JP2784904B2 - トイレ排水管のスケール防止剤 - Google Patents

トイレ排水管のスケール防止剤

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JP2784904B2 JP7237643A JP23764395A JP2784904B2 JP 2784904 B2 JP2784904 B2 JP 2784904B2 JP 7237643 A JP7237643 A JP 7237643A JP 23764395 A JP23764395 A JP 23764395A JP 2784904 B2 JP2784904 B2 JP 2784904B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トイレ排水管のス
ケール防止剤に係わり、さらに詳しくは、トイレ排水管
へのカルシウムを主成分とするスケールの固着を防止す
るに適した薬剤に関する。本発明のスケール防止剤は、
水洗式の各種トイレまたは水洗設備のない男子用トイレ
に適用することができる。 【0002】 【従来の技術】トイレ排水管、特に、男子用トイレの排
水管には、尿の分解により生成するカルシウム系化合物
や有機物の混合物が固着した尿石と称されているスケー
ルが生成し、尿および洗浄水の流れを悪化させ、はなは
だしい場合には排水管を閉塞し、トイレは使用不能の状
態となる。また、尿石中の有機物は、細菌により腐敗し
悪臭を発生する。男子用トイレの悪臭は、有機物の腐敗
による悪臭と尿の分解により発生するアンモニアの混合
臭である。 【0003】従来、トイレ排水管のスケール防止方法と
して、薬剤を洗浄水配管の途中に注入する方法および球
状に成形した薬剤を男子用トイレの便器内に投入する方
法などが実用化されている。これらの方法において使用
する薬剤として、界面活性剤、殺菌剤および香料を含有
するものが種々提案されている。 【0004】たとえば、界面活性剤、イオン封鎖剤、香
料等をポリエチレングリコールまたはポリプロピレング
リコールと芳香物質と共に溶融混合し、注入成形してな
る水洗式トイレの消臭洗浄剤が、特公昭45−3070
6号公報に、常温で固体のポリエチレングリコール、難
水溶性の芳香物質、非イオン系界面活性剤および香料等
の添加剤からなる混合溶融物を冷却固化して成形した洗
浄防汚芳香剤が、特開昭57−168668号公報に記
載されている。さらに、トイレ排水管に一旦固着してし
まったスケールの防除方法として、塩酸等の無機強酸を
使用しスケールを溶解する方法、便器を取りはすし機械
的にスケールを除去する方法か採用されている。 【0005】 【発明が解決しようとする問題点】従来採用されている
界面活性剤、殺菌剤および香料からなる薬剤の使用は、
便器壁面の汚れ防止および悪臭の発生防止には有効であ
る。しかしながら、トイレ排水管へのスケールの固着防
止効果は充分ではなく、また、殺菌剤の浄化槽への流入
は浄化槽菌の働きを妨げ、浄化槽の浄化能力を低下させ
る。界面活性剤と香料とからなる洗浄消臭剤の使用も、
便器壁面の汚れ防止および悪臭の発生防止には有効であ
る。しかしながら、トイレ排水管へのスケールの固着防
止効果はさらに小さい。イオン封鎖剤を尿または洗浄水
に添加する方法は、スケールの固着防止にかなり有効で
ある。 【0006】しかしながら、スケールの固着を完全に防
止するには、イオン封鎖剤を尿に対し0.3〜1重量%
添加する必要がある。一般に、イオン封鎖剤は高価であ
り、この方法は広く普及しにくい。また、強酸による固
着スケールの溶解除去、便器を取りはずしての固着スケ
ールの機械的除去は、不快かつ困難な作業である。ま
た、強酸によるスケール除去においては、酸による排水
管の腐食や浄化槽に流入した酸による浄化能力の低下
が、機械的除去においては便器や排水管の損傷が問題と
なる。本発明は、トイレ排水管へのスケールの固着を防
止するに適した薬剤を提供することを、その目的とす
る。 【0007】 【問題点を解決するための手段】即ち、本発明は、トイ
レ排水管に固着したスケールを除去することなく、トイ
レ排水管へのスケールの固着のみを防止するトイレ排水
管のスケール固着防止剤であって、カルシウムイオンと
反応してpH5〜8.5の範囲の水に対する溶解度が
0.001g/100g(水)以下の塩を生成しない固
体酸を有効成分とし、尿または尿と洗浄水との混合排水
のpHを5〜8.5に保持しうるように、昇華性基材を
20重量%以上含有せしめた成形体からなることを特徴
とするトイレ排水管のスケール固着防止剤である。本発
明において、固体酸とは、常温で固体の酸性物質であ
り、カルシウムイオンと反応してpH5〜8.5の範囲
の水に対する溶解度が0,001g/100g(水)以
下の塩を生成しないものであれば、特に、制限はない。
たとえば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫
酸水素アンモニウム等の水溶性酸性塩類、塩化アンモニ
ウム、硫酸アンモニウム等の強酸と弱塩基との水溶性塩
類およびホウ酸、スルファミン酸などを挙げることがで
きる。また、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、イソフ
タル酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、P−トルエンスルホ
ン酸、フマル酸、アジピン酸、サリチル酸、プラシジル
酸、ヒドロケイ皮酸、無水マレイン酸、安息香酸等の常
温固体の有機酸類も使用できる。 【0008】これら酸性物質は、1種単独または2種以
上の混合物として使用できる。本発明のトイレ排水管の
スケール防止剤は、前記固体酸を有効成分とする任意の
形状、たとえば、球状、円柱状、孔空き円柱状、円板
状、立方体状、円錐状、角錐状、動植物形状等を有する
成形体であり、固体酸と基材、所望により添加さ れる
の他の添加剤とからなる混合物の成形体である。所望に
より添加される添加剤として、溶解速度調整剤、界面活
性剤、香料、着色料、腐食防止剤、殺菌剤、イオン封鎖
剤等が挙げられる。 【0009】本発明のスケール防止剤は、各成分を混
合、打錠する方法、各成分の混合物を加熱、溶解した溶
融スラリーを成形型に注入して冷却、固化する方法など
の公知の成形方法により製造することができる。基材
は、固体酸の成形性を良好なものとし、使用に際し、成
形体を尿および/または洗浄水に適当な速度で、かつ、
形崩れを起こさずに溶解することを目的として使用され
る。基材として、溶融成形または加圧成形が可能であ
り、該成形体を水に接触させた場合に崩壊することなく
溶解する昇華性を有する基材、または昇華性を有する基
材及び水溶性基材が使用される。水溶性基材として、常
温で固体の水溶性高分子、たとえば、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール等および/または各
種界面活性剤を例示できる。昇華性基材として、水に難
溶性で、かつ、常温での蒸気圧が、0.05〜5mmH
g程度の昇華性を有する物質、たとえば、パラジクロル
ベンゼン、ナフタレン等を使用することができる。又、
これらの昇華性基材や水溶性基材は、1種の単独または
2種以上の混合物として使用することができる。 【0010】該成形体において、基材として昇華性基
使用する場合には、昇華性基材の含有量は、20〜8
0重量%であり、昇華性基材と水溶性基材を共に含有す
る場合には、その両者の比率は、昇華性基材40〜90
重量部、好ましくは50〜80重量部、水溶性基材10
〜60重量部、好ましくは20〜50重量部である。昇
華性基材を単独で含有する場合には、昇華性基材の含有
量が20重量%未満であると、成形体が尿及び/又は洗
浄水と接触した際に形状がくずれ易くなり、溶解速度の
コントロールも困難となる。一方昇華性基材の含有量が
80重量%を越えると有効成分である固体酸の含有量が
少なくなり、スケール防止効果が充分でなくなる。又、
昇華性基材と水溶性基材を共に含有する場合には、昇華
性基材の含有量が、昇華性基材と水溶性基材との合計量
に対し、40重量%未満では昇華性基材の連続体の形成
が困難となり膨潤や形崩れが起こりやすくなる。一方、
90重量%を越えると、水溶性の混合層による昇華性基
材の昇華抑制効果か不充分となり、溶解速度の制御が困
難となり、かつ大気中に長時間放置すると形崩れを生じ
やすくなる。 【0011】昇華性基材の含有量が、昇華性基材と水溶
性基材との合計量に対し、40%未満であっても水溶性
基材が高密度かつ高融点であり、昇華性基材と均一に混
合される物質であれば膨潤や形崩れはおこらない。また
昇華性基材が40%以上であっても水溶性基材が低密度
かつ低融点であり、昇華性基材と均一に混合されにくい
物質の場合は膨潤や形崩れがおこり得るので、水溶性基
材によっては昇華性基材の含有量をより多くしなくては
ならない。 【0012】更に、易溶性固体酸に加えて、遅溶性及び
/又は難溶性の固体酸及び/又は基材を成形体中に20
重量%以上含有させることにより、スケール防止剤とし
て長期間効果を持続させうることを見い出した。ここ
で、易溶性固体酸とは、塩化アンモニウム、硫酸水素ナ
トリウム、スルファミン酸などをいう。他方、遅溶性の
固体酸、基材とは、20℃の水に対する飽和溶解度が
0.2〜20g/100gのものをいい、そのような固
体酸としては、コハク酸、ホウ酸、アジピン酸、サリチ
ル酸、プラシジル酸、ヒドロケイ皮酸、無水マレイン酸
等の加圧成形性が良好であるか、加熱溶解が容易なもの
が好ましく、基材としてはテトラクロロビフェニル、テ
トロナールシュウ酸メチル、HLBが10〜14の固体
非イオン系界面活性剤等が好ましい。これら、遅溶性の
固体酸及び/又は基材は1種単独又は2種以上の混合物
として使用される。又、難溶性の固体酸、基材とは、2
0℃の水に対する飽和溶解度が0.001〜0.2g/
100gのものをいい、そのような固体酸としては、イ
ソフタル酸、スベリン酸、クミン酸、テレフタル酸等で
あり、基材としてはサントニン、L−メントール、サリ
チル酸フェニル、レゾルシン、ベンズヒドロール、HL
Bが6〜10の固体非イオン系界面活性剤等が好まし
い。これら、難溶性の固体酸及び/又は基材は1種単独
又は2種以上の混合物として使用される。 【0013】上記遅溶性固体酸及び/又は基材(以下遅
溶性成分と記す)又は難溶性固体酸及び/又は基材(以
下難溶性成分と記す)の含有量が20重量%未満である
と成形体は尿及び/又は洗浄水に接触している間に形状
がくずれ易くなり、溶解速度のコントロールが困難とな
る。遅溶性又は難溶性成分が強酸性の固体酸である場合
には遅溶性又は難溶性成分の含有量に上限はないが、遅
溶性又は難溶性成分が基材及び弱酸性の固体酸である場
合にはその含有量は80重量%以下であることが好まし
い。又、併用される易溶性の固体酸が微粉末であると遅
溶性又は難溶性成分の含有量が20重量%以上であって
も尿及び/又は洗浄水と接触した際に形状がくずれ易く
なる。従って、易溶性固体酸の粒径は0.1〜1mm程
度であることが好ましく、一方遅溶性又は難溶性成分は
微細な程好ましい。 【0014】成形体の水への溶解速度を調整する目的
で、成形体に溶解速度調整剤を添加することができる。
溶解速度調整剤としては、基材又は固体酸との混合物を
加熱して均一な溶融混合物の得られる難水溶性物質、た
とえば、脂肪酸類、高級アルコール類等、または、撥水
性物質の微粉末、たとえば、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等が使用できる。腐
食防止剤は、トイレ排水管の腐食防止を目的として添加
される。腐食防止剤として、耐酸性のカチオン系界面活
性剤たとえばアルキルチオ尿素等が好ましく使用され
る。 【0015】悪臭をマスクし芳香を漂わせることを目的
として、各種調整香料を、また、成形体の尿等による着
色の防止、成形体の残量の検知、洗浄水の着色等を目的
として、非水溶性のまたは水溶性の着色料を成形体に添
加することができる。また、浄化槽菌へ影響を与えない
種類の、または、その影響が無視し得る量の殺菌剤、お
よび、経済的に負担とならない程度のイオン封鎖剤の添
加も可能である。 【0016】本発明のスケール防止剤は、成形体を直接
または各種容器に収納して尿および/または洗浄水に接
触させることにより、固体酸が尿および/または洗浄水
に溶解し、トイレ排水管中に滞留している尿または尿と
洗浄水との混合排水のpHを低い値に保持し、その結果
排水管へのスケールの固着が防止される。尿または尿と
洗浄水との混合排水のpHは、スケール防止剤の溶解速
度、形状、使用個数、収納する容器の構造等を調整する
ことにより調整することができる。スケール防止剤の溶
解速度は使用する酸性物質、基材等の種類および量比な
どの選択、および、溶解速度調整剤を用いて調整するこ
とができる。また、容器に収納して使用する場合には、
容器の開口面積を選択することによっても溶解速度を調
整することができる。 【0017】特に、男子用トイレに直接投入して使用す
る成形体の場合、溶解速度が適切であると共に、尿およ
び/または洗浄水との接触により崩壊や膨潤等の著しい
変形を生じないものが要求される。 【0018】 【発明の実施の形態】次に、本発明の成形体の使用方法
を以下に示す。昇華性基材を含有する成形体の場合に
は、間欠的に尿及び/又は洗浄水と接触する場所、たと
えば便器内排水管入口、便器内壁面及び底部の洗浄水流
路、手洗部付ロータンクの蛇口下等の場所に設置するこ
とができる 【0019】又、成形体は直接あるいは容器に収納して
設置することができるが、容器を使用する場合には、成
形体の性質に応じた構造の容器を選択する。昇華性基材
を含有する成形体の場合は、昇華性物質の蒸気拡散が充
分行われる構造、具体的には充分に外気と接触しえる開
口面積の大きな容器を、遅溶性又は難溶性成分を含有す
る成形体の場合も、成形体と流水又は溜水を充分接触し
得る構造が必要である。又、昇華性基材や遅溶性又は難
溶性成分を含有しない成形体、即ち、易溶性成分のみか
らなる成形体の場合には、成形体と流水あるいは溜水と
の接触を制限する構造とすればよい。 【0020】間欠流水と成形体とを接触させ、溶解量を
調整できる容器としては、手洗用蛇口付ロータンクに設
置する容器として実開昭54−143038号公報、実
開昭54−162154号公報等に記載されており、便
器内の洗浄水流路に設置する容器としては実開昭501
1347号公報、実開昭51−115737号公報等に
記載されている。又、トイレの洗浄水貯水槽に固形薬剤
を徐々に溶解させる容器としては実開昭49−1334
61号公報、実開昭52−130462号公報等に記載
されている容器を使用することができる。トラップ部、
排水管、溜水部に設置する容器も、洗浄水貯水槽用の容
器と同様の構造を有するものを使用することができる。 【0021】 【作用】本発明者等は、トイレ排水管へのスケールの固
着を防止する方法に関し鋭意研究した結果、該スケール
が、カルシウムアパタイト〔Ca(POOH〕
40〜60wt%、炭酸カルシウム〔CaCO〕20
〜40wt%および水に不溶の有機物10〜30wt%
の混合物であること、カルシウム系のスケールはpHが
7.5以下の水では析出せず、pHが7.5〜8.5の
範囲の水では析出しても極めて少なく、また、析出に長
時間を要すること、ならびに、尿または尿と洗浄水との
混合排水は、尿の分解酵素や細菌等の作用により、アン
モニアを生成し短時間にpHが上昇することを見出し、
本発明を完成した。 【0022】尿中には、通常水溶性のカルシウムイオン
が200〜300ppm、リン酸イオンが2000〜2
500ppm含まれている。また、炭酸イオンは洗浄水
中に含まれ、また、大気中の炭酸ガスが溶解して補給さ
れる。体内から排出された尿のpHは5.5〜6.5程
度であるが、大気中に放置するとpHは徐々に上昇し、
最終的には9〜9.5に達する。pHが7.5以上にな
ると濁りを生じ、pHの上昇に伴い濁度が上がり、pH
が8.5以上になるとカルシウムアパタイトの白色沈殿
が析出し、かつ、大気との接触面に炭酸カルシウムの結
晶が膜状に生成する。このカルシウムアパタイトと炭酸
カルシウムの結晶が、細菌や酵素の作用で生成した水不
溶性のタンパク質等の有効物と共にトイレの排水管に固
着し、成長して一般に尿石と呼ばれているスケールとな
る。 【0023】したがって、尿または尿と洗浄水との混合
排水のpHを8.5以下、好ましくは7.5以下に保持
することにより、トイレ排水管へのスケールの固着を防
止することができる。尿または尿と洗浄水との混合排水
のpHを8.5以下に保持する方法として、尿および/
または洗浄水に酸性物質を溶解する方法が簡易であり、
好ましく採用される。本発明のトイレ排水管のスケール
防止剤は、固体酸を有効成分とする成形体であり、尿お
よび/または洗浄水と接触させることにより、固体酸が
溶出し尿または尿と洗浄水との混合排水管のpHを低水
準に保持する。 【0024】トイレは、休日等で長時間使用されないこ
とがあるので、その期間においても排水管に滞留してい
る尿または尿と洗浄水との混合排水のpHを低水準に保
持するためには、固体酸としてのアンモニウム塩が、p
H緩衝性を示す強酸根を有するものが好ましく使用され
る。ただし、カルシウムと反応して生成する塩の水への
溶解度が0.001g/100g(水)以下である固体
酸の使用は好ましくない。一方、尿または尿と洗浄水と
の混合排水のpHが低すぎると、排水管の腐食が問題と
なるので好ましくない。したがって、尿または尿と洗浄
水との混合排水のpHの好ましい下限は5であり、さら
に好ましくは5.5である。さらに、スケール防止剤
に、あらかじめ腐食防止剤を添加することが好ましい。 【0025】本発明のスケール防止剤において、間欠的
に尿および/または洗浄水と接触する場所に設置するス
ケール防止剤としては昇華性基材を含有する成形体とす
ることにより、溶解速度の調整が容易であり、かつ、変
形や膨潤のない均一に溶解する成形体が得られる。特に
昇華性基材単独又は昇華性基材と水溶性基材を併用する
場合には、易水溶性の固体酸を昇華性基材又は昇華性基
材と水溶性基材とが包み込み、かつ、水に難溶性の昇華
性基材が連続体を形成する構成を有する。 【0026】したがって、該スケール防止剤を大気中に
放置すると、表面の昇華性基材が昇華し、表面に水に溶
け易いポーラスな固体酸又は固体酸と水溶性基材の混合
層が形成される。この状態で、尿および/または洗浄水
が接触すると、少量の接触水によっても表面に形成され
た水溶性物質の混合層が溶解して取り除かれ、表面に再
び難水溶性の昇華性基材の連続層が形成され、固体酸又
は固体酸と水溶性基材の尿および/または洗浄水への溶
解は停止される。 【0027】以上のメカニズムにより、昇華、溶解か繰
り返されるため、水に多く接触する部分のみが選択的に
溶解して変形することがなく、初期の形状を保持したま
ま均一に消費される。また、尿および/または洗浄水と
長時間連続して接触しても、表面が難水溶性の昇華性基
材の層で覆われるため、膨潤や吸水による軟化および形
崩れが防止される。さらに、尿および/または洗浄水と
の接触が長時間連続して停止した場合、表面に形成され
る水溶性の固体酸又は固体酸と水溶性基材の混合層によ
り、昇華性基材の無制限の昇華が抑制され、形崩れが防
止される。昇華性物質の昇華抑制効果は固体酸単独より
は固体酸と水溶性基材との混合層の方か大きいため、長
時間大気中に放置した場合基材が昇華性基材単独の成形
体よりも昇華性基材と水溶性基材を併用した成形体の方
が形崩れの防止効果は大きい。 【0028】トイレ排水管にスケールが固着するのは尿
の分解によるものであるため、トイレが連続的に使用さ
れている場合には、スケールの固着はおこりにくく、尿
の分解に必要な時間をおいて間欠的にトイレを使用した
場合にスケールの固着はおこりやすい。本発明のスケー
ル防止剤は前述の様なメカニズムにより溶解されるた
め、スケール固着がおこりにくい。トイレが連続的に使
用される場合には、低濃度の固体酸および水溶性基材が
溶解され、スケールの固着がおこりやすいトイレが長時
間をおいて間欠的に使用される場合には高濃度の固体酸
および水溶性基材が溶解されるため有効にトイレ排水管
へのスケールの固着を防止する。 【0029】 【実施例】本発明を、実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明の範囲は、下記実施例により何等限
定されるものではない。 【0030】参考例1 新鮮な尿2700ml(pH=6.05)を採取し、こ
れに小便器トラップより採取した汚水300mlを加え
均一混合した。この尿を6等分した各500mlの試料
について、下記の処理を行い、pHの変化および水不溶
解分の生成量を測定した。各試料は、測定期間中20±
3℃に保持した。 【0031】 試料1:スルファミン酸を添加しpHを5.5に調整 試料2:自動滴定装置から、1%スルファミン酸水溶液
を連続注入しpHを7.2±0.2に調整 試料3:自動滴定装置から、1%スルファミン酸水溶液
を連続注入しpHを8.2±0.2に調整 試料4(比較):自動滴定装置から、1%スルファミン
酸水溶液を連続注入しpHを8.8±0.2に調整 試料5(比較):殺菌剤;塩化ベンザルコニウム0.5
gを添加試料6(比較):未処理 各試料の経過時間によるpHの変化および水不溶解分の
生成量(g/l)を第1表に示す。 【0032】 【表1】 【0033】実施例1 (スケール防止剤の製造) サンプル1: スルファミン酸粉末;60重量部、パラジクロルベンゼ
ン微粉末;40重量部およびステアリン酸カルシウム;
1重量部からなる混合物を、加圧成形し直径40mmの
球状成形体を製造した。 比較サンプル1: 常温で固体のエチルオキシド−プロピレンオキシド共重
合体(非イオン系界面活性剤)を加熱溶融して金型に注
入した後、冷却固化して直径40mmの球状成形体を製
造した。 比較サンプル2: 市販の殺菌剤および非イオン系界面活性剤を有効成分と
する、消臭、スケール防止剤。 【0034】(性能試験) 101の洗浄水タンクからの洗浄水により、3基の男子
用小便器を1時間に1回定期的に洗浄する個所のトイ
レの各小便器を、腐食防止剤入りの塩酸を用いて洗浄
し、各便器の目皿下のトラップ部に、ステンレス金網製
の円筒形試験片と20mm×70mm×1mmの鉄片を
設置した。先に製造したサンプル1、比較サンプル1及
び2を小便器内に投入し、尿および洗浄水に溶解しスケ
ールの固着防止を行った。サンプルおよび比較サンプ
ルについては、同時に2個使用した。トイレの使用頻
度による誤差を除くため、試験片、鉄片および薬剤を2
週間毎に替え、全てのトイレで2週間づつ試験を行っ
た。各薬剤は、薬剤の重量が初期値の20%以下になっ
た時点で新しい薬剤を追加投入した。以上の条件で、金
網へのスケールの付着量および鉄片の腐食量を測定し
た。また、トラップ中の尿と洗浄水との混合排水のp
H、薬剤使用前と薬剤使用開始後1週間経過後の浄化水
槽のpHおよびCOD(mg/l)を測定した。各測定
結果を第2表に示す。第2表中において、各符号は下記
を表す。 悪臭: ○;ほとんど悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり またスケール付着量、鉄片腐食量、投入有効日数は各ト
イレ3便器の平均である。 【0035】 【表2】 【0036】実施例2 (スケール防止剤の製造) サンプル1 パラジクロルベンゼン;30重量部およびポリエチレン
グリコール(分子量;6000);20重量部を加熱溶
融し、さらに、スルファミン酸微粉末:50重量部を加
えて溶融スラリーを得た。この溶融スラリーを、金型に
注入して冷却固化し、直径40mmの球状成形体を製造
した。 サンプル2 ナフタリン;20重量部、エチレンオキシド・プロピレ
ンオキシド共重合体(非イオン系界面活性剤);10重
量部およびスルファミン酸;70重量部の、それぞれの
微粉末の混合物を加圧成形し、直径40mmの球状成形
体を製造した。 サンプル3 パラジクロルベンゼン;25重量部、エチレンオキシド
・プロピレンオキシド共重合体(非イオン系界面活性
剤);10重量部およびポリエチレングリコール(分子
量;1000);5重量部を加熱溶融した後、冷却固化
し、さらに微粉砕して混合粉末を得た。該混合粉末;4
0重量部、硫酸水素ナトリウム・1水塩粉末;60重量
部およびステアリン酸カルシウム;1重量部の混合物を
加圧成形し、直径40mmの球状成形体を製造した。 比較サンプル1 エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体(非イ
オン系界面活性剤)をサンプル1と同様の方法で成形
し、直径40mmの球状成形体を製造した。 比較サンプル2 市販の殺菌剤、非イオン系界面活性剤および香料を含有
するトイレ排水管のスケール防止・消臭剤。 【0037】(性能試験1) 101の成形用タンクからの洗浄水により、3基の男子
用小便器を1時間に1回定期的に洗浄する6個所のトイ
レ(1個所は、ブランク)の各小便器を、腐食防止剤入
りの塩酸を用いて洗浄し、前記製造した各サンプルによ
るスケールの固着防止試験を行った。各便器の目皿下の
トラップ部に、ステンレス金網製の円筒形試験片と20
mm×70mm×1mmの鉄片を設置し、金網へのスケ
ールの付着量および鉄片の腐食量を測定した。トイレの
使用頻度による誤差を除くため、試験片、鉄片および薬
剤を4週間毎に替え、6個所の全てのトイレで4週間づ
つ試験を行った。各薬剤の2個を便器に直接投入し、薬
剤の重量が初期値の20%以下になった時点で新しい薬
剤を追加投入した。各測定結果を第3表に示す。第3表
中において、各符号は下記を表す。 悪臭: ○;悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり 【0038】 【表3】 【0039】(性能試験2) ロータンク付の家庭用トイレの手洗蛇口下に、前記製造
した各サンプル1個を収納したステンレス金網製の円柱
状容器を設置し、便器の汚れおよび悪臭の発生状況を観
察した。また、薬剤使用前と薬剤使用開始後1週間経過
後の浄化水槽のpHおよびCODを測定した。試験対象
のトイレは、分離曝気式浄化槽を設置した6個所(1個
所はブランク)で行った。いすれも、男女各2名の家庭
を対象とした。試験結果を第4表に示す。第4表中にお
いて、各符号は下記を表す。 便器汚れ: ○;汚れなし △;若干汚れあり ×;汚れあり 悪臭: ○;悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり 【0040】 【表4】【0041】 【発明の効果】本発明において、前記参考例1に示す如
く、尿のpHが8.5以下では、生成する沈澱物は極め
て僅かであり、pHが7.5以下では、ほとんど沈澱物
は生成しない。したがって、尿または尿と洗浄水との混
合排水のpHを8.5以下、好ましくは7.5以下に調
整保持することにより、トイレ排水管へのスケールの固
着を防止することができる。本発明において、スケール
防止剤の有効成分を固体酸としたことにより、前記実施
例に示す如く固体酸が、尿および/または洗浄水に溶解
し、尿または尿と洗浄水との混合排水のpHが低水準に
維持され、その結果として、排水管へのスケールの固着
が防止される。 【0042】また、本発明のスケール防止剤の使用にお
いては、排水管の腐食も極めて少なく、かつ、浄化槽機
能にも悪影響を与えない。実施例においては、洗浄装置
付の男子用トイレでの具体例を示したが、洗浄装置の設
置してない男子用トイレ、洗浄装置付の男女兼用トイレ
においても同様の結果が得られる。本発明は、トイレ排
水管のスケール固着を防止するに適したスケール防止剤
を提供するものであり、その公衆衛生的、また、産業的
意義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 彰 新潟県新井市白山町1−5−1 (56)参考文献 特開 昭55−88766(JP,A) 特開 昭54−130607(JP,A) 特開 昭55−118499(JP,A) 仏国特許1501248(FR,B)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.トイレ排水管に固着したスケールを除去することな
    く、トイレ排水管へのスケールの固着のみを防止するト
    イレ排水管のスケール固着防止剤であって、カルシウム
    イオンと反応してpH5〜8.5の範囲の水に対する溶
    解度が0.001g/100g(水)以下の塩を生成し
    ない固体酸を有効成分とし、尿または尿と洗浄水との混
    合排水のpHを5〜8.5に保持しうるように、昇華性
    基材を20重量%以上含有せしめた成形体からなること
    を特徴とするトイレ排水管のスケール固着防止剤。
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