JPS5832254Y2 - インボリユ−ト鉄心

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【考案の詳細な説明】この考案はインボリュート鉄心に関する。

複数の定尺状の鋼板を個々にインボリュート状にわん曲
成形したインボリュート鉄心をたとえばギャップ付リア
クトルを横取する脚部鉄心に利用することは別途提案さ
れている。

すなわちインボリュート鉄心をギャップ用のスペーサを
介して積み重ねて一体とし、これを脚部鉄心とするもの
であって、この脚部鉄心の複数のそれぞれの上下端面を
継鉄によって連接して一体化し、各脚部鉄心にコイルを
巻装することによってギャップ付リアクトルを構成する
。

このようなインボリュート鉄心を使用すると、その鉄心
の外側円周面に出入りする洩れ磁束によって発生するう
ず電流による損失が低減し、局部的な発熱を防止すると
いった利点から得られる。

ところでこの種インボリュート鉄心を製作するのに、リ
ングの外周面に、複数の鋼板の一端縁を溶接によって固
着し、前記リングを回転しつつ、各鋼板にその外端から
外力を与えてわん曲させることによって各鋼板をインボ
リュート状にわん曲成形する方法を別に提案した。

これによれば多数の鋼板を一挙にインボリュート状に成
形加工できるとともに、この成形加工の完了と同時にイ
ンボリュート鉄心が完成するので極めて便利である。

しかしこのようにして製作したインボリュート鉄心は、
その中心に前記したリングが存在することになり、一方
この鉄心はその軸心方向に磁束が貫通するので、前記リ
ングは前記磁束と鎖交する１ターンの閉回路を形成する
ことになり、そのため前記ノングに短絡電流が流れて発
熱する恐れがある。

又上記のような脚部鉄心を横取するときのように積み重
ねてインボリュート鉄心を配置したとき、上下にあるイ
ンボリュート鉄心の中心からの洩れ磁束が同じようにリ
ングに鎖交し、これによっても短絡電流が発生すること
がある。

この考案は中央にリングを位置させて構成したインボリ
ュート鉄心において、前記リングに短絡電流が発生する
のを防止することを目的とする。

この考案の実施例を図によって説明する。

第１図はこの考案によるインボリュート鉄心の平面図を
示し、１はリング、２は複数の鋼板である。

各板２の一端縁がリング１の外周面に隙間なく突き合わ
され、溶接によって固着される。

そして既述のようにリング１を回転させつつ鋼板外端か
ら外力を与えてインボリュート状にわん曲成形する。

この考案にしたがい、リング１にはその周壁の一部に軸
心方向に沿って数ｍｍ幅の切割溝３を形成し、これによ
ってリング１が磁束と鎖交する１ターンの閉回路を完成
しないようにする。

このように切割溝３を形成すると、リング１の外周面に
鋼板２の一端縁を突き合わせるとき、切割溝３を成形し
た位置には鋼板を突き合わすことができないようになる
。

そのためもしこの位置の鋼板を欠除したままにしておく
と、完成したインボリュート鉄心に隙間ができるように
なる。

この隙間は狭まいものであれば磁気特性に大きな影響を
与えることはないが、体裁が悪い。

これを回避するために鋼板の代用として樹脂その他の絶
縁材料よりなる薄板４を用意し、その一端縁を切割溝３
に嵌合しこれを鋼板２とともにわん曲成形する。

すると、完成されたインボリュート鉄心には隙間がなく
なるようになって都合がよい。

以上詳述したように、この考案によれば、鋼板のインボ
リュート加工成形に用いるリングには短絡電流が発生す
ることがなく、シたがってこれによる発熱その他の不都
合は回避できるとともに、磁束による損失をなくするこ
とができるといった効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す平面図、第２図はその
一部の拡大断面図、第３図はリングの斜視図である。１・・・・・・リング、２・・・・・・鋼板、３・・・
・・・切割溝、４・・・・・・薄板。

【実用新案登録請求の範囲】

（１）リングの外周面に、複数の鋼板の一端縁を突き合
わせて固着し、前記各鋼板をインボリュート状にわん曲
せしめてなるインボリュート鉄心において、前記リング
の周壁の一部にその軸心方向に沿って切割溝を形成して
なるインボリュート鉄心。
（２）切割溝に絶縁材料よりなる薄板の一端縁を嵌合せ
しめてなる実用新案登録請求の範囲第１項記載のインボ
リュート鉄心。