JPS5825139Y2 - フロントドライブクラツチ等におけるクラツチ部の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、農用トラクタのフロントドライブ装置等にお
いて用いられるクラッチ部の構造に関する。

従来、農用トラクタのフロントドライブ装置においては
、側面にクラッチ爪を有するクラッチ体をフロントドラ
イブ軸にスプライン嵌合し、このクラッチ体を摺動させ
て前輪への動力を断続するようにしたものが用いられて
いるが、かかる構造においては、クラッチ爪はクラッチ
体から突出しているのみで、フロントドライブ軸から浮
き上がった状態にあり、そのためクラッチ嵌脱時のクラ
ッチ倒れやガタッキを生じ、円滑なりラッチ操作が出来
ないという不都合があった。

本考案は、このような欠点を解消してクラッチ操作を円
滑に行なえるよう°にしたものである。

本考案の構成を一実施例を示す図面に基づいて説明する
と、第１図は農用四輪１駆動トラクタにおいて用いられ
るミッションの構造を示し、図において、１はミッショ
ンケースであり、このミッションケース１は、中央部の
中間壁２によって前部側の主変速室３と後部側の副変速
室４とに置設され、主変速室３に軸架した伝動軸５，６
と、幅変速室４に軸架した伝動軸７，８にそれぞれ多数
の歯車群を装備して主変速及び副変速を行なうよう構成
される。

９は、副変速室４の下方において、ミッションケース１
底部の開口部に取付けられるフロントドライブケースで
あり、このケース９には、軸受１０．１１を介してフロ
ントドライブ軸１２が軸支されており、該フロントドラ
イブ１２の前端は、フロントドライブケース９から突出
し、この突出部は、長尺の中間伝動軸（図示せず）を介
してフロントアクスル部に連結され、そこから前輪を駆
動するよう構成されること周知の通りである。

また、このフロントドライブケース９の上端は、上方に
延設されてブラケット１３，１４が形成され、このブラ
ケット１３．１４には、前記フロントドライブ軸１２と
平行なフロントアイドル軸１５が取付けられるとともに
、該フロントアイドル軸１５には、フロントアイドル歯
車１６がテーパローラベアリング１７．１８を介して回
転自在に取付けられ、このフロントアイドル歯車１６は
、副変速機構における最終段の伝動軸８と一体回転する
最終段歯車１９に常時噛合している。

一方、フロントドライブ軸１２には、その側面にクラッ
チ爪２０を有するフロントドライブ歯車２１が、軸受２
２を介して遊嵌され、このフロントドライブ歯車２１は
、上記フロントアイドル歯車１６と常時噛合して常時回
転するよう構成され、更に、このフロントドライブ軸１
２には、その側面に、前記フロントドライブ歯車２１の
クラッチ爪２０と対向するクラッチ爪２３を有するクラ
ッチ体２４が、摺動自在にスプライン嵌合され、このク
ラッチ体２４を摺動させて、両クラッチ爪２０．２３を
嵌脱させ、もってフロントドライブ軸１２延いては前輪
への動力を断続するものである。

第３図は、このクラッチ体２４とフロントドライブ軸１
２の関係を示し、この図で示すように、フロントドライ
ブ軸１２外周とクラ１ンチ体２４のボス内周には１２個
の歯数を持つインボリュート形のスプライン２５．２６
が形成されて共に嵌合され、更に、クラッチ爪２３は、
フロントドライブ軸１２のスプライン歯数の約数である
３個に形成され、該クラッチ爪２３の内面にもスプライ
ン２７が形成されてフロントドライブ軸１２のスプライ
ン２６と嵌合される。

この場合、クラッチ爪２３の数は、フロントドライブ軸
１２のスプライン歯数の約数とすることが肝要である。

これは、クラッチ爪２３の両側部分が該爪２３のスプラ
イン２７の谷となるようにするためで、約数以外の場合
だと各派のスプライン歯の位置がまちまちとなり、爪に
よっては歯の位置が該爪の端部にきて破損し易くなるか
らである。

約数とすることによってこの点を防止できるのである。

第２図は、クラッチ体２４を摺動させるための装置を示
し、２８はフロントドライブケース９に回転自在に取付
けられるレバー軸であり、このレバー軸２８の内端には
、その先端がクラッチ体２４の係合部２９に係合するＬ
型の回転アーム３０が取付けられ、外端部には操作レバ
ー３１が取付けられており、この操作レバー３１を回転
させることによって、回転アーム３０を回転させ、もっ
てクラッチ体２４を摺動させクラッチの嵌脱を行なうも
のである。

本考案は上記の構成であり、このように本考案において
は、クラッチ爪の内面にもスプラインを形成して伝動軸
のスプラインと嵌合せしめているから、クラッチの嵌脱
時におけるクラッチ倒れやガタッキが防止されてクラッ
チ操作を円滑に行なうことができ、また、伝動軸との嵌
合部分における面圧を減少させて耐久性を向上させるこ
とができるとともに、更には、クラッチ爪の数は伝動軸
のスプライン歯数の約数にすれば、各派の両側に該爪の
スプラインの谷がくるよう確実に配置することができ得
るから、そのスプライン歯の破損を防止することができ
、また、加工がしやすい等顕著な効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すミッション機構部の縦
断面図、第２図は第１図における要部の拡大図、第３図
、第４図はクラッチ部分の横断面図である。 １２・・・・・・フロントドライブ軸、２３・・・・・
・クラッチ爪、２４・・・・・・クラッチ体、２５，２
６．２７・・・・・・スプライン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロントドライブクラッチ軸等の伝動軸にスプラインを
   形成し、このスプラインに、クラッチ爪を有するクラッ
   チ体を摺動自在にスプライン嵌合し、このクラッチ体を
   摺動操作することによって該伝動軸への動力伝達を断続
   するようにした伝動機構において、該クラッチ爪の内面
   にもスプラインを形成して、前記伝動軸のスプラインに
   嵌合せしめたことを特徴とするフロントドライブクラッ
   チ等におけるクラッチ部の構造。