JPS6329126Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は密封型油圧リフタ、特に自動車のエンジ
ンのバルブトレイン即ち、バルブ駆動機構のラツ
シユアジヤスタ用に適する油圧リフタに関する。

この型式の油圧リフタは円筒状のボデー内に同
じく中空円筒状のプランジヤが滑動可能にはま
り、ボデー内に圧力室を区画する。プランジヤの
中空内部をリザーバとして油を貯溜し、逆止弁を
介してこの油を圧力室内に供給し、あるいは圧力
室からいわゆるリーククリアランスを介し油をリ
ザーバに戻すことにより圧力室の容積拡大は迅速
に許し、同容積の縮少は抵抗しながら許容する。
容積拡大は迅速に許容し、容積の縮小は抵抗しな
がら許すこの特性を利用し、エンジンのバルブト
レインのラツシユは迅速に埋め、バルブの駆動
は、バルブの復帰スプリングに抗しながらなすラ
ツシユアジヤスタ用にこの油圧リフタが供給され
る。

リザーバ内は袋状のダイアフラムをもつて油の
液面を覆い密閉している。従つてリザーバ内の油
量の増減に伴ないダイアフラムが伸縮する。

ところで油圧リフタは、そのラツシユ調整能力
が可及的に大きいことが、ラツシユアジヤスタと
しての信頼性を高めることに帰着する。換言すれ
ばリフタのリザーバ内の油の可変容積が大である
程、ラツシユアジヤスタの作動が優れ、多少の油
の漏洩があつても信頼性を得ることに帰着する。
このように油の可変容積を大ならしめるにはリザ
ーバを密閉している上記ダイアフラムの伸縮、拡
大のための大きい形状変化を許容するリザーバ内
周壁面の形状が必要となる。

従来の油圧リフタのリザーバは、その内周面が
単なるシリンダ状をなしているだけであつて、内
部の袋状ダイアフラムが、リザーバ内の容積変化
に順応して伸縮の形状変化をなす場合に、この内
周面に接触するため、大きい形状変化が不能、従
つて、リザーバ内の油の容積に大変化量を望み得
ないという不満があつた。即ち、大きいラツシユ
調整能力、従つて高信頼性のラツシユアジヤスタ
を期待し得ない不満があつた。

本案は上記従来のものの各欠点を免れ得る油圧
リフタを提供することを目的とするものであつ
て、この目的を達するため本案は、前記のシリン
ダ状のプランジヤの内部リザーバ内周壁面のう
ち、ダイアフラムが伸縮変形する個所に面する部
分を削り取つて、ダイアフラムの大変形を妨げな
いように構成したものである。以下図について本
案を説明する。

第２図において１はシリンダ状のボデー、２は
同じくシリンダ状のプランジヤであつてボデー１
内を滑動する。５はシールであつてプランジヤ２
の外周面の環状溝内にはまる。プランジヤ２内は
後述するように密閉してリザーバ３となり、プラ
ンジヤ２とボデー１とで図の下方に圧力室４を画
する。リザーバ３はチエツクバルブ６を介して圧
力室４と通ずる。チエツクバルブ６はボール７と
シート８と、復帰スプリング９と、ケージ１０と
を有する。大きいスプリング１１は圧力室４の内
底面とケージ１０のフランジ部間に圧縮介装さ
れ、ケージ１０をプランジヤ２に圧接保持し、か
つプランジヤ２を上方に付勢する。

袋状のダイアフラム１２はその口縁をリング１
３によりプランジヤ内周面に圧接し、シールす
る。プランジヤ２の上方の開口部はキヤツプ１４
を施して閉じ、このキヤツプの有する通路１５は
リザーバ内を外気に通ずる。リング１６はプラン
ジヤ２に対するストツパとなる。プランジヤ２は
通孔１７を有し、この通孔１７より図の下方にお
いてプランジヤ２外周面とボデー内周面間に作ら
れる間げきは、いわゆるリーククリアランス１８
となつて圧力室４から、このリーククリアランス
１８と通孔１７を介し、圧力室４内の油が緩慢に
リザーバ３内に戻るのを許す。反対にリザーバ３
内から圧力室４内への油の供給はチエツクバルブ
６を介し迅速になされる。その結果圧力室４の容
積の拡大は迅速に、緒小は抵抗を受けながら緩慢
に許される。この特性を利用し第１図に示すエン
ジンのバルブトレインのラツシユアジヤスタに上
記油圧リフタが使用される。

第１図中、２０はエンジンブロツク、２１はシ
リンダヘツドを示す。２２はピストン、２３は燃
焼室、２４はバルブ、２５は吸排気用のポートで
ある。２６はロツカアーム、２７はプツシユロツ
ドである。プツシユロツド２７は下端を第２図の
油圧リフタのキヤツプ１４の球状凹面に係合し、
上端を第１図示のようにロツカアーム２６の一端
に係合する。この油圧リフタはエンジンブロツク
２０の孔２８内に滑動可能に支え、下端面をカム
２９に係合する。

上記の構造において、カム２９、油圧リフタ、
プツシユロツド２７、ロツカアーム２６等が前記
のバルブトレインを作る。このバルブトレイン中
にあるラツシユは、第２図のスプリング１１が伸
びてプランジヤ２を上方に押上げ、さらに以下第
１図のプツシユロツドを押上げ、さらに以下伝達
してラツシユ調節がなされる。その際リザーバ３
内の油はチエツクバルブ６を介して圧力室４内に
入る。カム２９のノーズ３０が働いて、油圧リフ
タを第１図上方に押上げるときはチエツクバルブ
６が閉じ、リーククリアランス１８が油の通過に
抵抗するので圧力室４内が加圧されカムの駆動が
なされる。

上記のようにラツシユの調節がされると、リザ
ーバ３内の油はラツシユの調節ごとに容積を増減
する。その結果リザーバ内のダイアフラム１２は
膨張しあるいは潰れて形状を変形する。

ところで油圧リフタのラツシユ調整能力を高め
るにはリザーバ内の油の容積変化量を高めるを要
する。換言すると、ダイアフラム１２の変形量を
大きくするを要する。本案の特徴とするところ
は、以下説明するように、ダイアフラム１２に大
きい形状変化を許容するように、リザーバ内周面
を形成したものである。プランジヤ２のリザーバ
３の内周壁面は図示のように部分３ａを、シール
５より上方の部分に比し、削り取つてリザーバ内
の容積をそれだけ拡大している。この部分３ａは
ダイアフラム１２の変形個所を囲む部分であるか
ら、この削り取りによる容積拡大に相当し、ダイ
アフラム１２は外形変化量を増し、従つて、リザ
ーバ３内の油の容積変量を増し、従つて、油圧リ
フタのプランジヤ２のストローク量を増し、ラツ
シユの調節能力を増し得るものである。

プランジヤ２は上方のシール３の個所より図中
上方の部分は、シール５及びキヤツプ１４の係合
の関係上、おのずから壁の長さの必要最低限が定
まるのであるが、その最低限の厚さより薄い厚さ
にて足り得る部分３ａを削取つて上述のようにダ
イアフラムに、より大きい形状変化を許し、結果
として油圧リフタとしてのラツシユ調整能力を増
大したものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案油圧リフタを備えたエンジンのバ
ルブトレインを示す１部縦断面図、第２図は本案
の油圧リフタの縦断面図である。 １…ボデー、２…プランジヤ、３…リザーバ、
４…圧力室、６…チエツクバルブ、５…シール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダ状のボデー、このシリンダ内に滑動可
   能にはまる同じくシリンダ状のプランジヤ、これ
   らボデー及びプランジヤにより画される圧力室、
   プランジヤ内のリザーバ、リザーバから圧力室へ
   の液流を許すチエツクバルブ、圧力室からリザー
   バへの絞られた液流を許すプランジヤ及びボデー
   間のリーククリアランス、このリーククリアラン
   スを外気に対し遮断する環状シール、リザーバ内
   の油の液面を外気に対し覆いリザーバ内を密閉す
   る袋状のダイアフラムを有する油圧リフタにおい
   て、上記の袋状ダイアフラムは袋の口縁をリザー
   バ内周面に圧接シールされてリザーバ内を密封
   し、リーククリアランスに相当する部分であつて
   且つダイアフラムの主部分に対面するリザーバ内
   周面の部分を削り取り、同部分のリザーバ内空間
   を他の部分の空間より拡大したことを特徴とする
   密封型油圧リフタ。