JPH054095A - 便器防汚・脱臭方法 - Google Patents

便器防汚・脱臭方法

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JPH054095A
JPH054095A JP3183029A JP18302991A JPH054095A JP H054095 A JPH054095 A JP H054095A JP 3183029 A JP3183029 A JP 3183029A JP 18302991 A JP18302991 A JP 18302991A JP H054095 A JPH054095 A JP H054095A
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JP
Japan
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toilet
water
weight
dissolved
antifouling
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Application number
JP3183029A
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English (en)
Inventor
Eiji Takemura
英二 竹村
Hidetaka Irie
秀孝 入江
Tetsuya Kaneko
哲也 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
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Publication date
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  • Bidet-Like Cleaning Device And Other Flush Toilet Accessories (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】特に冬季や寒冷地においても十分な効果を発揮
する便器の防汚、脱臭方法を提供する。 【構成】固体酸を有効成分とし、固体酸70〜90重量
%と昇華性物質を含む成形基剤10〜30重量%からな
る成形体を、便器洗浄水配管の途中に設置した溶解器中
で溶解し,溶解水を便器面及び便器トラップ中に流下す
る。 【効果】本発明の方法を用いることにより、特に冬季や
寒冷地において十分な便器の防汚、脱臭が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、便器面及び便器トラッ
プの防汚・脱臭方法に係わり、詳しくは、便器面の金属
化合物による汚染防止、便器トラップのスケール発生防
止及び便器から発生する悪臭の脱臭方法に関する。本発
明の便器防汚・脱臭方法は、水洗式の各種便器に使用す
ることができる。
【0002】
【従来の技術】便器面は、洗浄水に微量含まれる鉄、マ
ンガン等の重金属が徐々に付着し黒色に汚染され、使用
者に不快感を与える。また、便器トラップ、特に小便器
のトラップは、尿の分解により生成するカルシウム系化
合物や有機物の混合物が固着した尿石と称されるスケー
ルが生成し、尿及び洗浄水の流れを悪化させ、甚だしい
場合には排水管を閉塞し、便器は使用不能の状態とな
る。更に、便器面及び便器トラップに滞留した尿から
は、尿の分解によりアンモニアを発生する。
【0003】従来、便器の防汚・脱臭方法としては、洗
浄水配管に設置した溶解器中で薬剤を溶解し、その溶解
液で便器面を洗浄する方法、ロータンク手洗い水で薬剤
を溶解し、その溶解水で便器面を洗浄する方法などが実
用化されている。これらの方法において使用する薬剤と
して、界面活性剤、殺菌剤及び香料を含有するものが種
々提案されている。例えば、界面活性剤、イオン封鎖
剤、香料等をポリエチレングリコール又はポリプロピレ
ングリコールとともに溶融混合し、注入成形してなる水
洗式トイレの消臭洗浄剤が、特公昭45−30706号
公報に、常温で固体のポリエチレングリコール、灘水溶
性の芳香物質、非イオン系界面活性剤及び香料等の添加
剤からなる混合溶融物を冷却個化して成形した洗浄防汚
芳香剤が、特開昭57−168668号公報に記載され
ている。
【0004】また、殺菌剤と洗剤を洗浄水配管に設置し
た溶解器中で溶解する方法が、英国特許1069213
号に、固体酸を主成分とするスケール防止剤を、便器排
水管入口、便器内壁面及び底部の洗浄水流路、手洗部付
ロータンクの蛇口下、便器トラップ部分、洗浄水貯槽部
分、排水管内及び洗浄水配管に設置する方法が特開昭6
2−38299号公報に記載されている。更に、便器面
を汚染してしまった黒色の汚染は、研磨剤を使用して物
理的に剥離する方法が、便器トラップに付着してしまっ
たスケールの除去方法として塩酸等の無機強酸を使用し
て溶解する方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】従来採用されている
界面活性剤と香料とからなる洗浄消臭剤の使用は、便器
面の有機物質による汚れ防止及び悪臭のマスキングには
有効であるが、鉄、マンガン等重金属付着による黒色汚
染の防止や便器トラップのスケール防止効果は十分でな
かった。界面活性剤、殺菌剤及び香料からなる薬剤の使
用は、便器面の有機物質による汚れ防止及び悪臭のマス
キングには有効である。しかしながら、便器面の汚染で
最も問題となる鉄、マンガン等重金属付着による黒色汚
染の防止には何ら有効ではなく、更に便器トラップのス
ケール防止効果も十分ではない。また殺菌剤の浄化槽へ
の流入は浄化槽微生物の働きを妨げ、浄化槽の浄化能力
を低下させる。
【0006】イオン封鎖剤を尿又は洗浄水に添加する方
法は、便器面の鉄、マンガン等重金属付着による黒色汚
染の防止や便器トラップのスケール防止にはかなり有効
である。しかしながら、便器面の黒色汚染や便器トラッ
プのスケールの固着を完全に防止するには、イオン封鎖
剤を尿に対して0.3〜1重量%使用する必要があり、
イオン封鎖剤は高価であるので、この方法は広く普及し
にくい。また、悪臭の脱臭効果は全くない。
【0007】固体酸を主成分とするスケール防止剤を、
便器排水管入口、便器内壁面及び底部の洗浄水流路、手
洗部付ロータンクの蛇口下、便器トラップ部分、洗浄水
貯槽部分、排水管内及び洗浄水配管に設置する方法は、
便器面の防汚、トラップのスケール防止及びアンモニア
の脱臭にかなり有効である。しかしながら、この方法
は、1回の使用で溶出する薬剤を洗浄水全量で希釈する
ため、常に洗浄水中の薬剤濃度を有効濃度以上に維持す
るためには多量の薬剤を必要とする。
【0008】また、研磨剤による便器面黒色汚染の剥離
は、不快かつ困難な作業であるとともに便器表面を損傷
する。また、強酸によるスケール除去においては、酸に
よる排水管の腐食や浄化槽に流入した酸による浄化能力
の低下が問題となる。
【0009】本発明者等はこれらの問題を解決するた
め、固体酸と昇華性物質を含む基剤との混合物成形体を
洗浄水配管途中に設置した溶解器内で使用する便器防汚
・脱臭方法について特願平1ー341185号公報及び
特願平2ー019635号公報で提案した。これらの方
法は便器面の黒色汚染、便器トラップのスケール固着防
止、更に便器から発生するアンモニヤの脱臭に有効であ
るが、冬季、寒冷地等においては、溶解調整剤である昇
華性物質の昇華が遅すぎるため、有効成分である固体酸
の溶出量が減少し、効果が十分に発揮されないことが分
かった。
【0010】本発明は、前述の事情からみてなされたも
ので、便器面の黒色汚染、便器トラップのスケール固着
防止、更に便器から発生するアンモニヤ脱臭に適した方
法であり、特に冬季や寒冷地においても十分に効果を発
揮する便器の防汚・脱臭方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、前記目
的を達成すべく鋭意研究した結果、固体酸と昇華性物質
を含む成形基剤とを特定の配合割合で成形し、得られた
成形体を便器洗浄水配管の途中に設置した溶解器中で徐
々に溶解し、溶解水を便器面及び便器トラップ中に流下
することにより、便器の汚れ防止、悪臭の発生防止に極
めて効果があることを見出して本発明を完成した。
【0012】本発明は、固体酸を有効成分とし、固体酸
70〜90重量%と昇華性物質を含む成形基剤10〜3
0重量%とからなる成形体を、便器洗浄水配管の途中に
設置した溶解器中で溶解し、溶解水を便器面及び便器ト
ラップ中に流下することを特徴とする便器防汚・脱臭方
法である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明において、固体酸とは、常温で固体
の酸性物質であり、1重量%以下の水溶液のpHが5以
下の物質であれば、特に制限はない。例えば、硫酸水素
ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウ
ム、クエン酸水素ナトリウム等の酸性塩類、クエン酸、
リンゴ酸、シュウ酸、サリチル酸、酒石酸、マロン酸、
マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、オルトフタール
酸、イタコン酸、フマール酸等の有機酸類、スルファミ
ン酸、ホウ酸、縮合燐酸等が使用される。これら固体酸
は、1種単独又は2種以上の混合物として使用できる。
成形体中の固体酸配合量は、成形体重量、溶解器内と外
部との通気性、便器使用頻度などにより異なるが、薬剤
の溶解速度の遅くなる冬季若しくは寒冷地等で使用する
低温時用の薬剤としては、成形体中70〜90重量%、
好ましくは、75〜85重量%が配合される。
【0014】成形基剤は、使用に際し、固体酸を適当な
速度で、かつ、形崩れを起こさずに溶解すること、成形
体の成形に際し、固体酸の成形を良好なものとする目的
で使用される。成形基剤として、昇華性物質を単独で使
用するか、又は昇華性物質と溶融成形若しくは加圧成形
が可能であり、該成形体を水に接触させた場合に崩壊す
ることなしに溶解する水溶高分子及び/又は界面活性剤
との混合系が使用される。成形基剤中の昇華性物質とし
て、パラジクロルベンゼン、樟脳、ナフタリン等が使用
され、パラジクロルベンゼンが好ましく使用される。成
形基剤中の水溶性高分子として、常温で固体の水溶性高
分子、例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレ
ングリコ−ルなどが、界面活性剤として、非イオン系、
陽イオン系及び陰イオン系の各種界面活性剤が例示でき
る。成形基剤中に水溶性高分子及び/又は界面活性剤を
配合する場合は、各々単独に、又は各々の1種若しくは
2種以上を混合して使用することができる。
【0015】本発明において、成形体中の成形基材の含
有量は10〜30重量%、好ましくは10〜25%重量
であり、昇華性物質の含有量は、基剤中の40重量%以
上である。冬季・寒冷地用成形体は通常の温度で使用す
る場合より使用時の崩れが少ないが、昇華性物質の昇華
速度が遅くなるので成形体中の成形基剤含有量が10重
量%未満であると崩れを生じ、固体酸の溶解調整が困難
となる。また、成形体中の成形基剤含有量が30重量%
を超えると冬季・寒冷地等の低温度で使用する場合に
は、薬剤の溶解速度が遅くなり十分な効果を得ることが
できない。成形基材中の昇華性物質の含有量が、40重
量%未満であると、成形体が溶解水と接触した際に形状
が崩れ易くなり、溶解速度のコントロ−ルも困難とな
る。
【0016】本発明の便器防汚・脱臭剤は、溶解器中に
収納可能な任意の形状、例えば、球状、円柱状、円板
状、立方体状、直方体状等を有する成形体であり、固体
酸と成形基剤及び所望により添加される添加剤からなる
混合物の成形体である。所望により添加される添加剤と
して、溶解速度調整剤、香料、着色料、腐食防止剤、殺
菌剤、イオン封鎖剤等が挙げられる。
【0017】成形体の水への溶解速度を調製する目的
で、成形体に溶解速度調整剤を添加することができる。
溶解速度調整剤としては、成形基剤又は固体酸との混合
物を加熱して均一な溶融混合物の得られる難水溶性物
質、例えば、脂肪酸塩、高級アルコ−ル類等、又は撥水
性物質の粉末、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウム、タルク等が使用できる。
【0018】腐食防止剤は、便器排水管の腐食防止を目
的として添加される。腐食防止剤として、酸用の腐食防
止剤例えばアルキルチオ尿素、1,2,3ベンゾトリア
ゾール、トリルトリアゾール等が好ましく使用される。
【0019】悪臭をマスクし芳香を漂わせることを目的
として、各種調製香料を、また、成形体の残量の検知、
洗浄水の着色等を目的として、着色料を成形体に添加す
ることができる。
【0020】また、浄化槽へ影響を与えない種類の、又
はその影響が無視し得る量の殺菌剤、及び経済的に負担
とならない程度のイオン封鎖剤の添加も可能である。
【0021】本発明の便器防汚・脱臭剤は、各成分を混
合、打錠する方法、各成分の混合物を加熱、溶解した溶
融スラリ−を成形型に注入して冷却、固化する方法等の
公知の成形方法により製造することができる。また高濃
度の固体酸を含有する成形体の成形は、流動性のスラリ
ーを得ることが困難となるため、固体酸と成形基材の混
合物を金型に充填し、加圧しながら基材の融点以上に加
熱する方法により良好な成形体を得ることができる。
【0022】本発明の成形体は、便器洗浄水配管途中に
設置した溶解器内に入れて使用される。本発明の成形体
の溶解に使用できる溶解器は、水洗式便器洗浄水配管の
途中に設置して使用される。すなわち、ハイタンク式の
場合は、ハイタンクと便器の間の配管に、プッシュボタ
ン式の場合は、プッシュボタンと便器の間の配管に、又
はロ−タンク式の場合は、ロ−タンクと便器の間の配管
に設置して使用される。
【0023】溶解器の構造は、フロ−トバルブ、逆止弁
を有するものであり、洗浄水配管から洗浄水の流れ始め
の一部を溶解器に導入するための、配管取り付け部分、
導入配管、溶解器内に洗浄水が所定量以上流入すること
を防止するとともに洗浄水配管を洗浄水が流れている時
溶解器から溶解水の流出を防止し、洗浄水が流れ終わっ
た時に溶解水を流出するための、フロ−ト部に直結して
いる逆止弁、及び、固体酸を有効成分とする成形体を内
部に設置し、導入した溶解水で成形体の一部を溶解する
ための溶解室より構成されるものであればよい。更に、
溶解室の形状は、内部に成形体を設置することができ、
上部及び/又は側面に1〜20cm2 、好ましくは、1
〜5cm2 の空気流通口を有するものであれば、形状に
は特に制限はない。空気流通孔の総面積が20cm2
超えると、固体酸の溶解速度に比べて昇華性物質の昇華
速度が早くなり、昇華性物質層の脱落したポ−ラスな成
形体が残り、水と接触した時に成形体の崩れ等が起き易
く、成形体溶解速度の調整が困難となる、また、空気流
通孔の総面積が1cm2 未満になると、昇華性物質の昇
華が抑制されるため、成形体表面に昇華性物質層が残
り、有効成分である固体酸の溶解が抑制され、防汚・脱
臭効果が悪くなる。
【0024】溶解室の大きさは、溶解水の量が100〜
1000ml入るものが使用される。溶解水の量が100
ml未満では、成形体を溶解した溶解水が便器面を流れる
時に、便器面の全面を濡らすことができないため、便器
面の黒色汚染防止効果にムラが生じる、また、溶解水の
量が1000ml以上では、溶解水中の固体酸溶解濃度が
低くなり、防汚・洗浄効果が不十分となる。溶解器の機
構は、洗浄水配管を洗浄水が流れない時は水の滞留がな
く、洗浄水使用時に流れ始めの水が溶解器に導入され、
溶解器内で水量が所定量に達した時洗浄水の導入が停止
し、洗浄水配管を洗浄水が流れ終わった時、溶解器内よ
り成形体の一部を溶解した溶解水が洗浄水配管を通っ
て、便器面を洗った後、便器トラップに滞留するものが
使用される。
【0025】該成形体を既存の便器洗浄水配管系に設置
した場合は、例えば、便器目皿上に設置すると、トイレ
使用時の流れ始めの洗浄水に対する酸濃度は高くなる
が、後半の洗浄水に対する濃度が低くなるため、便器ト
ラップ中では、最初の酸濃度の高い洗浄水が後の酸濃度
の低い洗浄水で希釈されるため、トラップ中での防汚・
脱臭効果が十分でなくなる。更に、便器目皿上に薬剤を
設置する方法は、便器面の黒色汚染防止の効果は全くな
い。
【0026】また、該成形体をハイタンクの満水時の水
位部やロ−タンク内の洗浄水補給部等の空気と洗浄水に
交互に接触する場所に設置した場合は、便器面の洗浄水
に薬剤が溶解するため便器面の黒色汚染防止の効果は期
待できるが、成形体が多量の水と接触するため、洗浄水
中の酸濃度が低くなり、防汚・脱臭効果が悪くなる。
【0027】
【作用】本発明の防汚・脱臭方法は、該成形体を洗浄水
配管の途中に設置した、表面積が1〜20cm2 の空気
流通孔を有する溶解器内で使用することにより、洗浄水
を使用しない時は、成形体表面から昇華性物質が昇華し
て固体酸及び水溶性成分が成形体表面を覆い、洗浄水使
用時には、溶解器内に導入された少量で、しかも、水位
の上下動のみの緩慢な流れの溶解水で成形体表面を覆っ
ている固体酸及び水溶性成分を溶解する。このように、
昇華性物質の昇華と固体酸及び水溶性成分の溶解が交互
にバランスして行われる。従って、成形体は全ての面で
均一に消耗し、成形体が過剰に溶解したり、崩れること
なく、かつ成形体が最初の形状を保ったまま消耗するた
め、洗浄水への有効成分の溶出濃度の経時変化が少な
く、更に、成形体を既存の便器洗浄水配管系に設置した
場合に比べ、成形体の有効期間を延長することが可能と
なり、また、洗浄水が流れ終わった後、溶解水を便器に
流すことにより、洗浄水による希釈が少ないため、少量
の溶解水で効果的な便器防汚・脱臭ができる。
【0028】洗浄水中には、通常 0.1〜0.01ppm 程度の
水溶性の鉄、マンガン等の 重金属が大部分水酸化物と
して含まれている。洗浄水が便器面で蒸発して乾燥状態
に近くなると、鉄、マンガン等の重金属は濃縮され、
鉄、マンガン等の重金属水酸化物が飽和濃度以上とって
析出し、更に空気中の酸素との反応により強固な酸化物
となり便器面に固く付着し、これが堆積する。所謂水垢
と呼ばれる濃茶〜黒色汚染となる。通常、黒色汚染は、
便器の洗浄水流出孔から下方向に筋じ状に発生すること
が多く、これは洗浄水の大部分が流出した後、洗浄水配
管から垂れてきた洗浄水によるものである。
【0029】従って、洗浄水中に含まれる鉄、マンガン
等の重金属水酸化物の便器面での濃縮による析出は、洗
浄水のpHを酸性に保持することにより確実に防止でき
る。洗浄水pHは、低い程重金属析出防止には有効であ
るが、排水管の腐食を考慮すれば、洗浄水pHは、4〜
7、好ましくは、5〜7が適当である。更に、洗浄水か
らの重金属の析出が大部分の洗浄水が流出した後の垂れ
水より生成するため、洗浄水の大部分が流出した後に、
pHの低い洗浄水を流す方法がより効果的であり、好ま
しく採用される。
【0030】尿中には、通常水溶性のカルシウムイオン
が 200〜 300ppm 、リン酸イオンが2000〜2500ppm 含ま
れている。また、炭酸イオンは洗浄水に含まれ、更に、
空気中や尿素が分解した炭酸ガスが溶解して補給され
る。体内から排出された尿のpHは 5.5〜6.5 程度であ
るが、空気中に放置すると尿中の尿素が分解しアンモニ
アを生成するためpHは徐々に上昇し、最終的には9〜
9.5 に達する。このpHの上昇はトラップ中に生息する
微生物の作用により促進される。尿のpHが7.5以上に
なると濁りを生じ、pHの上昇に伴い濁度が上がりカル
シウムアバタイトと炭酸カルシウムの混合物として晶出
する。このカルシウムアバタイトと炭酸カルシウムの混
合物が、細菌とpH上昇の作用で生成した水不溶性のタ
ンパク質等の有機物とともに便器トラップに固着し、成
長したものが、一般に尿石と呼ばれるスケ−ルである。
【0031】従って、便器トラップ中の尿と洗浄水との
混合水のpHを7.5以下に保持することにより、スケ−
ルの固着を防止することができ、更に、pHが7以下な
ると既に固着したスケ−ルの溶解除去作用もある。便器
トラップ中のpHが低い程スケ−ル固着防止効果は良好
であるが、排水管の腐食を考慮すれば、pHは4〜7.5
、好ましくは5〜7が採用される。
【0032】尿中に含まれる尿素は、便器トラップ中で
細菌の作用により、分解されアンモニアを生成し尿のp
Hを上昇させ、尿石の発生原因となると同時に、アンモ
ニアガスを発散させてトイレ悪臭の主原因となるが、ア
ンモニアを含む液のpHが7.5以下の中性から酸性であ
る場合には、アンモニアが液中で固定され、空気中に発
散することがないため、悪臭の原因とはならない。従っ
て、便器トラップの滞留水のpHを7.5 以下の中性から
酸性に保持することにより、便器トラップからのアンモ
ニアガスの発散を防止することができる。便器トラップ
中のpHが低い程アンモニア発散防止効果は良好である
が、排水管の腐食を考慮すれば、pHは、4〜7.5 、好
ましくは、5〜7が採用される。また、便器面をpH7.
5 以下の中性から酸性の水で濡らしておくことによりト
イレの床等の便器外で発生したアンモニアを固定し、空
気中への発散を防止する効果がある。
【0033】固体酸を主成分とする成形体を溶解器内に
設置し、洗浄水で成形体の一部を溶解した溶解水を洗浄
水が流れ終わった後、洗浄水配管より便器に流入した場
合は、溶解器内の溶解水を希釈することなく便器面を濡
らすため、鉄、マンガン等の重金属の析出、及び、便器
面、便器目皿部でのスケ−ル生成を効果的に防止し、更
に、溶解水での洗浄が困難な便器の外壁やトイレの床か
ら発生したアンモニアガスの脱臭も効率良くできる。
【0034】また、成形体溶解水が便器トラップ中に流
入する場合は、トラップ中に既に洗浄水が滞留している
ため、溶解水は一部希釈されるが、溶解水が便器トラッ
プ中に流入後の洗浄水の流入がないため、溶解水の希釈
が少なく、便器トラップでのスケ−ル生成、アンモニア
ガスの発生を効果的に防止できる。
【0035】本発明の便器防汚・脱臭方法は、固体酸を
主成分とし、昇華性物質を含む基剤との混合成形体を、
洗浄水配管途中に設置した溶解器内で溶解し、溶解水を
洗浄水流出後に流出し、固体酸溶解水により効率的に便
器面の汚染防止、便器トラップ中のスケ−ル生成防止、
及び、トラップからのアンモニアガスの発生防止と溶解
水での洗浄が困難な便器外壁や床から発生するアンモニ
アガスを脱臭を効率的かつ簡単に行う方法である。
【0036】
【実施例】本発明を実施例により、更に詳細に説明す
る。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例により何
等限定されるものではない。
【0037】1)成形体の製造 成形体1(試験試料T−1) 結晶状スルファミン酸:72重量% 粉砕パラジクロルベンゼン:27重量% 1,2,3ベンゾトリアゾール:1重量% を混合、加圧成形し直径45mm、厚さ20mmの円柱状成
形体を製造した。
【0038】成形体2(試験試料T−2) 粉末コハク酸:80重量% パラジクロルベンゼン:11重量% ポリエチレングリコ−ル#6000:4重量% HLB13〜15の固体非イオン系界面活性剤:4重量
% トリルトリアゾール:1重量% を70℃で加熱混合し、該混合物を予め70℃に加温し
た金型に充填し、加圧成形により、50×50×20mm
の直方体状成形体を製造した。
【0039】成形体3(試験試料T−3) 粉末スルファミン酸:88重量% パラジクロルベンゼン:7重量% ポリエチレングリコ−ル#6000:5重量% を70℃で加熱混合したものを、70℃に熱した金型に
充填し加圧成形し、直径40mm、厚さ25mmの円柱状成
形体を製造した。
【0040】成形体4(試験試料T−4) アジピン酸:60重量% リンゴ酸 :15重量% パラジクロルベンゼン:14重量% エチレンオキサイド・プロピオンオキシド共重合体:5
重量% ポリエチレングリコ−ル#1000:5重量% アルキルチオ尿素系腐蝕防止剤:1重量% を90℃で加熱溶融し、溶融スラリ−を40×40×3
0mmの直方体容器中で冷却固化して、直方体状成形体を
製造した。
【0041】成形体5(比較試料C−1) 結晶状スルファミン酸:40重量% 粉砕パラジクロルベンゼン:59重量% 1,2,3ベンゾトリアゾール:1重量% を混合、加圧成形し直径45mm、厚さ20mmの円柱状成
形体を製造した。
【0042】成形体6(比較試料C−2) 粉末コハク酸:55重量% パラジクロルベンゼン:26重量% ポリエチレングリコ−ル#6000:9重量% HLB13〜15の固体非イオン系界面活性剤:9重量
% トリルトリアゾール:1重量% を90℃で加熱溶融し、溶融スラリ−を50×50×2
0mmの直方体容器中で冷却固化して、直方体状成形体を
製造した。
【0043】成形体7(比較試料C−3) アジピン酸:32重量% リンゴ酸 : 8重量% パラジクロルベンゼン:31重量% エチレンオキサイド・プロピオンオキシド共重合体:1
4重量% ポリエチレングリコ−ル#1000:14重量% アルキルチオ尿素系腐蝕防止剤:1重量% を90℃で加熱溶融し、溶融スラリ−を40×40×3
0mmの直方体容器中で冷却固化して、直方体状成形体を
製造した。
【0044】成形体8(比較試料C−4) 市販の殺菌剤および非イオン系界面活性剤を有効成分と
する、消臭、スケ−ル防止剤。
【0045】2)試験溶解器 試験溶解器は、上部に3×20mmのスリット状の空気流
通孔6ケを有し、便器洗浄水の流れ始めの水が溶解器内
に導入され、所定量の水が導入されると導入が停止し容
器内に設置した成形体の一部を溶解し、配管内の洗浄水
が流れ終わると、溶解器より溶解水が洗浄水配管を通っ
て便器面に流れ出す構造を有する。試験に使用した溶解
器の、成形体溶解のために溶解器に導入される溶解水の
量は、300mlである。
【0046】3)性能評価試験−1 10℃の恒温室内にハイタンク式男子用小便器を設置
し、小便器上部の洗浄水配管途中に溶解器を設置し、そ
の中に成形体1〜7を入れ、洗浄水として10℃の水道
水を20分に1回、3l流した。(実際のトイレとして
の使用は行わない) a)評価項目及び評価方法 評価項目1:1週間に1回、成形体重量残存率を測定し
た。 評価項目2:1週間に1回、便器トラップ中滞留水のp
Hを測定した。 b)評価試験結果 評価試験結果を表1に示す。
【0047】
【表101】
【0048】
【表102】
【0049】4)性能評価試験−2 以下に示す方法で、冬季の4ケ月間(12月〜3 月) 実ト
イレでの性能評価試験を行った。
【0050】a) 成形体の設置方法 成形体1〜8(試験試料T−1〜T−4、比較試料C−
1〜C−4)をハイタンク式男子用小便器の以下に説明
する箇所に設置した。 設置位置1:ハイタンクから便器までの間の洗浄水配管
の一部に溶解器を取り付け、その中に成形体1〜8を設
置した。 設置位置2:便器目皿上に直接成形体2、3を設置し
た。 設置位置3:ハイタンク内に、満水時に洗浄水に浸漬し
通常は空気と接触する状態で成形体1、2を設置した。
【0051】b) 試験方法 試験は、1週間に1回次のc)項の1〜4及び6項につ
いて測定し、5項目は4ヶ月後に測定した。また、測定
時に70%以上消耗している成形体は、新しい成形体と
交換した。
【0052】c)評価及び評価方法 評価項目1:便器トラップ中滞留水のpH 洗浄水使用直後のpHを測定した。 評価項目2:便器面付着水のpH 洗浄水使用直後の便器面に付着している洗浄水のpHを
測定した。 評価項目3:便器面汚染 便器面の汚染状態を肉眼観察により測定した。 評価項目4:臭気 便器より発生する臭気を感応検査により測定した。 評価項目5:便器トラップ中スケ−ル付着量 便器トラップ中に直径25mm、長さ70mmの円筒形ステ
ンレス金網を入れておき、4ヶ月後の重量増加を測定し
た。 評価項目6:成形体有効期間 成形体の70重量%消耗までの期間を測定した。
【0053】d)評価試験結果 評価試験結果を表2に示す。
【0054】
【表201】
【0054】
【表202】
【0055】
【発明の効果】本発明において、有効成分固体酸と成形
基剤との混合物の成形体を、便器洗浄水配管途中に設置
した溶解器内に設置する、便器防汚・脱臭方法は、前記
評価試験結果の表1及び表2に示す如く、便器トラップ
中滞留水のpHを酸性に維持できるため、便器トラップ
中でのスケ−ル生成防止および便器からの悪臭発生が防
止されると同時に、pHが酸性の洗浄水が便器面を流れ
ることにより、便器面の汚染も防止される。特に固体酸
の含有量が70〜90重量%の成形体を使用する場合は
薬剤の溶解速度の遅くなる冬季においても、薬剤の溶解
を抑制する昇華性物質の含有量の減少による薬剤溶解速
度の促進と固体酸の含有量の増加による固体酸溶解量の
増加の相乗効果により、固体酸含有量が70%未満の成
形体を使用する場合よりも便器の防汚・脱臭効果が十分
に発揮される。本発明は、特に冬季、寒冷地等での低温
時用として使用される便器面の汚染防止、便器トラップ
中のスケ−ル生成防止及び便器からの悪臭発生を効率的
に防止する方法を提供するものであり、その公衆衛生
的、また、産業的意義は極めて大きい。(以下余白)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体酸を有効成分とし、固体酸70〜90
    重量%と昇華性物質を含む成形基剤10〜30重量%か
    らなる成形体を、便器洗浄水配管の途中に設置した溶解
    器中で溶解し、溶解水を便器面及び便器トラップ中に流
    下することを特徴とする便器防汚・脱臭方法
  2. 【請求項2】成形基剤が、昇華性物質と水溶性高分子及
    び/又は界面活性剤とからなり、昇華性物質を成形基剤
    中に40重量%〜100重量%含有する請求項1記載の
    便器防汚・脱臭方法
  3. 【請求項3】昇華性物質が、パラジクロルベンゼンであ
    る請求項1又は請求項2記載の便器防汚・脱臭方法
  4. 【請求項4】溶解器が、洗浄水使用時に洗浄水の一部が
    溶解器内に流入して成形体成分を溶解し、洗浄水が流れ
    終わった後、成形体成分を溶解した溶解水が洗浄水配管
    に流れる構造を有し、かつ溶解器内と外部との空気流通
    のための空孔を有する請求項1〜請求項3記載の便器防
    汚・脱臭方法
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011116902A (ja) * 2009-12-04 2011-06-16 Dow Corning Toray Co Ltd 無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、それを含有してなる化粧料原料および化粧料
JP2012106234A (ja) * 2010-10-21 2012-06-07 Nippon Soda Co Ltd 尿石防止剤

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011116902A (ja) * 2009-12-04 2011-06-16 Dow Corning Toray Co Ltd 無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、それを含有してなる化粧料原料および化粧料
US8877886B2 (en) 2009-12-04 2014-11-04 Dow Corning Toray Co., Ltd. Production method of deodorized polyoxyalkylene-modified polysiloxane composition
JP2012106234A (ja) * 2010-10-21 2012-06-07 Nippon Soda Co Ltd 尿石防止剤

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