JPH1192786A

JPH1192786A - 便器の尿石防止・脱臭剤

Info

Publication number: JPH1192786A
Application number: JP9258932A
Authority: JP
Inventors: Keiji Okada; 恵司岡田
Original assignee: Duskin Co Ltd
Current assignee: Duskin Co Ltd
Priority date: 1997-09-24
Filing date: 1997-09-24
Publication date: 1999-04-06

Abstract

(57)【要約】【課題】腐食防止剤等が不要であり、環境を汚染する
ことなく、確実に尿石及び悪臭の発生を防止できる、便
器の尿石防止・脱臭剤を提供すること。【解決手段】キレート剤及び殺菌剤を含有してなるこ
とを特徴とする。キレート剤としては、アミノカルボン
酸、オキシカルボン酸、又はこれらの塩が用いられる。
更に、昇華性物質としてシクロドデカンを用いるのが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、便器洗浄水配管の
途中に配設され、洗浄水とともに流下して、便器トラッ
プにおける尿石の発生を防止するとともに便器の悪臭を
抑制する、便器の尿石防止・脱臭剤に関するものであ
る。

【０００２】

【従来技術及びその課題】男子用小便器のトラップで
は、カルシウム系化合物を主成分とする尿石が生成して
固着し、尿や洗浄水の流れが悪化し、甚だしい場合には
排水管が閉塞されてトイレが使用不能となる、という問
題があった。また、尿石中の有機物が細菌によって腐
敗、分解され、尿の分解によって生じるアンモニアと混
合して悪臭が発生する、という問題もあった。

【０００３】このような問題を解決するため、従来から
種々の尿石防止・脱臭剤が使用されているが、以下に示
すように、それぞれ一長一短があった。

【０００４】酸性物質を含有してなる薬剤（例えば、
特開平３−２００８８７号、同３−２２３３８６号、同
７−１２６６９９号）では、次の問題があった。 (i)酸によって金属が腐食されるのを防止するため、腐
食防止剤等を添加する必要があった。 (ii)尿のｐＨは一般に４．５〜８と言われているが、体
調や食べ物の影響によって更に変動するので、常に一定
の効果を期待するのは困難であった。特に、洗浄水中に
供給された酸の当量以上のアルカリが存在した場合に
は、効果が期待できなかった。

【０００５】キレート剤として縮合リン酸を含有して
なる薬剤（特開昭５６−１１８４９９号）では、次の問
題があった。 (i)リンを含んでいるため、河川等の環境を汚染する恐
れがあった。 (ii)加水分解により生成したリン酸が難溶性のリン酸カ
ルシウムを形成し、却って尿石の固着を促進する恐れが
あった。

【０００６】キレート剤を含むが殺菌剤を含まない薬
剤では、次の問題があった。即ち、洗浄水として水のみ
を流している場合において、通常の断続使用状態の便器
トラップ内の水中の菌数は１０³〜１０⁴個／ｍｌである
が、夜間等の長時間使用しない状態が続いた場合の菌数
は１０⁷〜１０⁸個／ｍｌに達し、悪臭が発生した。

【０００７】殺菌剤を含むがキレート剤を含まない薬
剤では、次の問題があった。即ち、洗浄水として水のみ
を流している場合における通常の断続使用状態の便器ト
ラップから水を採取し、これに殺菌剤を十分量添加して
放置したところ、２４時間で僅かに不溶物が発生し、７
２時間以上経過後には明らかに白色沈殿が発生し、これ
は不溶性のカルシウム塩であった。要するに、尿石を防
止できなかった。

【０００８】本発明は、上述のような問題点を生じさせ
ることなく、尿石を防止できるとともに脱臭も行うこと
ができる、尿石防止・脱臭剤を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の発明は、キレート剤及び殺菌剤を含
有してなることを特徴とする便器の尿石防止・脱臭剤で
ある。

【００１０】キレート剤としては、アミノカルボン酸、
オキシカルボン酸を用いる。具体的には、エチレンジア
ミン四酢酸（ＥＤＴＡ）、ヒドロキシエチルイミノ二酢
酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒ
ドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレント
リアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、クエ
ン酸、及びこれらの塩を用いることができる。

【００１１】殺菌剤としては、２−ブロモ−２−ニトロ
−１，３−プロパンジオール、アルキルジメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、２−ブロモ−２−ブロモメ
チルグルタロニトリル、１，３−ジメチロール−５，５
−ジメチルヒダントイン、塩酸クロルヘキシジン、２，
２−ジブロモ−３−ニトリロプロピオンアミド、イソプ
ロピルメチルフェノール、１，２−ベンズイソチアゾリ
ン、３−トリフルオロメチル−４，４−ジクロルカルバ
ニリド、２，４，４’−トリクロロ−２’−ヒドロキシ
ジフェニルエーテル等を用いることができる。

【００１２】キレート剤は、水中の金属イオンと極めて
安定な水溶性の錯塩を形成することにより、当該金属イ
オンの水に対する溶解度を高めるよう機能する。従っ
て、キレート剤により、不溶性塩を形成しやすい尿中の
カルシウムイオン等の、洗浄水に対する溶解度が高ま
り、不溶性のカルシウム塩等の析出が防止され、ひいて
は尿石の発生が防止される。

【００１３】また、殺菌剤により、初期のスライム様物
質の形成が防止される。初期のスライム様物質は、次に
示すように、水のみによる洗浄では除去されない微生物
の供給源となっており、尿石や悪臭を発生させる原因と
なっている。即ち、実験的に、便器トラップ内の水をフ
ラスコに採取して培養したところ、フラスコ内壁には、
カルシウム塩とみられる不溶性の白色沈殿を伴ったスラ
イム様物質の付着が確認された。このフラスコ内部を、
実際の便器トラップの洗浄と同様に水道水で数回洗浄
し、フラスコに、便器トラップから採取した水を濾過滅
菌したものを入れて培養したところ、菌数は速やかに１
０⁴個／ｍｌとなり、一晩放置後には１０⁷個／ｍｌに達
した。このことから、フラスコ内壁に付着しているスラ
イム様物質が菌の供給源となっていることがわかる。従
って、殺菌剤により、初期のスライム様物質の形成が防
止され、これにより、尿石及び悪臭の発生が防止され
る。

【００１４】請求項２記載の発明は、請求項１記載のも
のが固体成型物であるものである。

【００１５】固体成型物は、各成分を混合し、この混合
物を溶融成形して得る。固体成型物は、便器洗浄水配管
の途中に設置した溶解器内に設置され、溶解器内で洗浄
水に溶解し、洗浄水とともに便器面及び便器トラップ中
に流下する。

【００１６】請求項３記載の発明は、請求項１記載の発
明において、キレート剤が、アミノカルボン酸、オキシ
カルボン酸、又はこれらの塩であるものである。

【００１７】これにより、キレート剤として縮合リン酸
を用いた場合の不具合は生じない。即ち、環境を汚染し
たり尿石の固着を促進したりする恐れはない。

【００１８】請求項４記載の発明は、請求項１記載のも
のが界面活性剤を含有したものである。

【００１９】界面活性剤としては、非イオン系、陽イオ
ン系、陰イオン系の各種のものを用いることができる。
界面活性剤により、尿中の有機物が洗浄水中に分散さ
れ、尿石の発生が防止される。

【００２０】請求項５記載の発明は、請求項２記載のも
のが昇華性物質を含有したものである。

【００２１】これにより、固体成型物からのキレート剤
及び殺菌剤の各成分の溶出速度が制御され、急速な形崩
れが防止される。

【００２２】請求項６記載の発明は、請求項５記載のも
のにおいて、昇華性物質がシクロドデカンであるもので
ある。

【００２３】従来では、昇華性物質としてパラジクロル
ベンゼンを用いていたが、発癌性等の点で問題があっ
た。しかし、シクロドデカンにはそのような問題はな
い。

【００２４】

【発明の実施の形態】

（実施形態１）キレート剤及び殺菌剤のみからなる本発
明の液剤（実施例１〜３）を調製し、比較例１〜５と共
に、試験に供した。試験では、表１に示す組成の人工尿
を用いた。試験条件は、人工尿に菌数が１０⁴個／ｍｌ
となるよう便器トラップ内の水を添加したもの３容と、
実施例１〜３及び比較例１〜５の液剤１容とを混合し、
これを震盪培養することとした。表２は液剤の組成及び
試験結果を示す。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【表２】

【００２７】表２からわかるように、実施例１〜３では
いずれも、スライム、臭気、及び沈殿物（即ち尿石）の
発生は認められなかったが、比較例１〜５では、いずれ
かの発生が認められた。即ち、本発明の液剤である便器
の尿石防止・脱臭剤によれば、尿石及び悪臭の発生が防
止される。

【００２８】（実施形態２）下記〜に該当する本発
明の固体成型剤である便器の尿石防止・脱臭剤を形成
し、実施形態１の場合と同様の試験を行った。なお、固
体成型剤は洗浄水に３０秒間浸漬させて成分を溶出させ
るように用い、１回の洗浄水量は２００ｍｌとし、得ら
れた成分含有の洗浄水を実施形態１の液剤と同様に用い
た。

【００２９】表３に示すように、キレート剤、殺菌
剤、界面活性剤、及び昇華性物質のみからなるもの（実
施例４）。

【００３０】

【表３】

【００３１】表４に示すように、キレート剤、殺菌
剤、及び界面活性剤のみからなるもの（実施例５）。

【００３２】

【表４】

【００３３】表５に示すように、キレート剤、殺菌
剤、及び昇華性物質のみからなるもの（実施例６）。

【００３４】

【表５】

【００３５】実施例４の薬剤では、１回当たりの成分溶
出量が約１７０ｐｐｍであり、成分別にみると、キレー
ト剤は８５ｐｐｍ、殺菌剤は４６ｐｐｍであった。表３
からわかるように、実施例４の薬剤においても、９６時
間経過後において、スライム、臭気、及び沈殿物の発生
は認められなかった。

【００３６】実施例５の薬剤では、１回当たりの成分溶
出量が約２２０ｐｐｍであり、成分別にみると、キレー
ト剤は８８ｐｐｍ、殺菌剤は４４ｐｐｍであった。表４
からわかるように、実施例５の薬剤においても、９６時
間経過後において、スライム、臭気、及び沈殿物の発生
は認められなかった。

【００３７】実施例６の薬剤では、１回当たりの成分溶
出量が約１７０ｐｐｍであり、成分別にみると、キレー
ト剤は９０ｐｐｍ、殺菌剤は４６ｐｐｍであった。表５
からわかるように、実施例６の薬剤においても、９６時
間経過後において、スライム、臭気、及び沈殿物の発生
は認められなかった。

【００３８】更に、実施例４の薬剤を上記と同様に処理
して成分含有の洗浄水を得、これを実際の男子用小便器
において、通常の便器洗浄水が流れ終わった後に便器ト
ラップ内に流下させて、効果を調べた。表６はその結果
を示す。

【００３９】

【表６】

【００４０】表６からわかるように、実施例４の薬剤に
よれば、６週間経過後においても、尿石及び臭気の発生
は認められなかった。

【００４１】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、キレート
剤により、尿中のカルシウムイオン等が不溶性塩として
析出するのを防止でき、殺菌剤により、初期のスライム
様物質が形成されるのを防止できる。従って、尿石及び
悪臭の発生を防止できる。

【００４２】請求項２記載の発明によれば、便器洗浄水
配管の途中に設置した溶解器内に容易に設置でき、取り
扱いが便利である。

【００４３】請求項３記載の発明によれば、環境を汚染
することなく、尿石及び悪臭の発生を防止できる。

【００４４】請求項４記載の発明によれば、尿中の有機
物を洗浄水中に分散できるので、より確実に尿石の発生
を防止できる。

【００４５】請求項５記載の発明によれば、固体成型物
からの成分の溶出速度を制御して、急速な形崩れを防止
できる。

【００４６】請求項６記載の発明によれば、発癌性等の
問題を回避できる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】キレート剤及び殺菌剤を含有してなるこ
とを特徴とする便器の尿石防止・脱臭剤。
【請求項２】固体成型物である請求項１記載の便器の
尿石防止・脱臭剤。
【請求項３】キレート剤が、アミノカルボン酸、オキ
シカルボン酸、又はこれらの塩である請求項１記載の便
器の尿石防止・脱臭剤。
【請求項４】界面活性剤を含有している請求項１記載
の便器の尿石防止・脱臭剤。
【請求項５】昇華性物質を含有している請求項２記載
の便器の尿石防止・脱臭剤。
【請求項６】昇華性物質がシクロドデカンである請求
項５記載の便器の尿石防止・脱臭剤。