JP4387666B2 - 節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車、バス、飛行機、船舶等に設置されている節水式トイレに使用される節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法に関する。更に詳しくは、汚物洗浄用タンクに貯留した洗浄水を汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込む洗浄式トイレ又は洗浄水を極力使用せずに減圧装置により汚物を汚物貯蔵用タンクに吸引する真空吸引式トイレに適する節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、列車、バス、飛行機、船舶等等に設置されているような節水式のトイレには、汚物貯蔵用タンク内の上澄み水を循環させて汚物の洗浄水として繰返し使用する循環式トイレと、汚物洗浄用タンクに貯留した洗浄水を汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込む洗浄式トイレと、洗浄水を極力使用せずに減圧装置により汚物を汚物貯蔵用タンクに吸引する真空吸引式トイレとがある。
このうち、洗浄式トイレの洗浄水に水のみを用いた場合、汚物貯蔵用タンクからの悪臭を防ぐことができず、トイレの使用時に不快に感じることが多いため、洗浄水や汚物貯蔵タンク内に抗菌防臭機能を有する処理剤を予め投入して、防腐、消臭等を行っている。
【0003】
また真空吸引式トイレにおいては、汚物貯蔵タンク内を負圧に保つことにより悪臭の発生を防止しているが、トンネル内を通過する際など、気圧の変動により汚物貯蔵タンク内の負圧が瞬間的に維持できなくなり、悪臭が発生してしまう問題があり、汚物貯蔵タンク内に抗菌防臭機能を有する処理剤を予め投入して防腐、消臭等を行っている場合が多い。
【0004】
このような汚物貯蔵用タンク内の汚物の腐敗防止に使用されている抗菌防臭処理剤には、少量の投与で24時間〜72時間程度の安定した腐敗防止効果が要求される。そのため、従来の処理剤には主要な抗菌成分として2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(HO-CH2-CBr(NO2)-CH2-OH)等のハロゲン系や5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系等、少量で安定して非常に高い抗菌性能を発揮できる抗菌製剤が使用されてきた。
2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールを用いた処理剤としては、抗菌剤に2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールを使用し、12-ヒドロキシステアリン酸及びセチルピリジニウムクロライドからなる溶解調節基剤とを含有した抗菌剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしハロゲン系やイソチアゾリン系の抗菌製剤は少量で非常に強い抗菌力が期待できる反面、皮膚や粘膜に対する刺激性が強く、作業する人員に対する安全性が最優先で重視される昨今、人体への影響が強く懸念され、取扱いが難しい処理剤は敬遠される傾向にある。また、上記抗菌製剤は化学的構造が極めて安定しているので自然分解され難く、少量の投与でも汚物回収後において分解されずに残存してしまう可能性があり、活性汚泥槽等の排水処理施設に悪影響を及ぼすおそれがあった。更に、ハロゲン系の抗菌製剤については処理残渣等を焼却処分した場合に、ダイオキシン等の発ガン物質が発生する可能性もあり、環境汚染が懸念される。
【0005】
また、人体や処理施設への安全性を考慮して、皮膚消毒等にも使用され、人体への悪影響が少ない塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩を抗菌成分に使用した処理剤も開発されている。
しかし第4級アンモニウム塩は、その構造上抗菌作用に有効な作用基の数が少ないため、汚物等の有機物と接触すると、作用基がたちまち有機物と結合してしまうことで急速に抗菌力が低下し、投与する量を高濃度にしても効果が安定して持続できないという問題があった。また、これらの処理剤は反応性が高いため、ある程度の高濃度で投与するとタンク等に使用されている金属等の材料を腐蝕させるおそれがあった。更に、第4級アンモニウム塩は、石鹸や洗剤等に多く使用されている陰イオン系界面活性剤との相溶性が殆どなく、これらと例え少量でも混在するとたちまち白濁沈殿を生じて失活してしまう問題があった。また起泡性が高いため、使用後に排水した場合に水質を汚濁してしまうことが懸念されていた。
【0006】
このような上記諸問題を解決する技術として、ビグアナイド系殺菌剤、水、グリコール化合物及び活性剤を含むトイレ洗浄水添加剤組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この添加剤組成物を用いることで洗浄水の殺菌、防腐、消臭性能が低下することなく安定に保つことができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−233703号公報
【特許文献2】
特開平7−150194号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献2に示されたビグアナイド系殺菌剤のうち、例示されているグルコン酸クロルヘキシジン等のクロルヘキシジンの塩酸塩やグルコネート等は第4級アンモニウム塩、特に塩化ベンザルユニウム([C12H25-N(-CH3)(-CH2-C6H5)]+Cl-)との相溶性がなく、塩化ベンザルユニウムと混在すると白濁の沈殿が発生し、失活してしまう問題があった。既に普及している第4級アンモニウム塩を使用した抗菌防腐処理剤と併用することができないため、列車、バス、飛行機、船舶等、複数の場所において清掃メンテナンスを受ける場合が多い移動体に設置された節水式トイレでは、抗菌防腐処理剤の投入について一元的な管理を行うことが難しいため、安心して使用できない問題があった。
【0009】
本発明の目的は、列車、バス、飛行機、船舶等に設置されている節水式トイレの汚物貯蔵用タンク内に貯留された汚物の腐敗進行を長時間にわたって安定的に抑制し、悪臭の発生を防止する、節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、汚物負荷量に合わせて抗菌防臭効果を失活させて汚物を回収した後に送られる排水処理施設に悪影響を与えない、節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、抗菌防臭効果が残存した場合には陰イオン系界面活性剤の適量投与等により失活処理が可能な節水式トイレ用抗菌防臭処理剤及び該処理剤を用いた抗菌防臭処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなる節水式トイレ用抗菌防臭処理剤の改良であり、その特徴ある構成は、抗菌成分としてポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(以下、PHMBという。)を2重量%〜10重量%含み、界面活性成分として陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主として1重量%〜50重量%含み、抗菌成分と界面活性成分の重量比率が1:5〜5:1の範囲にあるところにある。
請求項1に係る発明では、抗菌成分の主成分であるPHMBは、遊泳用プールにおける抗菌剤として長年の使用実績があり、第4級アンモニウム塩や他のビグアナイド系化合物に比べて非常に低毒性で安全性が高く、温度やpHに安定であり、多様な種類の微生物に対して抗菌作用を発揮することから汚物貯蔵用タンクにおいて優れた腐敗防止及び消臭効果が継続的に得られ、トイレを形成する材料に対する腐蝕性が低い。また他のビグアナイド系化合物との相溶性の低い第4級アンモニウム塩、特に塩化ベンザルユニウムとの相溶性を有するため、これら第4級アンモニウム塩や他のビグアナイド系化合物を使用した抗菌防腐処理剤と併用しても抗菌防腐効果の失活は起こらない。また非イオン系界面活性剤が含まれる場合には陰イオン系界面活性剤とも所定の濃度範囲で相溶性があり、配合処方の自由度が高い。更に非発泡性であることから使用後の排水において環境負荷が低い等の様々な特徴を有する。このPHMBと界面活性成分とを上記割合で組合わせた本発明の抗菌防臭処理剤は、列車、バス、飛行機、船舶等に設置されている節水式トイレに使用する抗菌防臭処理剤として最適な効果が期待できる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、処理剤全体重量に対して1重量%〜40重量%の割合で植物抽出液を更に含む節水式トイレ用抗菌防臭処理剤である。
請求項2に係る発明では、植物抽出液を更に含むことで処理剤に更なる消臭作用を持たせることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、界面活性成分に非イオン系界面活性剤を含むとき、PHMBの重量に対して等量未満の割合で、界面活性成分に更に陰イオン系界面活性剤を含む節水式トイレ用抗菌防臭処理剤である。
請求項3に係る発明では、陰イオン系界面活性剤を少量含有させることで処理剤に洗浄効果を付与することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクが設置され、汚物洗浄用タンク内に請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵し、用便時に希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込むことを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項5に係る発明は、節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、汚物洗浄用タンクに水を、汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に水を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込み、汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項6に係る発明は、節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、汚物洗浄用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第1希釈液を、汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により第1希釈液と同一又は異なる濃度に希釈した第2希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に第1希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込み、汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を第1希釈液及び汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第2希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
【0014】
請求項7に係る発明は、節水式トイレに汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、処理剤タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を、水タンクに水をそれぞれ貯蔵し、用便時に処理剤及び水を所定の割合で流して処理剤を所定濃度に希釈して希釈液とし、希釈液を汚物の洗浄液として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込むことを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項8に係る発明は、節水式トイレに汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、処理剤タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を、水タンクに水を、汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第3希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に処理剤及び水を所定の割合で流して処理剤を所定濃度に希釈して第4希釈液とし、第4希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込み、汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を第4希釈液及び汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第3希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
【0015】
請求項9に係る発明は、節水式トイレに減圧装置、洗浄水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵し、用便時に洗浄水タンクより供給された少量の水とともに減圧装置によって汚物貯蔵タンクに汚物を吸引し、汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項4〜9に係る発明では、汚物貯蔵用タンク内に貯蔵された汚物が所定の負荷量に到達するまで、腐敗を防止でき、悪臭の発生も抑制できる。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項4ないし9いずれか1項に係る発明であって、汚物貯蔵用タンク内に汚物とともに流し込む希釈液又は汚物タンク内に貯蔵された希釈液のどちらか一方又はその双方に含まれる抗菌防臭処理剤の濃度が汚物貯蔵用タンク内に所定時間貯蔵され、その時間に伴って所定の汚物が流入された汚物負荷量により抗菌防臭効果が失活するように決められた節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項10に係る発明では、汚物負荷量に合わせて抗菌効果を失活させるように処理剤を所定の割合に調製することで、従来の処理剤の問題点であった汚物を回収した後に送られる排水処理施設への影響を防止できる。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項4ないし10いずれか1項に係る発明であって、汚物を汚物貯蔵用タンクから排出させる際に、汚物に残存した抗菌成分を所定の処理により完全に失活させることが可能な節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項11に係る発明では、抗菌効果が排水時に残存した場合には適量(PHMBの残存量に対して等量以上)の陰イオン系界面活性剤の投与により容易に失活処理することが可能であり、排水処理施設への影響を完全に回避することができる。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項4ないし11いずれか1項に係る発明であって、希釈液が抗菌防臭処理剤を水により重量割合で50倍〜500倍に希釈して調製された節水式トイレの抗菌防臭処理方法である。
請求項13に係る発明は、請求項4ないし12いずれか1項に記載の処理方法に用いられる節水式トイレ用抗菌防臭処理剤である。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
本発明の節水式トイレ用抗菌防臭処理剤は、ビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液の改良である。その特徴ある構成は、抗菌成分にはPHMBが用いられ、処理剤全体重量に対して2重量%〜10重量%の割合で含まれる。2重量%未満では十分な抗菌効果が得られず、10重量%を越えると処理剤の粘性が高くなるとともに、それ以上含有しても本目的における抗菌防腐効果の向上は期待できず、コスト的に無駄が生じる。PHMBは、次の式(1)で表され、低毒性で皮膚や粘膜に対する刺激性もハロゲン系やイソチアゾリン系の抗菌製剤と比べてはるかに小さく、遊泳用プールの抗菌剤として長年の使用実績がある等、人体への影響が極めて少ない安全な成分である。
【0020】
【化1】
【0021】
またPHMBは、第4級アンモニウム塩や他のビグアナイド系化合物に比べて抗菌防腐効果に有効な作用基の数が多く、汚物等の有機物との接触による失活が起こりにくいため、腐敗防止及び消臭効果が長期間持続し、更にトイレを形成する材料に対する腐食性も少なく、低起泡性であるため水質汚濁の心配がない。また第4級アンモニウム塩等の相溶性の低い抗菌成分や、非イオン系界面活性剤との共存下において等量未満の陰イオン系界面活性剤との相溶性に問題がなく、これらを使用した抗菌防腐処理剤との併用が可能である場合が考えられる。PHMBはハロゲン系やイソチアゾリン系と比較して投与する量によって抗菌力の持続性をある程度調節し易い。そのため汚物負荷量に合わせて抗菌効果を失活させるように処理剤を所定の割合に調製することで、従来の処理剤の問題点であった汚物を回収した後に送られる排水処理施設への影響を防止できる。ここで汚物負荷量とは、汚物貯蔵タンクに流入される汚物量である。汚物の流入量が大きい場合、短い時間しか抗菌効果が保持できず、汚物の流入量が小さい場合、抗菌効果が長い時間持続する。更に、抗菌効果が排水時に残存した場合には適量(PHMBの残存量に対して等量以上)の陰イオン系界面活性剤の投与により容易に失活処理することが可能であり、排水処理施設への影響を完全に回避することができる。
【0022】
界面活性成分は陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主成分とし、処理剤全体重量に対して1重量%〜50重量%の割合で含まれる。界面活性成分として陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主成分とするのは、抗菌力を安定させるためである。1重量%未満では十分な抗菌効果が得られず、50重量%を越えると処理剤の粘性が高くなる不具合が生じる。好ましくは5重量%〜30重量%である。より好ましくは10重量%〜20重量%である。陽イオン系、非イオン系、両性系のものであれば本発明の抗菌防臭処理剤に問題なく使用することか可能であるが、ポリオキシアルキレンエーテル等の低起泡性のものがより好適である。具体的には、陽イオン系界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、塩化ポリオキシプロピレン、ジエチルメチルアンモニウム及び塩化ジメチルジアリルアンモニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヤシ脂肪酸ジエタノールアマイド及びノニルフェノールエトキシレートからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が、両性系界面活性剤としては、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタインやラウリルアミノ酢酸ベタイン等の化合物が挙げられる。
【0023】
また、界面活性成分に非イオン系界面活性剤を含むとき、PHMBの重量に対して等量未満の割合で更に陰イオン系界面活性剤を含むことができる。等量以上では、陰イオン系の界面活性剤はPHMBと反応を起こして沈殿を生じる不具合が生じる。
陰イオン系界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルコールエーテルサルフェート塩等が挙げられる。陰イオン系界面活性剤を含有させるのは洗浄効果を付与するためである。
【0024】
本発明の抗菌防臭処理剤は抗菌成分と界面活性成分の重量比率が1:5〜5:1の範囲となるように調製される。この範囲内に規定したのは、重量比率が上記範囲外では処理剤の粘性が高くなり取扱い難くなるからである。
【0025】
また本発明の抗菌防臭処理剤の全体重量に対して1重量%〜40重量%の割合で植物抽出液を更に含むことで処理剤に更なる消臭作用を持たせることができる。植物抽出液を5重量%〜20重量%の割合で含有することが好ましい。植物抽出液としては、クローバエキス、ユーカリエキス、イトスギエキス及び松葉エキスからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が挙げられる。なお、植物抽出液として柿エキス等の特定ポリフェノール高分子系成分が含まれる一部のものはPHMBと反応して沈殿を生じてしまうため、使用を控えることが望ましい。
【0026】
次に本発明の節水式トイレの抗菌防臭処理方法を説明する。
本発明の第1の処理方法に適した節水式トイレには、汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置される。この汚物洗浄用タンク内に前述した本発明の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵する。そして用便時にこの希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込むことで汚物貯蔵用タンク内に貯蔵された汚物は所定の負荷がかかるまで、腐敗を防止でき、悪臭の発生も抑制できる。
本発明の第2の処理方法としては、第1の処理方法に適した節水式トイレに設置した汚物洗浄用タンク内に水を、そして汚物貯蔵用タンク内に前述した本発明の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵する。そして用便時に汚物洗浄用タンクから水を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込む。汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物は、汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により、所定の負荷がかかるまで、腐敗と悪臭の発生を防止することができる。
【0027】
本発明の第3の処理方法としては、第1の処理方法に適した節水式トイレに設置した汚物洗浄用タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第1希釈液を、汚物貯蔵用タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を水により第1希釈液と同一又は異なる濃度に希釈した第2希釈液をそれぞれ貯蔵する。そして用便時に汚物洗浄用タンクに貯蔵した第1希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込む。汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物は、汚物を流し込んだ第1希釈液と、汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第2希釈液により、所定の負荷がかかるまで、腐敗と悪臭の発生を防止することができる。
【0028】
本発明の第4の処理方法に適した節水式トイレには、汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置される。この汚物洗浄用処理剤タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を、水タンクに水をそれぞれ貯蔵する。そして用便時に汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンクより処理剤及び水を所定の割合で流して処理剤を所定濃度に希釈させて希釈液を調製し、この希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込むことで汚物貯蔵用タンク内に貯蔵された汚物は所定の負荷がかかるまで、腐敗を防止でき、悪臭の発生も抑制できる。
本発明の第5の処理方法としては、第4の処理方法に適した節水式トイレに設置した処理剤タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を、水タンクに水を、汚物貯蔵用タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第3希釈液をそれぞれ貯蔵する。そして用便時に処理剤タンク、水タンクより処理剤及び水を所定の割合で流して処理剤を所定濃度に希釈させて第4希釈液を調製し、この第4希釈液を汚物の洗浄水として汚物貯蔵用タンクに汚物とともに流し込む。汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物は、汚物を流し込んだ第4希釈液と、汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第3希釈液により、所定の負荷がかかるまで、腐敗と悪臭の発生を防止することができる。
【0029】
本発明の第6の処理方法に適した節水式トイレには、減圧装置、洗浄水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置される。汚物貯蔵用タンクに本発明の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵する。そして用便時に洗浄水タンクより供給された少量の水とともに減圧装置により汚物を汚物貯蔵タンクに吸引する。汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物は、汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により、所定の負荷がかかるまで、腐敗と悪臭の発生を防止することができる。
【0030】
上記第1〜第6の処理方法に使用される希釈液は抗菌防臭処理剤を水により重量割合で50倍〜500倍に希釈して調製される。好ましい希釈割合は100倍〜250倍である。希釈割合が50倍未満では抗菌防臭効果が高すぎるおそれがあり、汚物を回収して排水処理施設に送る際に、所定の失活処理を行わなければならない可能性が高くなり、手間がかかってしまう。希釈割合が500倍を越えると処理剤の割合が小さすぎ、十分な抗菌防臭効果が得られない。
また、汚物を汚物貯蔵用タンクから排出させる際に、汚物内で十分に失活せず、残存している抗菌成分を所定の処理により完全に失活させることができる。ここでの処理としては、例えば、汚物に対して陰イオン系界面活性剤をPHMB量に対して等量以上添加することで残存する抗菌成分を失活させることができる。
【0031】
上記処理方法に用いられる本発明の抗菌防臭処理剤は、抗菌防臭効果が得られる汚物負荷量を抗菌成分及び界面活性成分の各濃度により任意に調節できる。従って、希釈液に含まれる抗菌防臭処理剤の濃度を汚物貯蔵用タンク内に所定量の汚物が流入された後に抗菌防臭効果が失活するように抗菌成分及び界面活性成分の各濃度を決めることができる。
【0032】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
列車に配置した節水式トイレにおける汚物貯蔵用タンクへの尿や大便の入り方を想定して、汚物貯蔵用タンク内に汚物と抗菌防臭処理剤を水により希釈した希釈液をそれぞれ投与した場合の汚物の腐敗進行状況を以下の試験において検証した。
先ず、抗菌成分としてPHMBの20重量%水溶液(商品名Proxel IB、アビシア社製)を10重量部用意し、PHMBが2重量%、非イオン系界面活性剤としてポリオキシアルキレンエーテルが10重量%及び純水が88重量%の配合割合となるように混合して抗菌防臭処理剤を調製した。次いで、500ml容積の三角フラスコに純水50mlを入れ、これに腐敗汚物を2ml添加しておき、上記調製した処理剤を0.25ml添加した。腐敗汚物は実際の列車用節水式トイレの汚物貯蔵用タンクより採取したものであり、フレッシュな尿や大便だけでは列車トイレで見られるような短時間での汚物の腐敗進行は見られないため、腐敗を進行させる種菌として使用した。
【0033】
次に、列車の運行状況を想定して恒温水槽にて35℃、80rpmで振盪しながらインキュベートした。その際、列車でのトイレ使用状況を想定して10分毎に1.0mlの尿を添加、1時間毎に0.1mlの腐敗汚物を添加する作業をそれぞれ12時間続けた。列車が一日の運転を終えて車庫に入ることを想定して35℃で12時間、恒温水槽にて静置した。この作業を繰返して最長72時間となるまで試験を行った。
腐敗が進行してくるにつれて三角フラスコ中のpHが上昇してくる現象が確認されるため、1時間毎にpHを測定し、pHが8以上になった状況で尿、汚物の添加を中止し、ガス検知管(北川式ガス検知管)によりアンモニアの発生量を測定し、腐敗に伴う悪臭の発生を確認した。またpHが9に近づいた時点で試験を終了させた。
【0034】
<実施例2>
PHMBが4重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが20重量%及び純水が76重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<実施例3>
PHMBが10重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが30重量%及び純水が60重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<実施例4>
PHMBが10重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが2重量%及び純水が88重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<実施例5>
PHMBが2重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが5重量%及び純水が93重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
【0035】
<実施例6>
PHMBが2重量%、陽イオン系界面活性剤としてアルキルアミンオキサイドが10重量%及び純水が88重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<実施例7>
PHMBが5重量%、アルキルアミンオキサイドが5重量%、純水が85重量%及び植物抽出液としてユーカリエキスが5重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<実施例8>
PHMBが10重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが9重量%、陰イオン系界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸が1重量%、純水が60重量%及び植物抽出液としてユーカリエキスが20重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
【0036】
<比較例1>
抗菌成分としてPHMBの代わりに2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(以下、ブロノポールという。)を用いて、ブロノポールが5重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが10重量%及び純水が85重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例2>
PHMBの代わりに40重量%塩化ベンザルコニウム溶液を50重量部用いて、塩化ベンザルコニウムが20重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが30重量%及び純水が50重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例3>
抗菌防臭処理剤を用いない以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例4>
PHMBが1重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが5重量%及び純水が94重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
【0037】
<比較例5>
PHMBが15重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが15重量%及び純水が70重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例6>
PHMBが2重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが12重量%及び純水が86重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例7>
PHMBが10重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが1.7重量%及び純水が88.3重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
<比較例8>
PHMBが2重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが1重量%、アルキルベンゼンスルホン酸が3重量%及び純水が86重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
【0038】
<比較例9>
PHMBの代わりにグルコン酸クロルヘキシジンを用いて、グルコン酸クロルヘキシジンが10重量%、ポリオキシアルキレンエーテルが10重量%及び純水が80重量%の配合割合となるように混合して調製した抗菌防臭処理剤を用いた以外は実施例1と同様にして腐敗進行試験を行った。
【0039】
<比較試験及び評価>
実施例1〜8及び比較例1〜9でそれぞれ調製した抗菌防臭処理剤の配合組成を次の表1に示す。なお、表1中のAはPHMB、Bはブロノポール、Cは塩化ベンザルコニウム、Dはグルコン酸クロルヘキシジン、Eはポリオキシアルキレンエーテル、Fはアルキルアミンオキサイド、Gはアルキルベンゼンスルホン酸をそれぞれ示す。表2にpHが8を越えたときの経過時間と、そのときのNH3発生量を示す。また図1に実施例1〜8及び比較例1〜9の抗菌防臭処理剤を用いた腐敗進行試験における経過時間あたりのpHの推移を示す結果をそれぞれ示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表2及び図1より明らかなように、抗菌成分にブロノポールを使用した比較例1の処理剤は、少量の投与で非常に強く安定した汚物の腐敗防止効果が得られるものの、72時間後でも腐敗の進行は確認されず、アンモニアは検知されなかった。このことから使用後に排出される際にも抗菌成分が残存し、容易に失活処理はできないことから排水処理施設に影響を与えてしまう可能性が懸念される。塩化ベンザルコニウムを使用した比較例2の処理剤は、かなりの高濃度で投与したにもかかわらず、12時間後には腐敗の進行が確認され、18時間後にはpHが8を越えて110ppmものアンモニアが検知されて完全に腐敗した状況であった。このことから安定した腐敗防止効果は得られないことが判る。処理剤を添加しなかった比較例3は、5時間後以降にpHが急激に上昇し、10時間後にはpHが8を越えて完全に腐敗した状況となり、180ppmものアンモニアが検知された。
【0043】
PHMBの投与量が1重量%と少ない比較例4の処理剤は、6時間以降にpHが急激に上昇し、12時間後にはpHが8を越えて完全に腐敗した状況となり、150ppmものアンモニアが検知され、処理剤を添加していない比較例3と同様の傾向がみられた。PHMBの投与量が15重量%と過剰な比較例5の処理剤は、72時間後でも腐敗の進行は確認されず、アンモニアは検知されなかった。この場合には使用後に排出する際に適量(PHMB残存量に対して等量以上)の陰イオン系界面活性剤による失活処理が必要となる。PHMBの投与量が2重量%に対し、ポリオキシアルキレンエーテルが12重量%と界面活性成分の比率が高い比較例6の処理剤は、32時間で50ppmのアンモニアが検知され、同じPHMB投与量である実施例1と比較しても抗菌効果の持続時間が延びることなく、むしろ若干短くなる傾向がみられた。
【0044】
逆にPHMBの投与量が10重量%に対し、ポリオキシアルキレンエーテルが1.7重量%と界面活性成分の比率が低い比較例7の処理剤は、60時間で85ppmのアンモニアが検知され、同じPHMB投与量である実施例3と比較して抗菌効果の持続時間がかなり短くなる傾向がみられた。PHMBの投与量が2重量%に対し、ポリオキシアルキレンエーテルが1重量%、アルキルベンゼンスルホン酸が3重量%投与された比較例8の処理剤は、調製した段階で白濁の沈殿を生じてしまい、10時間で180ppmと処理剤を添加しなかった比較例3とほぼ同様な傾向がみられた。グルコン酸クロルヘキシジンを10重量%使用した比較例9の処理剤は、30時間で30ppmのアンモニアが検知され、塩化アンモニウムを使用した比較例2の処理剤よりも安定した抗菌効果の持続が見られたが、等量のPHMBを投与した実施例3及び4と比較すると抗菌効果の持続時間は半分以下であった。
【0045】
これに対して実施例1〜8の抗菌防臭処理剤は、PHMBの濃度が高くなるにつれて腐敗防止効果の汚物負荷量に対する持続時間が長くなり、実施例1では36時間で30ppm、実施例2では48時間で40ppm、実施例3では72時間後で60ppm、実施例4では72時間で65ppm、実施例5では30時間で40ppm、実施例6では36時間後で32ppm、実施例7では50時間で45ppm、実施例8では72時間で20ppmのアンモニアが検知された。以上の結果から、本発明の実施例1〜8の抗菌防臭処理剤は、安定した腐敗防止効果が確認され、使用される状況に応じて処理剤の組成割合を変動させることにより、トイレ使用時には汚物の腐敗を抑制して悪臭の発生を防止し、使用後排出される際には腐敗が起こって抗菌成分が残存せずに、活性汚泥槽等の排水処理施設に影響を与えないものとすることが可能であることが判った。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明はビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなる節水式トイレ用抗菌防臭処理剤の改良であり、その特徴ある構成は、抗菌成分としてPHMBを2重量%〜10重量%含み、界面活性成分として陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主として1重量%〜50重量%含み、抗菌成分と界面活性成分の重量比率が1:5〜5:1の範囲にあるところにある。
このような配合割合とした抗菌防臭処理剤は列車、バス、飛行機、船舶等に設置されている節水式トイレの汚物貯蔵用タンク内に貯留された汚物の腐敗進行を長時間に渡って安定的に抑制し、悪臭の発生を防止することができる。また使用時間に比例する汚物負荷量に合わせて抗菌防臭効果を失活させることができ、抗菌防臭効果が残存している場合には、適量(PHMB量に対して等量以上)の陰イオン系界面活性剤の投与により失活処理することができるため、汚物が回収した後に送られる排水処理施設に悪影響を与えず、環境負荷の低い製品の提供が可能となるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜8及び比較例1〜9の抗菌防臭処理剤を用いた腐敗進行試験における経過時間あたりのpHの推移を示す図。
Claims (13)
- ビグアナイド系抗菌成分及び界面活性成分を含む水溶液からなる節水式トイレ用抗菌防臭処理剤において、
前記抗菌成分としてポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩を2重量%〜10重量%含み、前記界面活性成分として陽イオン系、非イオン系又は両性系界面活性剤のいずれか1種又は2種以上を主として1重量%〜50重量%含み、
前記抗菌成分と前記界面活性成分の重量比率が1:5〜5:1の範囲にあることを特徴とする節水式トイレ用抗菌防臭処理剤。 - 処理剤全体重量に対して1重量%〜40重量%の割合で植物抽出液を更に含む請求項1記載の節水式トイレ用抗菌防臭処理剤。
- 界面活性成分に非イオン系界面活性剤を含むとき、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩の重量に対して等量未満の割合で、界面活性成分に更に陰イオン系界面活性剤を含む請求項1記載の節水式トイレ用抗菌防臭処理剤。
- 節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクが設置され、前記汚物洗浄用タンク内に請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵し、用便時に前記希釈液を汚物の洗浄水として前記汚物貯蔵用タンクに前記汚物とともに流し込むことを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、前記汚物洗浄用タンクに水を、前記汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に前記水を汚物の洗浄水として前記汚物貯蔵用タンクに前記汚物とともに流し込み、前記汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を前記汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 節水式トイレに汚物洗浄用タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、前記汚物洗浄用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第1希釈液を、前記汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により前記第1希釈液と同一又は異なる濃度に希釈した第2希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に前記第1希釈液を汚物の洗浄水として前記汚物貯蔵用タンクに前記汚物とともに流し込み、前記汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を前記第1希釈液及び前記汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第2希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 節水式トイレに汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、前記処理剤タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を、前記水タンクに水をそれぞれ貯蔵し、用便時に前記処理剤及び前記水を所定の割合で流して前記処理剤を所定濃度に希釈して希釈液とし、前記希釈液を汚物の洗浄液として前記汚物貯蔵用タンクに前記汚物とともに流し込むことを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 節水式トイレに汚物洗浄用処理剤タンク、汚物洗浄用水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、前記処理剤タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を、前記水タンクに水を、前記汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した第3希釈液をそれぞれ貯蔵し、用便時に前記処理剤及び前記水を所定の割合で流して前記処理剤を所定濃度に希釈して第4希釈液とし、前記第4希釈液を汚物の洗浄水として前記汚物貯蔵用タンクに前記汚物とともに流し込み、前記汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を前記第4希釈液及び前記汚物貯蔵用タンクに貯蔵した第3希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 節水式トイレに減圧装置、洗浄水タンク及び汚物貯蔵用タンクがそれぞれ設置され、前記汚物貯蔵用タンクに請求項1ないし3いずれか1項に記載の抗菌防臭処理剤を水により所定濃度に希釈した希釈液を貯蔵し、用便時に前記洗浄水タンクより供給された少量の水とともに前記減圧装置によって前記汚物貯蔵タンクに汚物を吸引し、前記汚物貯蔵用タンクに蓄積された汚物の腐敗と悪臭の発生を前記汚物貯蔵用タンクに貯蔵した希釈液により防止することを特徴とする節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 汚物貯蔵用タンク内に汚物とともに流し込む希釈液又は汚物タンク内に貯蔵された希釈液のどちらか一方又はその双方に含まれる抗菌防臭処理剤の濃度が前記汚物貯蔵用タンク内に所定時間貯蔵され、その時間に伴って所定の汚物が流入された汚物負荷量により抗菌防臭効果が失活するように決められた請求項4ないし9いずれか1項に記載の節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 汚物を汚物貯蔵用タンクから排出させる際に、前記汚物に残存した抗菌成分を所定の処理により完全に失活させることが可能な請求項4ないし10いずれか1項に記載の節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 希釈液が抗菌防臭処理剤を水により重量割合で50倍〜500倍に希釈して調製された請求項4ないし11いずれか1項に記載の節水式トイレの抗菌防臭処理方法。
- 請求項4ないし12いずれか1項に記載の処理方法に用いられる節水式トイレ用抗菌防臭処理剤。
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