JPH1192350A - 歯のコーティング剤組成物 - Google Patents

歯のコーティング剤組成物

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JPH1192350A
JPH1192350A JP9255026A JP25502697A JPH1192350A JP H1192350 A JPH1192350 A JP H1192350A JP 9255026 A JP9255026 A JP 9255026A JP 25502697 A JP25502697 A JP 25502697A JP H1192350 A JPH1192350 A JP H1192350A
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敦 山岸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲食によっては容易に剥離せず、かつ必要な
場合には容易に除去でき、更に安全性に問題がない歯の
コーティング剤組成物の提供。 【解決手段】 分子内に1個以上のカルボキシル基又は
カルボニルオキシカルボニル基を有し、重量平均分子量
1万〜100万であり、20℃の無水エタノール100
gに対する溶解度が1g以上であり20℃の水100g
に対する溶解度が10g以下であるポリマー(A)と水
又は/及び低級アルコールとを含有する歯のコーティン
グ剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯のコーティング、
特につやや色の良好な歯のマニキュア用に用いる組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】手や足の爪に化粧を施すマニキュア又は
ペディキュアは従来より女性の間で盛んに行われている
が、近年歯に化粧を施すことが流行しつつある。歯への
化粧は一般に、染料又は顔料を含んだ組成物を歯に付着
させることにより行われる。
【0003】ところで歯に組成物を付着させる技術とし
ては例えば歯科用の接着剤等が知られている。これはモ
ノマー等を歯に塗布し、紫外線照明又は加熱等により、
短時間で重合させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記歯科用の接着剤は
その性質上、長期間歯から剥離しないように付着強度を
大きくしている。一方歯の化粧については、飲食によっ
ては容易に剥離しないが、必要な場合には容易に除去で
きるよう付着強度が適切なものでなければならない。し
かしながら上記歯科用の接着剤は紫外線等を用いて短時
間で重合させることから付着強度や塗布の程度をコント
ロールすることは困難である。
【0005】また前記モノマーは安全性の点で問題があ
るものがあり、個人が自由に家庭等において歯の化粧に
用いるには適切でない場合が多い。
【0006】更に、歯科用接着剤を用いて歯をコーティ
ングしてもつや、色調等の点で満足できる被膜は得られ
なかった。
【0007】したがって本発明は、飲食によっては容易
に剥離しないが、必要な場合には容易に除去できるよう
付着強度が適切なものであり、また安全性が高く、良好
なつやを有する被膜を得ることのできる歯のコーティン
グ剤組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実状に
鑑み鋭意研究した結果、水とエタノールに対して特定の
溶解性を有する、カルボキシル基等含有被膜形成性ポリ
マーと水又は/及び低級アルコールとを配合した歯のコ
ーティング剤組成物が、適切な付着強度を有し、歯につ
や等の美しさを付与し、かつ安全性にも優れていること
を見出し本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、分子内に1個以上の
カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基(-C
OOCO-)を有し、重量平均分子量1万〜100万であ
り、20℃の無水エタノール100gに対する溶解度が
1g以上であり20℃の水100gに対する溶解度が1
0g以下であるポリマー(A)と水又は/及び低級アル
コールとを含有することを特徴とする歯のコーティング
剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の歯のコーティング剤組成
物に用いられるポリマー(A)は、分子内に1個以上の
カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有
し、被膜形成性を有し、前記の分子量、水及び無水エタ
ノールに対する溶解性を有するものであれば特に制限さ
れないが、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボ
ニル基を1個以上有する重合性不飽和単量体(a)の単
独重合体、又は該重合性不飽和単量体(a)とこれらの
官能基を有さない重合性不飽和単量体(b)との共重合
体であるのが好ましい。
【0011】このような重合性不飽和単量体(a)とし
ては、次式(1)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R1 及びR2 は同一又は異なって
水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子が置換してい
てもよい炭化水素基を示し、R3 及びR4 は同一又は異
なって少なくとも一方が有機基を介してカルボキシル基
若しくはカルボニルオキシカルボニル基が置換した基又
はカルボキシル基を示し、残余が水素原子、ハロゲン原
子、又はハロゲン原子が置換していてもよい炭化水素基
を示すか、R3 とR4 が一緒になってカルボニルオキシ
カルボニル基を形成してもよい。)で表される単量体が
挙げられる。
【0014】かかる重合性不飽和単量体(a)のうち、
より好ましくは、次式(2)
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R5 は水素原子又はメチル基を示
し、Xは-COO-又は-CON(R6)-(ここでR6 は水素原子又
はアルキル基を示す)を示し、A1は単結合又はハロゲ
ン原子が置換していてもよい炭化水素基を示し、B
1は、単結合、-OCO-、-COO-、-O-、-NHCO-又は-CONH-を
示すか、AとBが一緒になってポリアルキレンオキシ基
又はポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基を示しても
よく、Yは水素原子、カルボキシル基、1〜3個のカル
ボキシル基が置換したアリール基、1若しくは2個のカ
ルボキシル基が置換したアルキル若しくはアルケニル
基、又はカルボニルオキシカルボニル置換アリール基を
示す)で表される単量体が挙げられる。
【0017】上記式(2)中、Xとしては-COO-がより
好ましい。また、A1としては単結合又は炭素数1〜2
0の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基がより好まし
く、B1としては単結合又は-OCO-がより好ましい。ま
た、A1とB1が一緒になってポリ(アルキレンオキシ)
カルボニル基を示す場合も好ましい。更に、Yとして
は、水素原子、1〜3個のカルボキシル基が置換したフ
ェニル又はナフチル基、1又は2個のカルボキシル基が
置換した炭素数1〜4のアルキル又はアルケニル基、ナ
フタレンジカルボン酸無水物残基、フタル酸無水物残基
がより好ましい。
【0018】また、重合性不飽和単量体(a)の例とし
ては、次式(3)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、R7 及びR8 は同一又は異なって
単結合又は置換基を有していてもよい有機基を示す)で
表される単量体もまた好ましい。
【0021】上記式(3)中、R7 及びR8 は、同一又
は異なって単結合又はアルキレン基が特に好ましい。
【0022】また、これらの重合性不飽和単量体(a)
と共重合し得る単量体(b)としては、前記カルボキシ
ル基及びカルボニルオキシカルボニル基以外の官能基を
有していてもよい単量体が挙げられる。ここで、カルボ
キシル基及びカルボニルオキシカルボニル基以外の官能
基としては、リン酸、スルホン酸、ホスホン酸及びホス
フィン酸残基から選ばれる1又は2以上の基が挙げられ
る。また、他の単量体(b)としては、かかるリン酸、
スルホン酸、ホスホン酸又はホスフィン酸残基を有する
単量体以外に、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メ
タ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ド
デシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエス
テル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールエトキ
シレート、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、
(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アク
リル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒ
ドロフルフリル、ジメチルアクリルアミド、N−〔3−
(ジメチルアミノ)プロピル〕アクリルアミド、ダイア
セトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル、酢酸ビニル(ビニルアセテート)、プロピオン酸
ビニル、酪酸ビニル、ビバリン酸ビニル、カプロン酸ビ
ニル、オクチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パ
ルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ネオデカン酸
ビニル、スチレン、2−メチルスチレン、α−メチルス
チレンダイマー、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリ
ジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニルマレ
イミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−
ラウリンマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの
1種または2種以上を用いることもできる。また、スル
ホン酸残基を有するモノマーとしては、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸ナトリウム等が挙げられる。これら単量体(b)は
モノマー全体の2〜10%程度が好ましい。
【0023】本発明において特に好ましいポリマー
(A)は、分子内に1個以上のカルボキシル基又はカル
ボニルオキシカルボニル基と、1個以上のリン酸、スル
ホン酸、ホスホン酸又はホスフィン酸とを有するポリマ
ーが好ましい。
【0024】ポリマー(A)の重量平均分子量は、1万
〜100万であるが、より好ましくは1.5万〜50
万、特に好ましくは2万〜20万である。重量平均分子
量が1万未満であると歯に形成される被膜の強度が低く
耐久性が十分でなく、100万より大きいと溶媒に溶け
にくくなり、製剤化し難くなる。
【0025】また、該ポリマー(A)の特性としては、
20℃の無水エタノール100gに対する溶解度が1g
以上であり、20℃の水100gに対する溶解度が10
g以下であることが必要である。エタノールに対する溶
解度が1g未満ではコーティング剤としての製剤化が困
難であり、水に対する溶解度が10gを超えると耐水性
が低く、被膜の耐久性が十分でない。エタノールに対す
る溶解度は1g以上であればその上限はなく、また水に
対する溶解性は10g以下である限り水不溶性であって
もよい。なお、ポリマーのエタノールに対する溶解性
は、エタノール100gにポリマー10gを加え20℃
で1時間攪拌する。その後残留したポリマーを濾別し重
量を測定しその差分から溶解量を求める。ポリマーのカ
ルシウム塩のエタノールに対する溶解性は、上記の方法
で調製したポリマー溶液に、ポリマーのカルボキシル基
やリン酸基に対し等モルの塩化カルシウムを加える。そ
の後20℃にて1時間攪拌後、沈殿してきたポリマーを
濾別し重量を測定しその差分から溶解量を求める。
【0026】またポリマー(A)は、そのカルシウム塩
の20℃の水100gに対する溶解度が2g以下であり
20℃の無水エタノール100gに対する溶解度が1g
以上であるのが好ましい。本発明の歯のコーティング剤
を歯に適用すると、ポリマー(A)は口腔内では歯の表
面や唾液中のカルシウムと反応し、塩を形成する。従っ
て、たとえ10g以下の水に溶けるポリマーでもカルシ
ウムと塩形成して水溶性が低下し耐水性が向上すれば、
口腔内での耐久性が向上するので好ましい。このカルシ
ウム塩の20℃の水100gに対するより好ましい溶解
度は0.5g以下であり、20℃の無水エタノールに対
するより好ましい溶解度は2g以上である。このような
溶解度特性を有することにより、本発明コーティング剤
に適度な耐久性と除去しようとした時の除去性を付与で
きる。
【0027】また、ポリマー(A)の酸価は、0.1以
上、特に0.1〜700であることが、歯に対する接着
性及び被膜の耐久性の点から好ましい。また、ポリマー
(A)が、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボ
ニル基以外に、リン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はホ
スフィン酸を有する場合、そのリン含量は0.1〜50
モル%、特に0.5〜25モル%が好ましい。
【0028】また、ポリマー(A)は、本発明の歯のコ
ーティング剤組成物中に、1〜70重量%、特に5〜4
0重量%配合するのが好ましい。
【0029】また、本発明の歯のコーティング剤組成物
は、前記ポリマー(A)に水又は低級アルコールを配合
して分散液とする。ここで、低級アルコールとは、C1
〜C5の直鎖又は分岐鎖の飽和アルコールであり、なか
でもエタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、
エタノールが特に好ましい。また、水及び低級アルコー
ルから選ばれる2種以上を組合わせて用いることもでき
る。水又は低級アルコールは、全組成中に30〜98重
量%、特に50〜95重量%配合するのが好ましい。
【0030】また、本発明の歯のコーティング剤組成物
には、歯に審美性及び光沢(つや)を付与する目的で、
雲母チタン及び/又は酸化チタンを配合するのが好まし
い。
【0031】本発明の歯のコーティング剤組成物に用い
られる雲母チタンは、審美性及び光沢(つや)の点から
平均粒径1〜200μmのものを用いるのが好ましく、
10〜100μmのものが特に好ましい。また酸化チタ
ンも同様の理由から平均粒径5nm〜5μmのものを用い
るのが好ましく、10nm〜0.5μmのものが特に好ま
しい。雲母チタン及び酸化チタンは、それぞれ単独で使
用してもよいが、併用してもよい。
【0032】かかる雲母チタン及び/又は酸化チタン
は、容易に歯のコーティング剤組成物に均一に分散させ
ることができるため、粉体として添加することが好まし
い。これら粉体の歯のコーティング剤組成物への添加量
は、光沢付与性及び均一な塗布性の点から0.1〜10
重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%で
ある。
【0033】また、ポリマー(A)と雲母チタン及び/
又は酸化チタンとの配合比は光沢付与性及び均一な塗布
性の点から、重量比で1:0.01〜1:1が好まし
い。
【0034】更にこれら粉体以外に魚鱗箔、貝の粉末等
を配合することもできる。
【0035】本発明においては、必要によって更に様々
な粉体を加えることができる、例としてα−石英、シリ
カ、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウ
ム、フルオロアルミノシリケートガラス、硫酸バリウ
ム、ジルコニア、ガラス、超微粒子シリカ及び有機成分
と無機成分を含有する有機複合粉体などを用いることが
できる。また、ポリメチルメタクリレート、メチルメタ
クリレートと架橋性モノマーとの共重合体、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル等のポリマー粉末などが必要に応じ
て添加される。かかるガラスとしては、シリカガラス、
ソーダ石英ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウム
ガラス、ストロンチウムガラス、亜鉛ガラス、ランタン
ガラス、イットリアガラス、バリウムボロアルミノシリ
ケートガラス、アルミナケイ酸ガラス、ストロンチウム
ボロアルミノシリケートガラス、合成シリカ、チタニウ
ムシリケートガラスなどが挙げられる。
【0036】本発明の歯のコーティング剤組成物には、
本発明の効果を損なわない範囲で口腔用に使用できる各
種の公知成分を配合することができる。このような成分
としては、モノフルオルリン酸ナトリウム、フッ化ス
ズ、フッ化ナトリウム等の歯質強化剤;クロルヘキシジ
ン及びその塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウ
ム、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウ
ム、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤;リン酸ナトリウ
ム等のpH調整剤;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロ
テアーゼ、リゾチーム、ムタナーゼ等の酵素剤;塩化ナ
トリウム、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、ト
ラネキサム酸、アラントイン類、トコフェロール類、オ
クチルフタリド、ニコチン酸エステル類、ジヒドロコレ
ステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及び
その塩類、グリセロホスフェート、クロロフィル、水溶
性無機リン酸化合物、アズレン類、カミツレ、センブ
リ、トウキ、センキュウ、その他の生薬類等の抗炎症剤
・血行促進剤;サッカリンナトリウム、ステビオサイ
ド、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチル
エステル等の甘味剤;p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒ
ドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロ
ピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、安息香酸ナトリ
ウム等の防腐剤;二酸化チタン等の着色剤・色素類;ペ
パーミント油、スペアミント油、メントール、カルボ
ン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リ
モネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネロ
ール、α−テルピネオール、メチルアセテート、シトロ
ネリルアセテート、メチルオイゲノール、シネオール、
リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、
アニス油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマ
リー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑
油、丁子油、ユーカリ油等の香料などが挙げられる。
【0037】本発明の歯のコーティング剤組成物は常法
により製造することができる。すなわち、例えば前記ポ
リマー(A)及び溶媒と、必要に応じて前記粉体、及び
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カ
ルボキシビニルポリマー等の増粘剤等を混合することに
より得ることができる。
【0038】本発明の歯のコーティング剤組成物は常法
により歯に塗布し、溶媒成分を蒸発させることにより、
歯に付着させることができる。歯に付着した歯のコーテ
ィング剤組成物はエタノール等を用いて容易に除去する
ことができる。
【0039】本発明の歯のコーティング剤組成物の、歯
に塗布する際の粘度は、2〜500cp、特には5〜20
0cpであることが好ましい。粘度が2cp未満であると、
口中あるいは口外に剤がたれてしまう可能性があり、ま
た500cp以上であると、剤ののびが悪く、歯の表面に
剤を均一に塗布することが困難となる。ここで組成物の
粘度とは、20℃にてB型粘度計にて測定したものであ
る。
【0040】
【実施例】次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0041】実施例1 攪拌機、冷却管、滴下ロート、及び窒素導入管を接続し
た500mlのセパラブルフラスコに、ジメトキシエタン
146.0g、メタクリル酸エチル18.9g、メタク
リル酸i−プロピル21.6g及び4−メタクリロイロ
キシトリメリット酸無水物(下記式(a−1))9.5
gを仕込んだ後、窒素ガスを1.5L/分の流量で30
分間バブリングした。次にこのモノマー溶液を攪拌下湯
浴中で60℃に昇温した後、2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)0.44gをジメトキシ
エタン12.5gに溶解した溶液を滴下ロートに入れ、
モノマー溶液中に30分かけて滴下した。その後60℃
で4時間、75℃で4時間重合させた。次に再沈溶媒に
エタノール/水=2/1(wt比)を5L用い、2回精
製後、60℃で6時間乾燥した。得られたコポリマーの
重量平均分子量(GPC、ポリスチレン換算、以下同
様)は7.2万、酸価は81KOHmg/gであった。
【0042】
【化7】
【0043】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物1を得た。
【0044】実施例2 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−2)
6.0g、メタクリル酸メチル15.0g、メタクリル
酸t−ブチル29.0g、及び2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50gを用
い、実施例1と同様にして、分子量10.4万、酸価3
9のコポリマーを得た。
【0045】
【化8】
【0046】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物2を得た。
【0047】実施例3 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−3)
2.6g、メタクリル酸2−エチルヘキシル20.6
g、メタクリル酸エチル26.8g、及び2,2′−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.45g
を用い、実施例1と同様にして、分子量9.0万、酸価
15のポリマーを得た。
【0048】
【化9】
【0049】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物3を得た。
【0050】実施例4 エタノール146g、メタクリル酸2.1g、下記の化
合物(a−4)6.3g、メタクリル酸エチル41.6
g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)0.49gを用い実施例1と同様にして、分
子量6.8万、酸価63のポリマーを得た。
【0051】
【化10】
【0052】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物4を得た。
【0053】実施例5 ジメトキシエタン146g、イタコン酸3.2g、下記
の化合物(a−5)1.0g、メタクリル酸t−ブチル
45.8g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)0.42gを用い実施例1と同様に
して、分子量7.3万、酸価63のポリマーを得た。
【0054】
【化11】
【0055】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物5を得た。
【0056】実施例6 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−6)
9.6g、メタクリル酸i−プロピル21.6g、メタ
クリル酸エチル18.8g、及び2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.45gを用
い、実施例1と同様にして、分子量7.2万、酸価79
のポリマーを得た。
【0057】
【化12】
【0058】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物6を得た。
【0059】実施例7 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−7)2
3.9g、メタクリル酸エチル9.8g、メタクリル酸
t−ブチル16.3g、及び2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)0.28gを用い、実施
例1と同様にして、分子量12.4万、酸価90のポリ
マーを得た。
【0060】
【化13】
【0061】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物7を得た。
【0062】実施例8 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−8)1
8.1g、メタクリル酸t−ブチル31.9g、及び
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.40gを用い実施例1と同様にして、分子量
4.9万、酸価119のポリマーを得た。
【0063】
【化14】
【0064】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物8を得た。
【0065】実施例9 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−9)1
8.1g、メタクリル酸エチル31.9g、及び2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
0.39gを用い、実施例1と同様にして、分子量8.
5万、酸価160のポリマーを得た。
【0066】
【化15】
【0067】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物9を得た。
【0068】実施例10 エタノール146g、下記の化合物(a−10)12.
7g、メタクリル酸エチル24.5g、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド12.8g、及び2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50gを用
い、実施例1と同様にして、分子量6.3万、酸価94
のポリマーを得た。
【0069】
【化16】
【0070】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物10を得た。
【0071】実施例11 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−11)
21.4g、メタクリル酸エチル19.1g、メタクリ
ル酸t−ブチル9.5g、及び2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50gを用い
実施例1と同様にして、分子量10.4万、酸価105
のポリマーを得た。
【0072】
【化17】
【0073】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物11を得た。
【0074】実施例12 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−12)
22.6g、メタクリル酸エチル12.2g、メタクリ
ル酸t−ブチル15.2g、及び2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.40gを用い
実施例1と同様にして、分子量7.1万、酸価120の
ポリマーを得た。
【0075】
【化18】
【0076】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物12を得た。
【0077】実施例13 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−13)
20.5g、メタクリル酸エチル24.8g、N,N−
ジメチルアクリルアミド4.7g、及び2,2′−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.40gを
用い実施例1と同様にして、分子量8.9万、酸価10
1のポリマーを得た。
【0078】
【化19】
【0079】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物13を得た。
【0080】実施例14 エタノール146g、下記の化合物(a−14)19.
8g、メタクリル酸t−ブチル30.2g、及び2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
0.36gを用い実施例1と同様にして、分子量6.7
万、酸価103のポリマーを得た。
【0081】
【化20】
【0082】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物14を得た。
【0083】実施例15 ジメトキシエタン146g、下記の化合物(a−15)
25.3g、メタクリル酸i−プロピル24.7g、及
び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)0.32gを用い実施例1と同様にして、分子量
5.7万、酸価180のポリマーを得た。
【0084】
【化21】
【0085】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物15を得た。
【0086】実施例16 ジメトキシエタン146g、マレイン酸7.4g、下記
の化合物(a−16)2.4g、メタクリル酸エチル4
0.2g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.51gを用い実施例1と同様にし
て分子量8.0万、酸価142のポリマーを得た。
【0087】
【化22】
【0088】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物16を得た。
【0089】実施例17 ジメトキシエタン146g、実施例2で用いた化合物
(a−2)6.0g、メタクリル酸メチル13.0g、
メタクリル酸t−ブチル29.0g、スチレンスルホン
酸ナトリウム11.5g及び2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)0.50gを用い、実施
例1と同様にして、分子量10.4万、酸価39のコポ
リマーを得た。このポリマー15g、酸化チタン1g、
雲母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコー
ティング組成物17を得た。
【0090】実施例18 エタノール146g、メタクリル酸2.1g、実施例4
で用いた化合物(a−4)6.3g、メタクリル酸エチ
ル40.0g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸2g及び2,2′−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)0.49gを用い実施例1と同
様にして、分子量6.8万、酸価63のポリマーを得
た。このポリマー15g、酸化チタン1g、雲母チタン
1g、エタノール88gとを混合し歯のコーティング組
成物18を得た。
【0091】比較例1 ジメトキシエタン146g、実施例2で用いた化合物
(a−2)6.0g、メタクリル酸メチル15.0g、
メタクリル酸t−ブチル29.0g、1−ドデカンチオ
ール2g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.50gを用い実施例1と同様にし
て、分子量0.8万、酸価35のポリマーを得た。
【0092】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物比較品1を得た。
【0093】比較例2 ジメトキシエタン146g、メタクリル酸エチル23.
0g、メタクリル酸t−ブチル27.0g、及び2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
0.50gを用い実施例1と同様にして、分子量8.9
万、酸価0のポリマーを得た。
【0094】このポリマー15g、酸化チタン1g、雲
母チタン1g、エタノール88gとを混合し歯のコーテ
ィング組成物比較品2を得た。
【0095】試験例1 飲食による剥離性の試験を行った。パネラーを1群7名
ずつにわけ、午前9時に上顎の前歯6本の全面に歯のコ
ーティング剤組成物を塗布し該前歯の写真撮影を行っ
た。午前10時に水200mlを摂取し、午後0時に市販
のハンバーガー1個、市販のフライドチキン1個、レタ
スとトマトのサラダ100g、蒸したジャガイモ1個、
及び市販のウーロン茶200mlを飲食し、さらに午後3
時に水200mlを摂取した。次いで午後6時に該前歯の
写真撮影を行い、午前9時に撮影した写真と比較するこ
とにより、歯のコーティング剤組成物の歯への残存の程
度を以下の基準で判定した。結果を表1に示す。また、
表1中には、用いたポリマー及びそのカルシウム塩の2
0℃における溶媒に対する溶解度も示した。
【0096】評価基準 3点:全く剥離がなかった 2点:歯の先端部のみが剥離した 1点:1/4未満が剥離した 0点:1/4以上が剥離した
【0097】
【表1】
【0098】表1より、本発明の歯のコーティング剤組
成物は、飲食しても剥離し難いことが判明した。
【0099】試験例2 牛歯牙に歯科用接着剤であるパナビアEX((株)クラ
レ製)を、リン酸エッチングの後、常法に従い塗布を行
った。また実施例1〜16の組成物も同様にして牛歯牙
に塗布した。その後、人工唾液(サリベート、帝人製)
に36℃にて24時間浸漬した後、エタノールを含ませ
た脱脂綿にて除去試験を行った。歯科用接着剤はエタノ
ールにより全く除去する事はできなかったが、本発明の
歯のコーティング剤組成物1〜16はいずれもほぼ完全
に除去することができた。
【0100】
【発明の効果】本発明により、飲食によっては容易に剥
離しないが、必要な場合には容易に除去できる適切な付
着強度を有し、かつ安全性に問題がない歯のコーティン
グ剤組成物を得ることができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に1個以上のカルボキシル基又は
    カルボニルオキシカルボニル基を有し、重量平均分子量
    1万〜100万であり、20℃の無水エタノール100
    gに対する溶解度が1g以上であり20℃の水100g
    に対する溶解度が10g以下であるポリマー(A)と水
    又は/及び低級アルコールとを含有することを特徴とす
    る歯のコーティング剤組成物。
  2. 【請求項2】 ポリマー(A)のカルシウム塩の20℃
    の水100gに対する溶解度が2g以下であり20℃の
    無水エタノール100gに対する溶解度が1g以上であ
    る請求項1記載の歯のコーティング剤組成物。
  3. 【請求項3】 ポリマー(A)の酸価が0.1以上であ
    る請求項1又は2記載の歯のコーティング剤組成物。
  4. 【請求項4】 ポリマー(A)が、カルボキシル基又は
    カルボニルオキシカルボニル基を1個以上有する重合性
    不飽和単量体(a)の単独重合体、又は該重合性不飽和
    単量体(a)とこれらの官能基を有さない重合性不飽和
    単量体(b)との共重合体である請求項1〜3のいずれ
    か1項記載の歯のコーティング剤組成物。
  5. 【請求項5】 重合性不飽和単量体(a)が、次式
    (1) 【化1】 (式中、R1 及びR2 は同一又は異なって水素原子、ハ
    ロゲン原子又はハロゲン原子が置換していてもよい炭化
    水素基を示し、R3 及びR4 は同一又は異なって少なく
    とも一方が有機基を介してカルボキシル基若しくはカル
    ボニルオキシカルボニル基が置換した基又はカルボキシ
    ル基を示し、残余が水素原子、ハロゲン原子、又はハロ
    ゲン原子が置換していてもよい炭化水素基を示すか、R
    3 とR4 が一緒になってカルボニルオキシカルボニル基
    を形成してもよい。)で表される単量体である請求項4
    項記載の歯のコーティング剤組成物。
  6. 【請求項6】 重合性不飽和単量体(a)が、次式
    (2) 【化2】 (式中、R5 は水素原子又はメチル基を示し、Xは-COO
    -又は-CON(R6)-(ここでR6 は水素原子又はアルキル基
    を示す)を示し、A1は単結合又はハロゲン原子が置換
    していてもよい炭化水素基を示し、B1は、単結合、-OC
    O-、-COO-、-O-、-NHCO-又は-CONH-を示すか、A1とB1
    が一緒になってポリアルキレンオキシ基又はポリ(アル
    キレンオキシ)カルボニル基を示してもよく、Yは水素
    原子、カルボキシル基、1〜3個のカルボキシル基が置
    換したアリール基、1若しくは2個のカルボキシル基が
    置換したアルキル若しくはアルケニル基、又はカルボニ
    ルオキシカルボニル置換アリール基を示す)で表される
    単量体である請求項4記載の歯のコーティング剤組成
    物。
  7. 【請求項7】 重合性不飽和単量体(a)が、次式
    (3) 【化3】 (式中、R7 及びR8 は同一又は異なって単結合又は置
    換基を有していてもよい有機基を示す)で表される単量
    体である請求項4記載の歯のコーティング剤組成物。
  8. 【請求項8】 ポリマー(A)が、カルボキシル基又は
    カルボニルオキシカルボニル基以外にリン酸、スルホン
    酸、ホスホン酸及びホスフィン酸残基からなる群より選
    ばれる1又は2以上の基を分子内に1個以上有するポリ
    マーである請求項1〜7のいずれかの項記載の歯のコー
    ティング剤組成物。
  9. 【請求項9】 更に、雲母チタン及び/又は酸化チタン
    を含有するものである請求項1〜8のいずれか1項記載
    の歯のコーティング剤組成物。
  10. 【請求項10】 雲母チタンの平均粒径が1μm〜20
    0μmであり、酸化チタンの平均粒径が5nm〜5μmで
    ある請求項9記載の歯のコーティング剤組成物。
  11. 【請求項11】 雲母チタン及び/又は酸化チタンの含
    有量が0.01〜10重量%である請求項1〜10のい
    ずれか1項記載の歯のコーティング剤組成物。
  12. 【請求項12】 ポリマー(A)と雲母チタン及び/又
    は酸化チタンとの配合比が、重量比で1:0.01〜
    1:1である請求項1〜11のいずれか1項記載の歯の
    コーティング剤組成物。
  13. 【請求項13】 組成物の粘度が2〜500cpである請
    求項1〜12のいずれか1項記載の歯のコーティング剤
    組成物。
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