JPH1190391A - 重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法 - Google Patents

重金属含有廃棄物用処理剤及び重金属含有廃棄物の安定化処理法

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JPH1190391A
JPH1190391A JP9271896A JP27189697A JPH1190391A JP H1190391 A JPH1190391 A JP H1190391A JP 9271896 A JP9271896 A JP 9271896A JP 27189697 A JP27189697 A JP 27189697A JP H1190391 A JPH1190391 A JP H1190391A
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Koichi Ikeda
浩一 池田
Wakako Tamura
和佳子 田村
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】重金属含有廃棄物を安定化処理した場合、重金
属イオンの溶出を基準値以下に安定化出来、しかもその
重金属イオン安定化の効果を持続させて完全に2次公害
を防ぐことができる処理剤及び処理方法を提供するこ
と。 【解決手段】水中で燐酸イオンを形成する燐酸化高分子
を含有することを特徴とする重金属含有廃棄物用処理剤
及び該処理剤と重金属含有廃棄物及び必要により水を混
合、混練することを特徴とする重金属含有廃棄物の安定
化処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物並びに
産業廃棄物中に含有される重金属を不溶化し、安定化処
理するのに有効な廃棄物の処理剤、及びその処理法に関
する。更に詳細には、都市ゴミ、産業廃棄物、汚泥等の
焼却炉、及び溶融炉などから発生する焼却灰や飛灰、汚
泥や汚染土壌等の廃棄物に含まれる重金属を不溶化し、
安定化処理するのに有効な廃棄物の処理剤、及びその処
理法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、都市及び工場等から発生する廃棄
物が増大するなか、重金属を含有する廃棄物は、環境対
策上、十分な無害化処理が必要になっている。特に重金
属を含有する飛灰等の一般廃棄物や産業廃棄物は、特別
管理廃棄物としてその処理、処分に際して厳しい規制が
設けられている。
【0003】従来、重金属を含有する廃棄物を処分する
場合には、セメントと混合し、必要により水を添加して
混練し重金属などの溶出を防ぎ安定化する方法が採られ
ている。しかしながら、平成7年度から適用された埋め
立て処理を行う廃棄物からの重金属の溶出量(溶出基準
値)は、最も安定化処理が難しいとされる鉛の場合、環
境庁告示第13号(以下環告13号と称す)に基づく溶
出試験で0.3mg/l以下になるように安定化するこ
とを義務付けているが、セメントのみでこの基準をクリ
ヤーするのは難しい状況にある。
【0004】これは、代表的なセメントである普通ポル
トランドセメントと廃棄物を混合、硬化させる場合を例
にとると、水和過程において生成する水酸化カルシウム
はセメントの硬化を促進する反面、過剰に生成した水酸
化カルシウムが廃棄物とセメントとの混合物のpHを高
め、両性元素である鉛等の重金属イオンの溶解度を増大
させるため、本来セメントが有していると考えられる重
金属安定化効果が大きく損なわれるためであると考えら
れる。
【0005】また更に、硫黄含有キレート剤等によって
薬剤処理して重金属イオンを捕捉し、安定化する事も試
みられておりこれによれば前記溶出基準値以下に安定化
することも可能である。しかしながら、このような薬剤
は高価であるばかりか、安定化処理後の重金属イオンの
保持の持続性が不十分なため、処理直後は充分な重金属
安定化の効果を発現しても、経時的に重金属イオンの溶
出量が増大するといった問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の様に従来の重金
属含有廃棄物用処理剤及び処理法では、溶出基準以下に
重金属イオンを安定化することが困難であるばかりでな
く、安定化ができても、その保持の持続性、耐久性に問
題があり経時的に2次公害が懸念されるのが現状であ
る。
【0007】本発明の目的は、重金属含有廃棄物を安定
化処理する祭、重金属イオンの溶出を基準値以下に安定
化出来、しかもその重金属イオン安定化の効果を持続さ
せて完全に2次公害を防ぐことができる処理剤及び処理
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこうした実
情に鑑み、重金属含有廃棄物を完全に安定化できる処理
剤及び処理法を求めて鋭意検討した結果、高分子化した
燐酸イオンが重金属イオン(多価金属イオン)とイオン
結合を形成する事により、重金属を水に難溶性の燐酸重
金属塩として重金属を安定化することができ、かつ、燐
酸化高分子が重金属イオンを介して高次元構造を形成す
ることにより、強固に重金属を安定化しうるとの発想に
基づき本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、
【0009】(1)水中で燐酸イオンを形成する燐酸化
高分子を含有することを特徴とする重金属含有廃棄物用
処理剤、(2)無機質粉体を含有する上記(1)記載の
処理剤、(3)無機質粉体が水硬性物質、潜在水硬性物
質または珪酸アルミニウム類から選ばれる1種以上であ
る上記(2)記載の処理剤、(4)無機粉体がセメント
類、高炉水砕スラグ、珪酸アルミニウムから選ばれる1
種以上である上記(2)記載の処理剤、(5)処理剤中
の燐酸化高分子の含有量が0.1〜30重量%である上
記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の処理剤、
(6)燐酸化高分子が燐酸化澱粉である上記(1)〜
(5)のいずれか1項に記載の処理剤、(7)燐酸化高
分子が凝集作用を有する上記(1)〜(6)のいずれか
1項に記載の処理剤、(8)重金属含有廃棄物に上記
(1)〜(7)のいずれか1項に記載の処理剤及び必要
に応じて水を加えて、混合、混練することを特徴とする
重金属含有廃棄物の処理法、(9)重金属含有廃棄物に
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の処理剤及び
必要に応じて水を加えて混合、混練した後40℃以上に
加熱することを特徴とする重金属含有廃棄物の処理法、
(10)重金属含有廃棄物がゴミ焼却場の焼却灰、飛
灰、汚泥、汚染土壌、又は、総理府令第5号に定める判
定基準を満足しなければならない金属などを含む産業廃
棄物である上記(8)または(9)に記載の重金属含有
廃棄物の処理法、(11)環告13号に基づく溶出試験
後の溶出液のpHが中性または酸性である重金属含有廃
棄物に上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の処理
剤及び塩基性物質を添加し処理する上記(8)〜(1
0)のいずれか1項に記載の処理法、(12)環告13
号に基づく溶出試験後の溶出液のpHが塩基性である重
金属含有廃棄物に上記(1)〜(7)のいずれか1項に
記載の処理剤及び酸性物質を添加し処理する上記(8)
〜(10)のいずれか1項に記載の処理法、(13)上
記(8)〜(12)のいずれか1項に記載の処理法で得
られた処理物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で必須成分として用いる燐酸化高分子とは、側鎖
に水中で燐酸イオンを形成する燐酸基を有する高分子を
指し、水溶性のもの及び水に不溶性のものも含む。水に
不溶性の燐酸化高分子(例えば、燐酸基を有する架橋さ
れた高分子ゲルのようなもの)は、水に不溶であるが燐
酸イオンを分子表面に有している。
【0011】本発明で用いうる燐酸化高分子の具体例と
しては、ポリスチレンホスホン酸、ポリスチレンメチル
ホスホン酸、ポリビニルアルコール燐酸エステル、2−
アクリロイルオキシエチルホスホン酸と各種ビニル系モ
ノマーとの共重合体、2−メタクロイルオキシエチルホ
スホン酸と各種ビニル系モノマーとの共重合体等の燐酸
化合成高分子類及びこれらの塩類、燐酸化デキストリ
ン、燐酸化澱粉等の燐酸化天然高分子類及びこれらの塩
類を挙げることができ、これらの高分子は一部架橋して
いても良い。これらの燐酸化高分子のうち凝集作用を有
するものが好ましく、燐酸化澱粉が特に好ましい。ま
た、これら燐酸化高分子は2種以上併用しても良い。
【0012】本発明の処理剤は、更に必要により無機質
粉体を含有する。無機質粉体は、その使用する種類や
量、重金属含有廃棄物の種類等によって作用が異なる
が、重金属含有廃棄物と処理剤を均一に混合させるため
の作業性の改善、その固化作用による重金属化合物や重
金属イオンの拡散抑制、吸着やイオン交換による重金属
安定化、長期安定性の付与、酸性雨に対する耐性の向上
等、前記包接化合物のみの場合に比べ作業性が改善でき
るとともに重金属安定化効果を広範にわたって向上させ
る事ができる。
【0013】用いうる無機質粉体の具体例としては、ポ
ルトランドセメント、フライアッシュセメント、シリカ
セメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメン
ト類や石膏等の水硬性物質、高炉水砕スラグ、転炉スラ
グ、シリカフューム、石炭灰、火山灰、もみ殻灰等の潜
在水硬性物質、ドロマイトプラスター等の気硬性物質、
カオリン、メタカオリン、活性白土、酸性白土、ホワイ
トカーボン、タルク、ベントナイト、珪藻土、ゼオライ
ト等の非水硬性の珪酸アルミニウム類、粉砕された徐冷
スラグやフェロクロムスラグ、シリカ、アルミナ、硅
砂、硅石粉、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム等の非水
硬性物質を挙げることができ、水硬性物質及び潜在水硬
性物質が好ましく、セメント類、高炉水砕スラグ、珪酸
アルミニウムが特に好ましい。これら無機質粉体は1種
類でも、また2種以上を併用しても良い。また、前記の
水硬性物質とは水の存在下で水和反応して固化する物質
を指し、潜在水硬性物質とは水のみでは水和反応しない
もので例えば刺激剤等の添加で水和反応して固化する物
質を指し、気硬性物質とは空気中で硬化反応するもので
例えば炭酸ガスで硬化反応して固化する物質を指す。
【0014】これら無機質粉体は、その平均粒径が0.
01μm以上のものが使用できるが、好ましくは0.0
5μm〜1mm、更に好ましくは0.1〜500μmの
ものを使用する。無機粉体の平均粒径は小さいほど重金
属安定化効果は大きいが、製造コストが高価になること
や包接化合物と均一な混合が困難になり安定した処理剤
が得にくく好ましくない。
【0015】無機質粉体は、重金属含有廃棄物の種類、
使用する無機質粉体や燐酸化高分子の種類等によって異
なるが、燐酸化高分子の処理剤中の含有率が通常50重
量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは
0.1〜30重量%となるよう配合する。燐酸化高分子
は一般に高価であるため配合割合が少ない方が経済的に
は好ましいが、少なすぎると充分な重金属安定化効果を
発現し難くなり好ましくない。
【0016】本発明の処理剤は、粉体のまま使用するこ
ともできるが、必要に応じて使用する無機質粉体が水硬
性物質である場合を除いて、重金属含有廃棄物と均一に
混合させるため水溶液または水分散液で使用することも
できる。必要に応じて酸性水溶液または塩基性水溶液と
したり、分散剤及び水を添加して均一な分散液としても
良い。分散剤は、セメント組成物の流動化付与剤として
一般的に用いられているリグニンスルホン酸ソーダ、グ
ルコン酸ソーダ、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ等の水
溶性高分子を用いることができ、その使用量は燐酸化高
分子と無機粉体の合計重量100重量部に対し、通常
0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜7重量部、特
に好ましくは0.5〜5重量部である。本発明の処理剤
を水溶液あるいは水分散液で使用する際の濃度は、燐酸
化高分子の種類、無機質粉体の種類、燐酸化高分子と無
機質粉体の配合割合、重金属含有廃棄物の種類等により
異なるが、固形分が通常0.1〜30重量%、好ましく
は0.5〜20重量%である。
【0017】重金属含有廃棄物が環告13号の溶出試験
の溶出液が高アルカリ性である都市ゴミ焼却飛灰等の場
合は、鉛化合物のような両性重金属化合物が溶解しやす
くなるため塩酸、硫酸、硝酸、ポリ塩化アルミニウム、
塩化第一鉄、硫酸アルミニウム等の無機酸性物質、酢
酸、クエン酸等の有機酸性物質等の酸性物質を添加して
pHを弱アルカリ性にコントロールすると本発明の処理
剤の重金属安定化効果が増強する。また、環告13号の
溶出試験の溶出液が中性または酸性である電炉灰、溶融
飛灰、汚染土壌等の重金属含有廃棄物の場合は、本発明
の処理剤に下記する潜在水硬性物質の硬化刺激剤のよう
な塩基性物質を添加してpHを弱アルカリ性にコントロ
ールすると本発明の処理剤の重金属安定化効果を増強す
る。但し、重金属含有廃棄物を安定化するとともに固形
化(強度付与)する目的で本発明の処理剤を使用する場
合は、硬化反応をする無機質粉体を使用した方が好まし
いが、無機質粉体の硬化反応を発現しうる条件(環境)
にする必要がある。例えば、無機質粉体として高炉水砕
スラグ等の潜在水硬性物質を使用する場合、pHが弱ア
ルカリ性の環境では硬化反応を起こしにくいため、硬化
刺激剤として塩基性物質を添加することが好ましい。ま
た、塩基性物質(硬化刺激剤)及び酸性物質は予め本発
明の処理剤中に添加しておいてもよいが、後述する本発
明の処理法において使用するのが好ましい。
【0018】本発明で使用しうる潜在水硬性物質の硬化
刺激剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等のアルカ
リ土類金属の水酸化物、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム等のア
ルカリ金属の珪酸塩、燐酸1ナトリウム、燐酸2ナトリ
ウム等のアルカリ金属の燐酸塩、セメント、セメントク
リンカー等を挙げることが出来る。取り扱い性やコスト
を考慮すると、これら硬化刺激剤の中でアルカリ金属の
水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属
の珪酸塩、セメント、セメントクリンカーを使用するの
が好ましい。
【0019】硬化刺激剤は、潜在水硬性物質と硬化刺激
剤の割合が、通常95/5〜10/90(重量比)であ
り、好ましくは90/10〜25/75(重量比)とな
る量使用する。
【0020】燐酸化高分子と無機質粉体を含有する本発
明の処理剤は、前記各成分を前記したような割合で均一
に混合して得ることができる。粉状の本発明の処理剤を
得る場合、各成分を公知の混合方法で粉体混合すればよ
い。又、液状の本発明の処理剤を得る場合の混合の仕方
は特に限定はされないが、水溶性成分を所定量の水に混
合して水溶液とした後、予め調製しておいた燐酸化高分
子及び無機質粉体等の粉体成分に添加する方法が、全体
が容易に均一になるので好ましい。
【0021】本発明の重金属含有廃棄物の安定化処理法
(以下、本発明の処理法と称す)は、本発明の処理剤、
重金属含有廃棄物、必要に応じて水を混合、混練する。
重金属含有廃棄物が水を含有していない場合、又は含有
していても混合混練するのに不十分な場合は水を添加す
る。水の使用量は、重金属含有廃棄物の含水状態、及び
その粒度によって異なるが、概ね重金属含有廃棄物10
0重量部(乾燥状態で換算)に対して5〜80重量部、
好ましくは10〜50重量部である。しかし、この量は
安定化処理を行った後の処理体の形状をどのようにする
か、すなわちペレット状にするか、顆粒状にするか、泥
状にするかということによっても、異なってくる。処理
に要する時間(混合、混練時間)は、特に制限はなく、
廃棄物と処理剤が均一に混練できればよい。これらを混
合、混練する設備やこれらの添加順序等は特に限定され
ない。また、予め混合した本発明の処理剤を重金属含有
廃棄物と混合してもよいし、本発明の処理剤を構成する
各成分を重金属含有廃棄物と混合してもよい。混合の方
法は、例えば、バッチ式で処理を行う場合はニーダール
ーダータイプや撹拌機の付いたアイリッヒタイプの混合
混練機等が使用でき、連続的に処理を行う場合は、空気
や液体輸送中に動力学的な手法を利用した混合方法、一
軸または二軸のパドル型の混練機、パン型ミキサーやバ
イブロミキサー等を使用することができる。
【0022】また、本発明の処理法において、本発明の
処理剤、重金属含有廃棄物及び任意成分である水を混
合、混練中、または混合、混練後、混練物を加熱処理す
ると重金属溶出を抑える効果が著しく向上したり、安定
化に要する時間を短縮できるので好ましい。加熱処理
は、混練に伴って発生する熱を利用しても良いし、混練
の終わった混練物をそのまま或いは混練しながら加熱し
てもよい。加熱温度は、40℃以上、好ましくは50℃
以上である。加熱方法は、機械的な方法や前記したよう
な物理化学的な方法等公知の方法でよい。加熱時間は、
混練物の熱伝導率などにもよるが、通常5分以上であ
り、好ましくは10分以上であり、処理物の均一性や作
業性の面から最大24時間も行えば十分である。
【0023】本発明の処理剤及び処理法で重金属イオン
を安定化処理できる廃棄物に特に制限はなく、例えば、
都市ゴミ焼却灰や飛灰、汚染土壌、汚泥、または総理府
令第5号に定める判定基準を満足しなければならない金
属などを含む産業廃棄物等を単独で或いは混合して処理
することができる。また、本発明の処理法で都市ゴミ焼
却飛灰を安定化処理する場合、煙道に消石灰や活性炭を
ともに本発明の処理剤を添加すると、HClやダイオキ
シン等の排ガス処理と同時に煙道の熱を利用した重金属
の安定化処理が出来るため好都合である。この場合、本
発明の処理剤は、消石灰や活性炭と予め混合してあって
もよいし、煙道中に粉末状または液状の本発明の処理剤
を噴霧してもよい。
【0024】本発明の処理剤及び処理法によれば、重金
属含有廃棄物中の重金属が安定化され、処理後の混練物
から重金属が溶出する事がほとんどなくなり、環告13
号に定められた産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法
による溶出試験では、重金属イオンの溶出量はいずれも
総理府令第5号記載の埋立規制値以下となる。
【0025】こうして得られた本発明の処理物は、その
まま或いは必要により粉砕してセメント・コンクリート
用の骨材や道路の舗装材用骨材として利用したり、必要
に応じて、板状、ブロック状に成形して土木・建設資材
としても利用可能である。従って、これらの使用を目的
として本発明の処理剤に種々の混和材、例えば陶磁器粉
砕物、チタニア、ジルコニア、川砂、珪砂、珪石粉等の
骨材、ガラス繊維、カーボン繊維、ビニロン繊維、ナイ
ロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリ
ル繊維、ポリエステル等の繊維、セルロース繊維、スチ
ール繊維、アルミナ繊維等の繊維類等を添加してもよ
い。また、砂糖、グルコース、グルコン酸ソーダ等の硬
化遅延剤、シランカップリング剤のような表面処理剤、
顔料等を必要に応じて添加してもよい。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0027】実施例1〜4 都市ゴミ焼却場から得た焼却飛灰(鉛含有量1960mg
/kg 、環告13号に基づく鉛の溶出量53.4ppm)
100重量部と燐酸化澱粉を表1に示した量を添加して
混合し、水を32重量部添加し混練した後、1日〜13
週間室温養生して環告13号に基づく鉛の溶出試験をお
こなった結果を表1に併せて示した。
【0028】
【表1】 表1 燐酸化澱粉 鉛溶出量(ppm) の添加量(重量部) 1日後 1週間後 4週間後 13週間後 実施例1 2.0 1.23 0.12 0.08 0.07 実施例2 5.0 0.28 0.05 0.02 0.02 実施例3 7.5 0.02 N.D. N.D. N.D. 実施例4 10.0 N.D. N.D. N.D. N.D. 尚、表1においてN.D.は0. 01ppm以下である
ことを示す(以下同様)。
【0029】実施例5〜9 平均粒径10.8μmの高炉水砕スラグ100重量部に
対して燐酸化澱粉を表2に示した各量をプラネタリーミ
キサー(愛工舎製ACM−5)に投入して粉体混合を行
い本発明の重金属含有廃棄物用処理剤を得た。都市ゴミ
焼却場から得られた混合灰(飛灰:焼却灰=55:75
(重量比)含水率19%、鉛含有量890mg/kg 、環告
13号に基づく鉛の溶出量5.73ppm、)100重
量部に対して処理剤を表2に示した各量添加し、実施例
1〜4と同様に水を13.3部添加して処理した後、2
4時間養生して環告13号に基づく鉛の溶出試験を行っ
た結果を表2に示した。
【0030】
【表2】 表2 燐酸化澱粉 処理剤の添加量 鉛の溶出量 の含有量(重量部) (重量部) (ppm) 実施例5 10 10 0. 21 実施例6 20 10 0. 14 実施例7 30 7 0. 12 実施例8 50 5 0.05 実施例9 65 3 0. 04
【0031】実施例10〜12 表3に示した重金属含有廃棄物100重量部に、予め粉
体混合した平均粒径10.8μmの高炉水砕スラグ3重
量部と燐酸化澱粉2重量部を添加し、表3に示した量の
水を添加し混練した後、24時間養生して環告13号に
基づく鉛の溶出試験をおこなった結果を表3に併せて示
した。
【0032】
【表3】 表3 廃棄物の 水添加量 環告13号 鉛溶出量 (重量部) 鉛溶出量 (ppm) (ppm) 実施例10 飛灰 2. 85 28 N.D. 実施例11 焼却灰 0. 50 10 N.D. 実施例12 汚泥 8. 30 0 0. 18
【0033】実施例13〜15 実施例5〜9で使用したのと同じ混合灰100重量部
に、表4に示した平均粒径0.2〜75μmの各無機質
粉体60重量部に対して表4に示した各燐酸化高分子4
0重量部を粉体混合して得られた処理剤5重量部を添加
して混合し、水を33重量部添加し混練した後、表4に
示した処理条件で養生して環告13号に基づく鉛の溶出
試験をおこなった結果を表4に併せて示した。
【0034】
【表4】 表4 無機質粉体 燐酸化高分子 処理条件 環告13号 の種類 の種類 鉛溶出量 (ppm) 実施例13 ポルトランド 燐酸化澱粉 40℃、24時間 0.16 セメント 実施例14 ホワイト ポリスチレンメ 60℃、12時間 N.D. カーボン チルホスホン酸 実施例15 珪石粉 アクリル酸Na 80℃、6時間 0.04 と2−メタクロイル オキシエチル ホスホン酸との 共重合体
【0035】実施例16〜18 平均粒径10.8μmの高炉水砕スラグ100重量部に
対して、燐酸化澱粉を50重量部、水酸化カルシウムを
表5に示した量、及び、アクリル酸と無水マレイン酸の
共重合体のナトリウム塩(平均分子量45,000)2
重量部と水20重量部を添加混合し液状の本発明の処理
剤を得た。この処理剤の調製後の粘度は6,000cp
s(B型粘度計)であった。容器に入れて静置後一週
間、又は一ヶ月後には擬凝結を起こしていたが、振動を
与えると液状に回復し、粘度を測定するとそれぞれ5,
300cps、5,800cpsであった。また、調製
後、容器に入れた状態で絶えず攪拌しても、又、2日〜
3日毎に断続的に攪拌することにより、一ヶ月以上調製
後の液状を維持していた。
【0036】調製後一週間を経たこの液状の本発明の処
理剤と水とをそれぞれ表7に示す量を用い、精鋼会社で
発生する電炉灰100重量部に対して、上記処理剤15
重量部を添加して、混練した後24時間後の鉛の溶出量
を環告13号試験に基づく鉛の溶出試験を行った結果を
表5に併せて記した。
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】本発明の重金属含有廃棄物用処理剤は、
重金属含有廃棄物を安定化処理するのに適しており、重
金属イオンの溶出を高度に安定化させることができ、そ
の効果は持続的である。さらに、液体、粉体どちらの形
態でも使用できるため広範囲のニーズに対応できる。ま
た、本発明の処理法は特殊な装置を使用することなく、
容易に重金属含有廃棄物の安定化ができる。更に、本発
明の処理法で得られた処理物はセメントの固化物以上の
強度を示すための骨材や舗装材などの土木建築資材とし
て利用(リサイクル)可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 11/00 ZAB B09B 3/00 304J

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中で燐酸イオンを形成する燐酸化高分子
    を含有することを特徴とする重金属含有廃棄物用処理
    剤。
  2. 【請求項2】無機質粉体を含有する請求項1記載の処理
    剤。
  3. 【請求項3】無機質粉体が水硬性物質、潜在水硬性物質
    及または珪酸アルミニウム類から選ばれる1種以上であ
    る請求項2記載の処理剤。
  4. 【請求項4】無機粉体がセメント類、高炉水砕スラグ、
    珪酸アルミニウムから選ばれる1種以上である請求項2
    記載の処理剤。
  5. 【請求項5】処理剤中の燐酸化高分子の含有量が0.1
    〜30重量%である請求項2〜4のいずれか1項に記載
    の処理剤。
  6. 【請求項6】燐酸化高分子が燐酸化澱粉である請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の処理剤。
  7. 【請求項7】燐酸化高分子が凝集作用を有する請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の処理剤。
  8. 【請求項8】重金属含有廃棄物に請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて、混
    合、混練することを特徴とする重金属含有廃棄物の処理
    法。
  9. 【請求項9】重金属含有廃棄物に請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の処理剤及び必要に応じて水を加えて混
    合、混練した後40℃以上に加熱することを特徴とする
    重金属含有廃棄物の処理法。
  10. 【請求項10】重金属含有廃棄物がゴミ焼却場の焼却
    灰、飛灰、汚泥、汚染土壌、又は、総理府令第5号に定
    める判定基準を満足しなければならない金属などを含む
    産業廃棄物である請求項8または9記載の重金属含有廃
    棄物の処理法。
  11. 【請求項11】環境庁告示第13号に基づく溶出試験後
    の溶出液のpHが中性または酸性である重金属含有廃棄
    物に請求項1〜7のいずれか1項に記載の処理剤及び塩
    基性物質を添加し処理する請求項8〜10のいずれか1
    項に記載の処理法。
  12. 【請求項12】環境庁告示第13号に基づく溶出試験後
    の溶出液のpHが塩基性である重金属含有廃棄物に請求
    項1〜7のいずれか1項に記載の処理剤及び酸性物質を
    添加し処理する請求項8〜10のいずれか1項に記載の
    処理法。
  13. 【請求項13】請求項8〜12のいずれか1項に記載の
    処理法で得られた処理物。
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