JP2007021623A - チップおよび転削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】非鉄材料の転削加工において、刃先の溶着ならびに被加工部位のばりを抑制し、さらに、加工壁面の高精度化を実現したチップおよび転削工具を提供する。
【解決手段】本発明のチップ1は、略正方形板状をなし、着座面3と対向するすくい面2の辺稜部に、コーナ刃7を挟んで主切刃6と副切刃5が形成されている。主切刃逃げ面16は、少なくとも、主切刃6に連なる主切刃第1逃げ面16aと、この主切刃第1逃げ面16aの下方側領域に隣接し且つコーナ刃逃げ面17に隣接して形成された主切刃第2逃げ面16bとを備え、主切刃第1逃げ面16aは主切刃第2逃げ面16bよりも逃げ角が小さく、着座面3に平行な平面で切断した断面で、主切刃第2逃げ面16bと副切刃逃げ面15とのなす角度が鈍角とされ、さらに、当該チップ1の平面視で、コーナ刃17と副切刃15とのなす角度が160°〜178°の範囲とされる。
【選択図】図2

Description

本発明はチップおよびこのチップを用いた正面フライス、エンドミル等の転削工具に関し、特にアルミニウム合金等の非鉄材料の直角壁面を加工するためのチップおよび転削工具に関する。
直角壁面を加工するためのチップ転削工具のうち、略正方形板状をなすチップを用いたものを図8および図9に示す。図8に示すチップは、正方形板状をなし、上面がすくい面、下面が着座面、側面が側方逃げ面とされるとともに、前記すくい面と逃げ面との交差稜線部に切刃が形成されている。前記切刃の各々が第1、第2、第3の連続部分を有し、前記第1および第3の部分が前記第2の部分と一緒になるように前記チップの隣接コーナ部から延び、前記第2の部分は当該切刃の全長の主要部分を構成し、前記第1の部分は前記着座面から遠ざかり前記第2の部分に向かって傾斜し、前記第2の部分は前記第1の部分から離れて前記着座面に向かい且つ前記第3の部分に向かって傾斜し、さらに第3の部分は前記着座面から離れ且つ前記第2の部分から離れさらに当該チップの隣接隅角部に向かって傾斜している。側方逃げ面の各々は角度を付けて配置された上方側面と下方側面とを有し、上方側面は逃げ面を構成し、下方側面は位置決め部分を構成する。このチップを装着した転削工具において、少なくとも先端領域における前記逃げ面の逃げ角が後端領域における逃げ角と実質的に等しく、切刃の第1および第2の部分が被削材の実質的に90°の凹所の直立面を切削し、隣接切刃の第3の部分が凹所の底面に対する副切刃として作用し、各切刃の少なくとも第1および第2の部分は、転削工具の軸心と平行で且つ当該転削工具の切削半径と等しい半径で前記軸心に関して回転する線により作られた円柱状包絡面上にあることを特徴とするものである(例えば、特許文献1参照)。
図9に示すチップは、多角形平板状をなすチップ本体12のすくい面とされる上面13のコーナ部17にコーナ刃18が形成されるとともに、このコーナ部17を挟むすくい面の一対の辺稜部の一方に主切刃19が形成され、他方には副切刃20が形成されてなるチップにおいて、この副切刃20を主切刃19およびコーナ刃18に対してチップ本体12の厚さ方向に後退した位置に形成するとともに、コーナ刃18は副切刃20と交差するその一端P1から他端P2側に向かうに従いチップ厚さ方向に隆起するように形成し、かつ主切刃19を、コーナ刃18と交差するその一端P2から他端P3側に向けて、一旦チップ厚さ方向に隆起した後、このチップ厚さ方向に後退するように形成したものである(例えば、特許文献2参照)。
前述の従来の転削工具では、チップは、アキシャルレーキ角が正、ラジアルレーキ角が負とされ、且つ当該チップの工具先端側を向く主切刃が実質的に被削材の底面に対して90°となるように、工具本体に装着されており、工具外周側を向く副切刃が工具軸心側に向かって傾くとともに、工具先端側を向く主切刃が工具後端側に向かって傾くことにより、被削材の凹所との接触が阻止され4つのコーナを使用可能とされている。
さらに、工具外周側の切削に供される主切刃の逃げ面においては、工具後端側領域の逃げ角と工具先端側領域の逃げ角を一定にするため、複数の逃げ面が形成されている。すなわち、図8に示す従来例では、主切刃に連なる側方逃げ面の上方部分には、当該主切刃の長さに沿って逃げ角が一定となるように曲げられた逃げ面が形成され、その下方部分には、工具位置決め部分となる下方部分が形成されている。一方、図9に示す従来例では、主切刃に連なるネガ逃げ面が、当該主切刃の工具先端側から工具後端側に向かうにつれ、チップ厚さ方向の幅が漸次小さくなるように形成されるとともに、このネガ逃げ面の下側(工具回転方向の直ぐ後方側)に逃げ角が付されたポジ逃げ面が形成されている。
特開平6−190624号公報 特開平10−100015号公報
ところで、アルミニウム合金等の非鉄材料は、炭素鋼、合金鋼といった鉄基材料よりも機械的強度が低いことから、転削加工時の切削抵抗は低くなるが、刃先および加工面への被削材の溶着が発生しやすく、また、被削材の加工部位にばりが発生しやすくなる。これらの問題を回避するため、切刃の刃先を鋭くして切れ味を高めることが従来から行われてきた。
しかしながら、前述の従来の転削工具では、単に刃先を鋭くするだけでは、当該刃先にチッピングや欠損等の損傷が発生してしまう。そのため、この損傷部に被削材の溶着が生じ、加工面の面粗度を悪化させるおそれがあった。同時に切れ味も低下してしまうことから被加工部位にばりが生じる問題があった。また、コーナ部の切刃形状についても、ばりを抑制するのに適した形状とはいえなかった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非鉄材料の転削加工において、刃先の溶着ならびに被加工部位のばりを抑制し、さらに、加工壁面の高精度化を実現したチップおよび転削工具を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、略正方形板状をなし、着座面と対向する上面がすくい面とされ、このすくい面の辺稜部には、各コーナ部に形成されたコーナ刃を挟んでそれぞれ主切刃と副切刃とが形成され、前記主切刃、前記副切刃および前記コーナ刃から前記着座面に向かって延びる側面にそれぞれ主切刃逃げ面、副切刃逃げ面、コーナ刃逃げ面が形成されてなるチップにおいて、前記主切刃逃げ面は、少なくとも、前記主切刃側に形成された主切刃第1逃げ面と、前記主切刃第1逃げ面の下方側領域に隣接し且つ前記コーナ刃逃げ面に隣接して形成された主切刃第2逃げ面とからなり、前記主切刃第1逃げ面の逃げ角は、前記主切刃第2逃げ面の逃げ角よりも小さく、前記主切刃第2逃げ面は、前記着座面に平行な平面で切断した断面で、前記副切刃逃げ面とのなす角度が鈍角とされ、さらに、当該チップの厚さ方向からみた平面視で、前記コーナ刃は直線状に形成され、前記コーナ刃と前記副切刃とのなす角度が160°〜178°の範囲とされていることを特徴とするチップである。
以上のように構成されたチップによれば、前記主切刃第1逃げ面の逃げ角を主切刃第2逃げ面の逃げ角よりも小さくしたことから、主切刃およびこの主切刃とコーナ刃の交差部近傍における刃先の強度が向上する。さらに、主切刃第1逃げ面の下方側領域に隣接するとともにコーナ刃逃げ面に隣接する主切刃第2逃げ面を着座面に交差させ、且つ着座面に平行な平面で切断した断面で、前記主切刃第2逃げ面と副切刃逃げ面とのなす角度を鈍角としたことから、前記交差部近傍における前記主切刃第1逃げ面の下方側領域の強度が向上する。これら主切刃第1逃げ面および主切刃第2逃げ面の相乗作用により、前記交差部近傍の刃先の強度が高められチッピングや欠損が生じにくくなるため、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金等の非鉄金属、あるいはプラスチック等の合成樹脂に代表される非鉄材料の切削において、当該刃先への溶着が抑制され加工面の面粗度が良好になるとともにばりの発生が抑制される。また、鋳鉄等の切屑が分断しやすい被削材におけるこば欠けが抑制される。しかも、前記交差部近傍では、チップの厚さ全体にわたって強度が高められて、当該交差部近傍に欠損が生じたとしても、この欠損が着座面まで達しにくいことからチップ座の座面の損傷が防止される。
さらに、チップの厚さ方向からみた平面視において、コーナ刃は直線状とされ、前記コーナ刃と副切刃とのなす角度が160°〜178°の範囲とされていることから、非鉄材料におけるばり、あるいは鋳鉄におけるこば欠けを抑制する効果がいっそう高められる。すなわち、被削材からコーナ刃が抜ける際、切取られる領域が、工具回転方向からみて底辺が広く且つ高さが低い三角形状をなすとともに、コーナ刃から受ける切削抵抗の反力が当該三角形状の底辺側に向かって作用することになり、当該三角形状の底辺付近の塑性変形によるばりや脱落によるこば欠けが抑制される。さらに、コーナ刃の切取り厚みが非常に小さくなるため、ばりあるいはこば欠けとして残る量が非常に小さくなるうえに、切取り厚みが非常に小さいことからコーナ刃のチッピングや欠損等が生じにくく切れ味が維持されることも、ばりあるいはこば欠けの抑制に有効となる。コーナ刃と副切刃とのなす角度が160°未満になると前記三角形状が塑性変形しやすくなり、178°を超えると当該コーナ刃の成形が困難となる。また、コーナ刃の長さが小さくなりすぎると、前記三角形状が塑性変形しやすくなり、逆に大きすぎると、被削材の加工面を押さえ付ける力が大きくなり、薄板状の加工においてびびり振動が生じやすくなるため、当該コーナ刃の長さは、0.3mm〜1.0mmの範囲とするのが望ましい。
本発明のチップにおいて、前記着座面に平行な平面で切断した断面において、前記主切刃第2逃げ面と前記副切刃逃げ面とのなす角度が92°〜98°の範囲とされている。これは、前記角度が92°未満になると、前記交差部近傍の強度を高める効果が得られにくく、98°を超えると、当該チップを転削工具の工具本体に装着したとき、工具先端側に配置されて被削材を仕上げる副切刃が工具内周側に向かうにしたがって工具先端側に突出するように傾斜するため、被削材の仕上げ面精度が悪化するおそれがあるからである。
さらに、前記すくい面の表面の、少なくとも辺稜部の内側の所定領域が、遊離研磨砥粒を用いた研磨方法によって研磨加工されていることが好ましい。さらに、研磨加工された、前記所定領域の算術平均粗さRaは、0.01μm〜0.30μmの範囲とされるのが望ましい。そうすれば、前記所定領域において、切屑とすくい面の表面との摩擦が緩和され、切屑の溶着が抑制されるとともに切屑の排出性が良好となる。前記所定領域とは、少なくとも生成される切屑がすくい面の表面に接触する領域であり、研磨加工を容易にする点から、すくい面の表面全体が研磨加工されるのが望ましい。さらに、少なくとも前記辺稜部に連なる逃げ面が砥石もしくは遊離研磨砥粒を用いた研磨方法によって研磨加工されるのが好ましい。そうすれば、辺稜部に形成された刃先は、当該刃先に直交する平面で切断した断面において、曲率半径10μm以下、好ましくは5μm以下の丸みあるいは丸みのないシャープエッジに形成され、且つ当該辺稜部方向の凹凸がきわめて小さくなるように形成されることから、当該刃先への被削材の溶着が大幅に抑制できる。前記逃げ面の表面は、被削材との摩擦を緩和し溶着を抑制する点で、算術平均粗さRa0.01〜0.30μmの範囲とされるのが望ましい。研磨加工された、すくい面および逃げ面の表面の算術平均粗さRaを前記の範囲に限定した理由は、Ra0.01μm未満にするのが加工上困難であり、Ra0.30μmを超えると、切屑の溶着が生じやすくなるからである。
主切刃第1逃げ面の逃げ角は、0°〜10°の範囲とされている。これは、主切刃第1逃げ面の逃げ角が0°未満、すなわち負になると、転削工具の工具本体に装着されたチップにおいて、主切刃第1逃げ面の工具後端側領域と被削材とのクリアランスが小さくなり刃先および逃げ面への溶着や切削抵抗の増大が生じるおそれがあり、主切刃第1逃げ面の逃げ角が10°を超えると、工具先端側領域において主切刃の強度が低下しチッピングや欠損によって刃先の溶着や被削材のばりが生じやすくなるからである。
主切刃は、コーナ刃に交差する一端部から隣接コーナ部に向かうにしたがって着座面との距離が漸次大きくなるように傾斜した上り傾斜部と、この上り傾斜部に滑らかに接続するとともに前記着座面との距離が漸次減少するように傾斜した下り傾斜部とを少なくとも備えている。前記上り傾斜部において、前記一端部から遠ざかるにしたがって着座面との距離、すなわち切削方向の厚さを増大するように形成されることから、当該上り傾斜部を形成した範囲にわたって強度が高められ、チッピングや欠損が防止される。前記着座面に対する前記上り傾斜部の傾斜角度は、3°〜20°の範囲とされている。これは、前記傾斜角度が3°未満になると、前記のチッピングや欠損の防止効果が得られないおそれがあり、前記傾斜角度が20°を超えると、切削抵抗の増大による切れ味の低下から刃先の溶着ならびに被削材のばりが生じやすくなるからである。
一方、前記上り傾斜部に連なる下り傾斜部は、転削工具におけるアキシャルレーキ角を増加させ切削抵抗の低減および切れ味の向上、ならびにびびり振動の抑制といった効果を奏し、その結果、主切刃およびコーナ刃への負荷を低減しチッピングや欠損を防止する。また、副次的な効果として、切屑を工具後端側に向かって流出させ、前記切屑の接触による仕上げ面および加工壁面の加工面品位の劣化を防止する。チップの着座面に対する前記下り傾斜部の傾斜角度は、3°〜15°の範囲とされている。これは、前記傾斜角度が3°未満になると、切削抵抗の低減効果が得られないおそれがあり、また前記傾斜角度が15°を超えた場合にも切削に関与する切刃長さが大きくなることから、切削抵抗の低減効果が小さくなってしまうからである。
さらに、主切刃、副切刃、およびコーナ刃に連なる、正のすくい角を付されたすくい面は、切削抵抗の低減効果および切れ味の向上ならびにびびり振動の抑制といった効果を奏し、その結果、刃先の溶着とばりの発生がおさえられる。また、副次的な効果として、切屑を工具内周側に向かって流出させ、切屑の接触による加工壁面の加工面品位の劣化並びに切屑かみ込みを防止する。好ましくは、前記すくい角は10°〜35°の範囲とされている。これは、前記すくい角が10°未満では、切削抵抗の低減効果が低いからであり、前記すくい角が35°を超えると、刃先が鋭くなってチッピングや欠損を生じやすくなるからである。
主切刃第1逃げ面は主切刃方向で湾曲した凸曲面状に形成されるとともに、当該主切刃は、チップの厚さ方向からみた平面視で、外側に向かって湾曲した凸曲線状に形成されている。これは、チップを転削工具の工具本体に装着したとき、工具外周側に位置する当該チップの主切刃全体にわたって、工具軸心を中心とした主切刃の回転半径を等しくするためである。このように形成した主切刃においては、加工壁面が直角に近づけられる。
以上に説明したチップを1つまたは複数装着した転削工具においては、当該チップの工具外周側に位置する主切刃が正のアキシャルレーキ角および負のラジアルレーキ角とされている。このようにすれば、切削に供され工具外周側に位置する主切刃の工具後端側に連なる、隣接コーナ部の副切刃、および工具先端側に位置する、隣接コーナ部の主切刃が被削材に接触せず重複して使用されることがないので、チップの4つのコーナ部が使用可能となる。
前記の転削工具において、チップを工具本体に装着したとき、工具外周側に位置する主切刃は、当該主切刃全体にわたって工具軸心を中心とした回転半径がほぼ等しくされ、工具先端側に位置する副切刃は、工具軸心に対して略直角とされている。そうすれば、被削材の仕上げ面の平坦度が良好となるうえに加工壁面の真直度および直角度が良好となる。
図1〜図7は本発明を適用したチップおよびこのチップを装着した転削工具である正面フライスの一実施形態を示す図である。図1はチップの厚さ方向からみた平面図である。図2は図1に示すチップの側面図である。図3は図1に示すチップの背面図である。図4は図1におけるS1−S1線切断部端面拡大図である。図5は工具先端側からみた正面フライスの正面図である。図6は図5に示す正面フライスの軸心に直交する方向からみた側面図である。図7は図5に示す正面フライスの一部断面側面図である。
まず、チップ1は、図1および図2に示すように略正方形板状をなし、その上面がすくい面2とされるとともに、下面が当該チップの厚さ方向に対して直交し実質的に平坦な平面からなる着座面3とされており、これら上面と下面との間の側面は逃げ面とされている。上面の略中央には上下面を貫通する取付け穴4が形成されている。この取付け穴4は、チップ1を転削工具100の工具本体101に装着するためのクランプねじ109を挿通するためのものである。すくい面2となる上面の各々のコーナ部A、B、C、Dにはコーナ刃7がそれぞれ形成され、このコーナ刃7を挟む前記上面の一対の辺稜部には、一方に副切刃5が形成され、他方には主切刃6が形成されている。また、チップ1は、少なくとも切刃が超硬合金、サーメット、セラミックス等の硬質材料もしくはダイヤモンド焼結体、立方晶窒化硼素焼結体等の超硬質材料からなる。
図1において、コーナ刃7は直線状に形成され、このコーナ刃7に交差する副切刃5は直線状もしくは曲線状に形成されている。コーナ刃7は、副切刃5となす角度、副切刃5が曲線状に形成された場合には、当該副切刃5の両端部を結んだ直線となす角度が、160°〜178°の範囲とされ、双方が交差する交差部は、曲率半径0.010mm以下の丸みまたは面取りをもつ交差部、あるいは全く丸みのない鋭い交差部が形成されている。主切刃6は、当該主切刃6方向で外側に湾曲した曲線状とされるとともに、この主切刃6の両端部を結んだ直線と、副切刃5となす角度、副切刃5が曲線状に形成された場合には、当該副切刃5の両端部を結んだ直線となす角度が92°の鈍角とされている。前述した主切刃6の曲線状とは、単一または複数の円弧から形成されるか、もしくは直線と円弧とを組み合わせて形成されるか、のいずれでもよい。
図2において、各コーナ部A、B、C、Dのコーナ刃7および副切刃5は、着座面3に平行な平面内に形成される一方で、主切刃6は、コーナ刃7に交差する一端部から遠ざかるにしたがって着座面3との距離が漸次大きくなるように傾斜した上り傾斜部6aと、この上り傾斜部6aに交差部6bを介して滑らかにつながり、着座面3との距離が漸次減少するように傾斜した下り傾斜部6cとを少なくとも備えている。これら上り傾斜部6aおよび下り傾斜部6cで構成される以外に、本実施形態のように前記下り傾斜部6cと、隣接コーナ部A、B、C、Dの副切刃5との間に介在し、双方を接続する接続部6dが追加形成されてもよい。例えば、この接続部6dは、本実施形態のように着座面3側に向かって凸状に湾曲するように形成されるか、もしくは着座面3に平行な直線状に形成される。
主切刃6方向において、前記上り傾斜部6aは、当該主切刃6の全長の3%〜20%の範囲の長さにわたって形成されるとともに、下り傾斜部6cは、当該主切刃6の全長の30%〜80%の範囲の長さにわたって形成されている。前記接続部6dは、前記上り傾斜部6aおよび前記下り傾斜部6bを形成した長さに応じて適宜の長さに形成される。図2の側面視において、前記上り傾斜部6aと着座面3とのなす傾斜角は、3°〜20°の範囲とされ、且つ前記下り傾斜部6cと着座面3とのなす傾斜角は3°〜15°の範囲とされている。
図2および図3において、各コーナ部A、B、C、Dの、副切刃5、主切刃6、コーナ刃7に連なるそれぞれの側面には、副切刃逃げ面15、主切刃逃げ面16、コーナ刃逃げ面17が形成されている。主切刃逃げ面16は、チップ1の厚さ方向からみた平面視で、凸曲線状をなす主切刃6に対応した曲面状、且つチップ1の厚さ方向に幅狭の主切刃第1逃げ面16aが形成されるとともに、この主切刃第1逃げ面16aの下方側領域には、コーナ刃逃げ面17に交差する主切刃第2逃げ面16bと、隣接コーナ部A、B、C、Dの副切刃逃げ面15に交差する主切刃第3逃げ面16cとが形成され、これら主切刃第2逃げ面16bおよび主切刃第3逃げ面16cは、互いに隣接し、ともに着座面3まで延びるように形成されている。
各コーナ部A、B、C、Dの主切刃第1逃げ面16aは、主切刃6方向に、当該主切刃6全体にわたって形成されていて、その一端部がコーナ刃逃げ面17に交差し、他端部が隣接コーナ部A、B、C、Dに形成された副切刃逃げ面15に交差している。さらに、主切刃第1逃げ面16aは、主切刃第2逃げ面16bと交差する範囲では、前記一端部から離れるにつれ、チップ1の厚さ方向の幅が漸次増加し、主切刃第3逃げ面16cに交差する範囲では、前記他端部に近づくにしたがって前記幅が漸次減少するように形成されている。主切刃6方向において、主切刃第2逃げ面16bと主切刃第1逃げ面16aの交差部の長さは、上り傾斜部6aの長さの70%〜150%の範囲とされ、残りの広い範囲に主切刃第3逃げ面16cと主切刃第1逃げ面16aの交差部が延びている。この主切刃第3逃げ面16cは、略矩形状を呈し、工具本体101のチップ座105の支持壁面105b、105cに当接支持される平坦な平面で形成されている。
主切刃第1逃げ面16aは、主切刃6に沿って、チップ1の厚さ方向に幅狭に形成されて延びており、着座面3の法線とのなす角度、いわゆる逃げ角θ6aが0°〜10°の範囲の一定値とされている。一方、主切刃第2逃げ面16bの逃げ角および主切刃第3逃げ面16cの逃げ角θ6cは、ともに10°〜25°の範囲の一定値とされている。副切刃逃げ面15は、副切刃5の平面視形状に対応した平坦面もしくは曲面から形成され、副切刃5から着座面3に近づくにしたがって漸次幅を狭めながら前記着座面3に交差している。この副切刃逃げ面15の逃げ角は、10°〜25°の範囲の一定値とされている。
コーナ刃逃げ面17は、コーナ刃7に連なる上方側領域に、主切刃第1逃げ面16aと副切刃逃げ面15の双方に滑らかに接続するコーナ刃第1逃げ面17aが形成される一方で、着座面3に連なる下方側領域に、主切刃第2逃げ面1と、副切刃逃げ面15とに滑らかに接続するコーナ刃第2逃げ面17bが形成されている。コーナ刃第1逃げ面17aは、主切刃第1逃げ面16aに交差する一端部が当該主切刃第1逃げ面16aに等しい逃げ角とされ、前記副切刃逃げ面15に交差する他端部が当該副切刃逃げ面15に等しい逃げ角とされ、前記一端部と前記他端部との間では逃げ角が漸次変化するように、形成されている。コーナ刃第2逃げ面17bは、全体にわたって逃げ角が一定の曲面状に形成されている。
着座面3に平行な平面で切断した断面において、前記主切刃第3逃げ面16cと副切刃逃げ面15の両端部を結んだ直線とのなす角度は、92°〜98°の範囲の鈍角とされている。
図4において、チップ1の上面の辺稜部に連なる内側の領域には、当該辺稜部から内側にいくにしたがって着座面3に漸次近づくように傾斜した平坦面からなり、正のすくい角αが付与されたすくい面2aが形成されている。すくい角αは、10°〜35°の範囲とされている。すくい面2aを曲面でもって傾斜させてもよく、その場合には、前記辺稜部との交点における接線のなす傾斜角がすくい角αとされ、そのすくい角αは10°〜35°の範囲とされている。正のすくい角αが付与されたすくい面2aの内側には、すくい面2の中央の取付け穴4を取り囲み、着座面に平行な平坦面2bが形成される。
すくい面2の表面の、少なくとも辺稜部から内側の所定領域は、研削砥石あるいは遊離研磨砥粒を用いた研磨方法によって研磨加工される。前記所定領域とは、少なくとも生成される切屑と接触する領域のことであり、研磨加工を容易にする点では、すくい面2全体が研磨加工されるのが好ましい。研磨加工されたすくい面2の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm〜0.30μmの範囲とされる。曲面状のすくい面2を研磨加工する場合には、一様な研磨面が得られる点で、遊離研磨砥粒を用いた研磨方法が望ましい。すくい面2の研磨加工後、前記辺稜部に連なる逃げ面15、16a、17の表面が砥石もしくは遊離研磨砥粒を用いた研磨方法によって研磨加工され、前記辺稜部にシャープエッジが形成される。このシャープエッジは曲率半径10μm以下、好ましくは5μm以下の丸み、あるいはまったく丸みがないものとされる。研磨加工された逃げ面15、16a、17の表面の算術平均粗さRaは、0.01〜0.30μmの範囲とされる。
遊離研磨砥粒の材質は、アルミナや炭化ケイ素あるいはジルコニアなどを主成分とするセラミック粒子等、もしくはダイヤモンド砥粒が挙げられる。また、遊離砥粒は、圧縮空気などによる噴射加工、あるいは例えばナイロンやアラミドなどといった樹脂、および動植物の毛材などを原料とするブラシ、および潤滑作用のための油などとともに、回転または揺動による研摩加工、などの方法を用いることによって行われる。一方、前記ブラシ素材にダイヤモンドなどの砥粒が埋め込まれたブラシを用いることによっても行われる。
以上に説明したチップ1が装着される転削工具100において、工具本体101は、図5〜7に示すように略円筒状をなし、その軸心CLに沿って先端面102と後端面103とを貫通する取付け穴104が形成されている。この工具本体101は、その後端面103を図示しない工作機械の主軸またはアーバの端面に密着させるとともに、その取付け穴104に前記端面から突出する軸を挿入された状態で図示しない取付けボルト等の固定手段により工作機械の主軸に取付けられ、前記軸心CLまわりに回転可能とされている。
工具本体101の先端外周部には、5つのチップ座105が円周方向に略等間隔に切欠き形成されている。これらチップ座105の座面105aには、チップ1を着座させるための敷板106が、図示しない六角穴付きボルトによって取付けられている。前記六角穴付きボルトには、その軸心に沿って、チップ1を固定するためのクランプねじ109が螺合する雌ねじ穴が形成されている。前記座面105aから立ち上がる2つの壁面には、チップ1を位置決めするための支持壁面105b、105cがそれぞれ形成されている。さらに、各々のチップ座105に連なる工具回転方向K前方側の領域にはチップポケット107がそれぞれ形成され、このチップポケット107の壁面には、工具本体101の外部から供給された切削油等を流通し、チップ1のすくい面2近傍に噴射するための流体供給穴108が開口している。
チップ1は、その着座面3を敷板106の一端面である座面106aに当接するとともに、工具外周側および工具先端側を向く2つの主切刃第3逃げ面16cをチップ座105の支持壁面105b、105cにそれぞれ当接するようにして載置され、当該チップ1の取付け穴4に挿通されたクランプねじ109を、敷板固定用の六角穴付きボルトに設けた雌ねじ穴にねじ込むことにより工具本体101に固定される。
図6において、チップ1は正のアキシャルレーキ角AR1、負のラジアルレーキ角RRでもって工具本体101に装着されている。前記アキシャルレーキ角AR1は、5°〜20°の範囲とされている。さらに、主切刃6の下り傾斜部6cにおいては、その傾斜(着座面に対して3°〜15°の範囲)によって、さらにポジのアキシャルレーキ角AR2となっている。
図7から理解されるように、チップ座105の座面105aに直交する方向からみたとき、工具外周側を向く支持壁面105bは、工具後端側にいくにしたがって工具軸心CLから漸次遠ざかるようにわずかに傾斜し、その傾斜角が0°よりも大きく且つ5°以下の範囲となるように形成されている。このように形成されたチップ座105に装着されたチップ1において、工具外周側に位置し被削材の凹所の壁面を切削する主切刃6は、その全体にわたって工具軸心CLからの回転半径が等しくされ、工具先端側に位置し前記凹所の底面を仕上げる副切刃5は、工具軸心CLに対してほぼ直角とされる。ここで、前記主切刃6の工具後端側に連なる副切刃5は、工具後端側に向かうにしたがって工具軸心CL側に漸次近づくように傾斜し、工具先端側に位置する主切刃6は、工具内周側に向かうにしたがって工具後端側へ後退するように傾斜している。
以上の構成を有する本実施形態のチップ1および正面フライス(転削工具)100の作用ならびに効果について、以下に説明する。まず、チップ1において、主切刃第1逃げ面16aは、主切刃第2逃げ面16bおよび主切刃第3逃げ面よりも逃げ角が小さいため、主切刃6およびこの主切刃6とコーナ刃7の交差部近傍の刃先の強度を向上させる。さらに、主切刃第1逃げ面16aの下方側領域に隣接するとともにコーナ刃逃げ面17に隣接する主切刃第2逃げ面16bは、着座面3まで延び、且つチップ1の着座面3に平行な平面で切断した断面において、副切刃逃げ面15に対して鈍角となるように形成されていることから、前記交差部近傍における前記主切刃第1逃げ面16aの下方側領域の強度を向上させる。このように、主切刃第1逃げ面16aおよび主切刃第2逃げ面16bの相乗作用により、前記交差部近傍は、刃先の強度が高められチッピングや欠損が生じにくくなる。よって、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金等の非鉄金属、あるいはプラスチック等の合成樹脂に代表される非鉄材料の切削において、刃先への被削材の溶着が抑制され加工面の面粗度が良好になるとともに被削材のばりが抑制される。また、鋳鉄等の切屑が分断しやすい材料の切削においては、こば欠けが抑制される。しかも、前記交差部近傍は、チップ1の厚さ全体にわたって強化されていて、当該交差部近傍に欠損が生じたとしても、この欠損が着座面3におよびにくいことからチップ座105の座面105aならびに敷板106の座面106aの損傷が防止される。
チップ1の着座面3に平行な平面で切断した断面でみたとき、主切刃第2逃げ面16bと副切刃逃げ面15とのなす角度が92°未満になると、前記交差部近傍の強度向上の効果が得られず、98°を超えると、当該チップ1を転削工具100の工具本体101に装着したとき、工具先端側に配置されて被削材の凹所の底面を仕上げる副切刃5が工具内周側に向かうにしたがって工具先端側に突出するように傾斜するため、被削材の仕上げ面精度が悪化するおそれがある。
さらに、チップ座105の支持壁面105b、105cに当接支持される主切刃第3逃げ面16cは、その上方側領域に隣接する主切刃第1逃げ面16aと、コーナ刃逃げ面17側に隣接する主切刃第2逃げ面16bとによって取り囲まれ、主切刃6およびコーナ刃7から離隔されていることから、主切刃6およびコーナ刃7に生じた損傷がおよびにくくなっている。したがって、チップ1は、4つのコーナの全てを使用するにあたって、チップ座105へ強固に固定されるとともに高い位置決め精度が確保される。そのうえ、主切刃第3逃げ面16cは、主切刃逃げ面16のなかで非常に広い面積を占めていることから、チップ座105の支持壁面105b、105cによって安定して当接支持され、高い負荷(切削抵抗等)が作用する重切削であっても、チップ1は正確に位置決めされ、しっかりと支持固定され動くことがない。
主切刃第1逃げ面16aの、チップ1の厚さ方向の幅は、主切刃6方向において、主切刃第2逃げ面16bと交差する範囲で最大値をとり、隣接コーナ部の副切刃逃げ面15に交差する端部に向かって前記幅が漸次減少していることから、転削工具100において、主切刃6の工具先端側領域では、主切刃6の強度が高められて高い耐欠損性が得られる一方で、主切刃6の工具後端側領域では、被削材とのクリアランスが確保されて切削抵抗が増大することがない。
副切刃5、主切刃6およびコーナ刃7に連なるすくい面2の表面は研磨加工によって、当該すくい面2の表面および辺稜部に形成された刃先は平滑化され、切屑との摩擦抵抗が小さくなることから、切屑の排出性が向上し、当該すくい面2および刃先への被削材の溶着が抑制される。さらに、少なくとも主切刃第1逃げ面16a、副切刃逃げ面15およびコーナ刃逃げ面17の表面が研磨加工され、これら逃げ面16a、15、17の表面が平滑化し刃先に曲率半径10μm以下、好ましくは5μm以下の丸み、あるいは全く丸みのないシャープエッジが形成されると、刃先への被削材の溶着を抑制する効果が大幅に高められる。研磨加工された、すくい面および逃げ面の表面の算術平均粗さRaを0.01μm〜0.30μmの範囲としたのは、0.01μm未満では加工上困難であり、0.30μmを超えると、切屑の溶着が生じやすくなるからである。
チップ1の厚さ方向からみた平面視において、コーナ部A、B、C、Dに形成されたコーナ刃7は直線状に形成され、前記コーナ刃7と副切刃5のなす角度を160°〜178°の範囲とすることによって、非鉄材料におけるばりならびに鋳鉄におけるこば欠けを防止する効果がさらに高められる。すなわち、コーナ刃7が被削材から抜ける際、切取られる予定の領域が、工具回転方向からみて底辺が広く且つ高さが低い三角形状をなすとともに、当該コーナ刃7から受ける切削抵抗の反力が当該三角形状の底辺側に向かって作用することになり、当該三角形状の底辺付近の塑性変形や脱落によるばり、こば欠けが抑制される。さらに、コーナ刃7の切取り厚みが非常に小さくなるため、ばりあるいはこば欠けとして残る量が非常に小さくなる。そのうえ、切取り厚みが非常に小さいことからコーナ刃7のチッピングや欠損等が生じにくく切れ味が維持されることによって、ばりあるいはこば欠けが抑制される。コーナ刃7と副切刃5のなす角度が160°未満になると前記三角形状が塑性変形しやすくなり、178°を超えると当該コーナ刃7の形成が困難となる。また、前記コーナ刃7の長さが0.3mm未満になると前記三角形状が塑性変形しやすくなり、1.0mmを超えると被削材の加工面を押さえ付ける力が大きくなり、薄板状の加工においてびびり振動が生じやすくなる。
主切刃第1逃げ面16aの逃げ角θ6aは、0°〜10°の範囲とされている。これは、主切刃6の刃先の強度を高めて耐欠損性を向上させるためである。前記主切刃第1逃げ面16aの逃げ角θ6aが0°未満、すなわち負になると、転削工具100に装着したチップ1の主切刃第1逃げ面16aの工具後端側領域と被削材とのクリアランスが小さくなり刃先および主切刃第1逃げ面16aへの溶着や切削抵抗の増大が生じやすくなり、前記主切刃第1逃げ面16aの逃げ角θ6aが10°を超えると、主切刃6の強度不足によるチッピングや欠損によって刃先の溶着や被削材のばりが生じやすくなる。
主切刃6は、上り傾斜部6aによってコーナ刃7に交差する一端部から遠ざかるにしたがって着座面3との距離、すなわち切削方向の厚さが増大するように形成されていることから、当該上り傾斜部6aを形成した範囲にわたって強度が高められ、チッピングや欠損が防止される。その結果、刃先の溶着ならびに被削材のばりがおさえられる。チップ1の着座面3に対する上り傾斜部6aの傾斜角度が3°未満になると、前記のチッピングや欠損の防止効果が得られないおそれがあり、前記傾斜角度が20°を超えると、切削抵抗の増大による切れ味の低下から刃先の溶着およびばりが発生し易くなる。また、主切刃6方向において、上り傾斜部6aの長さが主切刃6の全長の3%未満になると主切刃6の強度を高める効果が得られなくなり、20%を超えると切削抵抗が増大するおそれがある。
一方、前記上り傾斜部6aに連なる下り傾斜部6cは、工具本体101におけるアキシャルレーキ角AR1をさらにポジのアキシャルレーキ角AR2とし、切削抵抗を低減させる。そのため、切れ味が向上し刃先の溶着ならびにばりの発生がおさえられる。副次的な効果として、前記下り傾斜部6cは、切屑を工具後端側に向かって流出させ、前記切屑の接触による仕上げ面および加工壁面の加工面品位の劣化を防止する。チップ1の着座面3に対する下り傾斜部6cの傾斜角度が3°未満になると、切削抵抗の低減効果が得られないおそれがあり、前記傾斜角度が15°を超えても切削に関与する切刃長さが大きくなることから、切削抵抗の低減効果が小さくなってしまう。また、主切刃6方向において、下り傾斜部6cの長さが主切刃6の全長の30%未満になると切削抵抗を低減する効果が得られなくなり、80%を超えると、隣接コーナ部との間に介在する接続部6dにおいて急激な屈曲を生じるため強度上の問題が発生する。
副切刃5、主切刃6およびコーナ刃7に連なるすくい面2aに正のすくい角が付与された場合には、切削抵抗の低減により切れ味が向上する。その結果、刃先の溶着、ばりおよびこば欠けが抑制される。また、副次的な効果として、切屑を工具内周側に向かって流出させ、切屑の接触による加工壁面の加工面品位の劣化並びに切屑かみ込みを防止する。前記すくい角が10°未満では、切削抵抗の低減効果が低く、35°を超えると、刃先が鋭くなってチッピングや欠損を生じやすくなる。
本実施形態のチップ1を1つまたは複数装着した正面フライス100においては、切削に供される、工具外周側に位置する主切刃6の工具後端側に連なる、隣接コーナ部の副切刃5は、工具後端側に向かうにしたがって工具軸心CL側に漸次近づくように傾斜し、工具先端側に位置する、隣接コーナ部の主切刃6は、工具内周側に向かうにしたがって工具後端側へ後退するように傾斜するため、被削材の凹所に接触せず、隣接コーナ部に形成された切刃を重複して使用されることがないため、4コーナを使用することが可能となる。
主切刃第1逃げ面16aは、主切刃6方向で湾曲した凸曲面状に形成されるとともに、当該主切刃6は、チップ1の厚さ方向からみた平面視で、外側に向かって湾曲した凸曲線状に形成されている。これは、チップ1を転削工具100の工具本体101に装着したとき、工具外周側に位置する当該チップ1の主切刃6全体にわたって、当該主切刃6の工具軸心CLを中心とした回転半径を等しくするためであり、このように形成した主切刃6においては、被削材の凹所の壁面が直角に近づけられる。なお、アキシャルレーキ角AR1、ラジアルレーキ角RRおよび転削工具100の刃先外径、ならびに主切刃6の上り傾斜部6a、下り傾斜部6cおよび接続部6dの形状等の変化に応じて、主切刃6の前記凸曲線形状は、凹所の壁面を直角に近づけるために適宜変更可能であることはいうまでもない。工具先端側に位置する副切刃5は、工具軸心CLに対して略直角とされている。そうすれば、被削材の凹所の底面の平坦度が良好となるうえに凹所の壁面の真直度および直角度がさらに良好となる。
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明したが、これらはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
チップの厚さ方向からみた平面図である。 図1に示すチップの側面図である。 図1に示すチップの背面図である。 図1におけるS1−S1線切断部端面拡大図である。 工具先端側からみた正面フライスの正面図である。 図5に示す正面フライスの軸心に直交する方向からみた側面図である。 図5に示す正面フライスの一部断面側面図である。 従来の転削工具に用いられるチップの斜視図である。 従来の他の転削工具に用いられるチップの斜視図である。
符号の説明
1 チップ
2 すくい面
2a すくい角が付与されたすくい面
3 着座面
5 副切刃
6 主切刃
6a 下り傾斜部
6c 上り傾斜部
7 コーナ刃
15 副切刃逃げ面
16a 主切刃第1逃げ面
16b 主切刃第2逃げ面
16c 主切刃第3逃げ面
17 コーナ刃逃げ面
100 正面フライス(転削工具)
101 工具本体
105 チップ座
A、B、C、D コーナ部
AR1 工具本体におけるアキシャルレーキ角
AR2 主切刃の下り傾斜部におけるアキシャルレーキ角
α すくい角

Claims (14)

  1. 略正方形板状をなし、着座面と対向する上面がすくい面とされ、このすくい面の辺稜部には、各コーナ部に形成されたコーナ刃を挟んでそれぞれ主切刃と副切刃とが形成され、前記主切刃、前記副切刃および前記コーナ刃から前記着座面に向かって延びる側面にそれぞれ主切刃逃げ面、副切刃逃げ面、コーナ刃逃げ面が形成されてなるチップにおいて、
    前記主切刃逃げ面は、少なくとも、前記主切刃側に形成された主切刃第1逃げ面と、この主切刃第1逃げ面の下方側領域に隣接し且つ前記コーナ刃逃げ面に隣接して形成された主切刃第2逃げ面とからなり、
    前記主切刃第1逃げ面の逃げ角は、前記主切刃第2逃げ面の逃げ角よりも小さく、
    前記主切刃第2逃げ面は、前記着座面に平行な平面で切断した断面で、前記副切刃逃げ面とのなす角度が鈍角とされ、
    さらに、当該チップの厚さ方向からみた平面視で、前記コーナ刃は直線状に形成され、前記コーナ刃と前記副切刃とのなす角度が160°〜178°の範囲とされていることを特徴とするチップ。
  2. 前記着座面に平行な平面で切断した断面で、前記主切刃第2逃げ面と前記副切刃逃げ面とのなす角度が92°〜98°の範囲とされていることを特徴とする請求項1記載のチップ。
  3. 少なくとも、前記主切刃、前記副切刃および前記コーナ刃のそれぞれに連なるすくい面の表面の所定領域が研磨されていることを特徴とする請求項1または2記載のチップ。
  4. 前記主切刃、前記副切刃および前記コーナ刃に連なるすくい面、ならびに当該すくい面に交差する逃げ面のそれぞれの表面が研磨されていることを特徴とする請求項3記載の非鉄材料切削用チップ。
  5. 平面視で、前記コーナ刃の長さが0.3mm〜1.0mmの範囲とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のチップ。
  6. 前記主切刃第1逃げ面の逃げ角が0°〜10°の範囲とされ、且つ前記主切刃第2逃げ面の逃げ角が10°〜25°の範囲とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のチップ。
  7. 前記主切刃は、少なくとも、前記コーナ部から離れる方向に、前記着座面との距離が漸次大きくなるように傾斜した上り傾斜部と、この上り傾斜部に滑らかに接続するとともに前記着座面との距離が漸次減少するように傾斜した下り傾斜部とを備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のチップ。
  8. 前記上り傾斜部と前記着座面とのなす傾斜角が3°〜20°の範囲とされ、且つ前記下り傾斜部と前記着座面とのなす傾斜角が3°〜15°の範囲とされていることを特徴とする請求項7記載のチップ。
  9. 前記コーナ刃、前記主切刃および前記副切刃に連なるすくい面には、正のすくい角が付与されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のチップ。
  10. 前記すくい角が10°〜35°の範囲とされていることを特徴とする請求項9記載のチップ。
  11. 前記第1逃げ面は前記主切刃方向で湾曲した凸曲面状に形成されるとともに、前記主切刃は、前記チップの厚さ方向からみた平面視で、当該主切刃方向に湾曲した凸曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のチップ。
  12. 前記チップの厚さ方向からみた平面視で、前記副切刃が直線状もしくは円弧状とされていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のチップ。
  13. 軸心まわりに回転させられる略円筒状をなす工具本体の先端外周部に、1つまたは複数のチップが装着された転削工具において、
    前記チップは請求項1〜12のいずれか1項記載のチップとされ、このチップの工具外周側に位置する主切刃のアキシャルレーキ角が正、且つラジアルレーキ角が負とされていることを特徴とする転削工具。
  14. 前記チップを前記工具本体に装着したとき、工具外周側に位置する主切刃は、当該主切刃全体にわたって工具本体の軸心を中心とした回転半径がほぼ等しくされ、工具先端側に位置する副切刃は、工具本体の軸心に対して略直角とされていることを特徴とする請求項13記載の転削工具。



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