JPS5830993Y2 - 防振支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は振動体の防振支持装置にあり、例えハミシン
に用いられる防振支持装置に関するものである。

従来、この種の装置として第１図・第２図に示すものが
あった。

第１図はミシンの構成を示す分解斜視図、第２図はこの
ミシンの防振支持装置の主要構成要素である防振ゴムの
斜視図を示し、図において、１はミシンテーブル、２は
このミシンテーブル１に穿設された長方形の穴で、この
穴２の四隅部にはミシンテーブル１の厚さ方向に途中ま
で半円状にくりぬかれた支持座３が設げられている。

４は内部に潤滑油が入れられるオイルパンで、オイルパ
ン４の四つの角部には上記支持座３に係合し、中央に小
孔Ｓａ＆有する半円状の爪５が設けられている。

また、オイルパン４の内周部には溝６が設けられており
、この溝６には潤滑油の漏れを防ぐためのバンキング１
が嵌Ｎされている。

８は防振支持装置の主構成要素である防振ゴムで、その
詳細は第２図に示すように台座部８ａと垂直部８ｈとか
らなっている。

９はミシン本体、１０はミシンベッドで、この□シンベ
ッド１０の背面には図示していないヒンジが設げられて
おり、上記ミシンテーブル１に回動自在に係着されてい
る。

１１はミシンベッド１０の下方に設けられ、バンキング
７と係合する環状の足、１２はミシン駆動用のＶベルト
で、このＶベルト１２はミシンテーブル１に設げられた
ベルト穴１３を通って図示していない電動機の回転軸に
連結されている。

上記のように構成された部材は次のように組立てられる
。

まず、ミシンテーブル１の穴２にオイルパン４が嵌合さ
れ、このオイルパン４に設けられた四つの爪５の小孔５
ａにくぎやねじなどが挿入され、これが締付けられてミ
シンテーブル１とオイルパン４とが固定される。

次に、上記穴２の四隅部の支持座３に係合された爪５の
上部に防振ゴム８が嵌合され、さらに、この防振ゴム８
の台座部８ａ上にミシンベッド１０が据えられ、ミシン
ベンド１０の背面のヒンジがミシンテーブル１に取付け
られる。

なお、ミシンベッド１０の足１１はオイルパン４内のバ
ンキング７の上面をわずかに圧縮するが、ミシン本体９
の重量の大部分は上記間つの防振ゴム８によって支持さ
れている。

このように組立てられたミシンが駆動されると、ミシン
本体９には回転機構や往復機構の運動、あるいはＶベル
ト１２の振動などによる振動が発生する。

第３図はこの振動に対する防振支持系をモデル化して表
わした力学的モデルで、図において、第１図に示したミ
シンテーブル１をモデルの基礎部材１ａに、防振ゴム８
を弾性支持部材８ｃに、ミシン本体９を振動体９ａにそ
れぞれ等価すれば、ミシン駆動時の振動は振動体９ａが
第３図に示す水平力向であるＸ軸、Ｙ軸、及び垂直方向
であるＺ軸方向に加振される状態と考えることができる
。

なお、従来の防振ゴム８には垂直部８ｂが設けられてい
るが、これは通常のミシン据付は状態ではミシンチーフ
ル１とミシンベッド１０との間に圧縮されることなく介
在しており、ミシン本体９が横ずれしてミシンテーブル
１に衝突したときの衝撃をやわらげるためりもので、ミ
シンの振動に対しては伺う関係しておらず、従って、防
振ゴム８は平角形あるいは円柱形などの弾性支持部材８
ｃで等価することができる。

上記のような従来の弾性支持部材８ｃにおいては、Ｚ軸
力向の支持剛性に比べて、Ｘ軸力向あるいはＹ軸力向の
支持剛性は極めて小さい。

このように水平力向の支持剛性が小さいことはＸ軸ある
いはＹ軸力向に生ずる振動体９ａの振動が基礎部材１ａ
に伝達される伝達率を低減させることに対しては効果が
あるが、振動体９ａ自身の防振にはむしろ逆効果である
し、また、弾性支持部材８ｃそのものも大きくないので
２軸方向の支持剛性についても振動状態を最適にするほ
どには太きいものではない。

これに対して、防振ゴム８の材質を硬＜シ、支持剛性を
増大させることによって振動を小さくすることが考えら
れるが、これによっても防振ゴム８の台座部８ａの受圧
面積がそれほど大ぎくないために、支持剛性を適度に増
大させるには弾性支持部材８ｃの硬度をかなり増大させ
なげればならず、従って、騒音発生の新しい問題が生じ
て効果的な手段ではない。

このようにミシンチーフル１の穴２の四隅部に設けられ
た支持座３に防振ゴム８を嵌合してミシンヘッド１０を
支持するミシンでは大きな振動が発生し、かつ、これに
伴なって発生する騒音も大きく、操作者に不快感を与え
るものであった。

この考案は上記のような欠点を除去するためになされた
もので、減衰効果の大きい弾性支持部材を用い、許容振
動伝達率内で支持剛性を適度に増大させることによって
、□シンの振動に影響の大きい低周波領域の振動を低減
させ、かつ、ミシン本体からテーブルへの可聴域の振動
伝達を小さくできる支持装置を提供することを目的とし
たものである。

以下、この考案の一実施例を第４図、第５図について説
明する。

第４図はこの考案による弾性支持部材１４を切断した１
部を示したもので、この弾性支持部材１４はゴムやコル
クなどの材質からなり、かつ、幅ｂ１厚さｔの板材が環
状に形成されたものである。

第５図において、１はミシンテーブル、４はこの□シン
チーフル１に固定されたオイルパン、１５はこのオイル
パン４の全周に設けられ、段部１６を有する溝、１４は
この溝１５の段部１６に配設された弾性支持部材、１１
はミシンベルト１０の下部に設けられ、上記弾性支持部
材１４と係合する環状の足である。

なお、溝１５はオイルパンではなくミシンチーフル１に
形成してもよい。

また溝１５０段部１６の幅Ｂ２は弾性支持部材１４０幅
すよりわずかに大きく、また、溝１５の幅Ｂ□はミシン
ベルト１０の環状足１１の厚ｇｈと弾性支持部材１４の
２枚分の厚さく２ｘｔ）を加えた長さより小さく、さら
に、溝１５の深さＨは弾性支持体１４０幅すと足１１の
厚ｇｈとの差の半分にほぼ等しく構成されている。

即ち、 Ｂ２〉ｂ Ｂ１（ｈ＋２ ｔ Ｈ汝−（ｂ−ｈ）の関係がある。

上記のように構成された各部材を組み立てるには、まず
、ミシンテーブル１に固定されたオイルパン４の段部１
６に弾性支持部材１４を配置しく第５図中破線部）、こ
れをミシンベンド１０の足１１で押さえつげる。

これにより、上記弾性支持部材１４は、図中実線で示す
ように断面Ｕ字状に曲げられ、オイルパン４の溝１５と
ミシンベッド１０の環状足１１との間に挟圧固定される
。

なお、この考案とは直接関係はないが、上記オイルパン
４は、従来装置と同様このオイルパン４に設げられた四
つの爪５によってテーブル１に固定されていてもよく、
また、この四つの爪５を除去してオイルパン４の側面に
小孔を設け、この小孔にくぎやねじなどを挿入し、これ
をミシンテーブル−に締付けて固定されてもよく、さら
にまたオイルパン４の周側面上端をフランジ状に外力に
曲折してミシンテーブル上にそのフランジ部により載置
固定するようにしてもよい。

上記のように圧縮変形とともに圧縮バネ定数が増大する
ゴムやコルクなどの防振支持材による弾性支持部材１４
ａをミシンベッド１０の環状足１１とオイルパン４の溝
１５、即ち振動体９ａと基本部材１ａとの間に全周にわ
たって圧縮して介在させたので、ミシンベッド１０の環
状足１１の厚さｈやミシン本体９０重量に対して、弾接
支持部材１４ａの厚さｔ１幅ｂ１材質、さらに溝１５の
幅Ｂ１、溝深さＨなどを適当に選ぶことによって、弾性
支持部材１４ａの垂直方向のみならず、水平方向にも初
期圧力が生ずるようになり、適度に大きな支持剛性を容
易に設定することができる。

さらに、受圧面積が大幅に増大され、適度に大きな支持
剛性の構成が比較的柔かい支持材によってできるように
なり、大きな減衰効果を得ることができる。

なお、この防振支持装置を用いたミシンを毎分４０００
回転程回転繰針速度で駆動させて従来装置と比較すれば
、この回転周波数及びこれよ（・低い周波数領域の振動
速度レベルが急減し、振動振幅を約１／６程度まで減小
することができる。

また、上記実施例では、ミシンベッド１０がミシンテー
ブル１から取りはずされると、弾性支持部材１４ａは第
５図中破線で示すように復元されるが、この復元される
ことは必ずしも要求されない。

第６図はこの考案の他の実施例を示したもので、オイル
パン４の溝１５及び段部１６と係合する形状に形成され
た弾性支持部材１４ｂを接着などによって上記溝１５内
に固着させ、上記弾性支持部材１４ｂの溝部１７にミシ
ンベッド１０の環状足１１を圧入しても上記実施例と同
様の効果を奏する。

なお、上記弾性支持部材１４ｂは段部１６と係合するフ
ランジ部を有しない断面Ｕ字状のものでよいし、また、
溝１５内への固定は接着によらず挿入するだけでもよい
。

さらに、オイルパン４の全周にわたって設けられた溝１
５に係合される弾性支持体１４は環状をなし、一体形成
された部材でも、複数個の部材からなり、これを組み合
わせて環状となるものでもよい。

以上のようにこの考案による防振支持装置は振動発生源
である振動体と、この振動体を支持する基礎部材（即ち
上記実施例における□シン本体が固着されたミシンベッ
ドの環状足とオイルパンの溝）との間に、振動体の支持
部の両側面及び下面を包み込むよう圧縮された弾性支持
部材が介在されているので、減衰効果を大きくすること
ができ、定常運転時の振動及びこの共振による振動が大
幅に緩和される。

また減衰効果が犬ぎり・ために騒音防止の効果がある。

なお、上記実施例のように構成すると弾性支持部材が潤
滑油の漏れ防止に用いたバンキングの機能をも有するの
で、部品点数が減り、製造コストが低減できる効果を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来の防振支持装置を説明するための
もので、第１図はミシンの構成を示す分解斜視図、第２
図は防振ゴムの斜視図、第３図は防振支持系を示す力学
的モデルの斜視図、第４図、第５図はこの考案の一実施
例を示すためのもので、第４図は弾性支持部材の部分斜
視図、第５図は防振支持装置の断面図、第６図はこの考
案の他の実施例における防振支持装置の断面図である。 図において、１はミシンテーブル、１ａは基礎部材、４
はオイルパン、９はミシン本体、９ａは振動体、１０は
ミシンベンド、１１は環状足、１４゜１４ａ、１４ｂは
弾性支持部材、１５は溝、１６は段部である。 なお、図中、同一符号は同−又は相当部分を示している
。

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）振動を発生する振動体を、弾性支持部材を介在さ
   せて基礎部材に支持させるようにした防振支持装置にお
   いて、上記振動体の基礎部材に対する係合支持部は、突
   起状の支持足により構成されるとともに基礎部材には上
   記支持足が突入する溝を形成し、かつ、この溝内には、
   上記支持足の先端を包囲し、溝内壁面と支持足間に圧縮
   固定される弾性支持部材を配設したことを特徴とする防
   振支持装置。
2. （２）振動体の支持足は一連の環状に形成され、かつ基
   礎部材の溝はその支持足に対応させて一連に形成されて
   いることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の防振支持装置。
3. （３）振動を発生する振動体がミシンベッドに固着され
   たミシン本体であり、弾性支持部材を保持する基礎部材
   がオイルパンを有するミシンテーブルである実用新案登
   録請求の範囲第１項あるいは第２項記載の防振支持装置
   。
4. （４）ミシンベッドの環状足が、溝の段部に配置された
   弾性支持部材を上記ミシンベッドの自重によって溝内に
   圧入することを特徴とする実用新案登録請求の範囲第２
   項あるいは第３項記載の防振支持装置。
5. （５）弾性支持部材が溝内に接着されていることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第２項記載の防振支持装
   置。
6. （６）環状足と係合する溝内全周にわたって配設される
   弾性支持部材が環状に一体形成されていることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第２項ないし第５項のいず
   れかに記載の防振支持装置。
7. （７）環状足と係合する溝内全周にわたって配設される
   弾性支持部材が複数の部材からなり、この部材を組合せ
   て環状となるよう形成したことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第２項ないし第５項のいずれかに記載の防
   振支持装置。