JPS591451Y2 - 乗用型田植機における動力伝達装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンからミッション装置を介して駆動力
が伝達される駆動輪を備えた乗用車体と田植作業機およ
びこの田植作業機を昇降させるための油圧装置を備えた
乗用型田植機における、前記エンジンからミッション装
置へ動力を伝達するための動力伝達装置の改良に関する
ものである。

前記のような乗用型田植機において、１行程の植付作業
を終って同行する時には、油圧装置を作動させて田植作
業機を上昇させ、スロットルレバーを操作してエンジン
の回転数を下げて乗用車体を旋回させている。

このため、エンジンは、大きな負荷がかかるのにトルク
の小さい部分で使用することになり、エンストを生じ易
いという問題があった。

本考案は、エンジンからミッション装置に動力を伝達す
る手段に変速機構を設け、油圧装置による田植作業機の
上昇操作と連動させて変速機構を作動させ、エンジンの
回転数を下げることなく、その回転が減速されてミッシ
ョン装置に伝達されるようにすることにより、前述した
問題を解決して、乗用型田植機の同行時におけるエンス
トを防止すると共に、スロットルレバーの操作を不要に
して回行操作を簡易化し、さらに油圧装置の作動が確実
に行なわれるようにした乗用型田植機における動力伝達
装置を提供しようとするものである。

この目的のため、本考案は、エンジンからミッション装
置を介して駆動力が伝達される駆動輪を備えた乗用車体
と、田植作業機およびその田植作業機を昇降させるため
の油圧装置を備えた乗用型田植機において、エンジンか
らミッション装置に動力を伝達する手段に変速機構を設
け、この変速機構を油圧装置による田植作業機の昇降操
作と連動させて、田植作業機の上昇時には、エンジンが
らの回転が減速されてミッション装置に伝達され、かつ
田植作業機の下降時には、エンジンがらの回転が作業状
況に適応するように増速されてミッション装置に伝達さ
れる関係に構成したことを特徴とするものである。

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体的に説明
する。

第１図において、符号１は乗用車体で、この乗用車体１
の後方には支持リンク機構２を介して田植作業機３が昇
降可能に連結されている。

乗用車体１は、操向輪である前輪４と、駆動輪である後
輪５とを備え、前輪４が操向ハンドル６の操作によって
操向され、かつ乗用車体１の前部に設けられたエンジン
７からミッション装置８に動力が伝達され、さらにミッ
ション装置８から動力が伝達されて後輪５が駆動される
ようになっている。

前記田植作業機３は、機体９の下にフロート１０が設け
られ、植付体１１が前記ミッション装置８から動力が伝
達されて作動し、苗載せ台１２に載置されたマット状の
苗が植付けられるようになっている。

そして、乗用車体１には図示しない油圧装置が設けられ
、この油圧装置で支持リンク機構２を作動させることに
より、田植作業機３が昇降されるようになっている。

動力伝達装置は、第２図乃至第４図に示すように、エン
ジン７からエンジンプーリ１３、無端ベルト１４を介し
てカウンタプーリ１５に動力が伝達され、このプーリ１
５と一体に設けた大、小プーリ１６．１７と、前記ミッ
ション装置８の入力軸１８に嵌着した小、大プーリ１９
．２０とに増速側、無端ベル） ２１．２２が掛けられ
、これらによって動力伝達手段２３が構成されている。

また、前記無端ベルト２１．２２に圧接可能な増速側、
減速側テンションプーリ２４．２５がそれぞれ揺動レバ
ー２６．２７の一端部に連結され、これらのレバー２６
．２７の中間部が乗用車体側に枢着され、かつ揺動レバ
ー２６．２７は前記テンションプーリ２４．２５を緩め
側に付勢するばね２Ｂ、２９によって乗用車体側に設け
たブラケット３０に支持され、これらによって変速機構
３１が構成されている。

田植作業機を昇降させる油圧装置の操作機構には操作レ
バー３２が設けられ、このレバー３２の両側に連結した
取付部材３３．３４に操作ケーブル３５．３６を介して
前記揺動レバー２６．２７の他端部が連結され、片方の
取付部材３４には油圧装置の制御ケーブル３７が連結さ
れている。

なお、第１図中３８は運転席、第２図中３９はチェンジ
レバー、４０はベルトストッパ る。

以上のように構成された動力伝達装置は、乗用車体１が
直進し、田植作業機によって植付作業を行なっている状
態では、操作レバー３２の第３図右側の取付部材３３に
連結された操作ケーブル３５によって揺動レバー２６が
ばね２Ｂに抗して引張られ、増速側テンションプーリ２
４が増速側無端ベルト２１に圧接してこのベルト２１が
緊張され、第３図左側の取付部材３４に連結された操作
ケーブル３６が緩められ、揺動レバー２７がばね２９で
引張られ、減速側テンションプーリ２５が減速側無端ベ
ルト２２に圧接してこのベルｌ−２２が弛緩している。

このため、エンジン１からエンジンプーリ１３、無端ベ
ルト１４、カウンタプーリ１５、大プーリ１６、増速側
無端ベルト２１，小プーリ１９を介してミッション装置
８の入力軸１８に動力が伝達される。

１行程の植付作業が終って乗用車体１を回行させる場合
に、操作レバー３２を第３図の時計方向に回動させると
、油圧装置により支持リンク機構２を介して田植作業機
３が第１図の鎖線のように上昇し、これと共に操作ケー
ブル３５が緩められ、操作ケーブル３６が引張られる。

このため、増速側テンションプーリ２４が増速側無端ベ
ルト２１から離れてこのベルト２１を弛緩すると共に、
減速側テンションプーリ２５が減速側無端ベルト２２に
圧接してこのベルト２２を緊張させる。

従って、エンジン７の回転数を下げることなく、その回
転がカウンタプーリ１５から小プーリ１１、減速側無端
ベルト２２、大プーリ２０を介し、減速されてミッショ
ン装置８の入力軸１８に伝達される。

さらに、乗用車体１の回行完了後に、操作レバー３２を
第３図の反時計方向に回動させると、田植作業機３が下
降して植付作業状態になると共に、増速側テンションプ
ーリ２４が増速側無端ベルト２１に圧接し、エンジン７
の回転が同行時よりも増速されて前記入力軸１Ｂに伝達
される。

以上説明したようにこの考案による動力伝達装置によれ
ば、エンジンからミッション装置に至る動力伝達系に設
けた変速機機構を、油圧装置による田植作業機の昇降操
作と連動して作動するように構成されているので、同行
時に、エンジンの回転数を変えることなく、その回転を
減速させてミッション装置に伝達し、減速状態で乗用型
田植機を同行させることができる。

従って同行時に、スロットルレバーの操作が不要になる
ので同行操作が簡易化されると共に、車速が下ってもエ
ンジン回転数が低下しないので、同行操作に伴う田植作
業機の上昇に必要な油圧装置へのエンジン出力トルクが
十分に確保でき、エンストを防止することができると同
時に、油圧装置の作動も確実化できる。

さらに回行後には、油圧装置の切換えにより田植作業機
を下降させて植付状態にすると共に、エンジンの回転を
回行時より増速させてミッション装置に伝達でき、何ら
支障なく植付作業を行うことができるという効果がある
。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による動力伝達装置を備え
た乗用型田植機の一例を示す側面図、第２図はこの考案
の一実施例による動力伝達装置を示す一部を断面した平
面図、第３図は同側面図、第４図は同一部の平面図であ
る。 １・・・乗用車体、２・・・支持リンク機構、３・・・
田植作業機、４・・・前輪、５・・・後輪（駆動輪）、
６・・・操向ハンドル、７・・・エンジン、８・・・ミ
ッション装置、９・・・機体、１０・・・フロート、１
１・・・植付体、１２・・・苗載せ台、１３・・・エン
ジンプーリ、１４・・・無端ベルト、１５・・・カウン
タプーリ、１６．１７・・・プーリ、１８・・・入力軸
、１９゜２０・・・プーリ、２１．２２・・・無端ベル
ト、２３・・・動力伝達手段、２４．２５・・・テンシ
ョンプーリ、２６．２７・・・揺動レバー、２８．２９
・・・ばね、３０・・・ブラケット、３１・・・変速装
置、３２・・・油圧装置の操作レバー、３３．３４・・
・取付部材、３５．３６・・・操作ケーブル、３７・・
・制御ケーブル、３８・・・運転席、３９・・・チェン
ジレバー、４０・・・ベルトストッパ４１・・・カウン
タ軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンからミッション装置を介して駆動力か伝達され
   る駆動輪を備えた乗用車体と、田植作業機およびその田
   植作業機を昇降させるための油圧装置を備えた乗用型田
   植機において、エンジンからミッション装置に動力を伝
   達する手段に変速機構を設け、この変速機構を油圧装置
   による田植作業機の昇降操作と連動させて、田植作業機
   の上昇時には、エンジンからの回転が減速されてミッシ
   ョン装置に伝達され、かつ田植作業機の下降時には、エ
   ンジンからの回転が作業状況に適応するように増速され
   てミッション装置に伝達される関係に構成したことを特
   徴とする乗用型田植機における動力伝達装置。