JPH079235A

JPH079235A - エンドミル

Info

Publication number: JPH079235A
Application number: JP21207093A
Authority: JP
Inventors: Retsu Gomi; 烈五味
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1993-06-28
Filing date: 1993-06-28
Publication date: 1995-01-13

Abstract

(57)【要約】【目的】エンドミルボデイに短冊状の超硬合金チッ
プを押さえ金具で機械的に固定し、損傷時や超硬合金チ
ップの磨耗時にチップを交換可能ならしめ、切削加工に
おける工具の費用を大幅に逓減させるとともに、従来の
ろう付けエンドミル作成時における銀ろうなどのろう付
け作業を省略して、製造時の作業環境の改善とコストの
低下を計ることの出来る高性能なエンドミルを提供す
る。【構成】シャンク部（２）を有するボデイ（３）を
鋼製とし、ボデイ（３）の１部を刃台部（４）となし、
この刃台部（４）の外周にネジ穴を穿設し、刃台部
（４）の外面上に外周切れ刃（７）および底刃（８）を
有する短冊状の超硬合金チップ（９）を添わせ、超硬合
金チップ（９）の基底部（６）を押さえ金具（１１）で
刃台部（４）に挟着、固定して一体のエンドミルとなし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は被削材の側面を切削加工
したり、溝を切削加工するための切削工具であるエンド
ミルの新しい形態に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】フライス加工機により回転を与えながら
被削材の側面を切削加工したり、溝を切削加工するため
の工具として、工具母体の基部にシャンク部を備え、先
端部に向かって捩じれたスパイラル状の外周切れ刃と、
その端面に底刃を備えたエンドミルが汎用されている。
通常エンドミルには、鋳鉄や柔らかい合金網を切削する
ために使用されるハイス（高速度鋼）で作成されたもの
と、硬度の高い合金鋼や焼き入れされた硬い被削材を切
削するために刃部に超硬合金チップをろう付けしたいわ
ゆるろう付けエンドミル、および全体が超硬合金で作製
された超硬ソリッドエンドミルがある。

【０００３】従来のエンドミルは図５に示しているよう
に、直径１０ｍｍ〜６０ｍｍの鋼製のボデイと呼ばれる
軸体の刃台部（２０）に、幅が数ｍｍ〜２０ｍｍ、深さ
が数ｍｍ〜１０ｍｍの断面Ｖ字状をなし捩じれ角が通常
２５度または３０度の複数条のスパイラル状に形成され
た溝（２１）を設け、この溝（２１）の辺縁にそってチ
ップステージと呼ばれる切り欠き（２２）を設け、この
チップステージ（２２）の上に予めねじり角に対応して
スパイラル状に形成された短冊状の超硬合金チップ（２
３）が銀ろう等によってろう付けされ、このねじれた超
硬合金チップ（２３）に、すくい面研磨、逃げ面研磨を
施して超硬合金による外周切れ刃（２４）および底刃
（２５）が形成されている。

【０００４】このような構造では切削加工の際にチップ
先端の切れ刃（２４）にかかる抵抗を刃台部（２０）が
受け持つためチップの先端は刃台部（２０）の外周より
わずか１ｍｍ程度しか出ていない。このため切れ刃（２
４）が切削加工により磨耗したり損耗した際に再研磨を
しようとしても出来ない状況であった。さらにろう付け
加工には特殊なガス溶接作業という技能や高周波加熱炉
という高価な設備が必要になるなどの製造上の問題があ
る。

【０００５】また直径が３ｍｍ〜２０ｍｍの細いエンド
ミルの場合においては、ろう付け作業が困難なことから
鋼製ボデイを使用せず、ボデイ自体に超硬合金丸棒を使
用し、この超硬合金丸棒に研削盤を用いて溝加工、切れ
刃の逃げ面加工、また端面に底刃を形成している。一般
にこのようなエンドミルはソリッドエンドミルと称され
ている。ソリッドエンドミルを使用すれば前記ろう付け
エンドミルのもつ不都合は解決できるが、２０ｍｍを越
える太さのものでは価格が高価になり実現が困難であ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】超硬合金チップ素材は
高価なため直径が２０ｍｍを越えるものではソリッドエ
ンドミルの実用化が困難である。一方ろう付けタイプは
超硬合金チップの使用重量が少ないため安価に出来るこ
とから直径２０ｍｍを越えるサイズに多量に使用されて
いるが、ろう付け作業は酸素アセチレン溶接機の取扱に
熟練した技能者が必要であることや高周波加熱炉のよう
な高額な機械が必要になることなど製造上に困難な点が
多い。

【０００７】７００度を越える温度でのろう付け作業
は、環境が悪く作業者の人体に悪影響を与えるなどの問
題がある。またろう付けタイプのエンドミルにチタン、
ボロン、アルミナ、ダイヤモンド等の強化被膜層を形成
しようとするときにも、コーテイングのために使用する
ＰＶＤ、ＣＶＤ窯にエンドミル全体をいれることから、
窯の容積効率が悪くコーティング費用が高くなるという
問題があった。

【０００８】さらに一般的にろう付けタイプのエンドミ
ルの鋼製ボデイはろう付け作業に先立って焼き入れされ
るが、ろう付け時の高温のため焼きが戻り、強度が低下
したり、変形が生じ超硬合金チップが割れるため相当量
の不良が発生するなど問題があった。また超硬合金チッ
プと鋼製ボデイの線膨張係数が違うため、ろう付け後の
冷却過程で超硬合金チップに応力割れなどの不良が発生
することもある。

【０００９】また上述したように従来のろう付けエンド
ミルでは切れ刃の刃台部からの飛びだし量が１ｍｍくら
いしかないうえ、銀ろうで強固に固着されているから、
再研磨や交換が出来ないため非常に不経済であった。こ
の欠点は特に外径が１００ｍｍくらいになるＭＣ用シェ
ルエンドミル、プレーンカッターなどで顕著である。

【００１０】このような従来のろう付けタイプのエンド
ミルの不都合は上記した超硬合金のソリッドエンドミル
を適用することにより解消できるが、直径が２０ｍｍを
越える大サイズとしたときは価格が高くなり、実用性が
極端に低下する。

【００１１】このような従来のエンドミルの不都合を解
決するために本願人が特願平５−４２２８９で提案した
円筒状超硬合金チップを使用したエンドミルがあるが、
これは円筒状超硬合金チップを使用することにより、ろ
う付けエンドミルとソリッドエンドミルの特長を兼ね備
えたものであるが、前記ろう付け作業に伴う問題点や直
径５０ｍｍを越える大サイズエンドミルでの超硬合金チ
ップ使用量を極限的に逓減するという面で十分ではなか
った。本発明は上記した従来のろう付けエンドミルの不
都合を改善し、大サイズとなした場合に超硬合金チップ
の使用量をさらに極限的に逓減した、簡単な構造で容易
に製造が出来、ろう付け加工が不要なうえ超硬合金チッ
プの交換が可能で、強化被膜層の形成も超硬合金チップ
のみを対象に行えば良いうえに、数回の再研磨が可能な
新しい組み立て式のエンドミルを提供することを目的と
してなされたものである。特に直径が５０ｍ重を越える
シェルエンドミルやプレーンカッター等に適用して、低
価格のエンドミルを形成できる特長がある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、エンドミルの
ボデイに鋼材料を使用し、外周切れ刃および底刃を有す
る短冊形のスパイラル状あるいは直線状の超硬合金チッ
プをボデイの刃台部に添わせ超硬合金チップの刃台部外
周面に接する基底部を押さえ金具で機械的に固定するこ
とにより上記の課題を解決した。即ち本発明のエンドミ
ルは鋼製ボデイの１部を刃台部となし、この刃台部に複
数条の超硬合金チップを添わせ、超硬合金チップの基底
部を押さえ金具を用いネジで締めつけることにより回動
不能に挟着し固定する。複数の超硬合金チップをボデイ
に固定して一体となしたことを特徴としているものであ
る。

【００１３】短冊状の超硬合金チップはスパイラル状に
形成した場合はエンドミルとしての役割を果たすが、直
線状とした場合はリーマの役割を果たすことになる。

【００１４】本発明に適用する超硬合金としては特に限
定を要するものではなく、汎用されている金属炭化物粉
末と金属粉末を適当に配合して焼結してなる合金、例え
ばＷが７０％以上のＷＣ−Ｃｏ系、ＷＣ−ＴｉＣ−Ｃｏ
系、あるいはＷＣ−ＴｉＣ−ＴａＣ−Ｃｏ系が挙げられ
る。またサーメットを使用しても良い。

【００１５】上記超硬合金チップの断面は短冊状でその
外周側はほぼ方形となし、刃台部の外周面に接する基底
部側はスカート状に幅を大きくし押さえ金具による挟
着、固定が容易な形状に形成されている。また切削加工
時に超硬合金チップの切れ刃にかかる切削抵抗に十分打
ち勝つため、超硬合金チップの幅は従来のエンドミルよ
り広くし、押さえ金具からの超硬合金チップの飛びだし
高さと幅がほぼ等しい形状になっている。

【００１６】さらにまた、超硬合金チップをボデイに固
定して、一体のエンドミルと成してから、一旦超硬合金
チップをボデイから取り外し、切れ刃の表面にチタン、
ボロンあるいはダイヤモンド等の超硬質強化被腰層を形
成して後、再び超硬合金チップをボデイに組み立てるこ
とによって、より硬度の高い被削材の加工に使用するこ
とが出来る。即ち、超硬合金チップの表面に、ＰＶＤ
（物理的気相蒸着）、ＣＶＤ（化学的気相蒸着）、ＩＶ
Ｄ（イオン注入蒸着）、イオンプレーテイング等の方法
により、ＴｉＮ（チタンナイトライド）、ＴｉＣ（チタ
ンカーバイド）、ＳｉＣ（シリコンカーバイド）、ＣＢ
Ｎ（立方晶ボロンナイトライド）、ＴｉＣＮ（チタンカ
ーボナイトライド）、ＴｉＡｌＮ（チタンアルミナイト
ライド）、ダイヤモンド等の強化被膜層を形成すること
により、高硬度な被削材の切削加工時における耐磨耗性
および耐チッピング性（耐刃こぼれ性）を改善すること
が出来る。

【００１７】

【実旋例】以上本発明の実施例を示している図にもとづ
いて説明すると、図１は本発明のエンドミルの部分断面
図そして図２は刃部の底面図をしめしている。本発明の
エンドミル（１）は図１に示しているように、シャンク
部（２）を有する鋼製のボデイ（３）の１端を刃台部
（４）となし、かかる刃台部（４）の外周にネジ穴
（５）を穿設する。しかるのち刃台部（４）の外周にあ
らかじめスパイラル状に形成されたスカート状の基底部
（６）および外周切れ刃（７）、底刃（８）を有する超
硬合金チップ（９）を超硬合金チップ（９）の背中（１
０）が、やはりスパイラル状に形成された押さえ金具
（１１）の壁面（１２）に添うように巻きつけ、基底部
（６）を押さえ金具（１１）を用いてネジ（１３）によ
り固定する。

【００１８】また図４に示すように、超硬合金チップ
（９）の背中（１０）を刃台部（４）に形成した溝（１
４）の壁面（１５）に添わせることも出来る。この構造
は超硬合金チップ（９）の数が少ないときに適用すれ
ば、エンドミル（１）の製作が容易となる。上記のよう
に一体に組み立てられたエンドミル（１）の超硬合金チ
ップ（９）の表面にすくい面研磨、逃げ面研磨により外
周切れ刃（９）をまた底刃（８）が形成されており、エ
ンドミルとしての性能を発揮することが出来るものであ
る。

【００１９】本実施例においては、直径４２ｍｍのシャ
ンク部（２）を有する鋼製ボデイ（３）の１端を直径６
０ｍｍの刃台部（４）となし、直径６ｍｍのネジ穴
（５）を押さえ金具（１１）１条につき２個ずつ設け、
内接円の直径が刃台部（４）の外径に等しく、外径が７
５ｍｍのスパイラル状の超硬合金チップ（９）を刃台部
（４）の外周に８条巻きつけ、ネジ（１３）により押さ
え金具（１１）で超硬合金チップ（９）の基底部（６）
を刃台部（４）に固着する。このように一体に組み立て
られたエンドミル（１）の各超硬合金チップ（９）に外
周切れ刃（７）が、また底刃（８）が形成されている。

【００２０】本実旋例の構造の場合、上述したように超
硬合金チップ（９）を銀ろうで固着していないから、超
硬合金チップ（９）を押さえ金具（１１）を外して取り
外し、超硬合金チップ（９）の表面のみにＰＶＤ法、Ｃ
ＶＤ法あるいはＩＶＤ法によりＴｉＮやＴｉＣあるいは
ダイヤモンド等の硬質の強化被膜層を形成して後、再び
組み立てることにより、切れ刃（７）の耐磨耗性や耐チ
ッピング性が一層向上した切削加工性の優れたエンドミ
ルが得られる。コーティング加工のときはエンドミル
（１）全体をコーテイング窯に入れるのではなく、超硬
合金チップ（９）のみを入れるのであるから窯の内部で
占有する容積は小さくても良い。

【００２１】本発明の実旋例では硬製ボデイ（３）にシ
ャンク部（２）が設けられた構造を示しているが、ここ
では図示していないが直径５０ｍｍ〜１００ｍｍとなる
ＭＣ用シェルエンドミルやプレーンカッターのようにシ
ャンク部が無く、刃台部（４）の内部が中空で、別個に
形成されるアーバー（保持用の軸）を挿入して使用する
構造のエンドミルに、本構造を適用しても同様な効果を
発揮する。従って本構造をアーバーを使用するエンドミ
ルやカッターに適用することは、本発明に含まれるもの
と見做される。

【００２２】

【発明の効果】このように本発明のエンドミル（１）は
シャンク部（２）を備えた鋼製ボデイ（３）の刃台部
（４）にスパイラル状または直線状の超硬合金チップ
（９）が機械的に押さえ金具（１１）により固定されて
なるものであるから、特殊な熟練技能や設備を必要とす
る銀ろう等のろう付け作業が不要であり、コーテイング
による強化被膜層の形成も簡単に行えるから製造に要す
る費用を逓減し、産業上の効果が大きい。また超硬合金
チップ（９）の外径を押さえ金具（１１）の外径より３
〜５ｍｍと適当に大きくしておけば、数回の再研磨に供
することが出来るので、切削加工に要する工具の費用を
大幅に逓減することが可能である。

【００２３】その上本発明のエンドミル（１）は切れ刃
（７）の欠損のような損傷を引き起こしても、エンドミ
ル全体を廃棄することなく超硬合金チップ（９）のみを
必要数交換することが出来るので、高価な希少金属であ
る超硬合金を無駄に消費することがなく、省資源効果も
大きくなる。また大型のカッターを一部分の破損のため
に廃棄する事がなくなるから、切削加工に要する費用を
大幅に逓減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエンドミルの部分断面図である。

【図２】図１の底面図である。

【図３】図１の超硬合金チップと押さえ金具の部分断面
拡大図である。

【図４】超硬合金チップの固定方法の他の実施例の部分
断面拡大図である。

【図５】従来のエンドミルの底面図である。

【符号の説明】

１．エンドミル２．シャンク
部３．鋼製のボデイ４．刃台部５．ネジ穴６．超硬合金
チップの基底部７．超硬合金チップの外周切れ刃８．超硬合金
チップの底刃９．超硬合金チップ１０．超硬合金
チップの背中１１．押さえ金具１２．押さえ金
具の壁面１３．ネジ１４．溝１５．溝の壁面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】鋼製ボデイの１部にチップ固定用の刃台
部を形成し、この刃台部の外周に、すくい面、外周切れ
刃、底刃を有する短冊状超硬合金チップの基底部を添わ
せて、押さえ金具を刃台部にネジ止めすることにより前
記超硬合金チップの基底部をボデイに一体に固着したこ
とを特徴とするエンドミル。
【請求項２】超硬合金チップは基底部がスカート状に
広がっていることを特徴とする請求項１記載のエンドミ
ル。
【請求項３】外周切れ刃および底刃を形成した超硬合
金チップの表面に、チタン、ボロンあるいはダイヤモン
ド等の強化被膜層が形成されていることを特徴とする請
求項１記載のエンドミル。