JPS592979Y2 - 車両用減速差動装置の潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用減速差動装置に関し、特にリングギヤの
回転をプラネタリギヤで減速して差動装置に伝達する２
段減速型減速差動装置の潤滑装置に関する。

前記方式の減速差動装置の構造、動作を第１図を用いて
説明する。

図において、キャリアカバー１の前端部に軸受けされエ
ンジン駆動力を伝達されて回転するピニオンドライブギ
ヤ２は前端部が図示しない変速装置の出力軸に推進軸を
介して連結している。

該ピニオンドライブギヤ２にはキャリアカバ−１後部側
壁に軸受けされたリングギヤ３の外歯３ａが噛み合い、
ピニオンドライブギヤ２の回転によりリングギヤ３が減
速されて回転する。

リングギヤ３の軸受は用筒部３ｂにはアジャストナツト
４のスプラインと嵌合してキャリアカバー１に端部を固
定された筒状のす〉・ギヤ５が貫通して取り付けられ、
該サンギヤ５の歯部５ａと前記リングギヤ３の内歯３Ｃ
に噛み合うプラネタリギヤ６がテ゛゛フケースフ側面に
固定されたシャフト８に遊嵌して複数個取り付けられ、
リングギヤ３の回転によりプラネタリギヤ６はシャフト
８の回りを自転すると共に、サンギヤ５の回りをリング
ギヤ３の回転速度より減速された回転速度で公転する。

該プラネタリギヤ６の公転によって回転するデフケース
７内にはサンギヤ５と同芯上に軸受けされた一対のサイ
ドギヤ９がこれと直角にデフケース７内 て噛合し、該一対のサイドギヤ９には夫々図示しない左
側車輪及び右側車輪に連結するアクスルシャフト（図示
せず）の端部が嵌入して固定しである。

そして、車両直進時にはピニオンギヤ１０はその支軸間
りに回転せず従って一対のサイドギヤ９はデフケース７
の回転に同期して回転し、車両旋回時にはピニオンギヤ
１０が支軸間りに回転して一対のサイドギヤ９従って左
右側車輪の回転速度差を許容することは周知の通りであ
る。

さらに前記テ゛フケ−スフの外側を覆ってリングギヤ３
側面に固定された円筒状のサポートケース１１がキャリ
アカバー１の一側壁にベアリング１２を介して軸受けさ
れている。

かかる減速差動装置のベアリング、ギヤ等の摺動部及び
噛合部等の潤滑はキャリアカバー１とハウジング１′と
で囲まれた空間Ａの底部に貯留するオイルに浸漬するリ
ングギヤ３．ピニオンドライブギヤ２．サポートケース
１１等の回転体がかき上げたオイルを該回転体前部上方
で捕獲した後、各潤滑要部に供給するようにしている。

デフケース７とサポートケース１１とに囲まれた室（以
下ギヤ室１３という）内の差動装置、プラネタリギヤ６
の潤滑要部へのオイル供給経路は従来下記の如く構成さ
れている。

サポートケース１１の周壁等に付着して掻き上げられた
オイルがオイルキャッチャ等を介してサポートケース１
１の前端部側方にあるキャリアカバー１に形成される空
胴部１４に搬送され、該空洞部１４に連通してサポート
ケース１１側壁に形成されたオイル導入孔１１ ａを介
して前記ギヤ室１３内部に供給される。

サポートケース１１内に供給されたオイルは一部はデフ
ケース７に形成されたオイル導入孔７ａからデフケース
７内に流入し、サイドギヤ９とピニオンギヤ１０の歯部
及び摺動部等を潤滑した後デフケース７の隔壁７ｂに形
成されたオイル流出孔７Ｃからプラネタリギヤ６を配設
された環状空間１５に流出し、又、一部はテ゛フケース
フ外壁とサポートケース１１との間隙を通じて環状空間
１５に至る。

該空間１５内に搬送されたオイルはプラネタリギヤ６と
シャフト８との摺接部及びプラネタリギヤ６とサンギヤ
５との噛合う歯部を潤滑した後、サンギヤ５外周壁とリ
ングギヤ３の軸受用筒部３ｂ内周壁との間隙１６に流入
し、一部はリングギヤ３の軸受は用ベアリング１７を経
由し７て、又、一部はサンギヤ５とアジヤス１〜ナツト
４との相嵌合するスプラインの間隙を縫って空間Ａの底
部のオイル溜りに戻される。

かかる従来構成において、サンギヤ５が軸方向の全長に
亙って略同径のストレートな形状であるため、軸方向の
抜き止めを行なうためサンギヤ５の外側端面に係止する
抜は止め用部材１８をアジャストナラＩ−４又はキャリ
アカバー１に固定して取り付ける必要がある。

しかし、このように抜は止め部材１８を設けてもサンギ
ヤ５はｍ＝端部のみをアジャストナツト４とのスプライ
ンと嵌合して固定しであるからプラネタリギヤ６と噛合
−）他端部がサンギヤ５の軸と直角な方向にガタ付きを
生じ易くプラネタリギヤ６の円滑な噛合回転が損なわれ
る欠点があった。

本考案はかかる従来の欠点に鑑み為されたもので、サン
ギヤを歯部を有した大径部とリングギヤの軸受用筒部を
挿通する小径部とを備えて形成し、大径部と小径部とを
結ぶ段付部の外周面をリングギヤの内壁に係合させて軸
方向の抜は止め機能を持たせると共に、軸直角方向のガ
タ付きを防止して安定状態に固定取付し、かつ、前記段
付部外周面にオイル流出溝を形成してサポートケースと
リングギヤとで画成されるギヤ室へのオイルの循環を円
滑にして良好な潤滑性能を得られるようにした車両用減
速差動装置の潤滑装置を提供するものである。

以下に本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

但し、本考案の実施例を示す第２図において第１図と同
一の構成要素には同一符号を付して説明する。

第２図において、サンギヤ２１を歯部２１ ａを有した
大径部２１ Ａ、リングギヤ３の軸受用筒部３ｂを挿通
する小径部２１ Ｂ及び大径部２１ Ａと小径部２１
Ｂとを結ぶ段付部２１ Ｃとを備えて形成し、大径部２
１ Ａの端面をワッシャ２２を介してデフケース７の隔
壁７ｂ側面に当接させると共に段付部２１ Ｃ外周面を
ワッシャ２３を介してリングギヤ３側壁に当接させ軸方
向に抜は止め機能を有して位置決めすると共に小径部２
１ Ｂ端部外周壁に形成したスプラインをアジャストナ
ラ１−４に形成したスプラインに嵌合させて固定取付す
る。

さらに、前記段付部２１ Ｃ外周面にはプラネタリギヤ
６外側の環状空間１５内のオイルを小径部２１Ｂ外周面
とリングギヤ３の軸受用筒部３ｂ内周面との間隙２４に
導くオイル流出溝２１ ｂを第３図に示す如く周方向に
複数個形成する。

かかる構成において、ギヤ室１３に導入されたオイルは
前記従来例と同様の経路を経てプラネタリギヤ６外側の
環状空間１５に至り、前記オイル流出溝２１ ｂから間
隙２４を通じて一部はサンギヤ５とアジャストナツト４
とのスプライン嵌合部の間隙を縫って、又−・部はベア
リング１７の間隙を縫って空間Ａの底部のオイル溜りに
戻される。

そして、かかるオイルの循環経路において、ギヤ室１３
内の各潤滑要部が良好に潤滑される。

特に前記オイル流出溝２１ ｂ及び該流出溝２１ ｂ下
流のオイル出口通路面積をオイル導入孔７ａと同等以上
に採ることによってオイルの循環性従って潤滑性が向上
し、かつオイル流速の増大によってギヤ室１３内のスラ
ッジの堆積を防止でき安定した潤滑機能を維持できる。

本考案は前記の如くオイルによる潤滑性を満たした上で
さらに下記の特長を有する。

即ち、サンギヤ２１を大径部２１ Ａ端面と段付部２１
Ｃ外周面を夫々隔壁７ｂとリングギヤ３とに係合させ
て抜は止めする構成により従来サンギヤの外側端面に係
止して取り付けていノコ抜は止め部材が不要どなるのみ
ならず、サンギヤ２１歯部の軸直角方向へのガタ付きが
抑制され、プラネタリギヤ６とサンギヤ２１とが円滑に
噛み合って回転する。

尚、図示の如く、サンギヤ２１内・外面を連通ずるオイ
ル流出孔２１ Ｃをオイル流出溝２１ ｂに連通して形
成すれば、オイルは該オイル流出孔２１ Ｃからサンギ
ヤ２１内周壁アクスルシャフトとの間隙を通じてもギヤ
室１３外に流出するから、オイルの循環機能はより向上
する。

本考案は以上説明したように、サンギヤを歯部を有した
大径部とリングギヤの軸受用筒部に挿通する小径部とを
備えて形威し、大径部端面をデフケースの側壁に、大径
部と小径部とを結ぶ段付部外周面をリングギヤ側壁に摺
接自由に係合してサンギヤを抜は止めする構成としたか
ら、抜は止め部材が不要となりかつサンギヤ歯部の軸直
角方向のガ゛り付きを防止してサンギヤどプラネタリギ
ヤとの円滑な噛合回転を行なわせる。

又、段付部外周面にオイル流出溝を設けたから、該オイ
ル流出溝を介してオイル（」ザポートケースとデフケー
スとで国威されるギヤ室からスムーズに流出し、ギヤ室
のオ、イルの循環が円滑に行なわれて良好な潤滑性能を
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の２段減速型減速差動装置の内部構造を示
す横断面図、第２図は本考案に係る２段減速型減速差動
装置の内部を示す横断面図、第３図は同減速差動装置に
使用されるサンギヤの構造を示す平面図である。 １・・・・・・キャリアカバー、２・・・・・・ピニオ
ンドライフ゛ギヤ、３・・・・・・リングギヤ、６・・
・・・・プラネタリギヤ、７・・・・・・デフケース、
１１・・・・・・サポートケース、１５・・・・・・環
状空間、２１・・・・・・サンギヤ、２１Ａ・・・・・
・大径部、２１ Ｂ・・・・・・小径部、２１ Ｃ・・
・・・・段付部、２１ ｂ・・・・・・オイル流出溝、
２４・・・・・・間隙。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）エンジン駆動力を伝達されて回転するピニオンド
   ライブギヤと、該ピニオンドライブギヤに噛合して回転
   するリングギヤと、該リングギヤと同芯に固定された筒
   状のサンギヤと、リングギヤの内歯とサンギヤとに噛合
   して自転と共に公転するプラネタリギヤと、該プラネタ
   リギヤを軸支しプラネタリギヤの公転によって回転する
   デフケースと、該デフケースの外側を覆ってリングギヤ
   に固定されたサポートケースとこれら各回転要素を回転
   自由に外包するキャリアカバーと車軸を軸支するハウジ
   ングとを備え、該キャリアカバーと該ハウジングで囲わ
   れた空間の底部にオイルを貯溜してなる車両用減速差動
   装置において、前記サンギヤを歯部を有した大径部と、
   リングギヤの軸受用筒部内を挿通する小径部とを備えて
   形成し、大径部の端面をテ゛フケースの内側壁に係合さ
   せ大径部と小径部を結ぶ段付部の外周面をリングギヤ内
   壁に係合させて軸方向に抜は止め状態に固定すると共に
   、前記段付部の外周面に径方向にオイル流出溝を設け、
   前記キャリアカバーとハウジングで囲われた空間の底部
   のオイル溜りからサポートケースに形成されたオイル導
   入孔を介してプラネタリギヤの外側空間に導かれたオイ
   ルを前記オイル流出溝を介して前記オイル溜りに戻すオ
   イル循環経路を形成したことを特徴とする車両用減速差
   動装置の潤滑装置。
2. （２）オイル循環経路はオイルをオイル流通溝からノン
   グギャの軸受用筒部内周面とサンギヤの小径部外周面と
   の間隙を介してキャリアカバーとハウジングで囲われた
   空間の底部オイル溜りに戻す経路を有してなる実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の車両用減速差動装置の潤滑
   装置。
3. （３）オイル循環経路はオイルをオイル流通溝から、サ
   ンギヤの内外周面を連通して形成された連通孔及びサン
   ギヤ内周面とサンギヤを貫通するアクスルシャフト外周
   面との間隙を順次経由してキャリアカバーとハウジング
   で囲われた空間の底部のオイル溜りに戻す経路を有して
   なる実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の車
   両用減速装置の潤滑装置。
4. （４）オイル流出溝及び該オイル流出溝下流のオイル出
   口通路面積がオイル導入孔面積と同等以上の大きさに形
   成されてなる実用新案登録請求の範囲第１項〜第３項の
   いずれかに記載の車両用減速差動装置の潤滑装置。