JPS5910326Y2 - ラツシユアジヤスタの支持機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のバルブ機構に使用されるラッシュア
ジャスタの支持機構に関するものである。

一般に内燃機関に於いては、主にシリンダやバルブトレ
インによる熱膨張を吸収してバルブ作動の安定を計るた
めにバルブクリアランスが設けられているが、該バルブ
クリアランスを設けたことによりエンジン駆動中騒音が
発生する欠点があった。

なお、周知の如くラッシュアジャスタはバルブトレイン
の作動中バルブクリアランスを常に零に保ち、騒音の発
生を防止して安定なバルブ作動を計る働きをなすもので
ある。

ところで従来のラッシュアジャスタは、オイルポンプに
よって圧送されるエンジンオイルを、シリンダブロック
を経由しラッシュアジャスタの内部に導入して漏れオイ
ルの補償を行なっているが、エンジン本体から装置への
オイル通路が複雑な構造になり、又圧カオイルの粘度が
変化して作動が不安定になる等の欠点があった。

この欠点を解消するために装置内部に圧力オイルを有す
る密封型ラッシュアジャスタが考えられたが、従来の例
えばメカタペット即交換型の密封型ラッシュアジャスタ
に於いては、漏れオイルに対する補償機構が不完全で、
作動によるオイル中への空気の混入によって作動が不安
定になり、またこの補償機構が複雑である等の欠点があ
った。

そこで従来もこの欠点を解消するために、リザーバ内に
アジャスタ外部と連通ずる伸縮自在な袋を設けてシール
部からのオイル漏れ及び作動時のオイル変動量をゴム袋
の弾性により吸収し、完全な漏れオイルに対する補償機
能を有するようにした密封型ラッシュアジャスタが提案
された。

ＯＨＣヤンタピボットロツ力タイプを油圧リフタ化しよ
うとすると、次の３つのタイプが考えられる。

先ず１のタイプはロツカアームの反カム側のロツカアー
ム内にラッシュアジャスタ（油圧リフタ）を組込んだも
の、２のタイプはカム側のロツカアーム内にラッシュア
ジャスタを組込んだもの、３のタイプはエンジンのシリ
ンダヘッド力バー内にラッシュアジャスタを組込んでな
るものである。

先ず１のタイプはロツカアーム内にラッシュアジャスタ
が組込まれるので、それだけロツカアームが大型化され
、コンパクトにならない欠点がある、また２のタイプは
カム側で、ロツカアーム内にラッシュアジャスタが組込
まれるもので、１のタイプと同様にロツカアーム自体が
大型化されるばかりでなく、カム面に沿ってラッシュア
ジャスタが上下する側であるため、カムにより押し上げ
られた際、ロツカアームからラッシュアジャスタが出て
いる分だけ１のタイプより全高が高くなる。

３のタイプはエンジンのシリンダヘッド力バー内にラッ
シュアジャスタが組込まれるため、ヘッド力バーの肉厚
をそれだけ増大させる必要（強度保証、防振のため、ラ
ッシュアジャスタが組込まれないタイプに比べて約２倍
の厚さが必要）があり、かつラッシュアジャスタ毎にロ
ツカサポートを配設し、ロツカアームの支点を変える機
構が必要であり、結局この３のタイプはコンパクトには
ならなかった。

本考案は前記従来の欠点を解消するために提案されたも
ので、密封型ラッシュアジャスタをスプリングリテーナ
、バルブスプリングと一体のガイドにて支持することに
より、非常にコンパクトに構戒できるラッシュアジャス
タの支持機構を提供することを目白勺とするもので゛あ
る。

この目的を達或するために本考案は、上端開口の軸穴を
有するアジャスタボデー、該アジャスタボデーの軸穴内
を往復運動するように配設された上端開口の内部を中空
としたプランジャ、該プランジャ内部の中空部に形或さ
れたリザーバ、前記アジャスタボデーと前記プランジャ
の下端とにより形或された圧力室、前記リザーバの下端
に形或された通路、該通路を介して前記リザーバ側から
前記圧力室側へのみ圧力流体の流れを許容するチェック
バルブ、前記アジャスタボデーと前記プランジャとの間
に配設され該プランジャを上方部に付勢するプランジャ
リターンスプリング、前記アジャスタボデーとプランジ
ャの間に配設されたシール、前記プランジャの上部にこ
れと一体に移動可能に設けられ、上端面がカムシャフト
の回転に応じて揺動するロツカアームの一端に当接して
いるキャップ、該キャップ下端面と前記プランジャの中
空部の内周面上端との間に固定部が嵌入され、前記リザ
ーバ内にカップ状伸縮部が挿入されたダイヤフラムとよ
りなる密封式ラッシュアジャスタを、機関燃焼室とシリ
ンダヘッドポートとの間の連通を制御するバルブステム
の上端に取付けられ、シリンダヘッドの上面にその一端
が係合し、その他端により前記バルブを上方に常時付勢
するバルブスプリングを保持するカップ状スプリングリ
テーナに設けられた上端開口の軸穴に、前記アジャスタ
ボデーが遊嵌合するよう前記バルブと反対側から挿入し
てなる構戒を備え、ラッシュアジャスタは作動中常時所
定寸法の伸縮を繰り返すようにしたものである。

以下本考案の実施例を図面について説明すると、第１図
は本考案の実施例を示すラッシュアジャスタが取付けら
れた内燃機関のバルブ機構装置を示す断面図で、シリン
ダブロックの内部にはシリンダ１が配設されており、該
シリンダ１の内部をピストン２が往復運動をしている。

又シリンダ１の上端部を形或するシリンダヘッド３によ
りピストン２の上方に燃焼室４が形或されており、該燃
焼室４とシリンダへッドポート５との間の連通は、バル
ブ６によって開閉制御されている。

シリンダヘッド３に植設されたバルブガイド７にはバル
ブステム８が挿入されており、シリンダヘッド３の上端
面に形或されたバネ座９とステム８の上端に固設したス
プリングリテーナ１０との間にはバルブスプリング１１
が配設されている。

このバルブスプリング１１によってバルブ６は、常時バ
ルブシ一ト１２に着座するように上方部に付勢されてい
る。

１３はロツカアームでその一端１３ ａがバルプステム
８の頂部に設けた密封型ラッシュアジャスタ１４の上端
と接合し、その他端１３ｂがカムシャフト１５のカム面
１５ａに接触しており、該カムシャフト１５の回転によ
りロツカアーム１３を介してバルブ６が開閉作動を行な
うようになっている。

次に第２図に於いてラッシュアジャスタ１４について説
明すると、スプリングリテーナ１０に形威された軸穴に
アジャスタボデー１６が遊嵌合され、該アジャスタボデ
ー１６の上端開口の軸穴をプランジャ１７が上下方向に
往復運動する。

又プランジャ１７の上下長手方向の略中央部に於ける外
周上には、環状のオイル戻し溝１８と、該戻し溝１８と
連通ずるオイル戻り穴１９が設けられている。

２０はキャップでその上端面２０ ａがロツカアーム１
３の一端１３ ａに連接し、その下端部がプランジャ１
７の上端開口部内に嵌合している。

従ってキャップ２０はプランジャ１７と一体にアジャス
タボテ゛−１６の軸穴内を軸方向に移動するようになっ
ている。

またプランジャ１７の内部にはキャップ２０の下端面に
よりリザーバ２１が形或されており、かつプランジャ１
７の下端面と、アジャスタボテ゛−１６の軸穴底部によ
り圧力室２２が形威されている。

圧力室２２内にはストツパの作用をするスペーサ２３が
挿入されており、プランジャ１７内のりザーバ２１の下
端部中心にはオイル通路２４が形威されている。

オイル通路２４の下端面にはスプリング２５により押上
げられているチェックバルブ２６があり、該チェックバ
ルブ２６はリザーバ２１から圧力室２２へのみオイルの
流通を許容するものである。

リザーバ２１の上方部にはダイヤフラム２７が配設され
ており、その固定部２７ ａがプランジャ１７の上方内
周部に嵌入され、かつキャップ２０の下端面により支持
されている。

固定部２７ ａはリザーバ２１内部のオイルシール作用
をなし、伸縮部２７ ｂはリザーバ２１内部のオイルの
変動量を吸収する働きをするものである。

又キャップ２０の上方への移動はアジャスタボデ−１６
に取付けられたカバ一部材２８により規制されている。

プランジャ１７の前記オイル戻り溝１８の上方外周上に
は環状の溝部が形或され、該溝部にはＯリング２９が嵌
入されてアジャスタシール部を形或しており、該シール
部により内部のオイルが密封されている。

そして普通ここにはシリコンオイルが封入される場合が
多いが、これはシリコンオイルが温度に対する粘性変化
が極めて小さいためである。

又アジャスタボデ−１６の内面とプランジャ１７の外面
との間にはリーククリアランス３０が設けられてお力、
該クリアランス３０を介して圧力室２２内からリザーバ
２１内へ漏れオイルが流れるようになっている。

ところで前記ダイヤフラム２７はゴム袋等の非通気性の
伸縮性素材で形戒されると共に、ダイヤフラム径は大き
く、かつ長さは短く形威されており、更にダイヤフラム
２７の内側には固定用の金属ノング３１が設けられてい
る。

次に以上の如く構或された実施例について作用を説明す
る。

先ずエンジンが始動すると、クランクシャフトによりカ
ムシャフト１５が回転を開始し、該カムシャフト１５の
カム面１５ａ上に接触するロツカアーム１３の他端１３
ｂが上方に押し上げられ、その結果一端１３ ａを介し
キャップ２０が押し下げられて圧力室２２内のオイルの
圧力が上り、チェックバルブ２６がプランジャ１７に形
或されたシート面に密着する。

この時圧力室２２内からオイルがリーククリアランス３
０、オイル戻し溝１８及びオイル戻り穴１９を介してリ
ザーバ２１内に流入する。

次にカムシャフト１５が更に回転すると、ロツカアーム
１３の一端１３ａはスプリング１１により上方に付勢さ
れているので、他端１３ｂはカム面に追従して下る。

従ってプランジャ１７はアジャスタボデー１６に対して
僅か押し上げられ、その結果圧力室２２内のオイルの圧
力が下り、チェックバルブ２６がスプリング２５の付勢
力に抗してバルブシ一ト面から離れる。

この時リザーバ２１内のオイルが圧力室２２内に流入す
るので、ラッシュアジャスタ全体としては元の形状に戻
ることになる。

このようにしてラッシュアジャスタ１４は、作動中常時
所定寸法の伸縮を繰り返すものである。

なお、本考案は第１図のようなＯＨＣ型の他、ＯＨＶ型
にも応用できる。

以上詳細に説明した如く本考案のラッシュアジャスタは
、アジャスタシール部からのオイル漏れ及び作動時のオ
イル変動量をダイヤフラムの伸縮部がもつ弾性作用によ
り吸収し、またアジャスタシール部にかかる圧力を減ら
して起動及び摺動抵抗を減少させる等の効果を奏する。

即ち、圧力室からのリークオイルは、アジャスタボデー
とプランジャ間のリーククリアランス、オイル戻し溝及
びオイル戻り穴を介してリザーバに戻る。

そこでこのリークオイルの流入によるリザーバの容積変
化は、小圧力で変形するダイヤフラムを使用しているた
め、シールには高圧がかからず、起動及び摺動抵抗を減
少させることができる。

そしてこのラッシュアジャスタを、機関燃焼室とシリン
ダへッドポートとの間の連通を制御するバルブを上方に
常時付勢するバルブスプリングを保持するスプノングリ
テーナに設けられた軸穴に、前記アジャスタボデーが遊
嵌合するよう前記バルブと反対側から挿入して支持する
ようにしたので、従来のラッシュアジャスタの支持方式
のものに比べて極めてコンパクトに構或できる。

また本考案によると、バルブスプリングの長さを確保し
た上で、バルブステムの高さを小とすることかで゛きる
。

従ってロツカアームとシリンダヘッドの上端面との間の
寸法が小となり、かつスプノングリテーナがラッシュア
ジャスタを支持する機能も兼ね備えているので、アジャ
スタを支持するための特別な部材が不要であり、同時に
該部材に摺動穴を加工することも不要となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す密封型ラッシュアジャス
タを取付けた内燃機関のバルブ機構を示す側断面図、第
２図は同ラッシュアジャスタの拡大断面図である。 図の主要部分の説明、１・・・シリンダ、２・・・ピス
トン、３・・・シリンダヘッド、４・・・燃焼室、５・
・・シノンダへッドポート、６・・・バルブ、８・・・
バルブステム、１０・・・スプリングリテーナ、１１・
・・バルブスプノング、１２・・・バノレフ゛シ一ト、
１３・・・ロツカアーム、１４・・・密封型ラッシュア
ジャスタ、１５・・・カムシャフ１〜、１６・・・アジ
ャスタボデー、１７・・・プランジャ、２０・・・キャ
ップ、２０ ａ・・・上端面、２１・・・リザーバ、２
２・・・圧力室、２４・・・オイル通路、２５・・・ス
プリング、２６・・・チェックバルブ、２７・・・ダイ
ヤフラム、２７ ａ・・・固定部、２７ ｂ・・・伸縮
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端開口の軸穴を有するアジャスタボデー、該アジャス
   タボデーの軸大内を往復運動するよう配設された上端開
   口の内部を中空としたプランジャ、該プランジャ内部の
   中空部に形或されたリザーバ、前記アジャスタボデーと
   前記プランジャの下端とにより形威された圧力室、前記
   リザーバの下端に形威された通路、該通路を介して前記
   リザーバ側から前記圧力室側へのみ圧力流体の流れを許
   容するチェックバルブ、前記アジャスタボデーと前記プ
   ランジャとの間に配設され該プランジャを上方部に付勢
   するプランジャリターンスプノング、前記アジャスタボ
   デーとプランジャの間に配設されたシール、前記プラン
   ジャの上部にこれと一体に移動可能に設けられ、上端面
   がカムシャフトの回転に応じて揺動するロッカアームの
   一端に当接しているキャップ、該キャップ下端面と前記
   プランジャの中空部の内周面上端との間に固定部が嵌入
   され、前記リザーバ内にカップ状伸縮部が挿入されたダ
   イヤフラムとよりなる密封式ラッシュアジャスタを、機
   関燃焼室とシリンダヘッドポートとの間の連通を制御す
   るバルブステムの上端に取付けられ、シリンダヘッドの
   上面にその一端が係合し、その他端により前記バルブを
   上方に常時付勢するバルブスプリングを保持するカップ
   状スプリングリテーナに設けられた上端開口の軸穴に、
   前記アジャスタボデーが遊嵌合するよう前記バルブと反
   対側から挿入してなることを特徴とするラッシュアジャ
   スタの支持機構。