポケット２１内に、それぞれチップ支持
用台座３とねじ４およびウェッジ５とねじ６を介して取
付ける。

すなわち、チップ１の任意の側面１３および１６をカッ
タ一本体２の下面２２より下方および周面２３より外方
へそれぞれ突出させた状態で、正面１１をチップポケッ
ト２１の回転前方側に形成されたチップ支持面２１１に
支持させ、側面１４を台座３のチップ支持面３１に支持
させ、側面１５をチップポケット２１の上方底壁に形成
されたチップ支持面２１２に支持させ、背面１２側にウ
ェッジ５を挿入してねじ６にて締付けることにより、当
該チップ１を所定のアキシャルレーキ角θ１（５〜１０
°）およびラジアルレーキ角θ２ （−５〜−１５°）
で１定する。

このチップ１の固定手段は周知のものとほぼ同様である
。

ただし、一般的なチップにおいては被削材７に対して切
刃部分が所定のチャンバー角をもって傾斜するように取
付けられるが、この発明のチップ１を用いるときには、
第６図に示すようにチップ原形の稜線１３０が被削材７
の被削面７１に対して平行となるように取付け、該稜線
部に形成された円弧状切刃１３３の頂部１３６が被削面
７１に正確に作用するように取付ける。

この場合、チップポケット２１および治産３のチップ支
持面２１２および３１に支持されるチップ１の側面１５
および１４の稜線部には円弧面１゛５５および１４５が
形成されているが、該円弧面１５５および１４５の巾は
極く狭いものであり、該側面１５．１４の大部分には平
坦面が残存しているので、この平坦面によりチップ１を
正確に支持させることができる。

この状態で被削材７の面７１を切削するときは、第８図
乃至第１０図に示す如く、被削材７に対し、まず直線状
切刃１３２が先行して中仕上げ切削を行ない、引続いて
円弧状切刃１３３によりさらえるように上仕上げ切削を
行なうのである。

この場合、直線状切刃１３２の傾斜角βが小さいので、
良好な中仕上げ切削が行なわれ、さらに、この直線状切
刃１３２にて一旦中仕上げ切削した後、引続いて円弧状
切刃１３３によって上仕上げ切削を行なうので、この円
弧状切刃１３３にかかる切削抵抗を極力小さくでき、極
めてスムーズに切削できる。

しかも、この円弧状切刃１３３の創成時の曲率半径Ｒが
非常に大きく、かつ当該チップ１をカッタ一本体２に対
して所定の取付角をもって傾斜姿勢で取付けているので
、実際の切削時において被削材７に当る円弧状切刃１３
３の曲率半径はさらに増大され、従って、精密仕上用と
して最も理想的な切削効果が得られ、高精度の切削が行
なわれる。

このような仕上げ切削時には切込み深さｂを１ｍｍ以下
にするのが好都合である。

また、上記切削時において、円弧状切刃１３３を形成し
ている円弧面１３５が側面１３に対し断面形状で鈍角に
連なっているので、該切刃の刃先強度は大きく、耐久性
に富むものが得られる。

なお長期の使用により上記切刃１３３が摩耗または損傷
してもその傷は円弧面１３５の範囲内で功バーでき、側
面１３は依然平坦なままで残存しているので、次に他の
稜線の切刃を使用する場合にはこの側面１３が被支持面
となって、所期通り正確な支持作用を発揮できる。

このようにして−の切刃が摩耗または損傷すれば、当該
チップ１をその中心のまわりに順次９０°ずつ回転させ
て取付は直すことにより、１つのチップで４回使用でき
る。

また、図例では、台座３として端面に環状のチップ支持
面３１を有する円盤状のナツト （いわゆるレストボタ
ン）を用い、これを左右ねじ４にてチップポケット２１
の軸心側壁面に回転変位可能でかつ取替自在に取付け、
この台座３のチップ支持面３１の一部にチップ１の一側
面１４を支持している。

これによって、チップ支持面３１の該チップ１を支持せ
る部分が摩耗または損傷した場合、当該台座３をある範
囲ずつ回転変位させてチップ支持面３１の未使用部分を
順次臨ませ、さらに最終的にはこの台座３を取替えるこ
とによって反復使用が可能となり、カッタ一本体２の寿
命を向上で゛きるようにしている。

なお、この台座３は特に必要とするものではなく、この
台座３を省略してチップポケット２１の軸心側壁面にも
前記チップ支持面２１２と同様のチップ支持面を設け、
これにチップ１の側面１４を支持させるようにしても充
分に所期の目的は達成できる。

なお、図に示す実施例ではいずれもポジティブ形の正方
形チップの場合を例示しているが、本発明はポジティブ
形の三角形チップおよび五角形チップにも同様にして用
い得るので゛ある。

さらに、各部の角度を適宜変更することにより、ネガテ
ィブ形のチップにも利用できる。

この他、チップ各部の寸法、角度などはその用途および
被削材の材質その他所望に応して任意に設定し得るとこ
ろである。

本発明は、上述した如く、チップ原形の基準面と側面と
の交差稜線部近くに傾斜面と円弧面を設けて、直線状切
刃と円弧状切刃とを連続して形成し、かつ、円弧面の幅
を小さくしてチップ側面の大部分に平坦面を残存させで
あるので、この平坦な側面を利用［２て当該チップを一
般的なチップと同様の手段で、カッタ一本体に対して安
定性よく正確に取付けることができる。

しかも、その切削時には、直線状切刃によって中仕上げ
切削をした後、引続いて円弧状切刃によりさらえるよう
に上仕上げ切削できるので、切込み深さを大きくできる
と共に、仕上げ面精度を大幅に向上でき、かつ、円弧状
切刃の曲率半径を大きくかつ切刃長さを長く形成しであ
るので、非常にスムーズに切削できると共に、仕上面粗
さならびにいわゆるウネリ巾を極力小さくでき、非常に
高精度の仕上面を得ることができる。

さらに、切刃の刃先強度も大きく、耐久性に富み、非常
に経済的であると共に、刃先が摩耗あるいは損傷しても
その摩耗等を円弧面の範囲内で抑えることができ、チッ
プの被支持面となる側面に影響をおよぼすことはなく、
従って、チップを回転させて他の切刃を使用する場合に
も当該チップを常に所期通り安定かつ正確に固定するこ
とができ、この種の円弧状切刃を有するスローアウェイ
タイプのチップとして最適なものが得られるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスローアウェイチップの一実施例
を示す拡大正面図、第２図はその拡大側面図、第３図は
その正面から見た拡大斜視図、第４図はその背面から見
た拡大斜視図、第５図はその使用例を示す部分底面図、
第６図はその縦断正面図、第７図はその部分側面図、第
８図は切削状態を示す要部の拡大正面図、第９図は第８
図のＩＸ−ＩＸ線断面図、第１０図は第８図のＸ−Ｘ線
断面図である。 １・・・・・・スローアウェイチップ、１０・・・・・
・チップ原形、１１・・・・・・正面（基準面）、１２
・・・・・・背面（基準面）、１３． １４． １５．
１６・・・・・・平坦な側面、１３０，１４０，１５
０，１６０・・・・・・チップ原形の稜線部、１３１，
１４１，１５１，１６１・・・・・・ノーズ部、１３２
，１４２，１５２，１６２・・・・・・直線状切刃、１
３３，１４３，１５３，１６３・・・・・・円弧状切刃
、１３５，１４５，１５５，１６５・・・・・・円弧面
。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平坦でかつ互いに平行な前後一対の基準面と、両基
   準面の周辺間に位置する平坦な側面とからなる角板状の
   チップ原形に対し、各側面において、少なくとも一方の
   基準面側のチップコーナ側に所定幅の傾斜面を設けてこ
   の傾斜面と前記基準面との交差部にチップの辺長さの１
   ／４以下の直線状切刃を形成すると共に、残りの側面部
   分と前記基準面との交差稜線部近くに細幅の円弧面を設
   けることにより、該円弧面と基準面との交差部に前記直
   線状切刃に連続した円弧状切刃を形成し、該円弧面は、
   チップの辺長さより大きな曲率半径で湾曲すると共に、
   基準面に対し所定の逃げ角を有し、かつ円弧面の幅を当
   該側面において残存する平坦面の幅より小さくしたこと
   を特徴とするスローアウェイチップ。