JP2013185634A - 防振支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】負荷に応じて良好な防振特性を有し、過大な荷重が加わったときにも振動を緩和し、容易に破壊し難い防振支持装置を提供する。
【解決手段】防振支持装置100は第1の部材2と第2の部材10を連結するとともに一方の部材から他方の部材へ伝達される振動を吸収する。一方の部材2に配置されるフランジ部材6の一方面に対向し他方の部材10に配置される第1の加圧板3aと、フランジ部材6の他方面に対向する第2の加圧板3bとを有する。フランジ部材6と第1の加圧板3aとの間に装着される第1の環状弾性体1aと、フランジ部材6と第2の加圧板3bとの間に装着される第2の環状弾性体1bとを有し、第1および第2の加圧板3a,3bを締結するシャフト4により環状弾性体1a,1bは予圧縮される。
【選択図】図1
【解決手段】防振支持装置100は第1の部材2と第2の部材10を連結するとともに一方の部材から他方の部材へ伝達される振動を吸収する。一方の部材2に配置されるフランジ部材6の一方面に対向し他方の部材10に配置される第1の加圧板3aと、フランジ部材6の他方面に対向する第2の加圧板3bとを有する。フランジ部材6と第1の加圧板3aとの間に装着される第1の環状弾性体1aと、フランジ部材6と第2の加圧板3bとの間に装着される第2の環状弾性体1bとを有し、第1および第2の加圧板3a,3bを締結するシャフト4により環状弾性体1a,1bは予圧縮される。
【選択図】図1
Description
本願は部材間の荷重を支持するとともに振動伝達を防止する防振支持装置に関する。
自動車用のエンジンは、防振支持装置を介して車体に搭載されており、エンジン振動がエンジン本体から車体に伝達するのを防止している。また、油圧ショベルやブルドーザなどの土木建設機械においては、運転席つまりキャブが車体フレームに防振支持装置を介して搭載されており、エンジン振動、走行振動や作動時振動が車体フレームからキャブに伝達するのを防止している。
また、ほかの分野における防振対象としては、産業用機械、エアコン室外機、エンジン発電機、コンプレッサ等の機器があり、これらの機器においては、それぞれの機器が備えるモータなどの振動源からの振動が、本体側や機器が設置される床構造などに伝達しないように防振支持装置を介して本体側や床構造に固定、すなわち支持されている。また、鉄道車両の運転椅子、小型農耕機の椅子、燃料タンク、住宅暖房用灯油タンク等においては、それぞれの固定台からの振動(走行振動、作業時の振動、環境振動)が伝達しないように、防振支持装置を介して固定、すなわち支持されている。
防振支持に係る従来の技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は自動車の車体とストラットバーとの間に配置されたクッション組立体に関する。低荷重域におけるばね定数を小さくすることができるとともに、高荷重域におけるバネ定数を大きくすることを可能とするものであって、ハーシュネスを改善し操縦安定性を向上できる、ストラットバーのためのクッション組立体を提供するものである(特許文献1参照)。
また特許文献2には、互いに運動方向の異なる2つの部品を弾性体を介して軸で結合する接手において、該弾性体を比較的硬度の大なるもので且つその断面形状をレンズ形とし、これを2枚一組として組合わせて軸に挿通しつつ部品間及びその上下に接着し、該2つの部品のこじり運動によって受ける該軸への曲げモーメントを防止する軸荷重と同時にこじれを受ける接手が開示されている(特許文献2参照)。
そして、特許文献3においては、防振パッドの締め付け調整のために一旦取り付けられた機器の取り外しを不要とする、取り扱い容易かつ経済的な防振パッドの締め過ぎ防止方法が開示されている(特許文献3参照)。
固定用フランジ部材の上下にそれぞれクッションゴムを配置し、スリーブで圧縮量を規定した上で、中心ボルトの上下端部に配置した加圧板でクッションゴムを予圧縮する防振支持装置について、以下に課題を記載する。
まず、前記固定構造においては、固定用フランジ部材の中央に中心ボルトを挿通させるための孔が設けられ、この孔には、中心ボルトとともにスリーブを挿通させて配置されるが、スリーブが水平方向負荷を受けて、水平方向に移動した際にスリーブと前記固定用フランジ部材の孔とが直接接触することを避けるとともに弾性的に支持するため、スリーブと固定用フランジ部材の孔の内面間に水平支承用ゴムを配置する必要があり、部品点数が多くなるという欠点があった。
また、スリーブと固定用フランジ部材の孔の内面間に水平支承用ゴムを配置しながら厚みの薄い板材を固定フランジ部材として使用する場合には、スリーブが水平方向負荷を受けて、水平方向に移動した際に、薄い固定用フランジ部材が水平方向支承用ゴムに喰い込んで水平方向支承用ゴムが破壊される恐れがあり、スリーブと厚みの薄い固定用フランジ部材の孔とが直接接触することを避けるとともに弾性的に支持させることが難しいものであった。
また、スリーブと固定用フランジ部材の孔の内面間に水平支承用ゴムを配置せずにフランジ部材自体にクッションゴムに合致する凹部などを設けて、クッションゴムを嵌め込み、スリーブが水平方向負荷を受けて、水平方向に移動した際に、クッションゴムの変形を規制することで、スリーブの水平方向移動を制限して接触が生じないようにする場合には、クッションゴムがスリーブとフランジ部材に設けた凹部の壁部とにより圧縮されるため、逃げ場を失ったクッションゴムの変形ボリュームの一部がスリーブと固定フランジ部材の隙間に侵入し、噛み込まれて、クッションゴムが破壊される恐れがあった。
また、クッションゴムの変形を規制することでスリーブの水平方向移動を規制する場合には、上下方向負荷と水平方向負荷を用途に応じて、同時に考慮する必要があるため、クッションゴムの材質の選定が難しいものであった。
本願の目的は、簡易な構成でありながら負荷に応じて良好な防振特性を有する防振支持装置を提供することにあり、また、本願の他の目的は過大な荷重が加わったときにも振動を緩和し、容易に破壊し難い防振支持装置を提供することにある。
本発明の防振支持装置は、第1の部材と第2の部材を連結するとともに第1の部材又は第2の部材から第2の部材又は第1の部材へ伝達される振動を吸収する防振支持装置であって、前記第1の部材に固着されるフランジ部材と、前記第2の部材に固着され、前記フランジ部材の一方面に対向して配置される第1の加圧板と、前記フランジ部材の一方面と前記第1の加圧板の間に装着される第1の環状弾性体と、前記フランジ部材の他方面に対向して配置される第2の加圧板と、前記フランジ部材の他方面と前記第2の加圧板の間に装着される第2の環状弾性体と、前記第1及び第2の加圧板に設けられた挿通孔と、前記第1及び第2の環状弾性体の中央孔部と前記フランジ部材に設けられた挿通孔を挿通して装着され、前記第1及び第2の加圧板とを締結して、前記第1及び第2の環状弾性体に予圧縮を付与する締結部材とを有し、前記環状弾性体は、非予圧縮状態において、当該環状弾性体の縦断面は、少なくとも、内周側面及び外周側面が円弧状であることを特徴とする。
本発明の防振支持装置は、前記フランジ部材は、少なくとも前記第1の環状弾性体又は第2の環状弾性体のずれか一方の環状弾性体の径方向外方への弾性変形を規制する凹部を備え、前記第1の環状弾性体は、前記凹部内に装着されることを特徴とする。本発明の防振支持装置は、前記フランジ部材に設けられた凹部の外側壁面は、前記環状弾性体の外周面に沿うなだらかなR面で構成され、当該R面の曲率は、予備圧縮時の前記第1の環状弾性体の外周面よりも大きいことを特徴とする。本発明の防振支持装置は、少なくとも、前記第1の環状弾性体又は第2の環状弾性体のいずれか一方が、2つ以上の環状弾性体を積層して構成されていることを特徴とする。本発明の防振支持装置は、前記環状弾性体は、用途に応じて特性の異なる環状弾性体を組み合わせることを特徴とする。
本発明の防振支持装置は、前記環状弾性体はその表面に摩擦係数を調整するための表面処理を行うことを特徴とする。本発明の防振支持装置は、2つ以上の環状弾性体を積層してなる第1又は第2の環状弾性体は、各環状弾性体の間に各環状弾性体間の摩擦を調整するための調整プレートを介して積層して構成されていることを特徴とする。本発明の防振支持装置は、前記調整プレートは、前記締結部材を挿通する開口を備えたドーナッツ状に形成し、内径方向に対して外径方向厚みを変化させることを特徴とする。本発明の防振支持装置は、前記締結部材は一端部の外周面にテーパ状突部を設け、前記加圧板の開孔の内周面には前記テーパ状突部に対応するテーパ状凹部を設けることを特徴とする。
本願によれば、非予圧縮状態、すなわちフリー状態において、少なくとも縦断面の内周側面及び外周側面が円弧状を有する第1及び第2の環状弾性体をクッションゴムとして使用し、予圧縮時に、締結部材、すなわちスリーブを備えたシャフトの外周面に環状弾性体の円弧状の内周側面、すなわち内周R面で接触するため、小振動振幅時は、低バネ領域で受荷できるので振動絶縁性がよい。
また、スリーブの外周面は、環状弾性体の内周R面で接触するため、環状弾性体が接触していない空間ないし隙間を備える。シャフトが、水平方向負荷を受けて、環状弾性体を変形させつつ水平方向に移動する場合、前記空間が環状弾性体の移動ボリュームを許容できるため、スリーブとフランジ部材の隙間に環状弾性体の移動ボリュームが侵入しづらい。従って、移動ボリュームの噛み込みによる環状弾性体の破壊も生じにくい。
また、クッションゴムつまり環状弾性体の外周部が、第1の部材に固着されるフランジ部材に設けられた凹部の外周側壁面に当接し、内周部がスリーブ外周面に当接するように設定するため、第1の部材の水平方向移動に伴い、スリーブが水平方向一方に移動しても、前記凹部の外周側壁面により、環状弾性体のズレが規制される。
また、前記凹部の外周側壁面は、環状弾性体の円弧状の外周側面、すなわち外周R面が、前記凹部の外周側壁面のなだらかで、当該外周R面よりも大きい曲率を有するR面で当接するので、内周方向へのゴムのボリューム移動が生じづらい。すなわち、環状弾性体のズレを規制しつつ、外周方向へのボリューム移動を許容できるため、環状弾性体の変形規制によるばね定数の急激な立ち上がりが生じないため、振動絶縁性が良い。
また、少なくとも、内周側面及び外周側面が円弧状である環状弾性体を積層配置することで、環状弾性体同士の当接により拘束される表面積が少ない、すなわち自由表面積が大きいので、より柔かくできるので、振動絶縁性がよい。更に、環状弾性体同士の当接により拘束される表面積が少ないため、応力の集中が生じづらく、耐久性が良い。
また、少なくとも、内周側面及び外周側面が円弧状である環状弾性体を積層配置することで、小振幅時においては、環状弾性体間の接触面積の小さい範囲、すなわち受圧面積の小さい範囲で振動を支持することができるため、振動絶縁性がよく、大振幅時においては、圧縮変形により環状弾性体間の接触面積が大きい範囲、すなわち受圧面積の大きい範囲で振動を支持するので腰砕けすることなく、確実に支持することができる。
また、こじり変形する際には、積層された各環状弾性体が独自に変形可能であるため、応力の集中が生じづらいので、環状弾性体の破壊も生じづらい。
また、特性の異なる環状弾性体を用途にあわせて積層することができるので、用途に適合する防振ゴムとすることができる。
また、環状弾性体間の摩擦をコントロールすることで、各環状弾性体の変形をコントロールし、全体としてばね定数を調整することができる。
以下、本願の実施の形態を図1乃至図7に示す図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である防振支持装置であって、当該防振支持装置を構成するシャフトの中心軸に沿って切断した断面を示す縦断面図である。図2は、図1に示された防振支持装置の上面図である。図3は、防振支持装置における1つの環状弾性体を示す縦断面図である。図4は、図1に示された加圧板の横断面図を示す。図5は、図1に示された締結部材としてのシャフトの外観を示す正面図である。図6は、図1に示されたフランジ部材の上面図である。図7は、図6に示されたフランジ部材のX−X断面図である。
なお、本発明は、第1の部材と第2の部材を連結するとともに、第1の部材又は第2の部材から第2の部材又は第1の部材へ伝達される振動を吸収する防振支持装置に関するものであるが、本実施例においては、本願の防振支持装置をエンジン発電機に適用した例に基づいて説明する。
ブラケット10(第2の部材に相当)は、図示しないエンジン発電機の発電用エンジン本体に設けられた取付け用のブラケットであり、固定台座2(第1の部材に相当)は、エンジン発電機の発電用エンジンを図示しない床構造に載置する固定台座である。実施の形態として示した構成では、ブラケット10を固定台座2に防振支持装置100で連結して支持するとともに、発電用エンジンにより生じる振動を吸収し、ブラケット10から固定台座2への振動の伝達を遮断するものである。
図1に示す防振支持装置100は、第1の環状弾性体1aと、第2の環状弾性体1bと、第1の加圧板3aと、第2の加圧板3bと、シャフト4と、フランジ部材6と、スリーブ11と、からなる。
フランジ部材6は、例えば、SPCC、SPHCなどの圧延鋼板やステンレス鋼板などの金属薄板を板金加工して形成されている。このフランジ部材6は、図6に示すとおり、上面から見て中央位置に挿通孔13を設け、図7に示すとおり、挿通孔13と同心状に、フランジ部材6の上面(図7における上方向を上面とする)に円形の凹部12が形成され、この凹部12は、当該フランジ部の上面に対して、曲線および直線にて連続的になだらかに構成され、第1の環状弾性体1aが組み付けられたときの形状に応じて形成する。なお、前記凹部12の深さは、フランジ部材に直接当接する環状弾性体の予圧縮時高さの半分以下とすることが望ましい。これにより、環状弾性体の水平方向移動を規制しつつ、圧縮により生じた移動ボリュームを外方へ逃がすことが可能になる。さらに、フランジ部材6は、円形の凹部12に対して、若干径方向に拡径された円盤部と前記挿通孔13の中心軸に対して対称位置に設けられた2つの取付孔7を備えた耳状部とからなり、全体として、角を丸めたひし形板形状に形成されている。なお、前記フランジ部材6の全体形状は、取付方法に応じて、例えば、4つの取付孔に対応して、略四角板としてもよい。
スリーブ11は、金属製の筒状材からなり、フランジ部材6の挿通孔13を貫通して配置され、スリーブ11の外径は、フランジ部材6の挿通孔13に対して細く形成され、隙間を有しているため、一定範囲で、こじり及び水平方向変位が可能となっている。なお、スリーブ11の全長は、フランジ部材6及びフリー状態の第1及び第2の環状弾性体1a,1b(以下、第1及び第2の環状弾性体を区別なく示す場合には、単に「環状弾性体(環状弾性体1)」という)を積層した合計長さよりも短くされている。
環状弾性体1は、ゴムや樹脂エラストマーなどの弾性体から構成され、フリー状態において、丸断面を有し、上面から見て、中央に開口を有する略ドーナッツ状に形成されている。第1の環状弾性体1aは、中央孔部にスリーブ11を挿通するとともに、フランジ部材6の上面に2つ重ねて載置される。第2の環状弾性体1bは、中央孔部にスリーブ11を挿通するとともに、フランジ部材6の下面に2つ重ねて配置され、各環状弾性体は、非接着状態で積層されている。
環状弾性体1のゴムとしては、用途に応じて多様な種類のゴムから選択し、組み合わせて用いることができ、また、その硬度も用途や負荷に応じて選択し、組み合わせて使用することができる。図示する実施の形態の場合、発電用エンジンの静的及び動的荷重を支持する必要から、第1の環状弾性体1aには、耐へたり性がよく、振動吸収性のよい天然ゴムの採用が好ましく、発電用エンジンの静的荷重を支持する必要が無い第2の環状弾性体1bには、天然ゴムに比べて耐へたり性が劣るものの、より減衰性の高いブチル系ゴムの採用が好ましい。なお、耐へたり性のゴムの例としては、天然ゴム及びそのブレンド材のほか、ブタジエンゴム及びそれらのブレンド材などがある。また、耐へたり性は、多少低下するものの耐候性や耐熱性を重視する場合には、EPDMやシリコーンゴムを使用することもできる。
また、環状弾性体1の表面に、摩擦係数を調整する目的で、物理的あるいは化学的な表面処理を施してもよい。この表面処理により、隣り合う環状弾性体同士あるいはフランジ部材または加圧板との摩擦が変化し、荷重が負荷されたときの変形が拘束あるいは緩和されるのである。このとき、表面の摩擦係数が高くなると環状弾性体1の変形が拘束されるため、見かけ上のバネ定数は大きくなり、摩擦係数が低くなると環状弾性体1とこれに当接する部材とに滑りが生じ易くなるため、見かけ上のバネ定数が低くなる。
第1の加圧板3a及び第2の加圧板3bは、フランジ部材6と同様に金属薄板を板金加工して、中央位置に挿通孔8を有する円盤状に形成されている。ここにおいて、挿通孔8の内径は、スリーブ11の外径よりも小さく、スリーブ11が貫通することはない。また、挿通孔8の内周面は、略45°のテーパ状に形成されている。第1の環状弾性体1aの上面には、第1の加圧板3aが載置され、第2の環状弾性体1bの下面には、加圧板3bが配置されている。
シャフト4は、両端部に雄ねじ部が形成され、一端側については、雄ねじ部よりも所定長さ軸方向内側位置のシャフト外周面には鍔部9が形成されており、この鍔部9は、一端部側に向けて拡径する約45°のテーパ状とされている。
ここで、防振支持装置100の組立方法を説明する。
まず、第1の加圧板3aの挿通孔8に前記シャフト4を当該シャフト4の他端側から挿通させ、この第1の加圧板3aの挿通孔8の内周面に設けたテーパ面と当該シャフト4の鍔部9のテーパ面を相対向させ、第1の加圧板3aをシャフト4の鍔部9にて係止する。ここにおいて、鍔部9のテーパ面は、挿通孔8のテーパ面に対向し、互いに係止可能な寸法で形成され、第1の加圧板3aは、シャフト4の軸方向外側へ抜けないように構成されている。
次に、スリーブ11の内径部にシャフト4を挿通させ、スリーブ11の一端が第1の加圧板3aに突き当たる位置に配置する。次に、2つの第1の環状弾性体1aを重ね、その中央孔部にスリーブ11を挿通させる。次に、フランジ部材6の挿通孔13にスリーブ11を挿通させる。このとき、フランジ部材6に設けた凹部12が、第1の環状弾性体1aに当接するように配置して挿通する。次に、2つの第2の環状弾性体1bを重ね、その中央孔部に前記スリーブ11を挿通させる。次に、第2の加圧板3bをその挿通孔8にスリーブ11と一体となったシャフト4の一端部を挿通させ、さらに、ナット5をシャフト4に設けられた雄ねじ部に螺合させ、締め付けることにより、第1の加圧板3aと第2の加圧板3bの距離をスリーブ11の長さまで接近するように締め付けて、固定することで、防振支持装置100を組み立てることができる。
なお、このとき、スリーブ11の外径は、第1及び第2の加圧板3a,3b(以下、第1及び第2の加圧板を区別なく示す場合には、単に「加圧板(加圧板3)」という)の挿通孔8の内径よりも大きいので、第1の加圧板3aと第2の加圧板3bの距離、すなわち締め付け距離は、スリーブ11の長さに規定されるが、本実施の形態においては、環状弾性体1のフリー状態での厚みとフランジ部材6の厚みの合計厚みは、スリーブ11の長さよりも長いため、環状弾性体1は、上下方向に圧縮され、すなわち予圧縮状態で固定される。
本実施の形態においては、第1の加圧板3aの挿通孔8の内周面に設けたテーパ面とシャフト4の鍔部9のテーパ面を相対向させ、第1の加圧板3aをシャフト4の鍔部9にて係止するようにしているため、シャフト4の他端側の第1の加圧板は出っ張りのないフラット面とすることができる。例えば、鍔部9を単なる段状フランジとして形成し、段状フランジの外径よりも小径に形成された挿通孔8を有する第1の加圧板3aを挿通させて係止しても良いが、その場合には、段状フランジが、第1の加圧板3aよりも出っ張ることになるため、取付側(第2の部材)に凹部を設けるなどの手当てが必要となる。
図10に示すとおり、固定台座2に設けた組み込み孔21に防振支持装置100の第2の環状弾性体1b側を組み込み、固定台座2に設けられ、内周にねじが形成された取付孔22に前記フランジ部材6の取付孔7を合わせ、ボルト23にて締結する。そして、ブラケット10の取付孔24にシャフト4の一端部を挿通させ、ナット5を螺合させて、防振支持装置100をブラケット10に固定する。
これにより、発電用エンジンに設けられたブラケット10と固定台座2とを防振支持装置100で連結して支持することができる。
なお、上述の組立て及び組付けにおいては、ボルト23にてフランジ部材6を締結する際に、スプリングワッシャなどを追加してもよいし、取付孔22にねじを形成せずに、ナットを用いて締結してもよいことは当然である。また、シャフト4には、両端にねじ溝を有する所謂スタッドボルトを用いたが、一端又は他端部にボルトヘッドを有するボルトを使用してもよいことはもちろんである。
この防振支持装置100は、上下方向の振動入力及び水平方向の振動入力の防振に対して、好適に働くものであるが、ここでは、こじり方向の入力に関して、以下に説明する。
図8は、すでに示した図1の防振支持装置100にこじり荷重をかけた図である。図10中の矢印Aの向きにこじり荷重がかかると、防振支持装置100自体はシャフト4とフランジ部材6の交点、すなわち防振支持装置100の中央付近を中心として、左回転方向に傾斜する。このとき、第1の環状弾性体1aの図8における左部位及び第2の環状弾性体1bの右部位はさらに圧縮されることになり、第1の環状弾性体1aの左部位においては、扁平状に変形して、外周側は拡径し内周側は縮径する。そして、第1の環状弾性体1aの左部位外周側は、凹部12のなだらかな外周側R部に当接して位置ズレが規制されるものの、変形によるボリュームは、上方に逃げることができるため、急激なばね定数の上昇は緩和される。また、第1の環状弾性体1aの左部位の内周側は、スリーブ11の外周面に当接するが、内周R面でスリーブ11に接触するため、広い空間15を保持し易く、変形によるボリューム移動を許容することができるため、隙間16に侵入しづらい。すなわち、この防振支持装置100は、大きなこじり荷重が印加されて、シャフト4が大きく傾斜しても、防振支持装置100全体として、ズレが生じづらく、また環状弾性体の破壊も生じづらい。そのため、防振支持装置100は、大きなこじり荷重を許容することができる。
また、本実施の形態においては、環状弾性体1をフリー状態で円断面のドーナッツ状ゴムとすることにより、予圧縮時に、環状弾性体1が、略長楕円状に変形し、環状弾性体1の内周面すなわち、内周R面が、スリーブ11の外周面に円弧の一部として接触するため、小振動振幅時は、受圧面積が小さく、低バネ領域で受荷できるので振動絶縁性がよい。大振動振幅時は、環状弾性体1の圧縮変形によるボリューム移動を空間15が許容することができるため、隙間16に侵入しづらい。
図9は、本実施の形態の変形例を示している。1組の環状弾性体1が成す積層構造の隙間に断面を楔形とした円環状の調整プレート14を挟み込ませる。こうすることにより環状弾性体1の外周側変形を抑えることができるので、見掛けばね定数を高めることができる。この調整プレート14の楔形形状を調整することにより、見掛けばね定数を調整することができる。
また、調整プレート14の周方向に楔形の厚みを変化させることもできる。例えば、本実施の形態の防振支持装置を鉄道車両の運転椅子に用いた場合、調整プレート14の楔形形状厚みを進行方向に対し前後方向を厚くし、左右方向を薄くすることで、鉄動車両の発進、停止時には、揺れを抑えながら鉄道車両の上下振動を吸収する運転椅子とすることができる。
また、調整プレート14を平板とし、少なくとも、環状弾性体1に接触する表面に摩擦係数を調整するための表面処理を施し、環状弾性体1のすべり摩擦を変更して、見掛けばね定数を調整することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1a,1b 環状弾性体
2 固定台座(第1の部材)
3a,3b 加圧板
4 シャフト(締結部材)
5 ナット
6 フランジ部材
7 取付孔
8 挿通孔
9 顎部
10 ブラケット(第2の部材)
11 スリーブ
12 凹部
13 挿通孔
14 調整プレート
21 組み込み孔
22 取付孔
23 ボルト
24 取付孔
100 防振支持装置
2 固定台座(第1の部材)
3a,3b 加圧板
4 シャフト(締結部材)
5 ナット
6 フランジ部材
7 取付孔
8 挿通孔
9 顎部
10 ブラケット(第2の部材)
11 スリーブ
12 凹部
13 挿通孔
14 調整プレート
21 組み込み孔
22 取付孔
23 ボルト
24 取付孔
100 防振支持装置
Claims (9)
- 第1の部材と第2の部材を連結するとともに第1の部材又は第2の部材から第2の部材又は第1の部材へ伝達される振動を吸収する防振支持装置であって、
前記第1の部材に固着されるフランジ部材と、
前記第2の部材に固着され、前記フランジ部材の一方面に対向して配置される第1の加圧板と、前記フランジ部材の一方面と前記第1の加圧板の間に装着される第1の環状弾性体と、
前記フランジ部材の他方面に対向して配置される第2の加圧板と、前記フランジ部材の他方面と前記第2の加圧板の間に装着される第2の環状弾性体と、
前記第1及び第2の加圧板に設けられた挿通孔と、前記第1及び第2の環状弾性体の中央孔部と前記フランジ部材に設けられた挿通孔を挿通して装着され、前記第1及び第2の加圧板とを締結して、前記第1及び第2の環状弾性体に予圧縮を付与する締結部材とを有し、
前記環状弾性体は、非予圧縮状態において、当該環状弾性体の縦断面は、少なくとも、内周側面及び外周側面が円弧状であることを特徴とする防振支持装置。 - 請求項1記載の防振支持装置において、前記フランジ部材は、少なくとも前記第1の環状弾性体又は第2の環状弾性体のいずれか一方の環状弾性体の径方向外方への弾性変形を規制する凹部を備え、前記環状弾性体は、前記凹部内に装着されることを特徴とする防振支持装置。
- 請求項2記載の防振支持装置において、前記フランジ部材に設けられた凹部の外側壁面は、前記環状弾性体の外周面に沿うなだらかなR面で構成され、当該R面の曲率は、予備圧縮時の前記第1の環状弾性体の外周面よりも大きいことを特徴とする防振支持装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の防振支持装置において、少なくとも、前記第1の環状弾性体又は第2の環状弾性体のいずれか一方が、2つ以上の環状弾性体を積層して構成されていることを特徴とする防振支持装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振支持装置において、前記環状弾性体は、用途に応じて特性の異なる環状弾性体を組み合わせることを特徴とする防振支持装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防振支持装置において、前記環状弾性体はその表面に摩擦係数を調整するための表面処理を行うことを特徴とする防振支持装置。
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載の防振支持装置において、2つ以上の環状弾性体を積層してなる前記第1又は第2の環状弾性体は、各環状弾性体の間に各環状弾性体間の摩擦を調整するための調整プレートを介して積層して構成されていることを特徴とする防振支持装置。
- 請求項7記載の防振支持装置において、前記調整プレートは、前記締結部材を挿通する開口を備えたドーナッツ状に形成し、内径方向に対して外径方向厚みを変化させることを特徴とする防振支持装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の防振支持装置において、前記締結部材は一端部の外周面にテーパ状突部を設け、前記加圧板の開孔の内周面には前記テーパ状突部に対応するテーパ状凹部を設けることを特徴とする防振支持装置。
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JP2020060038A (ja) * | 2018-10-10 | 2020-04-16 | 三菱重工業株式会社 | 外装構造 |
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2012
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